たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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八十八話


洛陽




孫尚香ちゃん・・・いや、シャオちゃんに真名や愛称を呼ぶことを許され、
彼女達が塾に通えるように詠ちゃんに頼まなきゃいけない事になったし、
幽州の人達の事も気になるので、
私は午後に少し休みをもらい、お土産を持って、
後ついでに劉花ちゃんも一緒に、護衛を連れて宮殿に向かう事にした。


宮殿についた私達は、詠ちゃんは少し政務があるので待たされるのだが、
協ちゃんの方はすぐに会えるという事で、先に協ちゃんに会う事にした。


「おぉ、喜媚に姉様、まだ会いに来る日ではないが、
二人なら毎日来ても、なんの問題も無いのじゃ。
今日はどうしたのじゃ? 妾に会いに来たのか?」
「協ちゃんに会いに来たのもあるけど、今日は詠ちゃんに少し頼みごとがあってね、
ついでだから劉花ちゃんも連れて協ちゃんと、
後、会えたら月ちゃんにも会って行こうと思ってね。」
「そうか、せっかく喜媚が来たのじゃ。
妾も一仕事終わった所だし、何かして遊ぶかの?
部屋の中だから蹴鞠等はできぬが、おはじきでもするか?」
「それもいいけど、一仕事終わったところなら、
甘いモノが欲しくなってきたんじゃない?
おみやげでウチの店のお菓子を持ってきたから、お茶にでもしようか。」
「おぉ、それは良いのう、それに喜媚には聞きたい事があったのじゃ。
汜水関や虎牢関では大活躍だったそうではないか?
ぜひ喜媚の武勇伝のも聞かせてもらおうかの?」
「あ、私もそれ気になります。
お店ではなかなか聞く機会がないので。」


話しながら、侍女の人達が私達のお茶の用意をしてくれていたようで、
部屋に入ってきて、私達のお茶を置いて行ってから、
また部屋を出ていった。


「武勇伝って言っても、私は大したことしてないよ。
むしろ華雄さんとか霞さん、恋さんの方がすごかったからね。
私は連合の士気を下げるためにコソコソと嫌がらせして回ってただけだから。」
「妾が何も知らぬと思っておるのか?
霞にも聞いたぞ? 汜水関で華雄を止めるのに活躍したそうではないか。
なんでもあの華雄に一発、張り手を張ったとか。
霞も喜媚に武人としての命を救われたと言っておったぞ?」
「霞さんも余計な事を・・・ん?
協ちゃん霞さんの真名呼ぶようになったの?」
「うむ、この連合の戦いが終わった後に、霞や他の者と話す機会があってな。
その時に霞が妾と一緒に槍を並べて戦場に立ったのじゃから、
皇帝という役職がなくても、もう戦友だと言うてな、
その時に皆から真名を預かったのじゃ。
生憎と妾は役目柄掟があるので、夫となるものか、親族以外には真名を名乗れぬので、
妾の真名は預けられぬのじゃが、喜媚が妾の夫になるのなら真名を預けても良いぞ?」
「そ、それは流石に今は遠慮しておくよ・・・
詠ちゃんや月ちゃん達にバレたら大騒ぎになるからし、
桂花もいるし、大問題になるから・・・」
「むぅ、そうやって女を焦らすのが喜媚のやり方なのか? のう姉様?
喜媚は店でもこんなかんじで姉様を焦らしておるのか?」
「焦らすって・・・でも、喜媚様は一時期、私と少し距離を置くような事をして、
私を困らせてくれましたね。
もしかしたら喜媚様は女を焦らしたり、
困らせたりするのが好きな嗜好の方かもしれませんね。」
「ちょっと、劉花ちゃん! 私はそんな変な趣味持ってないよ!」
「そうですか?
でも荀彧様や賈詡様には随分と酷い仕打ちをなさっている様子ですね。
喜媚様と私の部屋は抜け道が繋がっているのを忘れてませんか?
荀彧様や賈詡様が泊まっていった時、
お二人の声が私の部屋まで聞こえる時があるんですよ?」
「なっ!? 嘘・・・本当に?」
「フフフ、さぁ、どうでしょう?」
「ちょっと弁ちゃん、本当にどうなの!?
それ本当だったら洒落にならないんだけど!」
「妾もその辺の辺り気になるのう、姉様、どうなのじゃ?
その様子じゃと喜媚は閨では激しいのか?」
「協ちゃん! そんな事聞かなくてもいいじゃない!」
「フフフ、喜媚様も困ってらっしゃるから、この話はこの辺にしておきましょうか。」
「ちょっと待ってよ! 声が聞こえてるかどうかって、
すごく重要な話だと思うんだけど!!」
「フフ、さぁ、どうでしょう?」
「劉花ちゃぁ~ん!!」 「姉様どうなのじゃ? 気になるのじゃ~!」


