たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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六十四話


洛陽




貂蝉さんが帰って、劉花ちゃんや店の皆に色々心配されたが、
あの人の見た目はともかく、中身は良い人だという事と、
昔お世話になった事があるという説明で、皆に納得してもらった。

昼食を食べ午後になり、おやつの支度や、今夜の夕食の材料買い出し、
仕込みの準備をしていると、
いきなり店に金髪の女の子がやって来て私を見つけるなり、
私の胸に飛び込んできて、反射的に抱きしめてしまった。
その後、その娘を追うように次々と女性が何人も店に飛び込んでくる。


「喜媚ぃ~~! 探したのじゃ!!」
「美羽ちゃん!?」


店に最初に飛び込んできたのは美羽ちゃんで、
その後に七乃さん、孫策さん達が入ってきた。


「美羽ちゃんどうしてココに?」
「孫策が昨日、市中で喜媚に会ったという話をしたので、
今日面倒な話が終わった後、すぐに飛んできたのじゃ!」
「すいません喜媚さん美羽様にはもう少し落ち着くように言ったんですけど、
会議が終わった途端、孫策さんを捕まえて飛び出して行きまして・・・」
「私は昨晩、喜媚ちゃんに会ったって話をしただけなんだけど、
夜の内に連れて行けって何度も言って聞かなくて・・・
なんとか今まで待ってもらったんだけど、袁術ちゃんの勢いに押されちゃってね。」
「妾はてっきり喜媚は宮中におると思って、探しまわっておったのじゃぞ?
市中に居るなら居ると教えてくれても良いじゃろう!?」
「美羽ちゃん・・・書簡で、私のお店が洛陽にあるって書いてあったでしょ?
たしか、場所も一緒に書いたはずだよ? 良かったら遊びに来てねって。
・・・・・・七乃さん、探しまわって困り果てる美羽ちゃんが可愛いからって、
ワザと黙ってましたね?」


私が七乃さんの方を見ると、七乃さんはすぐに目を逸らした。


「さ、さぁ? 私も全ての書簡の内容を覚えているわけでもないので。」
「七乃っ!?」
「まったく・・・しょうがないですね。
書簡でも書いてあった通り、ここが私のお店なんだよ。
今はちょっと訳あって店を閉めてるけど、
普段はお茶や軽食、お菓子を出してるんだよ。」
「お菓子とな! この店では喜媚の手作りのお菓子が食べられるのか!?」
「そうだよ、せっかく美羽ちゃんが来てくれたことだし、なにか作ろうか?
ちょうど開店準備で、仕込みを済ませてあるお菓子もあるし、
おやつに皆で食べようと思ってたお菓子もあるから。
七乃さんと孫策さん達もどうですか?」
「良いのですか? ではせっかくですのでご馳走になりましょうか、美羽様。」
「うむ!」
「じゃあ、私達もご馳走になりましょうか♪」
「あまり喜媚殿に迷惑をかけるんじゃないぞ雪蓮?」
「わ、私もいいんですかね?」
「もちろん、周泰ちゃん達も食べていって。」
「ご馳走になります!」


美羽ちゃん達と孫策さん達は別の机に別れて座り、
私は、厨房でおやつように仕込んでおいた、
ホットケーキを焼いて、低温加熱殺菌した牛乳と一緒に出す。


「はい、おまちどうさま。
コレは前美羽ちゃんと一緒に作ったやつよりも、柔らかくてふかふかで甘いよ。」
「おぉぉ~アレよりも更に柔らかくてふかふかで甘いのか!」
「上に乗ってる黄色いバターって言うんだけど、
ソレが溶けてくるから塗り拡げて、蜂蜜をかけて、一口大に切って食べてね。
こんな風に・・・」


