たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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五十一話


洛陽




私達は洛陽の宮殿内にある作戦会議をする部屋で、
董卓軍の皆と集まっている。

そしてその中央の机に上には、袁紹さん、張譲、
橋瑁の連名で書かれた檄文が置かれている。


「さて、ボク達の努力も虚しく、とうとう最悪の事態になってしまったわ。
・・・袁紹のバカが、そんなに権力の座が欲しいのかしら。」
「・・・詠ちゃん、もう 避けられないの?」
「月ごめん、もう無理なのよ、この檄文が撒かれた以上、袁紹は引く気はないわ。
私達が生き残り、私達の領民を守るには、連合に勝つしか無いの。」
「・・・・わかった。 ならば賈文和! 全権を貴女に授けるから必ず勝利を収め、
この洛陽と、私達の民と、そしてこの国の未来を守りぬきなさい!」
「はっ!」


部屋に入った当初の董卓さんの気落ちした表情とは打って変わり、
今は武人と見間違うくらいのしっかりした眼光に、
王としての覇気を放ちながらしっかりとした号令を出す。


「・・・・へぅ~、こんな感じでいいかな?」
「最後のがなければ最高だったわね、月。」
「いやいや、こっちのほうが月らしいで。」
「董卓様、ご立派でした!」
「・・月は今の方がいい。」
「恋殿の言うとおりですぞ! なれない事はするものじゃないです。」
「董卓さんカッコ良かったよ。」
「へ、へぅ~。」


だがそれも束の間、長くは持たないようで、
すぐにいつも通りの董卓さんに戻ってしまう。

いつもの董卓さんに戻った所で、部屋の空気が張り詰めたものから、
穏やかな空気へと変わっていく、コレも彼女の持つ魅力の一つなのだろう。

こうして賈詡さんの元、引き続き防衛策を練ることになる。


「まず敵が何処から攻めてくるか?
だけど、コレは予定通り東、汜水関の向こうからと言う可能性が最も高いわ。
最大勢力であり、呼びかけ人である袁紹が連合の指揮を取る可能性が高い。
それ以外の諸侯にしても北に黄河に邙山、南に伏牛山があり、
攻めるなら東か西、または黄河を上がってくることだけど、
コレは考えなくていいわ、
大規模の軍勢が移動出来るだけの船を用意できるとは思えない。
小規模の兵が上がってきたとしても孟津港の防衛隊で阻止できるはずよ。
最悪足りなくても洛陽から予備兵を出せる。
西は馬騰か劉焉が攻めて来る場合だけど、
馬騰は皇帝陛下に忠誠を誓っているし、昔からの付き合いもある。
献帝様に書簡を書いてもらったので敵に回るよりも、
むしろ味方になってくれる可能性が高いわ。
悪くても敵には回らず金と兵糧だけ出して日和見ね。
劉焉は身内の跡目争いで内紛を起こしているから、参加する余裕があるとは思えない、
劉焉の子の内 誰かが功を上げるために参加して来るかもしれないけど、
単独で出せる兵数で函谷関を抜けられないから、
やはり参加するとしても東の本体と合流するはずよ。
参加しそうな諸侯で目立った所は、袁紹、橋瑁、袁術、曹操、
後は細かい所が幾つか集まってくると思うわ、目立つ所では黄巾の乱で手柄をあげ、
天の御遣いを擁していると言う、劉備や公孫賛当たりかしら。
どちらもそれほど問題にするほどではないわ。
連合の兵数は五万から多くて八万ほど、
コチラは汜水関の防衛で出せて三万虎牢関で一万、洛陽防衛で二万よ。
敵が八万の場合、最大兵数では二万の差があるけど、
汜水関では三万で抑えてもらう事になる。
そもそも関にそれだけの人員が入らないので、
汜水関の西側で、野営をしてもらい、交戦時に交代で休息をとってもらう形になるわ。
敵も同じで一気に八万の兵を相手にするわけではないから、
汜水関で時間を稼ぎつつ、喜媚の策の準備をするわ。」
「細かい事は賈詡に任せるが、先鋒はもちろん私だろうな?」
「華雄には虎牢関で防衛をしてもらう、先鋒は霞、恋、音々、喜媚よ。
「なぜだ! こんな大戦で董卓軍の一番槍の私が先鋒でないのはなぜだ!?」
「貴女のその性格が問題だからよ。
霞に頼んで矯正してもらおうとしたけど結局治らなかった。
貴女が敵の挑発に乗って、汜水関から飛び出したら、
全てが水の泡になる可能性があるのよ?
そんな危険を犯せるはずがない。」
「敵の挑発に乗らなければいいだけだろう!
私とてこの一戦がどれほど大切なモノかくらい承知している!」
「・・・その言葉本当でしょうね?
本当に貴女、この戦がどれほど大切なモノなのか分かってるの?
洛陽の民、私達の領民、月に献帝様、それにこの国の未来がかかってるのよ?」
「わかっている!!」


