たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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九十話


洛陽




美羽ちゃんとシャオちゃん達が一緒に塾に行くようになりだしてから、
少し七乃さんの様子がおかしい、と言うか、
美羽ちゃんを心配しすぎているような様子が伺えたので、
一度、彼女と落ち着いて話をしてみようと、夕食後、片付けをしている時に、
七乃さんに『今夜お酒でも飲みながら少し話しませんか?』
と、誘ってみた。


「あらあら、もしかして私、喜媚さんに口説かれちゃってます?」
「・・・真面目な話です、七乃さんも自分で気がついているでしょ?」
「・・・美羽様の事ですか?」
「美羽ちゃんの事は心配してませんよ。
塾ではよく勉強しているそうですし、鳳統さんに聞いた話だと、
かなり物覚えがいいようで、教える方も教えてて楽しいそうですし、
シャオちゃん達共、仲良くやってるいみたいですし。
まぁ、偶に塾や店の中で歌合戦をやるのも、今やっている程度なら可愛いものですし。
彼女達の歌合戦目当てに来てるお客さんだっているみたいですから。
・・・問題は七乃さんご自身ですよ。」


私がそう指摘すると、洗い物をしている七乃さんの手が止まる。


「美羽ちゃんの幼い頃から七乃さんがずっと見てきて、
彼女にとって七乃さんは姉か母親、それくらい大事な存在だと思います。
同時に七乃さんにとっても美羽ちゃんは、愛する主君、
大切な妹か娘、そんな感じなんじゃないですか?」
「・・・喜媚さんは意外に普段は見てないようで、
見るべきところはしっかり見てるんですね。
確かに美羽様は私にとっては大切な主である以上に、
家族みたいな存在です・・・ですから・・・」
「最近シャオちゃん達と仲がいいのはいいけど、
孫策さんとの事があるから、
いつかシャオちゃん達が美羽ちゃんに何かしないか心配だと?」


そう言うと七乃さんは洗い物を置いて私の顔を正面から見つめる。


「・・・・・・ほんと、喜媚さんは私よりも年下何ですか?」
「言いたくないけど身長だって七乃さんと同じくらいか、
『喜媚さん私より低いじゃないですか。』
・・・まぁ、そういう事です。 確かに七乃さんよりは年下のはずですよ
(中身は無駄に倍くらい生きてますけどね。)」


そうして七乃さんは正面を向いて洗い物を続ける。


「私達・・・と言うよりも私が孫策さん達にしてきた事は、
恨みを買ってもしょうがない事です・・・
でも当時はそうするしか美羽様を守る手立てがなかった・・・
美羽様はまだ幼くて、利用しようとする者が後を断ちませんでしたし、
信用できる者もごく一部で、それもやがて利用しようとする者に懐柔されていく。
そんな折に孫堅さんが劉表に討たれて亡くなって、
孫策さんがウチに救援を求めてきたので、
ちょうどいいと思い、孫策さんと、美羽様を利用しようとする者達で、
牽制し合うように画策して、なんとか美羽様が成長して・・・
袁家の者として恥ずかしくないように成長なされる事を期待していたんですが・・・」
「美羽ちゃんは無意識に精神的に幼い自分を演出する事で自分を守ろうとしていた。」
「・・・やっぱりご存知だったんですか?」
「美羽ちゃんの年齢にしては幼い印象を受けましたけど、
ある変な部分の知識はしっかりしてたりして、歪な感じを受けたんですよね。
元々、美羽ちゃんはかなり聡い娘だと思ってました。
最初の出会いでもそうでしたし、書簡のやり取りをしていてもそうでした。
物の本質を無意識に見抜いたかと思ったら、他の知識が付いて行かない。
精神的には幼いまま・・・でも洛陽で生活するようになって大分変わりましたよね。
無邪気な性格はそのままですが、知識がついてきたので、
塾でも、時に鳳統さんがびっくりするような質問をしてくるそうですよ。
普通なら段階を踏まえて質問してくるような内容を、
数段飛ばして質問してきたりして。
その理由を聞いたら、美羽ちゃんの中ではちゃんと段階を踏まえて答えが出ていて、
ちゃんと理論も合っている。
このまま育てば将来、名君に成れるんじゃないかと、
鳳統さんのお墨付きをもらいましたし。」
「・・・美羽様は決して暗愚な方じゃないんです。
袁逢様の血を引いていて暗愚になる理由がないんです。
・・・ただ、寿州を継ぐ時期が悪かっただけなんです。」
「でも七乃さんが心配しているのはそこじゃない・・・
シャオちゃん達にいじめられないか? というのも、もちろん心配してますけど、
それ以上に、このままシャオちゃんや塾の友人なんかと仲良くなって行ったら、
いつか美羽ちゃんが自分から離れて行っちゃうんじゃないか・・・
とか思ってるんじゃないですか?」
「・・・・っ!?」


