たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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五十四話


汜水関




--荀彧--


(やってくれたわねあの馬鹿!!)


私は逸る気持ちを抑え、小走りで華琳様の野営する天幕へと向かう。

私が華琳様の天幕についた時には華琳様は武装して、
春蘭、秋蘭を連れて陣の外に出ていたが、
その表情は何が起きたのか確認しようと警戒の色が濃厚に現れていた。


「桂花・・何があったの?
こんな清天に雷が落ちるなんて聞いたことないし、
衝車の駆動音にしては大きすぎるわ。
敵襲で凪辺りが気弾で応戦でもしたの?」
「その事についてご報告に来ました、まずは宿舎内に・・・
他の者に聞かれたくありません。」
「・・・わかったわ。」


華琳様は私の表情や態度を見て 敵襲ではないと悟ったようで、
すぐに私の願いを聞き 宿舎内へと戻っていった。


「それで何があったの?」
「まず ご報告をすると袁紹が汜水関の門を破壊しようとして使用した衝車が・・・
一撃で破壊されました。」
「・・・凪のような気の使い手でも居たの?
でも いくら凪でも一撃で衝車を破壊するのは無理かしら・・・」
「いいえ、おそらくあの馬鹿・・コホン 喜媚の仕業です。」
「喜媚? 胡喜媚が汜水関に居るの?
それにしても胡喜媚がそんな武を持つとは聞いていないわよ?」
「武ではありません。
私も一度だけ見たことがあるだけですが、喜媚が火薬と呼んでいる物で、
火を使い雷の様な轟音と光を発生させ、
周囲に甚大な被害を与える武器のようなモノです。
それを使って衝車を破壊したのだと思います。」
「火薬ねぇ・・・しかし、それだけで胡喜媚が汜水関に居る証拠になるの?」
「いいえ、そもそも昨晩からおかしいとは思っていたのです。
汜水関に立っている牙門旗は華と張、それと黒い妙な形の旗。
最初は連絡用に使う旗だと思ったのですが、おそらくアレが喜媚の旗です。
それと戦術です。
華雄、張遼、共に武勇で有名な武将ですが、汜水関には軍略を使う軍師が居ません。
なのに 昨晩のいやらしい夜襲や、
先日の猪武者との噂とはまったく違う華雄の見事な演説。
そして汜水関で使われている戦術の幾つかは、
私が喜媚から聞いた事がある物が採用されています。
そして火薬。 アレは私がどんなに頼んでも、
製法も入手法もまったく教えなかった物です。
私の知る限りアレを持っているのは喜媚だけです。
しかし、それを董卓に与えたとは思えません、
あの子の性格上 使うなら本人が自分で使うはずです。
そして喜媚は内政で董卓に知恵を貸しているので、
軍事で協力していても何ら不思議ではありません。
その事から考えて汜水関には喜媚が居ると思われます。」
「・・・なるほど。
その火薬というものは見てすぐに分かる物なの?」
「私が見たことがあるのは小さい・・・拳くらいの大きさの袋に入った物です。
そこから伸びた紐のようなものに火を付けて投擲してしばらく後、
雷が落ちたよな大きな音と光、煙を発生させ、
周囲にあるものを吹き飛ばし、破壊します。」
「そんな小さい物でそんな威力があるの?」
「わかりませんが、おそらく袋の中に入っている火薬の量を調節して、
破壊力を調節できるのではないでしょうか?
そうでないと一撃で衝車が破壊され、ここまで音が聞こえてきた理由がつきません。
私が見たものは、人や馬を吹き飛ばすくらいの威力で、
凪の全力の気弾くらいの威力でした。」
「そう、世の中にはそんな物が存在するのね・・・興味深いわ。
桂花、その火薬 手に入らないかしら?」
「私もあれから調べはしましたが、
喜媚以外に持ってる者がいるという情報はありませんでした。
そもそも火薬なんて名前も効果のある物も、
あの子の口からしか聞いたことがありません。」
「となると やはり胡喜媚か・・・
フフフ、面白い子だとは思っていたけど、
まだまだ私の知らない事があの子にはありそうね。
汜水関に来ているなら敵兵として捕縛しても・・・何の問題無いわね?」
「問題は無いですが、そもそも出てくるかどうか・・・
あの馬鹿はヘタレなので、自分から戦場に出てくる人間ではありません。
おそらく裏でこそこそと動き回っているので、戦場で捕縛するのは難しいかと・・・」
「そうね・・・やらないけど、もし桂花を人質にしたらどう?」
「・・・おそらく出て来ません。
私が連合に与していることを知っているにもかかわらず、
汜水関に出てきたということは・・・そういう事でしょう。
仮に私が逆の立場でも出ません。」
「そう、あなた達お互いのことがよくわかってるのね。
そういう友人は大切よ? 大事になさい・・・桂花の場合恋人かしら?」
「か、華琳様!!」
「ならば胡喜媚を捕えるには董卓に勝つしか無いわけだけど、
それも難しくなったわね・・・桂花、もう一つの案の準備をしておきなさい。」
「はっ!」
「・・・・ふぅ、しかしあの時にあの子を逃したのは失敗だったかしら?
私の身体であの子や、さっき使われた火薬、
董卓軍で使われている、まだ見ぬ未知の知識が手に入るのだったら、
それも良かったのかしらね?」
「「「華琳様!!」」」
「フフ、冗談よ。
でもあの子はいずれ必ず手に入れるわ。」
「はっ、必ず華琳様の元に引っ張りだして見せます!」
「期待してるは春蘭。」
「はい!」