この後、私と協ちゃんで何度も問い直したが、
弁ちゃん・・・劉花ちゃんはのらりくらりと躱すだけで、
本当のところは何も教えてくれなかった。

コレは大変まずい事なので、詠ちゃんに会った時に是非、
壁と抜け道の防音対策を練ってもらわないと、大変な事になりかねない。

この時、私はその事だけを考えていたので、
他の事が頭に回っていなかったが、詠ちゃんに、
『私達の房事の声が劉花ちゃんに聞かれてるかもしれない!』
と、詠ちゃんに言う事になる。

そんな事を彼女に言ったらどういう事になるか・・・
この時の私はそこまで頭が回っていなかった。


さて、協ちゃんとはこの先は姉妹二人っきりでの話合になり・・・
実際、どんな話し合いが行われるのか非常に不安なのだが・・・
私は月ちゃんの執務室に先に向かう事にした。


「月ちゃんおじゃまするよ。」
「喜媚さんいらっしゃい♪
さっき、侍女の方から喜媚さん達が来てるって聞いて、
急いで仕事を終わらせて待ってたんですよ。」


私が月ちゃんの執務室に入ると、執務用の机の上の竹簡は整理されて横に置かれ、
脇の窓際に用意された机と椅子に月ちゃんは座って待っていた。
私が部屋に入ると月ちゃんは立ち上がって私を迎え入れ、
侍女の人にお茶を用意するように指示して、私を椅子まで案内してくれた。


「ごめんね、ちょっと協ちゃんのところで、色々あって・・・
あ、そういえば協ちゃんと真名を交わしたんだって?」
「はい、それだけで・・・陛下に真名を呼んでいただけるだけで、
大変名誉な事なんですけど・・・
あの時は、お酒を飲んで酔った霞さんが、陛下に真名を預けるって言い出して、
その後、恋さんがじゃあ自分もと続いて・・・
そうしたら陛下が、 『他の者達は妾に真名を預けてくれぬのか?
共に戦場に立った戦友じゃというのに、寂しいのう・・・』 とおっしゃって・・・」
「あ~・・・それで皆、真名を預ける事になったんだ。」
「はい。 その時、馬超さん・・・翠さんや蒲公英さんも一緒にいたんですが、
皆で真名を交わすことになって、
その後は大宴会になって大変だったんですから・・・」


月ちゃんが話す様子が私にはありありと想像できる。
いきなり協ちゃん、皇帝陛下に共に戦場に立った戦友なのだから、
真名を預けろと言われたら、断る事はできないだろう。
協ちゃんも嫌がらせでなく、ただ仲良くなりたいという一心で言っているので、
余計に質が悪い。
戦友が好意で真名を交換しよう、協ちゃんの場合は交換はできないのだが、
そう言われては、武人である馬超さんなどはかなりテンパった事だろう。


「華雄さんは自分だけ一族の掟で真名を預けられないって落ち込んでしまって。
それを皆で慰めるのに大変だったり、
詠ちゃんが 『こんな事、前代未聞よ!?』 と言い出した後、
飲まなきゃやってられないって言って、お酒を一気に飲んでしまったり。
音々さんは 『恋殿が預けるなら音々も預けるです!』 と、
いつもの感じで普通に真名を預けてしまうし、
蒲公英ちゃんは、じゃあ私も、と言った感じであっさり預けて、
翠さんはもう何がなんだか訳がわからないくらい緊張して混乱してしまって・・・
そこにお酒が入っているからもう、
収拾がつかなくなってしまって大変だったんですよ?
陛下なんか、今すぐ喜媚さんと劉花様も呼んで皆と真名を交換する、
とか言い出したり・・・」
「ごめん、もう十分わかったから。
月ちゃんが大変だったのは十分わかったから!」
「本当に、あの時は大変でした・・・だけど、楽しかったですね・・・
あんな生活がこれからもずっと続けばどれだけいい事か。」
「・・・そうだね、そのためにも皆で頑張らないとね。」
「・・・そうですね。」