賈詡さんと華雄さんがお互いを無言で睨む。
しばらく時間が経った所で、賈詡さんが息を吐き、
やれやれといったような表情で折れた・・・・がコレは実は演技だ。
最初から華雄さんを先鋒から外せるとは思っていない。
華雄さんの性格だ、
賈詡さんも華雄さんを先鋒から外したら、
虎牢関で彼女がまともに指揮ができるとは思っていない。
そのために敢えてこんな演技を挟んで、
華雄さんに絶対に挑発に乗るなという釘を刺しているのだ。


「ふ~、わかったわ、先鋒は指揮官が霞、華雄、喜媚の三人でいってもらう。
虎牢関は恋と音々、ただし華雄、絶対に挑発に乗って勝手な行動を取らない事。
勝手な行動をとった場合 最悪・・・霞に貴女を斬らせるわ。
それでいいわね?」
「構わん!」


その華雄さんの様子を見て、賈詡さんは私と張遼さんの目を見る。
その視線からは (心配だけど後は任せたわ) (任せとけ。)
(やれやれ、やっぱりこうなるか。)
と言った、お互いの心境が読み取れた。


「恋、音々悪いけど虎牢関に下がってもらうわ、
そのかわり必ず橋瑁は貴女の前まで引っ張ってくるから、我慢してちょうだい。」
「・・・・・わかった。」
「分かったです。」
「後の防衛方法や策は以前 喜媚が話した策を主軸にしていくわ。
・・・こんな策は前代未聞だけど、本人が納得している以上、問題無いでしょう。」
「汜水関でなるべく敵兵を減らしながら時間を稼ぎ、
敵の士気を下げつつ撤退はさせない。
ココで敵兵を減らしておけば、
今後こんな馬鹿な事をしでかさないように諸侯の力を削ぐことができる。」
「・・・・・それしか無いか。」
「悪いわね、喜媚。
あんたの気持ちもわかるけど・・でもこうなった以上、敵兵に掛ける情けはないのよ。
そうでないと私達の守るべき領民が死ぬ事になる。」
「・・・わかってるよ。
私も全てが救えるとは思って無い。
私には手の中に収まる人しか救えないし、
それが董卓さんや協ちゃんでも変わるとは思ってない。」
「そして時期を見て汜水関を放棄して虎牢関まで下がり、
時期を合わせて虎牢関を開放、そして最後の切り札で連合に止めを刺す。」
「曹操さんの件はどうするの?」
「一応連絡を取って連合の内紛を誘いつつ、
張譲と橋瑁が逃亡しないように見張らせておくくらいでいいわ、
それ以上何か頼むと借りを作る事になる。
あの女に余計な借りを作っておきたくないわ。
どうせならしくじって連合内部で潰されて欲しいけど・・・ごめん、
あんたの前で言う事じゃなかったわね。」
「いいよ・・・曹操さんが厄介なのは私もよく知ってるし、
桂花の事は心配だけど、この連合の暴挙を許すと洛陽の多くの皆が苦しむ。
・・・・桂花一人と洛陽の皆では秤にかけられない。
桂花は怒るかもしれないけど、
連合が組まれる可能性については事前に話しておいたからわかってくれると思う。
もちろん策の事は何も言ってないし 言うつもりもないよ。」
「そこは信用してるわ。
私達も曹操がコチラを潰す気が無い内は、
コチラから潰すこともないから、喜媚は自分の仕事を全うすることだけを考えてね。」
「うん。」
「それと馬騰の件だけど、この会議の少し前に早馬が来て、
少し遅れてコチラの応援に来るそうよ。
洛陽の警備の為に洛陽周辺での野営の許可を申し入れてきたわ。」
「それは良かったね、馬騰さんが敵に回らなくて。」
「えぇ、それと馬騰自身はまだ体力が回復していないし、
西の羌族のこともあるので、娘の馬超と姪の馬岱が来るそうよ。
あと、この戦の後、月と喜媚に会いたいそうよ。
是非お礼を言いたいのと、お礼の品を用意しているそうよ。」
「分かりました、では戦の後に面会の予定を取りましょう。
陛下にも是非会っていただかないといけないですし。」
「じゃあ、その日がわかったら教えてね。
私も店の事があるし。」
「えぇ、そういえばあんたの店といえば劉花様だけど・・・」
「劉花ちゃんは一応納得してくれたよ、戦の時は董卓さん達と一緒に宮殿居るって。
大分不信感も溶けてきたみたいだから、もう少ししたら大丈夫かもね。」
「そう、良かったわ。」


