たいちの仮設避難所

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四十八話


洛陽




翌日、またしても曹操さんに朝からかわれたが、
昨晩は私と桂花にとっていろんな意味で大事な夜になった。

曹操さんも昨日と態度が違うことで何か察したらしく、
それ以上からかうこともなくなり、
朝食は穏やかに進んだ・・・・が劉花ちゃんだけが非常に不機嫌な様子だった。


曹操さん達は本日は協ちゃんと董卓さんに面会できる日なので、
宮殿は直ぐ目の前なので護衛は必要ないと言い、
桂花を連れて宮殿に行ったので、
李典さんのみが家に残されていった。




--荀彧--


私達は、先日皇帝陛下と董卓に面会を希望した時に言われた時間通りに宮殿に訪れる。
どうも先日の話から、喜媚は董卓と面識があるようだし、
先代の皇帝陛下から今の代に変わったことに関係あるような気がする。

董卓がどういう人物なのかこの目で見定めるために、
私は気を入れなおして面会に挑む。

謁見の間に通されると、少し待たされた後に、
董卓とおもわれる女が何人かの女官を引き連れ現れる。


「これから陛下がお出でになりますので、伏して待つように。」
「「はっ。」」


そうして広く無音の謁見の間に人が歩く足音が聞こえ始め、
今代の皇帝陛下、献帝様が現れる。


「ふむ、面を上げい。」
「「はっ。」」


初めて目にする陛下は私よりも少し年下だろうか?
気品のある少女で来ている豪華な服を着せされていると言う様子はなく、
見事に着こなしている。
その事から生まれや品の良さが窺い知れる。

そして脇に控える少女、一番奥にいるのが董卓だろう。
華琳様のような人を圧倒する覇気のようなものは感じないが、
彼女からは穏やかな感じを受ける。
当初私が想像した女は、野心にあふれた女だったが、
まったく意表を付かれた感じである。


そうして華琳様の形式通りの挨拶のやり取りが済み、
コレで謁見が終わるかと思ったその時である。


「ふむ、そのほうが荀彧か。」
「・・は?」
「なんじゃ、お主が荀彧ではないのか?」
「い、いいえ、私が荀文若であります。」


陛下は私の返事を聞くなり私を観察するように見た後・・


「そうかそうか・・・・ふむ、
妾のほうが勝っておる・・・・うむ、勝っておるに違いない。」
「・・・むっ。」


なにか一部にすごく不愉快な評価を受けた気がした。


「荀彧よ、友とは仲良うしておるか?」
「は? ・・はい!」
「そうか、仲良いことは良い事じゃからのう。
時に・・ 「陛下!」 何じゃ賈詡、コレから良い所じゃというのに。」
「陛下はお忙しいのですから、
そのような些事は置いておきますようお願い申しあげます。」
「コレは妾や姉様にとって重要な事じゃろう。」
「へ い か !」
「わ、わかった、ほんに賈詡は融通がきかぬのう。
妾は引っ込んでおれば良いのであろう。」


・・・コレが皇帝陛下だろうか?
先ほどの威厳は何処かに吹き飛び、
今はどこかの良家のお転婆な子女のようではないか?

華琳様は肩を震わせて笑いをこらえているようだ。

そうして陛下が退席した後、謁見の間には董卓達と、私達だけが残された。


「すいません曹孟徳様、陛下はまだ幼いので、
いろんなことに興味があるようで・・・
あ、私が董仲穎です、以後お見知りおきを。」
「別に気にしてないわ。
なかなか、楽しい御方で 仕える私としても実にやりがいがあるわ。」
「そう言っていただけると幸いです。
時に曹孟徳様、この洛陽はどうですか?
孟徳様は以前の洛陽の事を私よりも知ってらっしゃるでしょうから、
どのように目に写るのか、評価などをお聞かせくだされば、
今後の統治の役に立つのですが?」
「短い期間で大変よく統治されていると思うわよ。
少なくとも私が知る洛陽よりは、良くなってると思うわ。」
「そうですか!
そう言っていただけると幸いです。」