私は見本のため、ヘラでバターと蜂蜜を塗り拡げて、
小さめの包丁で切り分けて一口大にして食べて見せる。


「なるほどそうやって食べるのじゃな、どれ・・・・ふぉ!
こ、これはっ!? う~ま~い~の~じゃ~~!」


美羽ちゃんはいきなり椅子の上に立ち上がって叫びだした。
心なしか口から光が溢れだしているような気もする。


「美羽様! はしたないですよ。
それにしても確かに肉まんの皮みたいにふかふかですけど、
甘くておいしいですねぇ。」
「う~ん美味しいけど、お酒には合いそうにないわね、
この白い飲み物はよく合うんだけど。」
「雪蓮様、冥琳様、それは牛の乳ですよ。」
「本当か明命?」
「はい、私も前に喜媚さまにごちそうになったのですが、
牛の乳を軽く熱で温めてから冷ました物のはずですよ。」
「へ~、牛の乳ってこんな味なのね、
この・・・喜媚ちゃんなんていうのこの食べ物?」
「遥か西の方では、ホットケーキ、またはパンケーキって言うそうです。
この国では牛の乳はあまり良い飲み物とはされていませんが、
遥か西や西南の方では一般的な飲み物で、
加工した物も・・・その国で言えば皇帝に当たる人でも普通に口にするそうですよ。
栄養価も高く、新鮮な物なら加熱処理しなくてもそのまま飲めますよ。」
「なるほど、遥か西というと羌や氐のあたりか?」
「そこでもヤギの乳などを飲みますが、私の言う遥か西はもっと向こうですよ。
私もそこから来た行商人の話を又聞きした物を、
何度か実験して食べれるようにしただけですから。」
「なるほど、羌や氐が住んでいる辺りよりも、
遥か西にはまだ大地が広がっているのか。
そういえば昔、張騫と言う者が武帝の命を受けて西方に赴いたと言う話もあったな。
なんでも我々とはまったく違った文化を持つ国を見たとか。」
「そうらしいですよ・・・・今は交通は遮断されていますが、
その当時の記録書などが残っていたり、西方との交流がある董卓さんなどは
結構西の方の事情に詳しくて、経済交流も最初は苦労したみたいですが、
今は少しずつうまく行っているそうですよ。
ですから今、漢の国内で内乱紛いの事なんかしている場合じゃないんですよね。
五胡以外にも、外の世界には色んな人種の人が居るんですから。」
「・・・そうか五胡以外にも・・・そんなに大地は広がっているのか。」


周瑜さんは何かを考えるように顎に手を添えて考えにふけっている。


「喜媚! 難しい話はいいから、コレのおかわりはないのかの?」
「後何枚か焼けますよ、ちょっと待って下さいね。」
「うむ、こんなおいしいものがあるなら、
西の異民族と仲良うするのも良いかもしれぬな!
そして遙か西のもっと美味しい物の作り方を聞いて、喜媚に作ってもらうのじゃ!」
「あらあら美羽様ったら。」


こういうところが美羽ちゃんのすごい所なんだよね。
こだわりが無く純粋だからこそ、本質を突けるというか・・・
本人はただ単純に美味しい物が食べたいだけなんだけど、
そのためには西の異民族と仲良くしようという器の広さがある。
美羽ちゃんも確かに袁家の血筋を引いているのだと確認させられる。

・・・単純に、美味しいお菓子に目が眩んだという可能性も高いのだが。


ひと通り食べ終わった後、
美羽ちゃんが私が普段どんな生活をしているのか気になるというので、
七乃さんと一緒に、厨房の方へ回ってい見たり、
他の部屋を見たりしてすごしていた所で、ふと思い出したのだが、
このままだと、そろそろ曹操さん達が帰ってくる。
曹操さん達がココに宿をとっていると知ったら、
美羽ちゃんも確実に泊まると言い出すだろうし、
そうなったら配下の孫策さんも泊まることになってしまうので、
それはまずいと思った私は、それとなく美羽ちゃんに、
今日は宮殿に帰るように話をする。