そうしてしばしの沈黙の後、月ちゃんが急に私にお礼を言い出した。


「喜媚さん、今回の事は本当にありがとうございます。」
「・・・え? 急にどうしたの?」
「喜媚さんの献策・・・陛下を戦場に連れ出すなんて、
この国の誰も思いつきませんし、
ましてや実行しようなんて、不敬だと言って不敬罪にも問われかねないでしょう。
ですが、あの方法は・・・
確かにあの戦を平和的に収める唯一と言っていい方法でした。
そして喜媚さんにしかできない策でも有りました。
陛下の信頼が厚い喜媚さんでなかったら、陛下も聞き入れてくれなかったでしょう。
お陰で、私の軍も、連合軍も、
まともに戦うよりも遥かに兵の損失を防げたと思います。
兵だって平時は民です。 私の収める領内の民・・・
それに連合に所属していたこの国の民も含めて、一人でも多く助かったのは、
喜媚さんのあの献策のお陰です。
一度、喜媚さんにはお礼を言いたかったんです。
本当に、ありがとうございました。」


そう言って月ちゃんは私に頭を下げる。


「別に月ちゃんがそんなにかしこまることはないよ。
私はこの戦に参加した民、全員を救おうと思ってあの献策をしたわけじゃないんだ。
私はただ、この戦に参加する洛陽の人達、それに巻き込まれる私の故郷の人達、
その人達が少しでも多く生き残れる方法を考えて、
その結果、協ちゃん・・・この国の皇帝陛下を危険に晒すような献策をした。
私はただ、自分の手の届く人達を何とか救いたかっただけなんだ。
私の手の届く人達以外・・・連合の他の兵の事なんか、正直どうでも良かったんだよ。
決して月ちゃんが言うように、皆を救おうと思ったわけじゃない。」
「・・・・」
「結果的に今はこういう形で納まったけど・・・そんな、
すべてを救おうと思ったわけじゃないんだ。
そりゃ、連合の兵の人達も救われればいいとは思ってるよ、
できたら戦なんかなくなればいい。
でも、私にとっては優先順位は低くて、まず洛陽の人達や故郷の皆。
連合の兵や、この国の民は救われればいいとは思ってるけど、
私が救えるなんて到底考えてもいないんだよ。
・・・私は、その程度の人間なんだよ。
月ちゃんにお礼を言われるような、人間じゃないよ。」


私がそう言って月ちゃんから目を逸らして、横を向くと、
月ちゃんが立ち上がって、私のすぐ側まで来て、私の頭を自分の胸に抱き寄せた。


「・・・喜媚さん、私だってそうですよ。
さっきは偉そうな事言いましたけど、
私も自分の手の届く範囲の人達が幸せであればそれで良かったんです。
私は今は、こうして洛陽を治めて、相国なんて地位に着いていますが、
私だってこの国の民すべてを救えるなんて思ってないですよ。
現に袁紹さんの元領土の民が苦しむとわかっている詠ちゃんの献策を承認しました。
連合に所属した者同士で同士討ちを煽るような献策を承認しました。
それだって、せめて私の手の届く人達が救われればいい、
ただ偏にその願いのためだけなんです。」
「月ちゃん。」


そうして月ちゃんは一度私の顔を抱き寄せていた胸から離し、
私の頬を両手で包むように持って、
私と正面から見つめ合うような体制になる。


「でも、私と喜媚さんなら・・・
ううん違う、私や喜媚さん、詠ちゃん、
華雄さん、霞さん、恋さん、音々ちゃん、翠さん、蒲公英ちゃん、
それに馬騰さんや陛下、劉花様・・・いいえ劉弁様。
皆でそれぞれ手を伸ばせば、国の民全員は無理かもしれないけど、
私の領の領民にはせめて笑って生きて、
人並みの幸せを掴ませてあげる事ができるかもしれない。
曹操さん達や孫策さん達とも手を繋げられれば、
もっと多くの人達に幸せを掴んで貰えるかもしれない。
だから、喜媚さん。 これからもよろしくお願いします。
私と喜媚さん・・・私達の救いたい人達が救われるように。」
「月ちゃん・・・」
「それと、私の事もお願いしますね。」
「・・・え?」
「詠ちゃんとの事・・・私が知らないと思ってるんですか?
それに私も喜媚さんの事・・・私も好きなんですよ・・・もちろん男性として。」
「・・・月ちゃん。」
「へぅ・・・言っちゃいました♪
詠ちゃんと二人っきりの時、いつもいつもせっつかれるんですよ?
『早く喜媚に気持ちを伝えた方がいいわ、霞や最近は華雄も怪しいんだから!』
なんて言われるんですよ?
それに、翠さんや蒲公英ちゃん達の事も、もちろん知ってますし。」


