たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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六十話


洛陽




董卓さんの指示により、
反董卓連合の兵は、虎牢関より東に一時的に駐屯する事が許され、
虎牢関を攻める時に使っていた野営地をそのまま使う事で、
協ちゃんの裁定が終わるまで待機することになる。
それぞれの諸侯から選ばれた代表者は、
主に主君と軍師や参謀役の者、数名で選ばれ、
袁紹さんは文醜さんと顔良さん、美羽ちゃんはもちろん七乃さん、
公孫賛さんは本人のみ、曹操さんは桂花と夏侯淵さん、
劉備さんは一刀君と諸葛孔明ちゃんそれに愛紗ちゃん、
それに孫策さんが周瑜さんと周泰ちゃん達数名の者を連れ、
是非董卓さんに引き会わせたいと言う事で、
話を聞いたのだが、張譲本人を生け捕りにしたと言う事なので、
特別に協ちゃんへの謁見を許されている。
それ以外の諸侯も大体、君主と軍師と言う組み合わせだ。

この話を聞いていた曹操さんは表情にこそ出なかったが、
明らかにその様子は、怒気を放っていた。


こうして、反董卓連合の代表者を伴ない、
董卓の軍に同行して洛陽の町へと帰ったのだが、
洛陽の町に協ちゃんや董卓さんが入ると同時に、
すごい歓声で向かえられ、皆董卓軍の勝利に喜び、
洛陽の民を守るためにと、皇帝自ら出陣した協ちゃんの洛陽での支持は、
うなぎ登りとなった。

連合の諸侯は洛陽の町の様子を見て驚く者や、自らが行った行為に落胆する者、
これからどんな裁定が下されるのかと恐怖に慄く者や
一部、洛陽の発展の秘密を探ろうと目を光らせている者など、様々な様子を見せた。

宮殿に帰り、各諸侯達に部屋を宛てがい、
私達は、宮中の奥の、劉花ちゃんが待つ部屋に向かって移動していたが、
途中で、私達の帰りを聞きつけた劉花ちゃんが
私の顔を見るなり涙目で走ってきて、私に抱きついてきた。

この日は、会議室に移動した後、皆と汜水関、虎牢関、
そしてその先の平原で何があったのか、
皆で情報交換をして、汜水関での出来事で、華雄さんが白い目で見られたり、
虎牢関での橋瑁を討った時の様子を誇らしげに語る音々ちゃん。
平原で反董卓連合の皆に一泡吹かせてやった時の事を、
協ちゃんが面白おかしく話したりと、
ひと通り話した後、今後の反董卓連合の裁定を行い、
協ちゃんの裁量でどういう結末にするのか、
事前に決めていた案と現状を比べて、深夜まで話し合いをおこなった。


翌日、朝食を摂った後、謁見の間に董卓軍の将官、
反董卓連合の代表者達を集めて、
協ちゃんにより裁定し、今回の戦の戦後処理をどうするのか?
その事が協ちゃん、皇帝陛下から諸侯に下される事になった。


すでに謁見の間には必要な者は、協ちゃんと私以外全員揃っている。
そして最後に、皇帝陛下の登場となるのだが、
なぜか、私もその時に一緒に登場し、協ちゃんの側に控える事になってしまった。
これは、協ちゃんが昨晩、不安だから付いていて欲しいと、
駄々をこねた結果であるが、
協ちゃんも皇帝としての謁見は山ほどこなしたが、
今回のような裁定はそう経験がないだろうから、不安なのだろう。
董卓さんや賈詡さん辺りも、その辺のことがわかっているのか、
結局私は、協ちゃんの護衛役として、協ちゃんの側につくことになった。

また、謁見の間には入らないが、皇帝の控え室で劉花ちゃんも、
様子を伺うことになっており。
正装の上、杖を持って待機している。
コレは一応、万が一に劉弁として、出なくてはいけなくなった時の予防策である。


「皇帝陛下がお出でになります。
皆、伏して待つように。」


董卓さんがそう言うと、奥から協ちゃんと私が謁見の間に現れる。
皆は伏しているので、私達の顔を見ることは出来ないが、
一部の人達は護衛を連れているにしては足音が少ない事に違和感を感じたようだ。

