たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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八十九話


洛陽




月ちゃんの執務室で、突然の告白を受け、キスをして、
少し落ち着いたところで、月ちゃんの執務室を出ようとした時。


「喜媚さん。」
「ん? 何、月ちゃん。」
「今度から、私の部屋に来て二人っきりになった時はその・・・
ま、またおねがいしますね。
・・・・へ、へぅ。」


そう言って月ちゃんは真っ赤になって唇に人差し指を当てた。
つまり、二人っきりの時にはまたキスをしようというお誘いだ。

私も普段は引っ込み思案な月ちゃんの、急な申し出で、
せっかく落ち着いたのに、また顔が熱くなってしまい。


「う、うん。 分かったよ。
そ、それじゃあね。」
「はい、そ、それではまた。」


などと、そっけない返事しかできなかった。
我ながらいい年をして情けない事である。


さて、詠ちゃんの執務室へ向かう間に気合を入れなおして、
シャオちゃん達が塾へ通えるようにお願いしないといけないわけだが、
詠ちゃんのところに行ったら、また何か言われるかと思うと・・・気が重い。

詠ちゃんの執務室は月ちゃんの執務室に近いので、すぐ着いたが、
私は扉の前で深呼吸してから、詠ちゃんに声をかけ、扉をノックして返事を待った。


「開いてるわよ、入ってらっしゃい。」
「ど、どうも。」


そう言って私は詠ちゃんの執務室に入る。
相変わらず竹簡が机の上に山のように積まれていて、
詠ちゃんの顔が頭の先しか見えない。


「やっぱり喜媚ね・・・
扉をそうやって叩くのはあんたしかいないから、すぐ分かったわ。
そこの椅子に座ってちょっと待っててね。」


そう言って詠ちゃんは、竹簡で窓際に置いてある机と椅子を指して、
竹簡になにか書き込んでいる。
そうして、ひと通り書き終わったら、
椅子を立って私の座っている向かいの椅子に座って、
肩をグルグルと回しながら揉んでいる。


「っ~、待たせたわね。
・・・ふむ、どうやらその様子だと月ともうまく行ったみたいね。
コレで何もなかったら、
喜媚をぶん殴って、もう一度月の執務室に放り込むところだったけど、
そうずに済んで安心したわ・・・ボクとしては少し複雑だけど、
・・・やっぱり月にも幸せになってもらいたいしね。」


自分の好きな男を、親友とはいえ、
一緒に愛して正妻の座を奪い合う関係になるというのは、
どういう感じというか、心境なんだろうか・・・
この世界に心底染まってない私では彼女達の考えは、
ジェネレーションギャップが強すぎて、
ついていけないが、少なくとも、詠ちゃんも月ちゃんも、
暗いところはなくサッパリした感じだ。
桂花も詠ちゃんと話をしたそうだが、こんなかんじなんだろうか?
それとも、愛憎渦巻くドロドロとした心境なんだろうか?


「? あんた何変な顔してるのよ? 気持ち悪いわね。」
「さすがにそれはキツイよ詠ちゃん。
・・・ちょっとね、詠ちゃんと月ちゃんの心境がどんな感じなのか考えててね。」
「それで桂花の事も一緒に考えてみたと?」
「・・・やっぱりバレちゃうか。」
「分からいでか、コレでも董卓軍筆頭軍師よ?
ほ、惚れた男の事くらい見抜けないでどうするのよ。」
「そこで軍師が関係有るのかどうかはわからないけど、
正直まだコレでよかったのか悩んでる。
桂花は好きだし、詠ちゃんも好きだよ。
それに月ちゃんも真剣に私の事想ってくれてるし、
私もそれに応えたいとも思う。
だけどこれでいいのか・・・ね。」
「農家の一人息子がいつの間にか茶店の店主になり、
気がついたら洛陽でも上から数えたほうが早い豪族になって、
女三人侍らして混乱しなかったら大したものよ。
あんたは十分まともよ。
だけど、逆に安心したわ。 それだけボク達の事真剣に考えてくれてるんだってね。
女に傅かれててデレデレするような男じゃなくて、ボクは安心したわ。」
「流石に私にそんな度胸はないよ。
昔っからヘタレと言う事では桂花から散々言われてきたけどね。」
「喜媚がヘタレねぇ、喜媚がやってる事だけ見たら、まったく信用出来ないわね。
馬から馬車に飛び乗って皇帝陛下達を助けて、汜水関では戦闘指揮を見事にこなして、
挙句に皇帝陛下を戦場に引っ張りだす?
これだけやってヘタレなんて評価がついたら、他の者は皆ヘタレ以下よ。
・・・だけど、こうやって顔をあわせて話して見ると、確かにそうだと分かるけどね♪
でも、喜媚はそれでいいと思うわよ。 少なくともボクや月、桂花はね。」
「そう言ってもらえると少しは救われるよ。」