それはそうだろう。
馬超さんや馬岱ちゃんが私のとこに嫁ぎに来たっていう話をしていた時は、
詠ちゃんだってその場にいたんだ、月ちゃんの耳に入っていない理由がない。


「今日は喜媚さんのいろんなとこが見れましたし、
私のいろんなところも見てもらったし、いい機会かなと思って・・・
告白して見ちゃいました・・・へぅ。」
「月ちゃん・・・」
「あ、もちろん、荀彧さんの事も含めて、
詠ちゃんが知ってることは全部知ってますよ。
だから荀彧さんを理由に、私の告白を断るのは止めてくださいね。
私と詠ちゃんで、荀彧さんから喜媚さんを奪っちゃうんですから。」
「いや・・・でも私は桂花や詠ちゃんとすでに・・・その・・っ。」


私が桂花と詠ちゃんの関係の事を言おうとすると、
月ちゃんが人差し指を、私の唇に当てて、黙らせようとする。


「知ってるって言いましたよ?
じゃあこうしちゃいます、相国として胡喜媚に命ずる。
司徒として我に仕える事を命ずる。」
「えぇっ!?」


司徒とは漢に置いて民生担当の政治最高責任者だ。
月ちゃんは、私に司徒になれと相国の名で命令したのだ。


「私が嫌いならそう言ってください。
その時は諦めます。
でも荀彧さんや詠ちゃんの事を口実に、私の告白を拒否するなら、
私は喜媚さんを司徒にしちゃいますよ?
それに農家の息子だからとか茶店の主だからっていう理由も駄目です。
喜媚さんは功績だけなら、すぐに上位の官職を与える事ができるくらいの功績を、
すでに上げているんですよ?
洛陽での大規模な内政改革の立案、先の連合との戦いでの策の献策と実戦での戦功、
そして、先代と今代の両皇帝陛下の命を救った英雄の一人。
これだけあったら誰も文句は言えません。」
「あ・・・あぅ。
さ、流石に冗談・・・じゃないみたいだね。」


月ちゃんの目は本気だ。
桂花や詠ちゃんを理由に断ったらやりかねない・・・
何が何でも私を手元に置こうとするだろう。
おそらくコレが最初で最後の月ちゃんの専横政治だろう。
まさかの史実での董卓の専横政治が今ココで、
月ちゃん本人の手によって実行されつつ有る。
それがまさか、私に向かって振るわれるとは今まで予想もしてなかったが・・・


「わ、分かった。 桂花や詠ちゃんを理由にして月ちゃんの告白は断らない。
だから流石に司徒は勘弁して貰えないかな?」
「じゃあ、どうするんですか?」


月ちゃんは真剣な表情で私を見つめてくる。
頬に添えられた手には力が入って、決して逃がさないと言った感じだ・・・が、
少し震えているのが、頬に伝わってくる。
よく見ると表情は真剣そのものだが、肩も震えているようだ。


(それもそうか・・・月ちゃんみたいな娘が、
こうやって私なんかのために必死になって、告白してくれたんだ。
私の返事を聞くのが怖くてたまらないけど、
今を逃したらもう聞く事が出来ないと思ってるんだろう。)


私は月ちゃんの私の頬に添えられた手に、
上から合わせるように自分の手を合わせ・・・


「・・・私でいいの?」
「喜媚さんじゃなきゃ嫌です!」
「・・・月ちゃん、私も月ちゃんは好きだよ。」
「ほ、本当ですか!?」
「私も月ちゃんとは協ちゃん誘拐事件の時からの付き合いだからね。
あの時の月ちゃんの決意もみたし、今までの政治で月ちゃんの為人もよく知ってるし、
何よりこうして月ちゃんと何度も話して、
月ちゃんの事は私なりによく見てきたつもりだよ。
・・・でも、まさか相国の地位を使ってまで、
私を捕まえようとするとは予想してなかったけどね。」
「へ、へぅ・・・あれはそうでもしないと、
喜媚さんがどこかに行っちゃいそうな気がして・・・」
「でも、ありがとう。 こんな私を好きになってくれて。
でも、本当にいいの? 私は桂花も詠ちゃんも見捨てられない優柔不断な男だよ?」
「荀彧さんがどういう人かは正直私もよく知りません。
でも詠ちゃんが見極めて、喜媚さんがそこまで大事にしてる人なら、
きっと仲良くやっていけると思います。
そ、それに私も詠ちゃんに負けませんから!
私が正妻になって詠ちゃんと荀彧さんを側室にするんですから!」