協ちゃんが椅子に座ると、私はその横で立ったまま少し下がって控える。


「うむ、皆の者面を上げよ。」


協ちゃんのその一言で、皆が顔を上げるが、
その時に桂花や、一部の人達が私の顔を見てびっくりしたようで、
美羽ちゃんなどは、 『喜媚ぃ! モガモガ』 と私の名前を叫びだして、
七乃さんに取り押さえられると言う状況になっている。
桂花は凄い目付きで睨んできたかと思ったら、
訳がわからないといったような表情に変わったり、
なかなか見れないいろんな表情を見せてくれている。
・・・だが、桂花も怪我も無く、元気そうでよかった。


「本日は、コレより先の騒乱について陛下に裁定をしていただき、
此度の件の始末を付けたいと思います。」


董卓さんのその一言で、場の空気が一気に緊張し、少し冷え込んだような気がした。


「まずは袁本初、斯様な檄文を各諸侯に放ち、此度の反董卓連合なるモノを結成し、
陛下の収めるこの国内で、このような騒乱を起こした理由を説明せよ!」
「は、はい。 今回は、張譲さんや橋瑁さんから話を聞き、
董仲穎様が洛陽にて、陛下を軟禁し、怪しげな者を使い、
非道な行いを行なっているという話を聞きましたので、
陛下や洛陽の民を助けようと思いまして、諸侯に呼びかけ、
連合を組む事になったのでございますわ。」
「ふむ、その檄文、妾も読んだが、賛同しないものは敵と見なす。
とも書かれておったのぅ、コレは袁紹、脅迫とも取れるのではないか?
それに董卓が洛陽で非道を働いたという証拠は、
張譲や橋瑁の証言以外で、何か証拠が有ってのものか?」
「そ、それは・・・」
「・・・何も無いであろう?
そもそも董卓は、何進や一部の宦官の暴走で衰退していたこの国や洛陽を復興させ、
洛陽からこの国を良くしようと、日々誠実に職務についておる。
お主らも洛陽の街並みは見たであろう?
アレの何処に非道が有った?
民は嘆き悲しんでおったか?
それに、張譲は先の何進暗殺の首謀者じゃぞ?
董卓は袁紹、其方に書簡を出して、張譲と橋瑁を引き渡せと、
再三にわたって要求したはずだが、
なにゆえ庇い立てしたのじゃ?」
「そ、それは・・・その。」
「妾が幼いから何も知らぬとでも思っておるのか? ・・・このたわけが!!
其方が洛陽と妾を手中にし、権力を握るために張譲と結託した事を、
妾が知らぬとでも思うたか!」
「へ、陛下! 恐れながら申し上げますが、そのような事は決して!」
「ならばなぜ何進暗殺、姉様と妾の誘拐の主犯と協力者であった、
張譲と橋瑁をすぐに引き渡さなかった!
其方に送った書簡ではその証拠の一部も同封されておったはずだぞ!」
「そ、それは・・・・」


袁紹さんがどう答えていいか混乱する中、協ちゃんの様子が悲しげなものに変わった。


「・・・袁紹よ、それに袁術よ、妾はな、本心から其方らに感謝しておったのじゃ。」
「へ、陛下?」 「わ、妾もかえ?」
「何進が暗殺されたのは悲しい出来事じゃったが、
その後、お主らが何進暗殺の共謀犯である、
一部の悪政を働く宦官を始末してくれたおかげで、
宮殿は血で汚れてしまったが、この国は確実に良い方向に向かうはずだったのじゃ。
その後、董卓達の奮闘により、誘拐されかけた、姉様と妾が救出され、
姉様は怪我のため政務執行不可能になってしまい、
妾が皇帝を継ぎ、董卓に徹底的に悪政の元を断ち、
この国を良い方向に持って行ってもらおうと思ったのじゃ。
きっと袁紹、お主達も協力してくれて、
この国が良い方向に行くと信じておったのに・・・
袁紹がこんなくだらん檄文をばらまき、連合などを組んだおかげで、
危うく、この国が・・・いや、国など良い。
この国に住まう民が、より不幸になるところじゃったのだぞ!」
「陛下・・・」
「民無くして国など無い!
権力に妄執し、民を蔑ろにする者など真の為政者では無い!
なぜ、その事が分からぬのじゃ袁紹!!」