華琳様への報告が終わり、私は宿舎を出る。


(あの馬鹿・・・あんたは戦場に出てくるような子じゃないでしょうに・・・
おとなしく畑を耕してればいいのに・・・馬鹿・・・)




--関羽--


「なんで爆弾がこの世界にあるんだ・・・」


先ほどの大きな落雷の様な音と光を見た後、ご主人様の様子がおかしい。


「ばく だん・・ですか?」
「あぁ・・・アレは俺がいた世界にあった兵器なんだ。
酷い物だとそれ一つで数千から数万の命を一瞬で奪うこともできる。」
「「そんな!?」」
「そんな物があったら私達の戦術なんて・・」
「いや、さすがにそれはココには無いと思うけど、
あの威力を見ても手榴弾くらいの威力はあるものが存在してそうだ。
本来ならこの時代には、まだ存在しないはずなのに・・・」
「それはどういった物なんですか?」
「俺も詳しくは知らないが、片手で投げられる程度の大きさで、
中に火薬が詰まってるんだ。
え~っと火薬っていうのは、
すごく良く燃える炭や油のようなものだと考えてもらっていいと思う。
それが詰まった物を投げて、爆発。
さっきのような大きな音と光を出して周囲の物を破壊する兵器だ。
本来この世界にはまだあるはずがないんだが・・・」
「それはご主人様に作れますか?」
「無理だ。 俺には火薬の作り方すらわからない。
そもそも俺がいた世界では、個人で持つことは、
原則的に法で禁止されていて、一部の人間しか扱えない物だから。」
「そうですか・・」
「だけど朱里、あんなもの使わない方がいい。
アレは使い方を間違うと敵味方関係なく吹き飛ばす。
うまく使えば汜水関攻略が楽になるのは確かだけど、
失敗すれば味方に甚大な被害を出す。
数が用意できなかったのか、敵が最低限良心的なのか・・・
昨晩の夜襲の時に使われていたら、
昨日の内に戦闘が終わっていた・・・俺達の敗北で。
それも最悪全滅に近い形で。」
「・・・・これだけの兵が居てもダメなんですか?」
「用意できる火薬の量によるな。
衝車の破壊にだけしか使わなかったのは、
持ってる量が少ないのか、敵が最低限良心的なのか・・
とにかく、皆汜水関を攻める時はできるだけ城壁に近づかないように。
しばらくは様子を見よう、敵が本気でコチラを潰す気なら、
あの爆弾をどんどん使うはずだ。
その気がないか、良心的な敵・・・と言ったらおかしいけど、
そういう敵だったら攻城兵器にしか使ってこないだろう。
しばらくはウチは様子見をしよう。」
「「「「「「はい。」」」」」」