そう言うと董卓は破顔し嬉しそうに微笑んでいる。
その様子を見て、私はこの女の王としての資質を見た気がする。
信賞必罰を実践し必要ならば 自らの危険も顧みずどんな事もされる華琳様と違い、
優しさや徳で人を導くような王と見た。


「私が着任した時は洛陽は酷い有様で、
なんとか民に安心して暮らしてもらえるように、様々な施策を練ったのですが、
それらが実を結ぶのはまだ先の事です。
ですが現状でもやれることは全てやっておりますが、
過去の洛陽を知る曹孟徳様に認めていただいて、良かったです。」


やられた、と思った。
喜媚が昨夜 私に語った通りなら、華琳様は董卓の治世を認めた事になる。
せめてもう少し時間があり、
華琳様に昨夜 喜媚から聞いた話をする時間があれば、
まだ返答に工夫をすることが出来たのだが・・

華琳様がにこやかに微笑んでいる所を見ると、
私と同じようにやられたと感じたのだろう。
追い詰められた時こそ優雅であれ、と 以前華琳様が言っていたのを思い出す。


「董仲穎様の治世は実に参考になるわ。
少し洛陽を見せてもらったけど、私も幾つか同様の施策を使っているわ。
珍しい施策だから私くらいしか使ってないと思ったのだけど、
董仲穎様はこのような優れた施策を一体どのように思いついたのかしら?」
「私にはこのような施策を思いつくような知識はありません。
私を支えてくれる皆の助力のおかげです。」
「なるほど、よい部下や友人に恵まれてるようね。
私の友人にも実に珍しい施策や知識を有する子がいるのだけど、
案外同じ友人だったりしてね。
胡喜媚と言う子なのだけど。」


華琳様が喜媚の名を出した時にわずかに、賈詡以外の董卓の護衛の者が反応した。
コレは当たりね。


「ならば私の友人の友人はまた友人、
そうならば私も曹孟徳様と良い友人になれそうですね。」
「そうね、私も出来れば良い関係を築けたらいいと思うわ。」
「そうですね、曹孟徳様はしばらく洛陽に滞在されるのですか?」
「いいえ、私も陛下から賜った土地を治めないといけないので、
近日中にでも御暇するわ。」
「そうですか、残念です。
よろしければ宴席など一席設けようと思ったのですが。」
「ありがたいけど今回は遠慮させてもらうわ。
又の機会を楽しみにしているわ。」
「ええ、それでは。」
「それでは失礼するわ。」
(・・・・)


そうして礼をした後私と華琳様は、宮殿を後にする。


「当たりね、喜媚が関わってるわ。
桂花の知らない施策もあるのよね?」
「・・・・はい。
まったく、あの馬鹿は・・・」
「コレでますます、あの子が欲しくなったわね。
それに董卓もなかなか面白そうな子ね。
今回は痛み分けというところだけど、フフ。」
「華琳様・・・実はお話したい事が。」
「じゃあ庭園でも見せてもらって 少しゆっくり戻りましょうか。」
「はい。」


そうして私は昨晩喜媚から聞いた話を華琳様に話す。


「そう、おおよそ、私も似たようなことを考えていたわ。
ならば、今回、私はまんまと董卓に釘を刺されたと言う事かしら。
洛陽の統治をこの目で見て謁見の間で褒めさせられたのだから。」
「すみません、私がもっと早くこの話をしていれば・・・」
「別にいいわよ、私も同じようなことを考えていたといったでしょう?
もし、今後反董卓連合なんてものが組まれて、董卓が潰されるならばそれでよし。
董卓が勝ちそうなら私はなんとかして勝ち馬に乗れるようにするだけよ。
そのためにも桂花には今以上に働いてもらうわよ。」
「はい!」


こうして私達の皇帝陛下と董卓への面会は終わった。




--喜媚--


「李典さん、李典さんは工兵部隊を率いていて絡繰りが得意だと聞いたので、
ちょうどいいので実は見てほしいものがあるのですが、少しいいでしょうか?」
「ん? ええで。
なんか面白いものでも見せてくれるんか?」
「面白いかどうかわかりませんが、ウチのお風呂なんですが、
その配管を李典さんに見てもらって、もう少し改善できないかと思いまして。」
「へ~この屋敷、風呂もあるんか。」
「えぇ、丁度今日はお風呂の日なので、入ってもらえると思いますよ。
結構広くて、足を伸ばしても十分な広さがありますよ。
その分色々大変なんですけど。」
「ほんならちょっと見さしてもらます。」