協ちゃんの悲痛な叫びにも近い問いかけに、
袁紹さんはすでにいつもの様子はなく、完全に落ち込んでしまい、
自分が何をしでかしたのか、噛み締めている様子だ。


「次に、袁術よ。」
「はいっ!」
「お主は配下の孫伯符が張譲を捕えたそうだが、なにゆえ張譲を捕えたのじゃ?
連合に参加したのならば、張譲を捕えるのはおかしいのではないか?」
「それについては私から説明をさせて頂きます。」
「ふむ、お主は?」
「張勲ともうします、袁公路の元で政務を取り仕切っております。」
「ふむ、許す、申せ。」
「私達は今回の連合に関して色々と疑問に思うところがありました。
私達の個人的な知り合いの胡喜媚殿から、洛陽での生活の事を聞いておりましたが、
檄文に書かれているような悪政で困っている様子はなく、
日々穏やかに暮らしていると書かれておりました。
そのため、孫伯符に命じて調査をさせ、その結果、
この連合が偽りの名目で仕組まれた事だとわかりました。
張譲を捕えたのは孫伯符の独断でしたが、英断だとも思っております。
彼女がいち早く行動を起こさなければ、
張譲に逃げられていた可能性が高かったと思っております。」
「ふむ、孫伯符よ、どうじゃ? 何か言う事はあるか?」
「・・・何もございません、張勲様のおっしゃるとおりでございます。」


この辺りは七乃さんの上手いところだな。
私は原作知識や彼女との面識もある事で、
美羽ちゃんが何も指示を出していない事は想像がつくが、
ただ自分達が全部指示した、と言っていたら孫策さんは否定しただろう。

しかし、孫策さんの英断が有ったからこそ張譲を捉えられた、と言う事にしておけば、
もしかしたら孫策さんも話を聞くかもしれない、と踏んだか・・・

それに孫策さんも独断で張譲を捕えはしたが、他に何か証拠などがあったとしても、
美羽ちゃんに報告せずに独断で動いたとなれば、美羽ちゃんへの叛意が疑われる。
先ほど協ちゃんは美羽ちゃんに 『感謝している』 と謝辞を述べた。
その美羽ちゃんに叛意有り、となっては都合も悪いだろうから、
直前でやむなく七乃さんの案を飲んだのだろう。

博打に近いが、こうでもしないと美羽ちゃんを守れない。
この対価は孫家の独立と援助、そんな所だろう。
それを孫策さんが聞くのかどうかわからないが・・・まず無理だろう。
孫策さんの性格上、表面上は聞いておいて油断させ、
このすぐ後で弱り切った袁術軍を潰す気だろう。


「ふむ、喜媚よ、お主袁術とは知り合いなのか?」
「はい、袁公路様とは真名を交わす仲で、書簡を通じて数年来の付き合いです。」
「そういえば、そんな話も聞いたような・・・あぁ、蜂蜜の好きな娘か!」
「そうですね。」


これは、協ちゃんの何気ない問だったが、
私が最後に打てるんじゃないかと思った布石だ。

協ちゃんと懇意の私が、真名を交わした美羽ちゃんなら、
孫策さんも、おいそれと討つ訳にはいかないだろうとう狙いだ。
そのために私は、協ちゃんに度々美羽ちゃんの事を話しておいた。


「恐れながら陛下、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんじゃ張勲、申してみよ。」
「陛下の横に控えておられるのは胡喜媚様でございますよね?
陛下とは一体どういった御関係なのでしょうか?
私の知る胡喜媚様は農家の出身でしたので、事情がよくわからないのですが。」