七乃さんは洗っていたお皿を手放すが、その下は水が溜まった桶なので、
お皿は割れずに、 『カチャリ』 と音を鳴らすだけで済んだ。


「・・・喜媚さんは・・・いぢわるです。」
「そうかもしれないけど、今、
まだ手が打てるウチに二人を何とかしてあげたかったんですよ。
今ならまだ、美羽ちゃんと腹を割って話し合えば、
今まで通りに仲の良い二人のままでいられます。
美羽ちゃんは成長しても、七乃さんを一人置いてどっか行ったりなんかしませんよ。」
「喜媚さん・・・」
「もしこの先、美羽ちゃんとシャオちゃんが大喧嘩したり、
真名を交わし合ったりした後じゃ、
少し手遅れになっちゃいますからね。
そうなると、美羽ちゃんも、七乃さんも余裕が無くなって、
落ち着いて話ができなくなっちゃいそうですから。」
「・・・・」
「そうなったら七乃さん、美羽ちゃんを心配して、
また前みたいに美羽ちゃんにべったりになって囲い込むとかしそうですし。」
「そんな事・・・」
「それにシャオちゃんは、彼女なりに過去の事を消化して、
ちゃんと 『今の』 美羽ちゃんと向かい合おうとしてますよ。
・・・大喬ちゃんと小喬ちゃんはまだ、わだかまりがありそうですが、
シャオちゃんは結構しっかりしてますよ。
あの娘はきっと将来、大人物になります。
過去に色々あった美羽ちゃんを、
ああやって受け入れられるだけの器があるんですから。」
「・・・大物になるという意味でしたら、美羽様のほうが凄いお方になります!」


私がシャオちゃんを褒めると、すぐに七乃さんが反応して、
美羽ちゃんのことを持ち上げる。
それでこそ、いつもの七乃さんだ。 ようやく調子が出てきたみたいだ。


「ハハハッ、その調子ですよ、七乃さん。
今まで七乃さんと美羽ちゃんが築いてきた絆は、決して脆いものじゃありません。
一度腹を割って美羽ちゃんと話し合ってみてください。
きっと美羽ちゃんは七乃さんが嫌だって言うまで、
そう言ったとしても、七乃さんを離したりしませんよ。」
「・・・そうですね。
今夜辺りからでも少しずつ美羽様と話をしてみようと思います。」
「えぇ、そうしてあげてください。
きっと美羽ちゃんも、七乃さんの様子が前と少し様子が違うって気がついて、
表には出してませんが、きっと心配してますよ。」
「はい・・・それで、今夜の晩酌はどうしますか?
今日だったら少しくらいなら喜媚さんに、ご奉仕してあげてもいい気分ですよ?」
「やめときますよ。 美羽ちゃんとの話の時間を邪魔しちゃ悪いし。
桂花にバレたら怒られそうですから。」


私がそう言うと七乃さんは私の耳元に顔を寄せてきて・・・


「それに・・・賈詡さんにもですか?」
「・・・っ、気づいてたんですか?」
「気づかないほうがどうかしてますよ。
定期的に泊まりに来たと思ったら、用意した部屋にはいないし、
朝見たと思ったら、妙に気だるく色っぽくなってますし。
それに、このお店で男性って行ったら喜媚さんだけじゃないですか。
日頃の賈詡さんの態度見てたら、
よほど鈍感な方じゃない限り、すぐ気が付きますよ。」
「・・・あぅ。」
「ここだけの話ですけど、店の従業員達の中にも、
喜媚さんの寵愛を受けたい、受けよう、と思っている娘達も居るみたいですよ?」
「・・・本当ですか?」
「さぁ・・・どうでしょう?」
「七乃さんっ!?」
「フフフ。」


お店の従業員には何人か口止めしてあるが、
もしかして、すでに新しく来たシャオちゃん達以外全員に、
バレてるんじゃないだろうか?
一度それとなく調査して、口止めしたほうが良いのかもしれない。
それに七乃さんの言っていたことが本当か確認もしたほうがいいかもしれない。


こうして、少しすっきりした顔になった七乃さんは、
この日から寝る時に少しずつ美羽ちゃんと話をして、
わだかまりを少しずつ解していった。


さて、七乃さんの件を何とか話し合いで解決した後。
ある日、宮殿から私だけ呼び出しがあったので、行ってみたのだが。
案内された部屋には、詠ちゃん、音々ちゃん、そして公孫賛さんと侍女が数名いた。
詠ちゃんと音々ちゃんに呼ばれるのはよくあるのでいいのだが、
そこに公孫賛さんが居るのはどういう事だろうか?