こうしてこの日の軍議は一旦ココで終了し、
武官や私の部隊を再編成し、武器や資材などを確認してから、
再度軍議を開き、私は連合への破壊工作の為に先行して汜水関へと兵を進めた。




--??--


(はぁ・・ボクって嫌な女だな・・・あの時 喜媚が悲しむのを知ってても
曹操・・それより荀彧に潰れて欲しいと思ってしまった。
そうしたら喜媚がボクを見てくれるんじゃないか?
落ち込んだ喜媚をボクが慰めれば、と考えてしまった。
今までは月だけが居ればそれでよかったのに、今は・・・・
喜媚の知に触れ興味が湧き、優しさに触れて惹かれて、
民・・ボク達の為に荀彧よりも ボク達を選んでくれた事が本当に嬉しかった。
この戦が無事に終わったら・・・ボクは女として荀彧から喜媚を奪ってやるわ!)




--喜媚--


私達は輜重隊を伴ない、先行して汜水関へと移動していく。
連合が汜水関に辿り着く前に、やれる準備をするためだ。

汜水関に着いた私達はまず敵の移動速度を少しでも抑える為に、
主要道路脇に深さの浅い塹壕を掘って行く。

次に輜重隊の馬車に乗せた資材を組み立てる。
組み立てるといっても汜水関の関の上に、
予め置いてある丸太に鎖をつなぎ設置するだけだ。
コレは梯子で上がってくる敵兵を叩き落すための仕掛けだ。
それと大きな布と長い棒をきつく紐で結んで置く、
コレは火計時には水に濡らして消火し、
平時は敵の矢を回収し再利用するための仕掛けだ。
関に篭っての籠城戦なので、再利用できる矢は貴重だ。
関所の壁や盾に刺さってしまっては再利用は難しいが、
布に刺さったものや、はたき落としたものは再利用が容易にできる。
後は食料としても武器としても使える油壷や小麦粉などを、
輜重隊の馬車から下ろして、倉庫に運び込む。
私の士官用の個室には、火薬の入った壺を厳重に保管しておく。
兵に使うつもりはないが、衝車を破壊するのと、敵を混乱させるには最適だろう。
・・・実験で皆に見せた時に賈詡さんに追求されたのが怖かったが、
今は時間が無いという事でごまかしてきたので、
この戦が終わった後の追求は逃れられないだろうが、
製法を教えるわけにはいかないので、なんとか追及をかわす方法を考えておこう。

