たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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五十二話


汜水関




連合軍の斥候部隊が確認されたので、
すぐに兵に対して警戒態勢を取るように指示し、
私の部隊を渓谷や森に潜ませて連合軍の様子を探らせる。

私は望遠鏡で部隊の様子を確認しているが、
一番に斥候を飛ばしてきたのは曹操さんの部隊のようで、
兵の鎧から判別している。


「やっぱり一番最初に着いたのは曹操さんですね。
陳留は近いですし兵の練度も高いから行軍速度も早い。
一番いい野営地を確保しつつ、情報収集をするつもりでしょう。」
「やっぱ、連合で一番油断ならんのは曹操やな。
いいとこ取りしようとするだけのことはあるで。」
「ただそれをやられても面白く無いですが、
今は曹操さんを警戒するより、なるべく最低限の被害で連合を抑えて、
二度とこんなくだらない連合を組ませないことです。」
「せやな、そのためにも張譲と橋瑁は必ず始末したる。」
「橋瑁は呂布さんに任せないとダメですよ。
義理とはいえ母親の仇ですから。」
「わかってるって。
それより華雄は何しとるんや?」
「自分の部隊に気合入れてますよ。
交戦までまだどんなに早くても数日はありそうなんですがね・・・」
「まぁ、ほっとき、それで気が済むなら暴れられるよりマシや。
下手に刺激すると、今の内に曹操を潰そうとか言い出しかねん。」
「・・・・ハァ。」


そうして私と張遼さんで城壁の上から望遠鏡で監視していると、
数頭の馬に乗った人達が私達が普通に視認できる位置までやってきた。

よく見ると馬に乗っているのは先頭に曹操さん、
その後ろに夏侯姉妹と桂花、それに護衛が十騎ほどだ。


「はぁ~根性あるなぁ、これから戦闘しようっちゅうのに
護衛連れてここまで近づいてくるか。」
「ギリギリ矢が届かない位置ですね。
しっかりしてますよ。」
「呂布やったら殺れるのになぁ、あいつの弓は普通の弓とはちゃうから、
あの距離なら十分射程範囲内やな。」
「向こうも夏侯惇さんが居るから盾になるか打ち落とされますよ。」


私はバレたらまずいので壁面の矢を射る隙間から覗いている。

すると張遼さんが壁面の上に立ち手を降っている。


「な、なにしてるんですか!!」
「なにって挨拶やん、せっかくこうしてここまで来てくれたんや、
縮こまって隠れてどないすんねん。
大義は我にあり やで? 堂々としとったらええんや。」


そうして見ていると、曹操さんは口を手で抑えているので 笑っているのだろう。
その後 片手を軽く振って張遼さんに答える。


「っは、面白いやっちゃな。
頭来て矢でも射ってくるかと思ったのに、
のんきに返事返してよったで?」
「曹操さんはそういう人なんですよ。」
「おもろいやっちゃ、こんなくだらん連合やなかったら、
一度思いっきりやってみたいなぁ。」
「やるなら、一人でやってください。
兵を巻き込むんじゃなくて。」
「喜媚はそういうとこつまらんなぁ。」
「兵にも家族がいるんですから、武を競いたいなら個人でどうぞ。
それなら止めませんから。」
「まぁ、それ言われるとウチも辛いな。
さすがに兵やその家族を巻き込んでまで競いたいとは思わんで。」
「安心しました。
それでも曹操さんと戦争やりたいとか言うなら、張遼さんを軽蔑するところでした。」
「ウチもそこまでクズやないで?
でも おもいっきり自分の武を活かしたいと思うのは武人の性や、
コレは否定できん。」
「・・・そういうの、少しならわかります。
桂花がそうですから、彼女は自分の知を十全に活かしたいと思ってますから。」
「喜媚はそういうのないんか?」
「私は・・・自分の才を活かす場と家族や友人なら後者を選びます。」
「まぁ、ウチにもその気持わかるわ。
両方活かせたら最高なんやけどな。」
「今日からしばらくは両方活かせますよ。
張遼さんの武で洛陽の民、董卓さんの領民、この国の未来、自分の主君、皇帝陛下。
全てを守るために思う存分武を奮えますから。」
「せやな・・・今この瞬間こそが、
おそらくウチの人生で最高に武を活かせる機会なんやな。
守るべき民や主君だけやない、皇帝陛下までウチの後ろにおるんやからな。」
「私には援護しか出来ませんけど・・・死ぬな とは言いませんよ?
おもいっきり全力でがんばってくださいね。」
「・・・・ハハッ、喜媚はようわかっとるな!
ちょっと惚れてしまいそうやで?」
「私には桂花が居ますよ?」
「なら奪い取るか、一緒に愛でるかや。」
「・・・そうでしたね、張遼さん両方いけるんでしたね。」