そう思いながら、椅子に座るように言われたので、
指定された詠ちゃんの横の椅子に座って、
話が始まるのを待っていた。


「さて、今日喜媚を呼んだのは、ほかでもないわ。
察しはついてるかもしれないけど、公孫賛の事についての話よ。」
「公孫賛さんの? 何か問題でもあったの?」
「いいえ、何も問題はないのです。
宮中ではおとなしくしてますし、偶に劉備達に会いに行ったり、
自分の部下の様子を見に行ったりしてるようですが、特に問題はないのです。」
「そう、問題はないの。
だけどいつまでも公孫賛を、
お客様待遇でこのまま宮中に置いておくわけには行かない。
そろそろ、彼女の進退を決めなきゃいけないのだけど、
私達としては、彼女にはウチの軍に、
董卓軍に所属して欲しいと思って今勧誘している。
これは彼女だけじゃなくて、一緒に来た部下達も含めてよ。
彼女達の騎馬隊はきたの方では有名だからね。
霞、翠、恋、これに公孫賛の騎兵が加わったら、
騎馬戦で負けることはまず無いわ。
公孫賛からも良い返事をもらっていて、
月や陛下の元で働けるなら喜んで働いてくれるそうよ。
それに彼女の持つ能力もそうだけど、烏桓に対する知識が私達には有用なの。
羌族や氐族は私達もよく知ってるけど、北の烏桓に対する知識はあまり無いわ。
そこで、公孫賛や、その部下達の知識があれば、
烏桓に対しての対応も素早く取ることができる。」
「ただ、一つ問題があるのですよ・・・」


よくわからないな、董卓軍で公孫賛さんの力が必要にしてて、本人も部下も乗り気。
烏桓の対策も取れて、いいことずくめの話に見えるけど何が問題なのだろうか?


「よくわからないんだけど、何がまずいの?
それになぜその話に私が呼ばれたの?」
「まず問題は、公孫賛が、先の反董卓連合に所属していて、
罰則金の支払いが終わること無く、袁紹軍に滅ぼされた事。
コレはまぁいいのよ。
事情が事情だし、公孫賛には非が有るとしたら、袁紹に負けた事だけど、
戦力比を考えればしょうがないわ。
あの兵力差で勝てるんだったら、私達は連合に負けてたでしょうね。」
「それともう一つ問題は、あの連合が終結してから、
まだ時間があまり経っていないため、
公孫賛に叛意が有るのではないか? と疑われる事なのです。」
「あの謁見の間での態度と、短い期間とはいえ、
ちゃんと罰則金の支払いはされていたので、問題は無いのだけど、
このまますぐ将官に登用、となると部下が着いて来るかどうか・・・
公孫賛が連れてきた兵たちとの折り合いもあるしね。
そこでしばらく様子を見る期間が必要なの。」
「・・・まさか。」
「そう、そこで喜媚の店なのです!」
「なんでよ! どう考えてもおかしいじゃない!」
「喜媚は先の連合の戦いで、功績を上げているからウチの部下からの信頼も厚いのよ。
特に一部では熱狂的とも言っていいわね。
あんたの率いていた部隊では、あんたを是非董卓軍の将官にして、
再度あの部隊を結成して欲しいって、嘆願が定期的に上がってくる位なのよ。」
「そんな事になってたなんて・・・」
「まぁ、その話はいいのですが、
喜媚の店にある任務を帯びた細作としてしばらく働いて、
兵の信用を得る必要があるのです。」
「で? その任務って・・・」


私は詠ちゃんのすぐ横まで椅子をずらしながら移動していって、
詠ちゃんの耳元で話す。


(まさか劉花ちゃんの護衛じゃないでしょうね?)
(その事は話してないわ。
ただし劉家、陛下の遠縁の娘ということにして、一応護衛対象にはしてあるわ。)
(ならいいけど・・・)