そうして私達が話している間に用意されたお茶を飲んで、
喉を潤し、今日の本題に入る。


「それで? 今日わざわざボクを訪ねてきたのはなんの用なの?」
「実はシャオちゃん・・・・しまっ痛ぅ~~~っ!!」


シャオちゃんと呼んだ瞬間、詠ちゃんは私の脛を蹴り上げてきた。


「あんた、その名前は孫尚香の真名の愛称でしょう!?
いつの間に孫尚香と真名を交わしてきたのよ!
いくらなんでも手が早すぎるわよ!
まったく桂花の言ってたとおりね!
あんたはちょっと目を離すと、すぐ別の女を引っ掛けてくる!」
「そ、そんなんじゃないんだって・・・
私もなんで真名を預けられたかわかんないんだよ、
むしろ嫌われるような事したのに、感心されて真名を預けられたんだから。」
「どういう事よ! はっきり説明しなさいよ!!」


詠ちゃんに言われて私は渋々、事の経緯を説明する。
最初美羽ちゃんが毎朝どこに行くのか? と言う話から始まって、
塾にシャオちゃん達三人も通ったら? と誘い。
美羽ちゃんとシャオちゃん達との店での様子が問題なので、
少しお説教まがいの話をしたら、なぜかシャオちゃんに真名を預けられた。
という経緯の話だ。


「・・・あんたいいかげんにしなさいよ。
ただでさえあんたの子種狙ってる孫家の娘に、
そんな話したら、そうなるに決まってるでしょう!」
「えぇ!? なんで!? お説教したら、どうして真名を預けるって話になるの!?」
「わかってないわね! あんたは、孫尚香に過去の事は水に流して、
敵だったとしても有益なら受け入れる器を持て、って話をしたのよ?
わざわざ、月の話も持ちだしてね!」
「それでなんで真名を預けるって話になるの?」
「だから! 月とあんたを見てみなさい!
あんたの説教通りに、敵だった袁術や孫尚香達を受け入れて、
おまけに塾に通わせるなんて世話まで焼いた挙句、
袁術と孫尚香達に自分達のように仲良くなれ!
つまり過去に敵だったとしても有益なら受け入れるだけの器を持てって説教したのよ!
今時どこの世界に、そんな器を持ってる将官がいるのよ!
私が知るかぎり月とあんたくらいよ!」
「そんな事ないでしょう?
曹操さんとか劉備さんとか孫策さんも多分それくらいの器持ってると思うよ?」
「百歩譲って、あんたの上げた人間にその器があったとしましょう。
で? その中に男は一人でもいるの?」
「え・・・・いない・・・けど。
・・・え? まさか?」
「ようやくわかってきたわね、孫尚香はね、あんたに主君としての器を見出したのよ。
それも月と同格のね。 だから急に真名を預ける気になったのよ。
孫家にもあんたの持つ知識の事は知られているけど、
そこに主君としての器まで備わってるときたら、
武家の女だったらその男の子を産みたくなって当然でしょうが!」
「・・・・マジで?」
「マジよ。」


まさか詠ちゃんにも教えておいた、『マジ』と言う言葉を、
こんな形で使うことになるとは・・・


「武家の女は力のある男の子種を取り入れるために、
有力な豪族や将官と会って見合いをしたり、時には側室になってでも、
子を産もうとするんでしょうが!」
「・・・まずいじゃない!」
「まずいわよね・・・あんたこの件、私からも桂花に報告しておくから。
後、月にも話しておくから。」
「・・・桂花に今度会った時殺されるかも・・・」
「そうならないように、孫尚香に手を出さないようにする事ね。
出したら桂花じゃなくても、ボクがあんたに引導を渡してあげるわ。」
「絶対手を出しません!」
「そう願ってるわよ。 あ、それと塾の件、学費さえいれてくれたら通っていいわよ。
元々洛陽の民に開いている塾だから、機密事項は教えてないし、
孫策のところの内政が充実するのは天下三分の計にも有用だから問題無いわよ。
揚州は唯でさえ内政面で遅れを取ってるからね。
・・・でもわかってるわね? 孫尚香に手を出したら・・・」