月ちゃんがそう言った時、執務室の扉がゆっくりと開けられ、
詠ちゃんが入ってきた。


「それはいただけないわね、喜媚の正妻の座は、たとえ月でも譲れないわよ?」
「「え、詠ちゃん!?」」
「悪いわね、ボクの方も政務が一段落ついたから、
月と一緒に喜媚と話をすればいいと思って来たんだけど、
中から聞こえてくる声が耳に入っちゃってね。
このまま月が告白して終わるなら待とうかと思ったんだけど、
聞き逃せない会話が聞こえてきたからつい、ね♪」


詠ちゃんのあの様子だと、だいぶ前から扉の向こう側から話を聞いていた感じだ。
もしかしたら、今回の月ちゃんの告白に一枚噛んでるかもしれない。


(・・・コレは後で詠ちゃんはお仕置きが必要だな。)
「むっ、詠ちゃんでもコレは譲れないよ。」
「それはボクも同じ。
・・・でも良かったわね月、月の気持ちが通じて。」
「詠ちゃん・・・?」
「今は素直に引いとくわ。
喜媚、ボクになにか話があったんだっけ?
月との話が終わったらボクの執務室まで来なさい、その時話しましょ。
じゃあ、月、今だけは喜媚を譲ってあげる・・・
だけど正妻の座ははたとえ月でも譲れないわよ。」
「私も詠ちゃんが相手でもこれだけは譲らないよ!」
「あ、あの私の意見は・・・ 「「喜媚(さん)は黙ってて!」」 ・・・はい。」
「じゃあね、月。 ごゆっくり。
・・・でも話があるなら急ぎなさいよ、私も暇じゃないんだから。」


そう言って詠ちゃんは月ちゃんの執務室から出ていった。

残された私達はお互い正面からしばらく見つめ合った後、
不意に笑いがこみ上げてきた。


「フフフッ。」 「ハハッ。」
「なんか気が削がれちゃったね。」
「そうですね、せっかく良い雰囲気だったのに、
詠ちゃんに水を差されちゃいましたね。」
「そうだね。」
「でも、い、今はこれだけはっ!」


そう言って月ちゃんは私の頬を両手で掴んで、私にキスをしてきた。
私はされるがままに月ちゃんのキスを受け入れ、
そっと月ちゃんの腰にてを回して、月ちゃんを支えた。


「・・・・んっ。」
「・・・・ぷはっ」
「月ちゃん、接吻の時は息を止めなくてもいいよ、鼻で息をするといいよ。」
「へ、へぅ・・・忘れてました。
フフッ・・・でもコレでようやく、
私も詠ちゃんと荀彧さんと同じ戦場に立てたんですね。」
「・・・そうだね。」
「ま、負けませんから!」
「いや、相手は詠ちゃんと桂花でしょ?」
「違いますよ、最後に選ぶのは喜媚さんですから。
喜媚さんにきっと私を選んでもらいますから!」
「・・・私は誰かを応援できないけど・・・でも頑張ってね。」
「はい!」


こうして、詠ちゃんにシャオちゃん達を塾に通えるように頼みに来ただけなのに、
月ちゃんの告白を受けて、なんだか大変な事になってしまった。

・・・私はこの先、桂花に殺されずに済むだろうか?

次の桂花に送る書簡に、この事を書かないわけにはいかないので、
とりあえず書いて送るが、
私はその返事が帰ってくるまで、落ち着かない日々を送る事になった。


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  1. 2012/11/11(日) 20:11:44|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

誤字

司徒として我に使える事を命ずる。」
         ↓
司徒として我に仕える事を命ずる。」


感想
ついに月っち参戦。
と同時に後方から桂花、詠に続く3番手に躍り出ました。
なんか主人公置いておいて、女だけで非常に盛り上がっていますね。
  1. 2012/11/11(日) 20:44:17 |
  2. URL |
  3. Gfess #knJMDaPI
  4. [ 編集 ]

>喜媚さんの献策・・・陛下を戦場に連れ出すなんて、この国の誰も思いつきませんし、
喜媚がこの時代、この国の人じゃないって知っているみたいな発言で、ちょっと気になるかな。
  1. 2012/11/11(日) 23:09:51 |
  2. URL |
  3. マサフミ #-
  4. [ 編集 ]

誤記報告です。

 じゃあこしちゃいます

 → じゃあこうしちゃいます
  1. 2012/11/14(水) 15:56:31 |
  2. URL |
  3. 匿名さん #t70T1cYU
  4. [ 編集 ]

誤字です^^

私はその返事が帰ってくるまで
返って
  1. 2012/12/09(日) 04:58:05 |
  2. URL |
  3. 黄金拍車 #-
  4. [ 編集 ]

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