私は再び元の位置に椅子を戻す。


「それで、任務って何なの?」
「あんたの見張りよ。」
「はぁ?」
「正確には、孫尚香があんたに手を出さないか公孫賛に見張らせるのよ。」
「公孫賛にはすでに話したのですが、
孫家の一部で喜媚のこ、子種を狙う動きがあるのです。
喜媚は皇帝陛下にとても近いので、
その血族となったら宮中での発言力も増す事になるのです。
今回、孫尚香は友好の使者と人質代わりと言う事で洛陽に来てるので、
迂闊な事はできないのですが、喜媚の店で従業員として公孫賛を働かせつつ、
孫尚香が喜媚に夜這いをかけたりしないか見張らせるのです。」
「シャオちゃんはそんな事しないと思うけどなぁ・・・」
「すでにこの短期間で孫尚香と真名を交わした、
あんたが言っても説得力がないのよ!」
「あぅ・・・」


それを言われると辛い・・・と言うか、アレは絶対に私は悪くないと思う。
今でも何故急に真名を預けられたのかが分からない。
あまりにもシャオちゃんが本気だったのと勢いで受けてしまったが。


「そういう訳なので喜媚殿と劉花殿の警護と孫尚香殿の見張りは私に任せてくれ!」
「・・・一つ疑問なんだけど、なんで公孫賛さんはそんなに気合入ってるの?」
「やる事が無くて暇を持て余していたんですって。
今まで、殆ど腹心の部下と呼べる者がいなくて、使える文官や将官はいたんだけど、
殆ど主な決定や決裁は一人で領地運営していたから、
大忙しだったんだけど、洛陽に来てやることがなくて困ってたそうよ。」
「逆に言えば、その状況で烏桓を抑えていたのですから、
有能であるという証拠でもあるのです。」
「いやぁ・・・それほどでも無いよ・・・エヘヘ。」


音々ちゃんが褒めたら、公孫賛さんの態度が一気に変わった。
真っ赤になって照れている・・・
この人褒められ慣れてなさすぎじゃないだろうか?
やってる事は凄い事のはずなのに・・・


「それにこの任務を、私が無事に完了して、晴れて董卓軍の将官として認められれば、
避難してきた一部の幽州の民や、
今も残っている民達の受け入れも順調に進むと思うんだ。
私が董卓軍で功を上げれば、それだけ幽州の避難民の顔も立つ。
避難してきたと言う、後ろめたい気持ちも少しは無くなると思うんだ。」
「そういえばその件で、詠ちゃんに聞きたいことがあったんですけど、
今、幽州の人達や袁紹軍はどうなったの?」
「そうね、ちょうどいいから話しておきましょうか。」


そうして詠ちゃんはまず、幽州の人達がどういう状況なのか説明してくれたが、
袁紹軍が攻めてきた時に、籠城し、
一部の民に被害が出ないように逃がしながら戦っていたのだが、
公孫賛さんは最後まで戦おうとしたのだが、
部下の人に気絶させられて逃がされたそうだ。

その後、幽州の人達は詠ちゃんの細作の情報によると、
邑や村は袁紹軍の略奪に合い、流民や避難民を大量に出しているが、
曹操さんや月ちゃんの軍が見つけ次第保護しているそうだ。
実際、洛陽ではないが、月ちゃんの領内で、
均田制を使って幽州から来た流民が戸籍と衣食住を得て、
働いている村や、新しく開墾している畑も多数あるそうだ。
曹操さんの方からも、同様の報告が来ているらしい。

コレは幽州の民だけではなく、
袁紹さんの領内からの避難民や流民も含まれているそうだ。

曹操さんは、今回の事でかなりの民を受け入れているそうなので、
将来的な兵力もかなりの数になるだろうと言う事で、
詠ちゃんや音々ちゃんは、警戒して細作を出して細かく調査しているそうだ。


さて、袁紹軍だが、コレは主力部隊の袁紹さんが御輿にされていた部隊は、
曹操さんの軍の新兵器等や桂花や稟ちゃん、
程昱さんの策等使って、撃退したそうだが、
かなり、独自に武装蜂起して旗揚げした元袁紹軍所属の諸侯がいるらしく、
旗揚げ、とは言っているがほとんど賊と変わらないそうだ。
そして曹操さんは、今はその部隊の撃滅をしているそうだ。
忙しさのあまり発狂する、桂花の叫び声が聞こえてきそうだ・・・




--荀彧--


「あぁ~~もうっ! うっとおしい!!
なんでこう次から次へと、コレだったら華琳様と一緒に袁紹軍から離反した部隊を、
潰して、回ってる方がよっぽどいいわよ!!
袁紹は何やってたのよ! どうしてこんなに酷い事になるのよ!」
「桂花はん、そないなこと言うてる暇があったら、手を動かしてや・・・
まだ、書簡は山ほどあるんやで?」
「わかってるわよ! 動かしてるわよ!!
あんたも私に注意してる暇があったら、手を動かしなさい真桜!!」
「動かしてまんがな・・・でも、もう限界や・・・」