そう言って詠ちゃんは親指を立てて、その立てた親指を自分の首辺りまで持ってきて、
横に、まるで首を斬るかのように動かした。


「絶対、手を出しません!」
「期待してるわ。
で、話はそれだけ?
それだけならボクは忙しいから仕事に戻りたいんだけど。」
「いや、それだけじゃなくて・・・
どうも私の部屋と劉花ちゃんの部屋に通じる抜け道から、
声が漏れてるらしいんだよね・・・その夜の。」


そう言った途端、詠ちゃんお顔が真っ赤になって、一気に立ち上がった。


「そっちを先に話しなさいよ!!
一大事じゃない! い、今すぐ工事の手配をしないと!!
って言うか、もうあの隠し通路塞いだほうがいいわよね!?」
「いや、塞ぐのはまずいでしょう、
でも防音工事はしないと本当にまずい事になるよ。
って言うか、劉花ちゃん聞こえてきたとか仄めかしてきたし!」
「い、今すぐ突貫で工事をするわよ!
誰か!! 誰かあるか!!」


こうして詠ちゃんは軍の一部の事情を知っている工兵を連れて、
私の店の私の部屋にある隠し通路の防音工事と、
ついでに壁の防音工事も数日がかりで突貫工事していった。
ついでにシャオちゃんが夜中に部屋に来ないように、
また。来てもいいように扉の鍵も増やしてもらうことにした。

その間、私は客間で過ごしていたのだが、鍵をかけて、つっかい棒を何重にもかけて、
シャオちゃんが夜中に侵入してこないように、
完全防備の状態で数日を怯えて過ごしていた。




--孫尚香--


「なんか最近喜媚ちゃんが夜になると、
異常に私を警戒してるけど、賈詡さんに何か言われたのかな?」
「さぁ? あの男女の考える事はわかりませんので。」
「シャオ様の武勇でも聞いてきたんじゃないか?
弓腰姫って二つ名があるくらいだし、董卓軍でもそれくらいは調べてるでしょ?
喜媚は武術は全然駄目らしいから。 よく華雄にボコボコにされてるからね~。」
「そんな感じじゃないんだよね~、お店やってる時は、
普通に話してくれるし、塾にも通えるように話をつけてくれたし。」
「言われてみれば、確かに夜になるとおかしくなりますわね?
喜媚さんの部屋を突貫工事してる事と何か関係があるのでは?
あの日、賈詡さんがいきなり兵を率いて、
喜媚さんの部屋に押し込んで行きましたから。
・・・・案外艶本でもどこかに隠してるんではないですか。
喜媚さんもあんな格好してるとはいえ殿方ですから、
それが店員の皆や賈詡さんにバレるのが怖いのでは?
喜媚さん以外、この店の店員は全員女性ですし。」
「だったら私だけ警戒するかなぁ?」
「シャオ様の考え過ぎじゃないんです?
普段はあたしから見ても普通だし、夜にあたしに会ってもビクついてるよ?
だけど、もしかしたら賈詡が私達の目的を察して、
喜媚に余計なこと吹き込んだのかもしれないね。
だから夜になるとシャオ様やあたし達が無理やり喜媚を襲わないか警戒してるとか?
フフフッ。」
「笑い事じゃないよ! ・・・まぁ、いっか。 喜媚ちゃんは一気に行くよりも、
時間をかけて、じっくり行ったほうがよさそうな気がするから、
ココは本当は時間をかけてられないけど、あえて持久戦で行こう。
喜媚ちゃんも、しばらくすれば私が何もしないって分かってくれるでしょ、
大喬と小喬もそのつもりでね。
いきなり夜這いとかしたら余計に警戒されちゃうからね。」
「わかりました。」 「まぁ、いいんじゃないかな。」