後続の華雄さんと張遼さんの部隊はもっと大量の武器や食料を運んでくるので、
倉庫の整理も今の内にして、何処に何があるのかわかりやすいように、
リストを作っておく。

更に私の工作部隊・・・なぜか皆 私と同じ黒い上着に猫耳頭巾なのだが、
私の部隊に周囲の地形を覚えさせ、
連合に夜襲を駆ける時に優位な状況を作り上げておく。
この夜襲は、火矢を何本か撃つだけの 戦果はまったく期待できないものだが、
敵が夜中に安心して眠れない状況を作り出すにはこれで十分だ。
夜襲の警戒のドラが毎晩鳴れば、兵は睡眠不足になるだろう。


幾つか他にも準備をしながら 張遼さん達の到着を待っていたが、
数日後、汜水関防衛の本体が到着した。
呂布さん達はしばらくした後に、
追加の物資を積んだ輜重隊と一緒にやってくる予定だ。
汜水関の西側では野営の準備が進められている。

私の案で日持ちの良い漬物などを持ち込んでいるので、
通常の戦時の野営よりも食生活はかなりいい。
コチラには大義があり、食事も良い、
敵よりも事前に到着し準備を進めているので、
休息する時間もあり体力的にも問題無い。
味方の兵達の士気もかなり高く維持できるだろう。

それに引き換え、敵軍はここまでの長期の行軍で疲労しているし、
賈詡さんが事前に流した董卓さんの善政の噂と、
袁紹さん達が流した悪政の噂の両方で悩むことになる。
舌戦でその部分を指摘してやれば敵の兵の士気はさらに落ちるだろう。


「よう喜媚、どんな様子や?」
「こっちは何も問題ありません。
順調に準備が進んでます。
敵兵もまだ斥候すら見えて来ません。」
「そか、ならしばらくは休憩やな。
ここまでの行軍で兵も疲れてるから、いい骨休めになるやろ。」
「そうですね。
・・・・華雄さんの様子はどうですか?」
「・・・最悪や、やる気満々、ほっといたらすぐにでも飛び出していきそうや。」
「抑えられそうですか?」
「抑えるしか無いやろ、どんな手を使ってもな。
どんな戦でもそうやけど、この戦には負けは許されへん。
・・・たとえウチが華雄を斬ることになってもな。」
「そうならないように私も最善を尽くしますよ。
ただ、以前もいいましたが、孫策さん、孫堅さんの娘さんなんですが、
この人が出てきた時は注意してください。
他の兵の挑発は我慢できても、この人の挑発は我慢出来ないかもしれません。」
「華雄と孫堅の因縁か・・・」
「ええ。
華雄さんは孫策さんの母親の孫堅さんに一度負けてますから、
その娘で雪辱を晴らそうと考えてもおかしくありませんので。」
「分かった、孫策が出た時は華雄から目を離さんようにしとくわ。」
「お願いします、力では私では抑えられないので。」


この日から数日、初日は華雄さんは 「敵はまだか~!」
と 大騒ぎをしていたが、
さすがに数日も経つと落ち着いて来たようで、
おとなしく身体を解すだけの訓練をして時間を潰している。

張遼さんは汜水関の城壁の上で私と日向ぼっこをしながら、
敵軍の斥候がいつ来てもいいように眺めている。
すでに城壁の上には、華と張の牙門旗が立っており、
隅っこの方に私の急ごしらえの真っ黒で四角い旗に、
猫耳を模した意匠が施された小さい旗も立っている。
私は要らないと言ったのだが、
賈詡さんに無理やり用意されて、
私の部隊の人達も気に入っているようなので 私も諦めて旗を立たせてある。
賈詡さんが言うには胡の文字を入れるか 猫と入れるか迷ったせいで時間がなくなり、
無地になってしまったそうだ。
正直言わせてもらえれば、余計な事は止めていただきたい。


こうして更に数日後、敵軍の斥候が発見され、
とうとう歴史に名を残す反董卓連合、汜水関の戦いが始まってしまった。


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  1. 2012/09/22(土) 16:55:07|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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