七乃さんのこの質問に、曹操さんと桂花、愛紗ちゃん、
美羽ちゃん、周泰ちゃんの目付きが代わる。


「ふむ、妾と喜媚の関係か・・・どう言えば良いのか。
そうだな、お主らと同じで、
数年来の友人で妾と姉様の命の恩人の内の一人といえばよいか。
喜媚とは幼少の頃、妾が身分を隠しておった時に偶然知りおうてな。
それ以来の付き合いじゃが、妾と姉様が最も信頼する者でもある。
妾は命を救ってくれた友に、平伏せよ、などと言うつもりはない。
故にこの場でも立たせておるし、今回は妾の警護についてもらっておる。
武器の携帯も許しておる。
今回はこのような事があった故、市井で暮らしておった喜媚も義によって立ち上がり、
董卓軍に所属して将官として戦ったが、普段は、洛陽で店を開いておる。
ココに居る者達はこの事は口外する事無きようにな。
喜媚本人が、市井の民としての暮らしを望んでおるゆえ、周りで騒ぎ立てぬように。
もし喜媚に何か危害が加われば、それは妾に向かって行った事と同じと知るが良い。」
「かしこまりました。」


「さて・・・他に何か、おぉ、確か曹操よ、お主が提出した書簡の件があったな。」
「はっ。」
「さて、お主が提出した書簡や、董卓の話によれば、
曹操と董卓は知己であったというが、それは真か?」
「確かに董仲穎様とは以前から面識があり、私は洛陽の様子を知っておりました。」
「では、なにゆえ連合軍に参加した?
董卓と知己で洛陽の様子を知っておったのなら、
逆に董卓に味方をするのが義ではないのか?」
「確かに陛下のおっしゃる通りではありますが、
檄文には参加しない者は敵とみなすと言う一文が入っておりました。
私が陛下から管理を任されています陳留は、地理的に連合軍の通り道に当たります。
私の任期がまだ浅いという事や、私の不徳の致す所で、
袁本初様を敵に回すと、領土と領民を守ることができません。
私は陛下からお預かりした陳留を治める刺史としての本分を通す事を優先し、
それでありながら、連合内部から連合の腐敗の証拠や、
出来ましたら、袁紹、張譲、橋瑁を捕えたかったのですが、
それは孫伯符が行ったようなので、
私は今まで調査した書簡を提出するのみとなりました。
しかし、汜水関では、私の策に董卓軍も呼応してくれたので、
双方被害も少なく、ほぼ資材を消費したのみで終わらせることが出来、
その事で董仲穎様に私に敵意は無いと通じたと認識しております。
実際、汜水関では胡喜媚殿より矢文で連合内で不和を起こすよう、
指示も受けております。」
「ふむ、確かに董卓に味方することも義ならば、妾の命を守るのも義か。」
「董卓、どうじゃ? 何か曹操の言い分に言いたい事はあるか?」


その時、董卓さんは曹操さんの方を、ひと目見た後。


「何もございません。」


ただ一言、そう言った。
コレで曹操さんは董卓さんに消極的ながら、借りを作った事になる。
董卓さんがそんな事は知りません。
と一言言えば、曹操さんの立場は一気に悪くなっただろうが、
これで、彼女の立場は天と地ほどの差ができた。
少なくとも、連合参加の件で罰せられる事は無くなったのだから。


「ふむ、ならば他になにか言いたい者はおるか?」
「恐れながら陛下! 我らもこの連合には脅迫まがいで参加させられ、
おかしいモノを感じておりました!」
「ほう、ならばお主は何かしたのか?」
「・・・な、何かと申しましても。」
「・・・このたわけが! 妾を子供と思って侮ったか?
そういえば許されるとでも思うたか?
筋が通っておらぬ戯言など聞く耳持たぬわ!!」
「は、ははぁ~!」


その男の人はすぐに平伏し、協ちゃんの許しを請うたが、
何処の諸侯の人だろうか?
私には見たことがない顔だった。


「ふむ、他に何か無いか?
公孫賛よ、何か言い分でも無いか?」
「いいえ陛下、全ては私の不徳の致すところ、何も有りません。
ただ一言許されるのならば、檄文の内容が全て嘘で良かったです。
少なくとも、陛下は無事で、悪政に苦しむ民はいないのですから。」
「ふむ、なかなか殊勝な心がけじゃな。
・・・さて、コレで何も無いのなら此度の始末を付けようと思うが?
何もないか?」