(稟や風が華琳様と共に袁紹軍と戦い戦功を上げているというのに、
私はこんな所で、いつまでもいつまでもいつまでもいつまでも・・・
書簡の山に埋もれて、袁紹軍が荒らした村の復興作業ばかり。
このままでは、新人の稟や風に追いつかれてしまう。
あの二人は嫌になるくらい頼もしく、優秀だから、放っておいても出世していく。
だけど曹操軍筆頭軍師の私のこの座は、なんとしても守らないといけない!
でないと、何のために喜媚と離れてまで華琳様に仕えているのかわからなくなる。
私は華琳様の元で才を従前に活かして、家の為、民の為、名の為に功績を上げて、
喜媚と一緒に暮らせる世の中を作らなきゃいけないのよ!
すぐにでも、この仕事を完璧に終わらせて、私も華琳様に同行して、
戦働きで戦功を挙げなくてはいけないのに・・・次から次へと!!)


「コレはあれでっか? 前に朝議で桂花はんが、
華琳様に楯突いた件が原因やないですか?」
「何よ、私が華琳様に楯突いたって?」
「ほら、漢の皇室の扱いで、袁紹領を平定した後、華琳様が国を立ち上げるって奴。
確か魏やったかな? 華琳様が王として立ちあがり、この国を平定する!
て言ってた奴でんがな。」
「あぁ、でもあれはどうしてもあそこで異論を突っ込まないとダメな議題だったし、
華琳様もその辺の事はよく分かってらっしゃるわよ。
昔の皇室ならともかく、今の漢を正面切って敵対する訳にはいかないわ。
特に反董卓連合以降はね・・・
アレで皇室、今の代の皇帝陛下の人気は洛陽を主として国内では、
絶大なモノになっったわ。
こんな状態で、元袁紹領を治めて華琳様が覇王として国を立ちあげてみなさいよ、
この国の諸侯すべて敵に回す事になるわよ?
その為にも華琳様には覇道も大切だけど、
皇帝陛下との信頼関係も結んでもらわないと。
せめて董卓と同格位には・・・でないと、最後の決戦でウチと董卓で決戦になって、
ウチが勝った場合、最悪陛下が董卓と一緒に心中か自害でもされかねないわよ?
たとえ死因がなんにせよ、華琳様の仕掛けた戦で、
皇帝陛下が命を落とされたとなったら、
各地で 『皇室を蔑ろにした!!』 と、武装蜂起が起きて、華琳様が、
世紀の大悪人。 権力欲しさに善政を敷いた董卓を討って、
陛下を死に追いやった重罪人として扱われて、国中が私達の敵に回るわよ?
そうなったら、せっかく一つに収めた国も分裂して、
戦乱の時代に逆戻りじゃない。
異民族だってそんな好機を見逃すはずないわ。
だから華琳様には、建国は一先ず先延ばしにしてもらってでも、
表面上は、皇室を尊重した態度を取ってもらわないと、
反曹操連合なんてなりかねないわよ?
そういう訳で、アレは華琳様が将来的には国を立ち上げるつもりである。
という事を皆に理解させた上で、私が今は時期じゃないって忠告申し上げて、
現状を皆に理解させるための、予定調和の議題だったのよ。」
「へ~、あの時の朝議には、そないな意味があったんですか。
そりゃまぁ確かに。今皇室に楯突いたらええことはありゃしまへんわな。」
「そういう事よ、あの場合誰かが言わなければならなかったから、
たまたまその筆頭軍師の私に出番が私に回ってきただけよ。
華琳様もその辺の事は分かってらっしゃるはずだわ。
だからアレ以降、華琳様はその事について何もおっしゃらないでしょう?
私が意見した段階で、すぐに議題は変わって次の議題に話は進んでいったし。」
「たしかにな~。」


私達がそんな事を話しながら、次から次へと書簡を処理している時に、
文官の男が次の書簡を持ってきた。


「荀彧様、追加の竹簡が来てますが・・・」
「あ~もう! その隅の机の開いてるところに置いておいて!
あとそこの左の竹簡は処理したものだから持ってって頂戴!」
「はい・・・」