--喜媚--


こうして私が無駄な、警戒をしている間に突貫工事は終わり。
私の部屋の防音はかなり完全なモノになった。
コレで劉花ちゃんの部屋まで音が聞こえる事は無いだろう。


工事の数日間で賈詡さんが早速手配してくれて、
シャオちゃん達三人は塾に通えるようになっていた。
最初は文字を教える子供のクラスや段階的に専門的な知識を教える、
諸葛亮さん達が開いてる授業のどちらを受けるか悩んでいたようだが、
ひと通り受けてみて、受けれそうな授業を受けるようにするようだ。

この日も朝食後、美羽ちゃんと一緒にシャオちゃんは仲良く塾に出かけていく。
どうやら塾の劉備さんが開いている授業で、
シャオちゃん率いる江東の二喬vs美羽ちゃんで、
歌の勝負をした時に、何か通じるものがあったらしく、
シャオちゃん達と美羽ちゃんは今のところ、表面上は仲良くやっているようだ。
仕事の時も、今まであった妙な距離感も薄れ、
塾に行く時も一緒に出かけて行っている。

しかしそれを快く思わない・・・と言うか、
シャオちゃん達が来てから様子がだんだんおかしくなってきたのが、七乃さんだ。

表面上はいつも通りだが、
仕事中でも美羽ちゃんを目で追う回数が増えているみたいだし、
シャオちゃん達と話している時などは、様子を窺っているようでもあった。

七乃さんが何かおかしな事をするとは思えないが、
一度、機会を見てゆっくり話してみたほうがいいかもしれない。

シャオちゃん達が、美羽ちゃんに微妙な距離感を持っていたように、
美羽ちゃんや七乃さんも孫策さんと色々因縁の有る人達だ。
シャオちゃんたちだけではなく、特に大人の七乃さんの方も、
良く話をしたほうがいいだろう。




--北郷--


あれから華佗や卑弥呼、貂蝉と多くの村や集落、流民の集団や、
董卓軍が煽動する避難する民にも会い、
華佗と一緒に治療をしていたが、皆一様に疲れきった表情で、
生きる事に疲れきったような表情をしていた。


「くっ・・・袁紹の軍や他の軍は何をしているんだ。」
「ご主人様・・・袁紹の軍はむしろ彼らにとっては敵よ。
彼らの村を襲って金品や食料を強奪したりしたのは袁紹の軍だったり、
元袁紹の兵達だもの。
今や殆ど黄巾の乱のような賊達と同じよ。
曹操軍が主導して鎮圧に乗り出しているけど、
主力部隊はすでに叩いたそうよ、だけど今は主力から別れた多くの残党や、
勝手に武装蜂起した、元袁紹軍の将官達を虱潰しにするのに必死になってるわね。
孫策の軍は避難民の受け入れをしてるけど、州の境を警備するのに手一杯みたいね。
後、董卓軍は避難民の受け入れと曹操の領土を犯さないように迂回しながら、
袁紹軍の残党を狩っているそうよ。
今回の元袁紹領内の内乱に近いこの状態は、
もうしばらくしたら完全に鎮圧されるわ。」
「でも、そうしている間にも怪我や病に苦しむ人達が! ・・・済まない。
俺が言えた立場じゃないよな・・・
この状況を作り出した責任の一端は俺にもあるんだから。」


そうして一人落ち込んでいると、華佗がやってきた。


「一刀、あまり自分を責めるな。
お前は、個人で出来る範囲でよくやっている。
俺達は俺達にできる事をして、政治の事は専門家にまかせておけばいい。
幸い、俺の治療した馬騰・・・は董卓に恭順したから、董卓、曹操、孫策、
今主要なこの三つの諸侯は善政を敷く事で有名だ。
それに師匠も洛陽で董卓軍に協力していると言う話だ。
今までこの国は最悪の状況にあったが、今は確実に良い方向に向かっている。
黄巾の乱が収まり、袁紹が起こした反董卓連合も戦ではなく、
皇帝陛下が自ら動いた事で、被害が少数で終結し、
こうして袁紹の領内では内乱に近い状態が続いてはいるが、
それも終結に向かっている。
この後は、しばらく大きな戦も起きずに、
人々は安心して暮らせるようになっていくだろう。」
「華佗・・・」
「まぁ、俺には政治の事はよくわからんが、こうして治療の旅をしていると、
色々なモノを見るからな、この国は昔に比べたらずいぶんいい方向に向かっているよ。
怪我や病で苦しむ人々も、昔に比べたら随分減ったしな。」
「・・・コレで減ってるのか?」
「コレでも減ったほうだぞ?
昔は酷かった・・・賊に襲われた旅人に会うのはしょっちゅうだったし、
村についたら疫病で、すでに手遅れの状態だった、なんて事もあったしな。
今はまだ、俺の治療が追いつくんだ、昔に比べたらずっといい。」
「そうか・・・」