「そうだ七乃さん、七乃さん達もお仕事が忙しいから、
そろそろ宮殿に帰らないとまずいんじゃないですか?」
「そうですねぇ・・・あまり外を出歩いていると、
董卓さん・・・と言うか賈詡さんに怒られてしまうので、
そろそろ戻らないとまずいかもしれませんね。」
「そうなんだって美羽ちゃん。
私はココに住んでるから、また明日遊びに来るといいよ。
店は休みだけど美羽ちゃなら、
少しくらいだったらいつ遊びに来ても相手できると思うから。」
「む~もう帰らんとならんのか?
・・・そうじゃ! 妾がココに泊まるというのはどうじゃ!?」
「美羽様!?」
「多分賈詡さんが怒ると思うよ?
そうだな・・・もし賈詡さんを説得できたらその時は私も考えるよ。
美羽ちゃんが泊まるとなったら準備も大変だしね。
今すぐ、というのは流石に無理だよ。」
「よし、本当じゃな?
ならば七乃! すぐに宮殿に戻り、
賈詡に喜媚の家に泊まっていいか聞いてくるのじゃ!」
「はい美羽さま!」


そう言っ美羽ちゃんと七乃さんはすぐにを店出ていった。
後に残された孫策さん達は美羽ちゃん達の行動力と、その速さにあっけに取られ、
机で食後のお茶を飲みながら、彼女達を見送っていた。


「しかし、袁術ちゃんも寿春に居る時とは随分雰囲気が違うのね。」
「そうだな、普段はつまらなさそうに、ぶすっとした表情でいるか、
意地の悪そうな笑みを浮かべて、部下を困らすかどちらかなのだが、
あの様子を見ると本当にただの子供のようだな。」
「アレが私の知る美羽ちゃんなんですけどね。
そんなに寿春では酷いんですか?」
「まぁな、私達も色々と困らされているのだが・・・
おっと、コレは張勲には内緒で頼む。」
「分かってますよ、店での愚痴を他所に漏らしたりしたら、
お客が寄ってこなくなっちゃいます。
良い店の店員は、お客の話は聞くけど口は硬いものですからね。
確か何かでそんなようなことを聞きました。」
「そう言ってくれるとありがたい。
細かくは話せないが・・・まぁ大変なのだ。」
「色々とお疲れ様です。」


そうして私と周瑜さんが話していると、曹操さん達が帰ってきて、
また、昨日のように、曹操さん達と孫策さん達が、色んな情報を交換しながら、
陽が落ちる少し前まで、国政の話などをした後、孫策さん達は宮殿に帰っていった。

夕食を皆で食べている時に、ふと桂花から美羽ちゃんが来たことについて尋ねられた。


「そう言えば、今日袁術が来たんですって?」
「あぁ、来たよ美羽ちゃん。
私を探すために宮殿の中を探しまわってたんだけど、
孫策さんにこの店の事聞いて来たんだって。」
「あの娘・・・相変わらずなのね。」