こうして我々の方針は、しばらくは様子を見るということで決定した。
確かにあのご主人様が ばくだん と呼んでいた物を多用されては、
いくら我らの武が優れていたとて、どうしようもないだろう。
さすがの私も、衝車を一撃で破壊などは無理だ。
そんな事を可能にする武器が敵にあるのならば、最大限警戒し無くてはならない。




--喜媚--


今日の戦が終わり、今は夜中の内に敵兵に、
昼間破壊した衝車の瓦礫を撤去させないように、
交代で番をしながら敵の牽制をしている。
コレは瓦礫を撤去させなければ、次の衝車を使うことが出来ないからで、
時間を稼ぐのに持って来いの方法だからだ。

しかし、昼間の衝車を一撃で破壊した火薬の威力に恐れて、
連合軍は近づいてくることは無いようで、
戦場だというのに静かな夜を迎えている。


しかし私にとって、その静かな夜は色々な事を考えさせられる。
本当にアレでよかったのか?
火薬を使用してよかったのか?
コレがまだ個室ではなく、誰かと一緒にいられたなら少しは気が紛れるのだが、
・・・今は私一人だ。


そうして私が眠れない夜を過ごしていると、
不意に扉の向こうから声を掛けられる。


「喜媚、起きてるか?」
「・・・・はい。」


私が寝台から立ち上がって扉を開けると、
そこには燭台と壷のような物を持った華雄さんが居た。


「華雄さん?」
「あぁ、見てわからんか・・・お前大丈夫か?
顔色が悪いぞ?」
「あぁ、大丈夫です、体調がどうこうと言うわけではないので。」
「昼間の事か・・・」
「・・・・ビクッ」
「やはりな。
昨日はほとんど舌戦だけだったし 本格的な戦闘は今日が初めてだったからな。
様子を見に来たんだ。」
「すいません、気を使わせて。」
「いいさ、お前には借りもあるしな。
とにかく部屋に入れてくれ、立ち話もなんだしな。」
「あ、はい。 どうぞ。」