協ちゃんの問いかけに、連合の諸侯は沈黙を守る。
先ほどの私の確認できない諸侯の件で、迂闊な事を言えば、
協ちゃんの怒りを買うと思ったのだろうか・・・

そんな中、ここでは意外な人物である賈詡さんが協ちゃんに発言の許可を求めた。


「恐れながら陛下、今回の連合とは関係ありませんが、一つ懸念事項がございます。」
「賈詡か、なんじゃ申してみよ。」
「そこに、おられる劉備殿が連れている男の事でございます。」


賈詡さんがそう言った時、劉備さん達が全員挙動不審になった。


「あの男がどうかしたのか?
珍しい服を着ておるようだが それだけではないか?」
「はい、あの男ですが、巷で噂の天の御遣いを名乗っております。
陛下は天の御遣いの噂は耳にした事はございますか?」
「知らぬのぅ・・・・何処かの誰かがなかなか市井の視察をさせてくれんからのう。」
「全ては陛下の警備のためです。
さて、簡単に申し上げますと、管路と言う占い師が、
世が荒れた時に天から流星が降ってきて、
それに乗った者がこの世を乱世から救い平定する、と言う噂です。」
「それがどうかしたのか? ただの噂ではないか。」
「あの男、天の御遣いを名乗っておりますが、
この国において天とは天子様、皇帝陛下以外におりませぬ。
その御使いと言う事は、かの男は陛下の威光を借りる者。
しかしそのような事実などはまったく無く、ただ民を惑わす怪しい者でございます。
そしてその様な者が諸侯となり、領地を賜るなど決して有ってはならない事です。
そのような者が天子様の威光を借りて義勇軍など率い、
黄巾の乱で功績を上げ領地を賜ったのですが、
ボクは速やかに、この領地を取り上げるべきだと進言いたします。」
「ふむ、確かに人心を乱す者なら捨て置けぬが、領地没収は罰として最適なのか?」
「本来なら天を騙ったのですから、死罪か杖叩き五十回以上ですが、
黄巾の乱での功績や、ボクの調査では領地運営は良好で、
私欲に走った形跡も見られませんでした、今回の連合参加の件も含めて、
劉備と合わせて領地没収の上、
北郷はあの怪しい服を没収し、我が董卓軍の治める領内からの追放及び、
今後二度と天の御遣いなどという虚言を吐かない事と、
そのような者を祭り上げ、世を乱した劉備軍の将官には、
強制労働がよろしいかと思います。」


その時の劉備さんや一刀くんは顔面蒼白で、
愛紗ちゃんはがっくりと肩を落としたが、諸葛亮ちゃんだけは、
何かおかしなものでも見るような表情だった。
おそらく天を騙ったにして罰があまりにも軽いと思ったのだろう。

私は特に一刀くんにこの場でなにか言うつもりもなかったが、
賈詡さんが言うには、彼をほうっておくと、
彼を旗頭に又新たな争いの種を撒き散らしかねない。
根は善良なようなので、今回は諸事情のため見逃すが、
二度とこんな真似を起こさないようにきっちりと釘を差しておく必要があると言われ、
私もそれに大きく反対する事は出来なかった。
それにそもそも、劉花ちゃんを預かり、董卓さんの味方をすると決めた時点で、
彼とは敵対する事はわかっていたのだ。
戦争での決着ではなく、こういう形ではあるが、
今は穏便にすんだことで良かったとしよう。