その話を聞いていた曹操さんが話に加わってくる。


「なに? 貴女、袁術と真名交わしてたの?」
「まぁ、色々有りまして、
文通・・・書簡のやり取りをしていたらいつの間にか好かれまして、
桂花と寿春に言った折に真名を預かったんです。」
「へ~、あの袁術がねぇ。
甘いお菓子で釣ったのかしら。」
「・・・あながち間違いでもないんですけどね。
彼女、家柄や役職の関係で同年代の友人とか、ほとんどいないんですよ。
だから余計に年齢が近くて、話相手にできる私に、
親近感が湧くんじゃないですかね?」
「ウチもそうだけど、袁家に生まれると色々ついて回るでしょうしねぇ。
そういえば、連合の時もあの娘 『喜媚を助けに行くのじゃ!』
と事ある毎に騒いでいたわね。
だから知り合いだとは思っていたけど、真名を交わしていたとは驚きだわ。
麗羽の馬鹿の檄文を真に受けて、
友達を助けに行こうだなんて、なかなか可愛い所あるじゃない。
ただ、領主としてはどうかと思うけど。」
「その辺は彼女にも色々事情あるんですよ。」
「大凡察しはつくわ。」
「それにしても良く今日はおとなしく帰ったわね。
袁術の事だから、泊まっていくくらい言い出しそうな感じだけど?」
「いや、実際言ったんだよ・・・泊まっていくって。
だから賈詡さんに許可もらってきてからならいいよって、
言っておいたから大丈夫だとは思うんだけど。」
「ほんとうに大丈夫なの?」
「賈詡さんも、そう簡単には許可は出さないでしょう。
美羽ちゃんには悪いと思うけど、曹操さん達が居て美羽ちゃんと七乃さんが居て、
そうすると下手すると孫策さん達もこの店に泊まるとなったら、
正直どうなるかわからないから。
人手も足りなくなる可能性もあるし。」
「まぁ、大騒ぎになる可能性は高いわよね・・・確かに来なくていいわ。
夕食や晩酌くらいゆっくりしたいし。
孫策のところの周瑜だけだったらいいのだけど。」
「あら、桂花は喜媚との時間を邪魔されるのが、嫌なだけなんじゃないの?」
「か、華琳様!!」
「事実じゃない、ねぇ、秋蘭?」
「そうですね、夕食後の話し合いの時なども、
上の空・・・とまでは言いませんが、
家事をしている喜媚の事をたまに目で追っていますし。」
「秋蘭まで! 余計な事は言わなくてもいのよ!」
「あらあら、照れた桂花も可愛いらしいわね。
コレはますます、喜媚と一緒に私のモノにしてあげないと。
・・・それにしても周喩ね。
あの褐色の肌は触ったらどんなかんじなのかしらね?
それに気の強そうなあの女が、閨でどんな声で鳴くのかすごく興味がわくわ。
・・・周瑜だけ泊めてあげたらどうかしら?」
「そういう話は食事中には止めてください!」


曹操さんは本当に綺麗な人ならなんでもいいんのかな?
英雄、色を好みすぎじゃないだろうか?


「コ、コホン、だけどいいの喜媚?
賈詡がもし許可を出したら本当に袁術が転がり込んでくるわよ?」
「さっきも言ったけど、そんな簡単に賈詡さんも許可を出したりしないでしょ。
(劉花ちゃんの事もあるし、
本当は曹操さん達だって追い出したいと思っているみたいだし。)」
「だといいけどね・・・」
「そうだ、喜媚。 食後に少し飲みたいから、
あのお酒と何かツマミを作ってくれない?
あとお風呂にも入りたいわ。」
「・・・・曹操さん、ココはあなたの家じゃないんですよ?」
「でもお客じゃない、ちゃんと宿代は払うわよ。
それに貴女、お風呂の開発にウチの真桜を使ってるでしょ?
それを黙認してあげてるんだから、これくらいの要求はしても当然じゃない。」
「・・・ハァ、はいはい、わかりましたよ。
そのかわり又何か李典さんに頼む時は融通効かせてくださいよ。」
「真桜の趣味の範囲で、軍事的な物じゃないなら邪魔しないわよ。
貴女のお陰でウチでもお風呂に入る回数増やしても、
侍女達の負担にならなくなって、
皆がお風呂に入れる様になって感謝してるくらいなんだし。」
「それは良かったです。
お風呂に入ると幸せな気分になれますしね。」
「真桜も変なものばかり作るんじゃなくて、
もっとこういう役に立つモノを作ってくれないかしら?
役に立つものは、すごく役に立つのだけれど、
それ以外の物は本当に、何の役にも立たないのだから困ったものだわ。」
「真桜に好き勝手作らせていたらろくな物を作りませんからね・・・
この間なんか・・・ゴホン、なんでもないわ。」


桂花の顔が急に真っ赤になっているが、いったいどうしたのだろうか?
李典さんに何を作ってもらったのだろうか気になるが、
聞いたらすごい剣幕で怒って来る事が想像できたので聞くのは止めておいた。


こうして今日も一日、皆と穏やかに過ごすことができた。
こんな生活を送っていると、私の目標も実現可能なのではないかと思える。
決して不可能ではない、劉備さんではないが、皆分かり合えると信じられる。
この国の未来を必ず明るいものにしていこうと、改めて心に誓った。


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  1. 2012/09/27(木) 18:15:32|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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