その後、曹操さんが帰るまで私達は城壁の上で待機しながらいろんな話をしていた。


そうして数日ほどかけて、徐々に連合の兵が集まってきて、
視界いっぱい、隙間に無いくらいに兵や野営地を展開していた。
これだけ広範囲なら、夜襲の時は適当に火矢を放つだけで、
確実に何かに当たりそうだ。

今はまだ敵方の口上を聞いていないし、
コチラは専守防衛なので連合からせめて来ない限り手を出すことは、
董卓さんから許されていないが、
華雄さんじゃないけど 今攻めたら連合大混乱にできるよな・・
なんて考えながら敵の出方を見ていた。




--荀彧--


今私達は、反董卓連合野営地内で軍議を開くために作られた、
天幕の中で軍議を開いているのだが、
その議題はともかく話の内容がなんともくだらない・・・誰を総大将にするか?
と言う内容なのだが、明らかに袁紹がやりたがっているのだが、
そのくせ自分から言い出さないし、誰も推薦した責任を負いたくないので、
皆黙って袁紹のくだらない演説を聞かされている。

そんな中、遅れてやってきた劉備達が袁紹に総大将をやるように進めたのだが、
そのせいで最初の命令として、袁紹から劉備達に先陣を切るように命令が下った。
戦術は袁紹の元で働いた者ならわかる、皆のお馴染みの『美しく華麗に前進!』だ。

劉備や愛紗と一緒にいた北郷とか言う天の御遣いを名乗る男が、
うまく袁紹に取り行って兵を借り受けていたが、
焼け石に水だと思うのだが、どうするつもりなのか。
愛紗の選んだ主のお手並み拝見といくとしよう。


「袁紹様 変わってなかったねぇ。」
「誰も変えようとしないんだから変わり様がないわよ・・・って、
なんであんたがここにいるのよ荀諶!」
「なんでって、私とお姉ちゃんの天幕が同じだからだよ。」
「聞いてないわよ!」
「さっき決まったんだもん、当たり前じゃん。」
「クッ・・・この娘は・・・
華琳様のところに呼んでやったと思ったらなんで私の部下扱いになるのよ・・・
華琳様もこの件にはまったく聞く耳を持ってくださらないし。」
「それよりも喜媚ちゃんどうするの? 洛陽に居るんでしょ?」
「あんたも聞いてるでしょ、董卓が負けるなら強制的に連れて帰るわよ。
勝つなら張譲を捕まえて董卓に差し出して恩賞を狙うのよ。
その時は・・・・現状維持よ。」
「まったく。 お姉ちゃんが喜媚ちゃんに抱かれたんだから 少しは考え方変えて、
喜媚ちゃんと一緒にいるかと思ったから曹操様の所に来たのに、
肝心の喜媚ちゃんが居ないんだもんなぁ~。
お姉ちゃんホントダメだね。」
「うるさいわね! あんたに関係無いでしょ!」
「関係あるよ、私が喜媚ちゃんのお妾さんになれるかどうかなんだから。」
「絶対にあんたを喜媚の妾になんかしないわよ!
特にあんただけはダメよ!」
「・・・そんなに私に喜媚ちゃん取られるのが怖い?」
「この馬鹿娘がっ!!」
「きゃ~! お姉ちゃんにぶたれるぅ。」


私達が騒いでいると華琳様が、やってきた。


「あなた達! 外にまで聞こえるから少し静かになさい!
ウチの品位が疑われるわ。」
「す、すいません。」 「ごめんなさ~い。」
「桂花、荀諶、これから劉備の手並みを見に行くからいらっしゃい。」
「「はい。」」


そうして私達が戦場を見られる所まで行くと、
劉備だけではなく孫策達も一緒に居る。
何やら考えがあるようだが、どうするのだろうか?