「うむ、ならばそのように取り計らうがよい。」
「はっ。」
「よし、張譲を連れてまいれ、最後に皆に判決を下す。」
「「はっ」」


二人の兵士が謁見の間から出ていき、
しばらくすると、猿轡を噛ませれた張譲が引きずって連れて来られる。


「では此度の判決を下す。」


この私より少し幼い協ちゃんより発せられた声で、
場の緊張感が一気に高まる。

その後、賈詡さんより判決文が読み上げられる。


「張譲、死罪。」
「ん~っ! んう゛~~~っ!!」
「ふむ、何か言いたい事でもあるのか?
張譲を喋れるようにしてやれ。」
「はっ!」


張譲さんの猿轡が外され開口一言。


「貴様達、劉一族は、お飾り何も出来なかったくせに、恩を仇で返しおって!
それに貴様がその椅子に座っていられるのも我らの策があっての事では無いか!!」
「なにを言い出すかと思えばくだらぬ事を・・・
貴様ら一部の宦官が、今まで権力を笠に着て好き放題やったせいで、
この国がここまで荒れたのではないか。」
「この国を治めてやったのだ、それくらいの利益を得て何が悪い!」
「言うに事欠いて開きなおるとは・・・どこまでも腐った畜生よ。」
「っは、何を言うか! 貴様とてどさくさに紛れて姉を追い落とし、
皇帝の座に着いたのではないか!?
大方あの時に殺して何処かに捨ておいたのではないか?」
「妾が姉様を殺すなどありえるはずがないわ!
それに姉様は今この宮殿に来ておるわ!」


協ちゃんの言葉と共に、奥の控え室から杖を着いた劉花ちゃん・・・
いや、先帝少帝弁が現れ、協ちゃんのそばで膝を着く。


「劉弁・・・?」
「姉様! この場は妾に任せて姉様は控えておいてくれれば良いのじゃ!」
「そうも行かないでしょう?
いい機会だから、ココではっきりさせておきましょう。
私はそこの張譲を起こした策謀により『怪我』をしてしまい、
皇帝職を全うできなくなってしまったので、
今の陛下、劉協様に皇帝を継いでいただきました。
コレには何の意図もなく、私が職務実行不可能になってしまっただけですので、
今後おかしな噂などを吹聴してくださらないように願いします。
何度も言いますが、私はそこの張譲と橋瑁の策略により、
『怪我』をしてしまったのです。」
「・・・そんな、生きていたのか。」
「コレではっきりしたな、妾は姉様を害してはおらぬし、
皇位継承は本人の意思の上で行われたのじゃ。
すぐに張譲を引っ立てぃ!
処刑は数日内に、民に今回の主犯として説明し公開の上で斬首じゃ!
その後、一族郎党尽く捉え同じく死罪とする!」
「「はっ!」」


そうして理由の解らないことを喚く張譲さんは謁見の間から引きずり出され、
引き続き、賈詡さんより判決が言い渡される。


「さて、少し問題が有ったけど続けるわよ。
袁紹並びに配下の将官の者は・・・」


謁見の間に沈黙が訪れるが、誰かが唾を飲み込む音が聞こえた気がした。


「領地、及び官職、私財の没収!」
「「「・・・・え?」」」


コレに反応したのは袁紹さんと文醜さん、顔良さんだ。


「静かに、陛下の御前である。」
「は、はっ!!」
「続けるわよ。 その他連合に参加した者は曹操、袁術、
それと領地等を没収した劉備を除いて、
一定額の罰金の他、今回の戦でかかった我軍の経費を分担して支払い、
汜水関、虎牢関の修繕費用も分担して払う事とする。
そして袁紹の領地で今現在も起こっている 『内乱等』 は、
曹操を主導として連合各諸侯で速やかに治め、
その後、陛下に報告後、参加諸侯の各人の功績によって領地を分配するものとする。
ただし、各諸侯、自領を含めた領地運営に、あまりにも問題があるようなら、
陛下から追って指示があるので、その時は素直に従うように。」

「「「「「はっ!」」」」」

「・・・・・っ!」


この一見、甘いように見える罰則こそが・・・
賈詡さん達の考えた最良にして・・・最悪の策だ。

袁紹さんの陣営が、袁紹さんの威光を笠に着て好き放題やっているのは周知の事実だ。
その事は、賈詡さんの細作が徹底的に調べ上げている。
その袁紹さん配下の者達が、
このまま領地と私財を没収されるとわかっていて黙っているはずがない。
必ず反乱を起こすか、独自で旗揚げ、武装蜂起をする者が多数現れる。
それを連合軍に参加した諸侯に鎮圧させ、
ある程度落ち着いた所で、参加諸侯の良心的な領地運営をする者に、管理させる。
おそらく殆ど曹操さんが持っていくだろう。
曹操さんは袁紹さんの領地も近いし兵力も余裕がある。
公孫伯珪さんは烏桓対策のため、あまり積極的には動けないだろうが、
袁紹さんの支配していた領土は、肥沃な土地のため、
少しは欲しいだろうから、もしかしたら動くかもしれない。
他の諸侯にしても袁紹領に近い諸侯は、皆欲しがるだろう。
なんと言っても陛下公認で肥沃な領地を武力で増やす事ができる、
絶好のチャンスなのだから。