そう言って辛気臭い顔をした文官の男は指示通りに動き、
部屋から退出していく。


「・・・ん? 桂花はん今の文官新人でっか?」
「えぇ、あまりにも人手が足りないから華琳様が試験の難易度を下げて、
新しく文官を雇ったのよ。
その内一人でしょ? なんか私を変な目で睨んでくるやなやつよ。
でも仕事は最低限できるみたいだから、使ってるのよ。」
「そうですか、ふ~ん。 華琳様も大変やけど、人不足も大変なんやな。」
「そうね、領地が増えればそれだけ統治する人も必要になる。
ましてや華琳様の文官になるともなれば、それなりの才も要求されるわ。
だからなかなか人が集まらないらしいのよ。」
「それで試験を少しゆるくしたんでっか。」
「そうみたいね。」


私達は華琳様指揮する部隊から離れ、袁紹軍から離脱して、
殆ど賊に成り下がった部隊や諸侯を潰して回っている袁紹の部隊が荒らして回った、
邑や村の復興のために竹簡の山と戦っている。

私と真桜が攻撃部隊から外されて、その後始末の内政側に回されているのは、
稟や風よりも私の方が内政向きの能力が高いのと、真桜も同じように、
攻撃よりも何かを作る側の人間だからだ。

すでにこの村で八つ目なのだが、復興させる計画を立てて、
復興事業をある程度波に乗せたら次の村へ、
その村である程度目処を立てたらまた次へと、
転々と邑や村を回されては、同じような仕事を繰り返している。


「荀諶の馬鹿娘め、何が袁紹の所をいつ出てもいいようにしてきたよ。
どこもかしこも無茶苦茶じゃない!」
「荀諶はんを責めるのはお門違いやって、
袁紹の部下のアホ共が暴れまわって荒らしとるんやから。」
「わかってるわよ! でもそうでも言ってないとやってらんないわよ・・・
なんでここまで荒らせるのよ・・・ほんの少し民の事を考えたら、
こんな事できるわけ無いでしょうに・・・」
「そういう輩やからこないな酷いことができるんや・・・
ウチらの村はまだマシやったけど、
ほんま酷いところは村ごと潰されてしもうたから・・・」
「ココはまだ復興出来るだけマシって考えるしか無いわね。」
「・・・せやね。」
「・・・はぁ。 喜媚・・・どうしてるかな?
喜媚の竹簡も陳留経由でしか届いてこないし・・・」
「桂花はんはええなぁ、想い人がおって。」
「何、馬鹿言ってんのよ・・・会えないから余計に辛いわよ・・・」
「え? ・・・け、桂花はんが素直に弱音吐くなんて、
珍しいこともあるもんやね・・・」
「・・・この竹簡の量と、コレがまだ続くと考えたら、
弱音の一つくらい吐きたくなるわよ。」
「・・・せやね・・・ハァ。」
「ハァ・・・仕事しよ。」


こうして私達は竹簡の山と戦い、この村の復興の仕事を続ける事にした。




--???--


私は華琳さんの部隊が私の本隊を攻撃している隙を付いて、
監視の目をかいくぐり二人と共に逃げ出して、
なんとか、追手を撒いて、こうして荒野や廃墟に近い村々を転々としている。

しかし、今まで見てきた戦は本当に酷いものでした・・・
賊でもなんでもない村々を私の兵が襲って略奪を繰り返し、
幽州の白蓮さんの領地に入ってはそれはさらに悪化し、
挙句に白蓮さんの城まで攻め滅ぼしてしまう。


「コレが・・・こんな事が、私がしてきた事。
・・・私の領地の本当の姿だったんですのね。」
「麗羽様は悪くないっすよ!
悪いのは麗羽様の目を盗んで好き勝手やってきたあいつらですよ!
それも、雇ってやった恩を忘れて、麗羽様の指示に背いて、
挙句の果てに麗羽様に罪を着せるようなまねまでして・・・!」
「文ちゃん・・・すべてが彼らの責任という理由でも無いよ・・・
私達だって、もっとあの人達をしっかり管理できていたら・・・」
「斗詩は、あたいらが悪いって言うのかよ!?」
「私達も悪かったんだよ・・・私がもっとしっかり麗羽様を補佐できていたら・・・
荀彧さんや荀諶ちゃん達の進言を聞いていたらこんな事には・・・」
「二人共おやめなさいっ!
・・・全ては私の責ですわ・・・私は領主として、
あの者達をしっかり管理する責任がある。
お父様に昔から言われていたのに、私が愚かだったばっかりに・・・」
「「・・・・」」