私は李典さんを連れて風呂場の方へ向かい、例の鉄のパイプの配管を見てもらった。


「コレなんですけど。
今は地元の許昌の鍛冶屋さんにお願いして作ってもらってるんですが、
水に浸かってるのと火の熱で消耗が激しくて。
何か李典さんの方でいい改良案があったら聞かせてもらいたいのですけど。」
「・・・・こ、コレは!
そうか、浴槽につないだこの鉄の管の中に水を通して、
その管を火で温めることで水を沸かしとるんかいな。
こないな使い方があったんかいな・・・
確かに普通の鉄やったらすぐに錆びて使い物にならんようになるから、
定期的に取り換えが必要やけど、
ウチが螺旋槍につこうてる鉄ならもう少し強度が出るはずや。」
「本当ですか? 私としては取り替えるのはしょうがないとしても、
その回数を減らせたり、お湯の沸き具合が良くなったらそれでいいんですけど。」
「せやな、今は無理やけど、陳留に帰ったらコレと同じ寸法で作って、
ここに送ったろか?
材料費だけ貰えればええけど、
その代わりに陳留で華琳様のお風呂にコレと同じ物使わせてもらうけどええかな?」
「それはかまいませんよ。
だけど材料費だけでいいんですか?」
「ええで、おもろいもん見せてもろうたし、
コレを使えば陳留の風呂も今より沸かしやすくなるからな。
せやけど、それと同時に焼けた石も使って一緒に沸かしたら、
もっとはようお湯を沸かせられるけど、なんでせえへんの?」
「・・・・完全に忘れてました。」
「喜媚はんは意外に抜けてるんやなぁ、まぁ、ウチも似たような事やることあるから、
あんまし人のこと言えへんけどな。」
「ありがとうございます、コレでお風呂のお湯をわかすのがもっと楽になりそうです。
それと コレは別の相談なんですが、コレと同じような鉄の管を作れますか?
穴はかなり小さくて穴と同じ寸法の鉄の玉が作れれば申し分ないのですけど。」
「鉄の玉は簡単やけど、コレよりも小さい寸法の鉄の管か・・・ちょっと難しいな。
どれくらいの大きさの穴なんや?」
「小指の先くらいなんですけど。
その管を真っ直ぐ加工して途中で鉄の玉を入れる穴を開けて欲しいんですけど。
長さは三尺ほどで、ある程度の強度を持たせるために、
鉄の作りは厚めにして欲しいんです。
詳しい図面は必要なら書きますけど。」
「ん~ちょいと難しいな、一応検討してみるけど作れんかったらかんにんな。」
「いいえ、できなくて元々だと思ってますから。」


流石に火縄銃に使える銃身は、
この恋姫世界で異常な技術力を持つ李典さんでも無理かな。
量産も出来ないだろうから、
私の護身用に一丁欲しいと思ったのだけど どうも難しそうだ。
一丁だけあっても火薬を作れなければ鈍器としか意味のない物だから、
奪われても私以外使いこなすことは出来ない。
これから乱世に向かう可能性がある以上、
私の武力を補う何かが必要なのだが、今のところ火薬しか無い。
なにか他にいい物があればいいのだが・・・