しかし当然、連合軍の諸侯、全員が積極的に参加するわけがない。
自領からあまりにも遠く、飛び地になりそうな諸侯などは、
適当な言い訳を付けて金か兵糧で済ませようとするだろう、
だが今回の戦での罰則金の支払いや保証の支払いがあるので、
その支払もしなくてはいけないので、かなり難しい領地運営になる。
しかし、支払いを滞らせようものなら、
下手をしたら朝敵として認定されてしまうので、
支払いを滞らせる訳にもいかない、
かと言って自分達の領内で民から必要以上に税を取ったりすれば、
領地運営に問題有り、として、陛下からの介入があり、最悪領地没収なので、
真っ当な領地運営に力を入れざるを得ない。


賈詡さんは長期的に国内の一部で、作為的に諸侯に同士討ちや、
余裕のない領地運営をさせて消耗させ。
その間に董卓領内の内政改革を徹底的に進めて、確固たる地位と、
今後、絶対に董卓軍を敵に回せない軍事力を確保する状況を作り出すつもりなのだ。
そしてその後、手法は状況によるが、
恒久的に続く事ができる政治体制へと移行していく。
董卓さんが天下を取ると言う方法もあるし、私が董卓さんに献策している案もある。
董卓さんがどの方法を選ぶか、今はまだ分からない・・・

当然、一時的とはいえ 袁紹さんの治めていた州の領民が苦しむこんな政策には、
私は反対したのだが、避難民は董卓領内で極力受け入れる方針だし、
下手に諸侯が力を維持できるような状況を放置しておくと、
今後ろくな事にならないし、戦乱の種を残しておくことになる。
なので、連合に参加した諸侯同士で消耗させ、
余計な騒乱を起こせないように疲弊させる。

私の思想では到底看過できないが、七を活かすために三を切ると思って、
董卓軍も最大限被害を抑える方向で協力するという事で、
賈詡さんに説得され、やむなくこの案に妥協して賛成した。


コレが、桂花の見ている世界の現実なのだろう。
私もいつの間にか、その世界まで押し上げられてしまったのか?
今までは切り捨てられる側の視点でモノを見ていたが、
私はいつの間にか切り捨てる側に立ってしまった・・・

切り捨てられる者を全てとは言わないが、
せめて私の手の届く範囲内で、できるだけ救う事で、何とかしたいと思った。




そして袁紹さんは、この度の事件に関わったすべての者の恨みを買い、
一人、生きて行かねばならない。

おそらく文醜さんと顔良さんは最後まで袁紹さんに付いて行くだろうが、
彼女達は、これから、この全てが敵に回った世界で生きて行く事ができるだろうか?


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  1. 2012/09/26(水) 17:50:22|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
<<雑記 | ホーム | 五十九話>>

コメント

誤字の報告です

人心を乱す物
→人心を乱す者

今後おかしな噂などを風調してくださらないように願いします。
→今後おかしな噂などを吹聴してくださらないように願いします。
  1. 2012/10/07(日) 04:11:10 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字の報告です

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/09(火) 21:48:05 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

文法的な誤字かと思い報告します

私は見たことがない顔だった。
→私には見たことがない顔だった。
  1. 2012/10/12(金) 11:18:31 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 文法的な誤字かと思い報告します

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/12(金) 21:23:08 |
  2. URL |
  3. たいち #-
  4. [ 編集 ]

61話へのリンクです。
  1. 2012/12/30(日) 03:20:49 |
  2. URL |
  3. ちょっと通りますよ #zQLvkSFw
  4. [ 編集 ]

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