今こうして見ている現実だけでも酷いものだと思っていたが、
昔はもっと酷かったのか・・・
俺が知る三國志の知識じゃこんな事はあまり書かれてなかったからな・・・
偶に疫病で苦しむ民がいた。 そうやって一文で出ていただけだ。
それよりも劉備や曹操、孫権、等の英傑の話ばかりで、
本を読んでいた時は胸が踊ったものだが、
現実に起きてみると、こんな状況になるんだな・・・


「ご主人様。」
「ん? なんだ貂蝉?」
「そろそろ、ご主人様がこの先どうするか決めないといけないわん。
徐州の民はすでに避難済み、今行っても袁紹軍の残党が暴れているだけよ。
正直行く事は勧められないわ。」
「・・・そうか。」
「元の世界に戻るなら、その儀式を行う場所に移動しなくちゃならない。
この世界に残るのなら、ご主人様が一人でも生きていけるように、
その準備をしなくてはいけない。
・・・そろそろ、どうするか決まったかしら?」
「・・・一つ、この皆との旅の間、考えていた事はあるんだ・・・
なぁ、貂蝉・・・この世界から元の世界に戻った後、
また俺がこの世界に来る事はできるのか?」
「可能か不可能か、で言えば可能よん。
でも、それは私一人だけでは出来ない上に、私の上司の許可を得る必要があるわん。」
「それ・・・許可取れるか聞いてみてくれないか?」
「それはいいけど・・・ご主人様、一体何のために?
もし、元の世界に戻って知識や武力をつけて、
黄巾の乱が始まるあの時間に戻ってやり直したいっていう願いなら、
即却下されるし、私も承服出来ないわよ。」
「ハハッ・・・そんな事願っちゃいないさ・・・
俺にそんな器が無い事は今回の事で痛感したさ。
桃香達と軍勢を率いて黄巾の乱で戦い、反董卓連合であんな事になって、
華佗と旅をして、つくづく痛感させられたよ・・・今の俺には何の力もないんだって。
でも、今の俺でもできる事があるんだ。
義務教育と高校で習った理科の知識と、保健体育で覚えた応急処置。
これだけでもこの世界では人を助けられるんだ・・・
こんな俺の力でも困っている人達を助けることが出来るんだ!
だから俺、元の世界に戻って、医者の勉強をしようと思うんだ。
そうして、しっかり医療知識を身に着けて、それでこの世界に戻ってきて・・・
ハハッ、華佗達や貂蝉達に世話をかける事になるかもしれないけど、
その分、医者として一人前になって、一人でも多くの怪我や病に苦しむ人を救う事で、
俺が今まで徐州や、この国の人達に迷惑をかけた分の・・・
償いと言っちゃ変だけど、この国の人達のために何かしたいんだ。」
「ご主人様・・・」
「こうして華佗と旅をして、病や怪我に苦しむ人を救った時・・・
なんとも言えない達成感を感じるんだ。
ハハッ・・・こんな事言うと華佗にぶん殴られるかもしれないけどな。
こんな俺でも、なにかができて、誰かが救えて、
それで感謝されて、償いにもなって・・・
上手く言えないから、伝わるかどうかわからないけど。
俺も華佗みたいにちゃんとした医療知識を身に着けて、
少しでも多くの人を助けたいんだ。
武力じゃなく、政治の力でもなく、
俺個人の力でもそれが出来ると今回の旅で分かったんだ!
それが、俺がこの国の、世界に迷惑を掛けた償いにもなるのかと思って。
・・・それに親父やおふくろにお別れくらい言いたいしな。」
「・・・分かったわご主人様、そういう事なら上司に確認してみるわ。」
「済まないな貂蝉、世話かけるばかりか、無茶な事頼んで。」
「私はご主人様の愛の奴隷だもの、これくらい構わないわよ。
でも、妲己様は許可を出しても、左慈がなんて言うか・・・」
「上司ってのは何人もいるのか?」
「いいえ許可を取る上司は一人よ。
だけどご主人様を元の世界に返すのに、
私や卑弥呼のような管理人達四人でやるのだけど、
その一人の左慈って子がちょっとね・・・ご主人様を元の世界に返すだけだったら、
喜んで協力してくれるだろうけど、
その後また戻すって言う事になったら、ゴネる可能性があるから。」
「よくわからないんだけど、なんでその左慈ってやつがゴネるんだ?
そんなに面倒な事なのか?」
「面倒というか、左慈はご主人様にあまりいい印象を持ってないのよ。
だからこの世界からご主人様を追い出す事には協力しても、
この外史に戻す事に協力するかどうか・・・
まぁ、その時は妲己様にお願いして何とかしてもらうから、
ご主人様は気にしなくていいわ。」
「そういう訳にも行かないだろ? 今度その左慈って奴に会ったら俺も頼んでみるよ。
なんで俺にいい印象を持ってないか理由を聞いて、
俺でなんとかなるような理由だったら、
俺にできる事はなんでもするつもりではあるから。」
「ご主人様がそこまで言うなら左慈に会った時に、
ご主人様と話をするように説得してみるけど、
あの子は頭が硬いからあまり期待しないほうがいいわよ。
今だから言うけど、別の外史では左慈はご主人様を殺そうとしたくらいなんだから。」
「・・・別の外史の俺は、左慈ってやつに何をしたんだよ。」