このあと私は李典さんとお風呂の構造等について話し、
そのあとはお店の営業の方に戻っていった。


午後になり、曹操さんと桂花が戻ってきたので、
昼食を用意しようとしたが、董卓さんの所でご馳走になってきたらしい。


「曹操さん、陛下や董卓さんはどうでしたか?」
「はっきり言って予想外ね。
董卓があんな娘だとは思わなかったし、
陛下もまだ幼い面が見えたけど、双方とも芯はしっかりとしている。
なかなかおもしろそうな娘達だったわよ。」
「そうですか。」
「真桜はなにかおもしろい話を喜媚から聞けた?」
「はい、華琳様!
陳留のお風呂が今よりも大分使いやすくできそうです。」
「あら、そう。
どう使いやすくなるかは後で聞くとして、期待してるわよ。」
「はいな!」
「お風呂と言えば曹操さん、今日家はお風呂の日なんですけど、入られますか?」
「当然入るわよ。
まさか、出先で風呂に入れるとは思わなかったわ。
せっかくだから堪能させてもらうわ。」
「はい、桂花も入っていってね。」
「えぇ・・だけどあんた、ここにもあのお風呂作ったの?」
「うん、許昌の鍛冶屋のおじさんに頼んで鉄の管作ってもらってね。
送ってもらったんだ。」
「そう、じゃあゆっくり汗を流させてもらうわ。」
「あら? あなた達一緒に入らないの?」
「・・・・人目がある時に一緒に入りませんよ。」
「じゃあ、喜媚は私と一緒に入る?
私、まだ貴方が男だって完全に信用できてないのよね。
裸を見れば納得できるのだけど?」
「嫌ですよ! 恥ずかしいですし。
曹操さんも少し恥じらいを持ったほうがいいんじゃないですか?」
「私は見られて恥ずかしい身体をしてないもの。」
「そう言う事じゃなくてですね・・・」
「冗談よ。 私だって簡単に男に肌を晒すほど恥知らずな女じゃないわ。」
「・・・まったく。」
「それよりお茶をもらえる?
食事はとってきたけど、洛陽を見て回る前に少し休憩したいわ。」
「はい、じゃあ、今用意します。」


こうしてお茶を飲んだ後、曹操さん達は三人で洛陽の視察に出かけていった。

夕食時に曹操さんが話していたのだが、
翌日、同じように視察し休養を取り、明後日、曹操さん達は陳留に帰るそうだ。


「そっか、随分短い逗留でしたね。」
「私も仕事があるから、そう長くココにいるわけにも行かないのよ。
桂花には残念だけど・・・喜媚が陳留に来れば全て丸く収まるのだけど?」
「残念ですけど、私も店を離れるわけにも行きませんので。」
「そう。 まぁ、今回はゆっくり話を出来ただけでよしとしておくわ。
貴方がどういう人間か見ることも出来たし。」


曹操さんが私をどう思っているか・・・
そう言われてみると気になったので、聞いて見ることにした。


「曹操さんの目には私はどう写りますか?」
「そうね、よくも悪くも民そのものね。
日々を穏やかに暮らしたいって言う言葉に嘘はないわね。
ただ、貴方のその中にあるモノはとても輝いて見える。
桂花や春蘭、秋蘭や真桜達みたいな才能の輝きじゃない、
知性・・・違うわね、知識ね。
まるで湯水の如く湧き上がる貴方のその知識は一体何処から来るのかしらね?」
「・・・あはは。」


余計なことを聞くんじゃなかった。
桂花もそうだが、曹操さんはこの短期間で私の異質さを見抜いているようだった。


(これだから曹操さんにはできるだけ会いたくなかったんだ。)
「今 私に会いたくなかったって考えてるでしょう?」
「そんなこと無いですよ?
曹操さんのような綺麗な方にあえて嬉しくないわけ無いじゃないですか。」
「だったら余計なことは言わないほうがいいわよ?
うまく表情を隠しているけど、私を妙に褒めるから図星だって行ってるようなものよ。
そこは否定するだけに留めておくべきね。」
「・・ご忠告感謝します。」
「フフフ。」
「・・・・・・むっ。」


私と曹操さんが話していると、
桂花が私を睨んでくる・・コレは後でご機嫌取りが大変そうだ。


こうしてこの数日後、桂花達は陳留へ帰っていった。
短い間だったが久しぶりに桂花に会えて、
触れることができたことで、自分の桂花に対する気持ちを再確認することが出来た。

ただ・・・桂花が去り際に私の耳元で、
「隠れて浮気したら殺すわよ。」
と呟いていったので、浮気するつもりはないが 迂闊なことは出来ないなと、
改めて心に誓ったのだった。


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  1. 2012/09/21(金) 14:08:17|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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