私の叱責と、その後に私の今までの後悔を吐露したことで、
二人は黙りこんでしまいました。


「・・・とにかく今は少しでもここから離れましょう。
曹操の軍も私達を嵌めた彼奴等の軍も、まだすぐそこにいます。
今はとにかく一刻も早くこの場から逃げて、
安全を確保しないと! もう交州で再起がどうのなんて言ってられませんよ!」
「そ、そうだな、流石私の斗詩、麗羽様、まだきついと思うっすけど、
今は休んでる時間すら惜しいっす。
もうひと頑張りして次の村まで、逃げましょう。」
「そうです、今また奴らに捕まったら、
また御輿としてすべての責任を麗羽様に押し付けて、
奴らに好き放題されますよ!」
「そうですわね・・・行きましょう。」


こうして私達は二つの軍から逃げるように南に移動を開始し、
交州で再起を図ることなど完全に頭から抜け落ちて、
あの者達に二度と捕まらない事と、自分達の安全を確保するために
どこに逃げる宛があるとも無く、とにかく、あの者達から少しでも離れるために、
移動を開始した。


「しかし一体私達はどこに向かって逃げれば・・・
それに私には配下を抑えられなかった事や、
幽州の白蓮さんのお城を攻めてしまった責もありますわ・・・」
「「麗羽様。」」
「・・・この上は陛下に御沙汰をいただくしか無いのでしょうか。
ここまでの事をして、交州で董卓さんを見返しても、
陛下は必ず私達を許す事などありませんわ。
いっそ、いまから陛下の下に自ら出頭すれば、
貴女達くらいは助けられる可能性も・・・」
「「麗羽様!!」」
「陛下の元へ行くならあたい達も一緒ですよ!」
「そうですよ、麗羽様だけでなく私達にもこの戦の責任はあるんですから。」
「貴女達・・・」
「「麗羽様・・・」」


こうして私達は頼る当ても無く、ただひたすら、華琳さんの軍と、
元私の軍から逃げる事だけを考えて南に進んだ。
この先どうするべきかを頭の片隅で、考えながら私達は逃げる。




--喜媚--


詠ちゃんと音々ちゃんから説明を受けて、今の現状を知る事ができたが、
やはり予想通り酷い事になっているようだ。

結局この策には私も最初は反対したとはいえ、
最終的には賛成したのだから同罪だろう。

私にできるのはせめてこの先、この国の未来が今よりもまともな国になって、
明るい未来を後世に残す事くらいだろう。


「・・・さて、袁紹領内の話はコレでいいわね。
これ以上詳細な情報が欲しかったら、後日私の執務室に来るか、
音々の執務室で音々に聞いてちょうだい。」
「ん、わかったよ。」
「それで、公孫賛なんだけど、何時頃から喜媚の店で預かれそう?」
「そうだね・・・部屋の用意と制服の用意さえできたら、
すぐにでも受け入れは大丈夫だけど、
公孫賛さんはもちろん接客なんてやった事無いですよね?」
「あぁ、流石に食堂や茶店の店員は経験は無いな。」
「じゃあ、受け入れは後日、服の採寸をして制服を作った後ということでいいですか?
仕事は私達の方で教えますから、最初はまずは、厨房で雑事をしてもらいながら、
劉花ちゃんや皆の接客の仕方を見ながら、雰囲気を掴んでもらって、
その後、練習して貰うという事で。」
「分かった、じゃあ、もうしばらくは宮中で待機かな?」
「あ、もしお暇ならウチの店に来てくださっても構いませんよ。
お客として接客を受けてみて勉強になることもあるでしょうし。
それくらいは経費で出しますから、お代もいただかなくて結構ですし。」
「そうか? 申し訳ない。
じゃあ早速明日から、お店の方には顔を出させてもらうよ。」
「はい、お待ちしています。」


私と公孫賛さんの話が終わったところで、詠ちゃんが 『パンッ』 と手を叩く。


「はい、じゃあ話はコレで終わりでいいわね。
喜媚の方も公孫賛の方も、もう聞きたいことは無い?」
「はい、私はもういいですよ。」
「私の方も問題ない。」
「それじゃあ、今日はお疲れ様。
わざわざ呼んで悪かったわね。」
「いやいいよ、幽州の人達や、袁紹さんの領内の事も気になってたし。」
「あんたは・・・ハァ、程々にしときなさいよ?
ある程度のところで割り切らないと、自分が辛いだけなんだから。」
「その時は、誰かに泣きつくよ。
私はヘタレだから泣き言の一つや二つ言ったって、誰か聞いてくれるでしょ?」
「全く・・・泣きつくなら、私か月にしときなさいよ。」
「? なんで詠と月何ですか?
音々のとこに来ても話しくらい、いくらでも聞くですよ?」
「そ、そんな細かいこと気にしなくてもいいのよ音々は!
ほら! 行くわよ! 仕事は山積みなんだから。」
「? 何なんですか全く・・・音々だけのけものですか・・・」
「よくわからんが、喜媚殿も程々にな。
・・・でも幽州の民の事を気にしてくれて、ありがとう。」
「いいえ・・・私も人事じゃないですから・・・」


こうして話し合いは終わり、
この数日後、公孫賛さんが私の警護と劉花ちゃんの警護という裏の名目で、
ウチの店の従業員として働く事になった。


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  1. 2012/11/19(月) 18:42:21|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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誤字?