--喜媚--


連合軍の動きが慌ただしくなり、
私達も対応するために、兵を配置につかせている所で、
袁紹さんが前に出てきて、好き勝手な口上を述べる。

内容は殆ど檄文に書かれてあるとおりの内容で、
洛陽で陛下を蔑ろにして暴政を働く董卓を討ち、陛下をお救いする。 と言う内容だ。
張遼さんによると、袁紹さんの両脇に居る男の内、
太ったほうが張譲で、痩せたほうが橋瑁だそうだ。


「恋が居ったらここから弓射って終わりやったのになぁ。」
「口上述べてる時に攻撃したら風評が悪くなりますよ。
董卓さんの統治には、特に風評が大事なんですから。
ところで・・・華雄さんは?」
「とりあえず関の中で休ませてある、
夜襲に備えて交代で番をするって言ってな。
まぁ、幾ら華雄でも、この口上で兵を動かさんやろ。」
「そうですね。」


そうして袁紹さんが引いた後に、劉の牙門旗と孫の牙門旗の部隊が前進してきた。


「まずいな。」 「まずいですね。」
「ウチ、すぐに華雄の所にいってくるわ!」
「お願いします。」


コレは事前に私が原作知識を元に賈詡さんに献策し、華雄さんに確認をとったのだが、
私達の予想通りならこの後に来るのは、華雄さん個人をねらった挑発行為だろう。

劉備さんと孫策さんの部隊がある程度関に近づいた所で、
すぐさま華雄さんを狙った罵声が聞こえ始める。
その内容は、関に篭ったままの卑怯者だとか、悪政を働く董卓さんの犬だとか、
まぁ、酷い内容だった。
そしてそんな中、罵声がある程度収まったと思ったら、
孫策さんの声が聞こえ始める。

華雄さんが孫堅さんに負けた事や、
その華雄さんが相手なら戦うまでも無い、
さっさと関を開けて逃げ出すがいいとか、そんな内容だ。


「孫策ぅ~~!!!」


関の中から華雄さんの怒声が聞こえ始め、
まずいと思った私は、すぐに華雄さんの元に走っていく。


「張遼さん!」
「コラ! 華雄! 予めこうなることはわかってたやろ!!
お前が今出て行ったら詠の策が台無しになるやろうが!」
「ならば貴様は孫策にああまで私の武や部下を馬鹿にされて、
黙って聞いていろというのか!!」
「そうや!! この戦には月だけやない、
この国の未来が懸かってるんや!!
お前一人罵られたからって策を台無しにされてまるかい!!」
「私だけではない、私の部下や董卓様まで貶されて黙って居られるか!
張遼! 貴様 我等が主が馬鹿にされて黙っているのか!? それでも武人か!?」
「腹が立つのはウチかて同じや!
せやけどココで出て行ったら全て台無しになるやろうが!」
「貴様 そこまで腑抜けたか張遼!」
「なんやて!?
腑抜けはお前やろうが華雄! 事前にこうなるとわかってるのに、
頭に血ぃ登らせて突っ込んでいって、勝てる戦棒に振って何が武人や!」
「私が孫策を討ち取ればいイイ事だ!
それで我等の勝ちが完全なモノとなり、董卓様や私の汚名もすすがれる!!」
「そんな頭に血ぃ登らせた状態で突っ込んでいっても、
一騎打ちに持ち込む前に袋叩きにあって潰されるのがオチや!
劉備や孫策の兵が手ぐすね引いてお前が出てくるのを待っとるわ!」


華雄さんは相当頭にきているのか張遼さんの説得を聞く様子はない、
このままでは遅かれ早かれ、華雄さんは飛び出ていこうとして、
張遼さんに斬られるだろう。
私の知る原作とは違い、張遼さんは心底董卓さんに忠義を誓っているし、
皇帝陛下の信頼もある。
賈詡さんと皆で考えた策が潰されるくらいなら、
張遼さんは迷わず華雄さんを斬るだろう。
そんな事になればせっかく兵の士気が高く 勝てる戦なのに、
敗北の可能性が高まってしまう。

私は歯を噛み締め、華雄さんの元へ向かう。


「華雄さん・・・」
「なんだ喜媚! まさか貴様も私を止める気ではないだろうな!?」
「華雄っ!!」


私は棒立ちの状態から、なるべく意を悟られないようにしながら、
華雄さんの頬を思いっきりひっぱたく。


「くっ・・・喜媚、貴様何のつ 「華雄っ!!」 ・・・貴様、どういうつもりだ?」
「情けない・・・普段は圧倒的に武に劣っている私の攻撃を、
躱すどころか防御する事もできず、
まともに受けるような状態の貴女が、今出ていってなんの役に立つ!
犬死するのがオチだ!
今の貴女は孫策が言うように犬以下だ!」
「喜媚、貴様まで私を愚弄するか!?」
「あぁ、しますね。
何が武人だ! 貴女の武は一体なんのためにある!
貴女の名のためか? 功績のためか? 名誉のためか?
違うでしょう! 民と主君、そして国と陛下のためでしょう!!
今のろくに武も発揮できない貴女が出ていってなんになる!?
賈詡さんや陳宮ちゃん達文官の皆がせっかく必勝の策を練ってくれたのに、
それを台無しにするだけでしょうが!!
そんな愚か者を犬以下だと言って何が悪い!!」
「貴様ぁ!!」
「頭にきたか? 犬畜生以下の華雄?
ならばその斧で私の首を切って勝手に犬死してこい!
どうせ貴女のせいでこの策はぶち壊しになって、董卓さんも賈詡さんも皆死ぬんだ。
私が先に逝っても何の問題もないでしょう?
さぁ、切るがいい、そしてあの世で後悔を胸に抱いて、
董卓さんと陛下に永遠に詫び続けろ!!」
「くっ!」