こうして俺のこれからの方針・・・人生の目標は決まった。
この世界の人々のために、俺にできる事を少しずつでもやって、
徐州の人達や他に迷惑を掛けた人達の分も、
この世界で医者として華佗のように生きていこう。
それで少しでも救われる人がいるのならば、
一人でも多くの人を救っていこうと思った。


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  1. 2012/11/15(木) 01:24:59|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

誤記報告です。

 詠ちゃんお顔が頭の先しか見えない。

 → 詠ちゃんの顔

 だから急に真名を預る気になったのよ。

 → 真名を預ける

 賈詡さん何か言われたのかな?

 → 賈詡さんに何か

 塾に行く時も一緒に出かけて言っている。

 → 出かけて行っている

 偶に疫病で苦しみ民がいた。

 → 苦しむ民がいた

 正直行く事は進められないわ。

 → 勧められないわ

 今の俺で俺でもできる事があるんだ。

 → 今の俺でも

 また華佗達や貂蝉達に世話をかける事になるかもしれないけど、、

 → なるかもしれないけど、
  1. 2012/11/15(木) 10:46:04 |
  2. URL |
  3. 匿名さん #t70T1cYU
  4. [ 編集 ]

誤字報告です。

更新お疲れ様です。

董卓軍が煽動する避難する民にも会い、
煽動→誘導ではないかと。

ちょっとお疲れの様子ですが、休憩などは適時取りながらこれからも頑張ってください。
  1. 2012/11/15(木) 21:19:17 |
  2. URL |
  3. おふぃ #YF7Mt4Mw
  4. [ 編集 ]

大陸の乱世は人口調整でもありますし。

実際の三国時代なんて地獄絵図ですからねー。
黄巾から司馬炎の統一までの約百年の間に大陸の総人口が十分の一に減ったって話ですから。
で、数百年の統一王朝の間に増えた人口が次の乱世でまた激減する。そのサイクルの繰り返しですわ。
結局あの土地の為政者達にとって民衆なんてほっとけばいくらでも増える搾り取るために存在する虫でしかないんですよね。
  1. 2012/11/16(金) 21:37:16 |
  2. URL |
  3. YAN #-
  4. [ 編集 ]

誤字です^^

そうずに済んで安心したわ
そうせずに

だけどご主人様を元の世界に返すのに
ご主人様を元の世界に返すだけだったら
帰す
  1. 2012/12/09(日) 05:11:09 |
  2. URL |
  3. 黄金拍車 #-
  4. [ 編集 ]

90話へのリンク
  1. 2012/12/30(日) 10:01:51 |
  2. URL |
  3. ちょっと通りますよ #zQLvkSFw
  4. [ 編集 ]

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