[美羽ちゃんとシャオちゃん達が一緒に塾に行くようになりだしてから、、]のうち、
[行くようになりだしてから、、]は、
[行くようになりだしてから、]ではないでしょうか?
  1. 2012/11/19(月) 20:45:51 |
  2. URL |
  3. るーふぁ #TTgf5Lno
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誤字?

[『七乃さんに今夜お酒でも飲みながら少し話しませんか?』]のうち、
[『七乃さんに今夜お酒でも飲みながら少し話しませんか?』]は、
[七乃さんに『今夜お酒でも飲みながら少し話しませんか?』]ではないでしょうか?
  1. 2012/11/19(月) 20:47:13 |
  2. URL |
  3. るーふぁ #TTgf5Lno
  4. [ 編集 ]

誤字?

[過去に色々会った美羽ちゃんを、
ああやって受け入れられるだけの器があるんですから。]のうち、
[過去に色々会った美羽ちゃんを、]は、
[過去に色々あった美羽ちゃんを、]ではないでしょうか?
  1. 2012/11/19(月) 20:53:27 |
  2. URL |
  3. るーふぁ #TTgf5Lno
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誤字?

[孫家の一部で喜媚のこ、子種を狙う動きがるのです。]のうち、
[子種を狙う動きがるのです。]は、
[子種を狙う動きがあるのです。]ではないでしょうか?
  1. 2012/11/19(月) 20:57:50 |
  2. URL |
  3. るーふぁ #TTgf5Lno
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やったね喜媚ちゃん 嫁候補が増えるよ
きっと未来は大家族だ。

前にも書いた気がしますが、ここでもあえて書かせてもらいます。

白蓮はまだ微妙ですが、七乃にはフラグがたった気がする・・・
喜媚はいい加減自重しないと、桂花に刺されるぞ
桂花は「胡喜媚分」不足でやばい状態っぽいしw
  1. 2012/11/19(月) 21:28:22 |
  2. URL |
  3. 聖悠紀 #-
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推敲中のミスでしょうか? 文章ミスを見つけました。

「荀諶の馬鹿娘め、何が袁紹がの所を出てもいいようにしてきたよ。
「荀諶の馬鹿娘め、何が袁紹の所をいつ出ても良いようにしてきたよ。

さて、久しぶりに感想を書き込みますが、反董卓連合の時以来になる、大きな話の流れが見えてきた気がします。
チョコチョコと気になるフラグも見えますねw
原作を知らないのであれですが、これからどうやって桂花がメインヒロインに返り咲ける(今でもそのはずですよね?)のか楽しみにしています。

それにしても、数話前ですがこの時代に議会民主制の発想は驚きました。とてもバランスが大変そうですよね。
百話越え確定という事だったのでそろそろラストが見えてくるのでしょうか。
これからの更新、楽しみに待っています。どうか、ご自身のペースで頑張ってください。
  1. 2012/11/19(月) 21:33:42 |
  2. URL |
  3. 綾宮琴葉 #-
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大阪弁?

更新お疲れ様です。
いつも、楽しんで読ませてもらっています。
「~でっか」「~でんがな」「~まんがな」というのは、関西人以外の人は勘違いしてる方が多いのですが、一般的に使いません。芸人がふざけて大阪弁を使う時以外ではほぼ用いられません。「~はん」というのも、京都の古風な方か舞妓さんが使うくらいだと思います。大阪人として、読んでいてすごい気になったので、生意気にもご指摘させて頂きました。たいちさんの小説は、とても好きなのでこれからも更新を楽しみに待っています。
  1. 2012/11/22(木) 00:29:09 |
  2. URL |
  3. 花風 #-
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誤字です^^

私は華琳様の元で才を従前に活かして
十全 かな?ちょい自信なし^^;
  1. 2012/12/09(日) 05:44:17 |
  2. URL |
  3. 黄金拍車 #-
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