そう言って私は華雄さんに背中を向け、その場に座り込む。


「さぁ、どうした!
貴様の武を馬鹿にした者は狂犬のように噛み付いて切り捨てるんだろう?
コレではたりないか? 孫堅に負けた負け犬華雄。
あの世で今の貴様を見て孫堅も大笑いしているだろうよ!」
「ぐぐぐっ・・・・っ!」
「孫堅に負けた負け犬華雄、切るならウチも切りや!
ウチも先に逝って無様に負ける、お前をあの世から笑って見てやるわ!」


そう言って張遼さんも私の横に座り込む。


「ぐっ・・・・があぁぁぁっ!!」


そうして華雄さんの叫びの後、通路では破壊音がなり響き、
華雄さんの金剛爆斧が半分ほど壁に埋まっている。

私達の首は・・・繋がったままだ。


「くそっ!! ならば私はどうすればいいのだ・・・
ああまで、孫策に馬鹿にされて、部下や董卓様、私の武を貶され私は・・・」


華雄さんはそう言いながら座り込んで地面を殴りつける。


「華雄さん・・・そもそも華雄さんの武は一切汚されていませんよ?」
「なんだと? ああまで孫策にいいように言われて、
汚されてないなどと戯言を抜かすな!
貴様は武人じゃないからわからんのだ!」
「華雄さん、私だって幼少の頃から、毎日嫌って言うほど武術を訓練してきました。
今でも華雄さん達に偶にボコボコにされてますが、
そんな私に華雄さんの気持ちがわからないと本気で思うんですか?」
「・・・だ、だがっ貴様に私の何がわかる!?」
「わかりますよ。
少なくとも華雄さんの武は何一つ汚れなく輝いているという事くらい。」
「なん・・・だと?」
「華雄さんの武を光り輝かせるのはなんですか?
功績ですか? 名声ですか? 勝利ですか?
違うでしょう? 武人として主に忠誠を誓った華雄さんの武を最も輝かせられるのは、
ほかならぬ董卓さんと皇帝陛下でしょう?
董卓さんか陛下、どちらかが華雄さんの武を貶しましたか?
華雄さんの武を信じて、この汜水関での先陣を任せてくれたんじゃないですか?」
「・・・・」
「孫策が何をしましたか?
汜水関の堅牢さに恐れおののいて、
何とかしようと、小賢しくも親の威光に縋って、
華雄さんを口汚く罵ることしか出来ない負け犬ですよ?
そもそも孫策は袁術の子飼いの犬ですよ?
争いは同列の者だからこそ起こるんです。
華雄さんは董卓さんの子飼いの犬何ですか?」
「違う! 私は・・・私は董卓様に忠誠を誓ったんだ。
行く所もなく家柄に恵まれず 武しかなかった私を董卓様が召抱えて下さったんだ。
私はあのお方の優しさに・・・この国の未来を見たんだっ!!」
「ならば何を怒る必要があるのですか?
董卓さんは華雄さんを信じて先陣を任せてくれた。
董卓軍の一番槍は、親の威光に縋る事しか出来ない、
袁術の子飼いの犬と同等の価値があるのですか?」
「あるわけがない!!」
「じゃあ負け犬の遠吠えなど放っておきましょうよ。
華雄さんの後ろでは、董卓さんと陛下が安心して笑って見ていてくれるんですよ?
コレ以上の名誉が何処にあるというのですか?」
「・・・・・そう、か、
私の後ろには、董卓様と陛下が居てくださるんだな。」
「さぁ、立ってください。
董卓軍の一番槍にそんな姿は似合いませんよ。」


そうして私達三人は立ち上がりお互いの顔を見合う、
華雄さんの目には先程までの怒りの様子はなく、
澄んだ瞳をしている。
張遼さんの方を見ると静かに頷いている、この様子ならもう大丈夫だろう。