そうして華雄さんを部屋の中に招いて、
椅子に座り、茶碗に水を入れて華雄さんに出す。


「さすがにお茶は用意できないので 水で勘弁して下さい。」
「ここは戦場だからな、それくらい構わんさ。
さて、喜媚は人を殺めたことは・・・
たしかあったな、賊を狩っていた事もあるとか?」
「えぇ・・・」
「戦場も見たことはあるが、実際に参加して戦場で兵を殺すのは初めてか?」
「・・・はい。」
「そうか。
まぁ、口下手な私がなにか言っても効果があるかわからないが、
今回の戦に限って言えば、奴らは賊と同じだ。
董卓様の持つ権力を妬み、奪おうとする。
賊が食料や金を奪おうとする事と本質的にはかわらん。」
「・・・指揮官はそうでしょう、でも指揮される兵は・・・」
「そうだな、兵は指示されただけだ。
だが、奴らを討たねば我らが守るべき民や董卓様や陛下の身が危険に晒される。
お前もそれはわかっているから、
今回の戦に参加したし、昼間もアレを使ったんだろう?」
「・・・・はい。」
「ならば、お前が討った兵の事を忘れろ・・・とは言わんが、
考えるならお前が守った味方や、民の事を考えろ。」
「守った味方・・・ですか?」
「そうだ、衝車一機破壊するのに一体どれだけの損害が出ると思う?
数十人か? 数百人か?
私は計算は得意じゃないからな、張遼ならもう少し細かい数字を出せるんだろうし、
お前のほうが詳しいと思うが 少なくともお前はそれだけの味方の命を救ったんだ。
今日お前が火薬だったか? アレを使わなければ、
衝車を破壊するのに何十人、何百人が死ぬはずだった。
無いとは思うが、門を破られたかもしれない。
その味方を救ったんだから何も敵の事を考えてお前が怯える事は無い。
胸を張れ・・・とは言わんが、怯えたり落ち込むのはやめろ。」
「・・・華雄さん。」
「戦場で兵が死ぬのは当たり前だ。
だが味方を守った者が怯えたり落ち込んだら、他の兵がどうしていいかわかなくなる。
お前も数十人の小さな部隊とはいえ指揮官となったなら、
兵の前で怯えた顔を見せるのは止めるんだぞ・・・その、まぁ、なんだ。
私で良かったら愚痴くらいは聞いてやる。
同じ指揮官同士だから少しくらい愚痴ったって構わんだろう。」
「華雄さん・・・ありがとうございます。」
「うむ、まぁ、お前には昨日、私や張遼も助けられたからな。
私は死なずに済んだし、張遼は味方殺しをしなくて済んだ。
私達で良かったらいつでも力になるから、いつでも頼るといい。」
「ありがとうございます。」
「うむ、まぁ それだけだ。
邪魔したな。 あ、後コレ酒だ、飲めば少しは気が紛れるだろう。」
「はい、すこし飲ませてもらいます。」
「う、うむ、じゃあな。」


そうして華雄さんは部屋から出て自分の部屋へと帰っていった。
去り際に蝋燭の明かりのせいか、
華雄さんの顔がほんのりと赤かった気がするが まぁ、言わぬが花だろう。


その後、華雄さんの持ってきてくれたお酒を少し飲んで、
私は寝台に入り、少しだが眠って体と心を休ませることが出来た。


翌朝からしばらく連合軍の攻撃は遠距離から弓を射るばかりで、
積極的に、前に出て戦おうとする物は現れなかった。

時折、懲りずに華雄さんを挑発する部隊や、
張遼さんを挑発する部隊もあったが、
そういう時は、華雄さんと張遼さんが城壁の上で酒盛りを初めて
逆に相手を挑発したりしていた。


こうして私達の連合の士気を下げ、
時間をかせぐ作戦は成功し、後は賈詡さんの連絡待ちだ。


そして数日ほど経った時、敵の攻撃方法に変化が現れた。
兵や部隊の多さを利用した24時間昼夜問わず攻撃し、コチラの疲労を狙う作戦だ。

しかしコレも私の原作知識でわかっていたので、
コチラもそれ用の部隊編成に変更し、
休憩しながら対応していた。
それができるのも、衝車を一撃で破壊した火薬の印象が、
連合軍の中に根強く残っているため、
積極的に攻めることが出来ないからだ。

時折油壺を投げて火を付けてやるだけで、
兵が怯えて逃げ出すので、
コチラも損害を軽微に抑えながら楽に汜水関の守備をすることが出来た。

こうしてしばらくは汜水関での防衛戦はお互い兵糧攻めに近い、
消極的な時間稼ぎに終始した。


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  1. 2012/09/22(土) 16:58:07|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

誤字?

荀彧視点の曹操との会話で
「武ではありません。
私も一度だけ見たことがあるだけですが、喜媚が火薬と呼んでいて物で、
火を使い雷の様な轟音と光を発生させ、
周囲に甚大な被害を与える武器のようなモノです。
それを使って衝車を破壊したのだと思います。」
のうち、
[喜媚が火薬と呼んでいて物で、]は[喜媚が火薬と呼んでいる物で、]のほうがいいのではないでしょうか?
  1. 2012/09/22(土) 22:20:34 |
  2. URL |
  3. るーふぁ #TTgf5Lno
  4. [ 編集 ]

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/09/26(水) 18:00:22 |
  2. URL |
  3. たいち #-
  4. [ 編集 ]

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