「・・・・さて、でも、言われっぱなしって言うのもムカつきますよね?
私達も少し言ってやりましょうか?」
「・・・? どうするんだ?」
「華雄さん、それに華雄隊の皆さんも私に付いてきてください、
城壁の上まで行きます。
そこで私が言うとおりに連合の犬どもに言ってやってください。
自分達がどれほど愚かな生き物なのかという事を。」
「城壁? ・・・も、もしかして、わ、私が舌戦をするのか!?」
「そうですよ、華雄さんは私の言う事を、
そのまま連合の兵に向かって言うだけでいいですよ。」
「それじゃあ、張遼さん後は任せました。」
「あぁ、行ってこいや! 守備はまかせときぃ。」
「あ、ちょっと待て、喜媚!」


私は華雄さんの腕を取り、城壁の上まで行き、
私は壁に隠れえて下からは見えない位置で待機する。

華雄さんが城壁に出てきた事で、
一時的に罵声も大きくなるが、
華雄さんがどこ吹く風で聞き流しているので、何かおかしいと思ったのか、
しばらくすると罵声が止む。

実際は華雄さんは表情には出していないが、
怒りで拳に力を込めて握りすぎたせいで 血が流れているのだが、
下からは見えないのでいいだろう。


(いいですか、私の言うとおりに言ってくださいね。)
(お、おう。)

『聞け! 愚かなる連合の者共よ!!
卑しくもくだらぬ謀で陛下のお住みになられるこの地を騒がす愚か者共よ!
我等が何も知らぬと思っているのか!?
そこに居る張譲は、
恐れ多くも先代の大将軍何進様を暗殺した首謀者でありながら橋瑁と結託し、
先代皇帝陛下、少帝弁様を誘拐し、
傷つけるなどと言う恐れ多い愚行を犯した犯罪者だ!
更に橋瑁は張譲の策謀に気づき、
阻止せんと橋瑁の兵を命懸けで阻止した丁原様を暗殺した首謀者だぞ!
その犯罪者の口車に乗り我が主、
董仲穎様が悪政を働くなどという愚かな噂に踊らされ、
洛陽に攻め入ろうとは、貴様らそれでも陛下に忠誠を誓った漢の臣民か!!

恥を知れ!!

我が主が洛陽に置いてどれほど民に慕われているか、
この堅牢な汜水関や洛陽を見れば一目瞭然ではないか!
民が悪政で苦しんでいるのなら、
どうして民はこのような堅牢な関を作る事ができようか!?
そうしてコレほど整備された道が作られようか!?

孫策! 今の貴様を見たら我が宿敵、孫堅も嘆き悲しむぞ!!
民が汗水流し作り、我が守るこの関に!
恐れおののき、口汚く罵声を浴びせることしか出来ぬなど、
今の貴様こそ犬畜生と同じではないか!

今一度聞け! 連合の愚かなる者共よ!
真に民を思い、皇帝陛下に忠誠を誓い、己が信念に一切の曇がないというのならば!
直ちに武装を解除し、我らに恭順せよ!!
さすれば真の洛陽の姿を見せてやろう!
我が主、董仲穎様が復興させ、民の笑顔が溢れ、陛下が安心して暮らす洛陽を!
そして、洛陽からこの国全土に広がる、
この国の明るい未来の姿を貴様らに見せてやろう!!』

(みんな今です! 鬨の声を!)


「「「「「「おおぉぉぉぉ~~~~!!!!」」」」」」


私の合図で、華雄隊の皆が鬨の声を上げる。
その声量は連合軍を圧倒し、汜水関やこの大地、
国が揺れているかのような、どこまでも通る大声で、
華雄さんの演説と華雄隊の鬨の声で圧倒された連合軍は、
そのまま黙りこんでしまう。

こうしてひと通り鬨の声をあげた後、
華雄さんは下がり、戦場が静寂に包まれる。


「やりましたね、華雄さん!」
「すごかったやん華雄!!」
「お、おぅ・・なんかすごかったな。
わ、私がやったんだよな?」
「そうですよ、どうですか少しはすっきりしましたか?」
「あ、あぁ、なんか今でも実感がわかないけど、
あれ? 私が舌戦をやったんだよな?」


華雄さんは自分が行った演説に実感が持てないようで、
不思議そうな顔をしているが、
紛れもなくアレは華雄さんが行った演説だ。

正直私もここまでハマるとは思ってなかったが、
案外華雄さんはこういう才能が有るのかもしれない。
華雄さん自身、部下からの信頼が厚い姉御肌な所があるし、
鍛えぬいた武からくるカリスマの様なものもある。
案外はまり役なのかもしれない。


こうして、反董卓連合の初戦は舌戦となったが、
間違いなく私達の勝利だろう。


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  1. 2012/09/22(土) 16:56:06|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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