たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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四十四話


洛陽




「あんた劉べ、劉花様に接客をやらせるつもりなの!?」
「私達も止めたんだけど、本人がやりたいって聞かなくて・・・」
「すいません賈詡様、私もこれからは市井の民として生きる以上、
ただ、この店で座っているだけというのも辛いのです。
喜媚様に無理にお願いして、接客を習っているのですがダメでしょうか?」
「劉花様・・貴女の身を守るためにも出来れば控えていただきたいのですが。」
「すいません、でもどうしてもやりたいのです。
今までのように ただのお飾りではなく、自分の手で 何かをやりたいのです。」


賈詡さんは劉花ちゃんの表情を見ているが、
劉花ちゃんの表情は真剣そのもので 折れる様子はない。


「・・・・喜媚、アンタわかってるわね?
もし劉花様に何かあったら・・・」
「わかってるよ。
だから警備の人にも常に劉花ちゃんに付いていてもらうようにお願いしてあるから。」
「・・・何か問題があったらすぐに他の者達に言ってくださいよ?
劉花様に何かあったら、ここにいる全ての者が罰せられる事になるのですから。」
「はい、無理をして皆の足を引っ張るような真似をするつもりはありません。
皆さんにもお願いした時にさんざん言われましたので。」
「はぁ~・・分かりました。
重ねて言いますが 何か問題が起こったら すぐさま兵が対応しますから、
そういった時は劉花様は兵の指示に従ってくださいね。」
「分かりました。」
「それとあんた、ちょっと来なさい。」
「ん? なに?」


賈詡さんに個人的に呼ばれた私は部屋に隅の方に連れて行かれる。


(いい、あんた。 間違っても劉花様に手を出すんじゃないわよ。
指一本触れるんじゃないわよ!
そんな事をしよう物なら即、去勢するわよ。)
(出さないって! さすがにその辺の分別はついてるよ!
だけどさすがに指一本触れずには無理だよ・・・)
(それくらい細心の注意を払えって意味よ!
特に劉花様はあんたにベッタリな所があるからどうなるか想像もつかないわ。
正直、今一番の不安要素はあんた達なんだからね。)
(だから劉花ちゃんにはなにもしないって。)
(約束したわよ、もし破ったら・・・・・もぐわよ。)
(わ、わかってるって。)


こうして、賈詡さんになんとか許可を貰い、
劉花ちゃんも一緒に働けるようになったのだが・・・実際 本当に大丈夫だろうか?
今まで見たところ物覚えはかなりいいみたいだから大丈夫そうだが、
最初はあまり本格的に経営をするのは止めたほうがいいだろう。

こうして、劉花ちゃんも含めて兵の皆にもお茶の入れ方や接客を覚えてもらい、
料理の得意な人には厨房での仕事に回ってもらいながら、
開店準備を進めていった。


さて、私が開店準備を進める中でも そんな事お構いなしにやってくる人達がいる。

その筆頭がまず賈詡さんに陳宮ちゃんだ。
この人達、董卓陣営の中では比較的常識が有りそうなのだが、
自分の欲望に直っすぐな人達でもあった。

董卓さんに対する彼女の対応から見てもわかるのだが、
彼女を大事にしすぎるあまり、原作では軟禁に近い状態で、
洛陽運営時にも ほとんど彼女を人に会わせることが無かったはずだ。
それ故に原作では劉備陣営に逃れる事が出来たのだが、
この外史でもその本質は変わっていないようで、
どこまでも自分の思いに真っ直ぐなのだ。

陳宮ちゃんもそうだ。
呂布さんに対する態度は董卓さんに対する賈詡さんと同系統のモノだ。


何が言いたいかというと、この二人、
空いてる時間を見つけては私のところにやってきて、
私から許昌運営の話を聞いたり、洛陽運営や防衛戦時の討論をしていくのだ。


「あのね賈詡さん、陳宮ちゃん、話をするのはいいんだけど、
時間っていうものを考えてくれないかな?」
「しょうがないじゃない、ボクも忙しくてなかなか時間が取れないんだから。」
「音々もそうですよ、それに喜媚の話を聞かないと洛陽での内政に滞りが出るのです。
許昌での統治方法や屯所の件では喜媚の知識が頼りなのですから。」


そう、今はもう日が沈んで夕食も終わり、
これから寝ようと言う時間に兵に護衛させて彼女達がやってきたのだ。

結局この日は深夜まで彼女達の話に付き合わされ、
彼女達は自分用に用意した部屋に泊まっていった。


それ以外では武官の三人衆だ。
華雄さんは単純に劉花ちゃんの護衛役として私を鍛え、
張遼さんは面白そうだからと付き合い、
呂布さんは私が強くなるのは良い事だという 善意で来るので、
張遼さん以外は断りづらい。

結局この三人が来ると程々にボコボコにされるので、
その日は仕事にならない。

こうして私の店の開店準備は外的要因で進まないことが多かった。


私達が店に引っ越してから、二十日ほどでようやく試験的に、
董卓さん達を招いてプレオープンに持ち込むことが出来た。
この日ばかりは協ちゃんもどうしても自分も行くとゴネにゴネて、
結局 賈詡さんが折れることになり、協ちゃんも来ている。
従業員の制服は裾の長いチャイナドレスで、
劉花ちゃんだけは中に裙子(スカート)を穿いて素足が出ないようにしている。
私は厨房なので普段通りの猫耳服にエプロンだ。


「はい、お待ちどうさま。
今日のお茶は劉花ちゃんが入れたお茶だよ。」
「お~姉様が入れたお茶か!」
「な! こ、これは恐れ多い事です!」
「賈詡さんには何回かもう飲んでもらってるよね。」
「そうね、他の従業員も含めて合格点を出せる程度にはなってるわね。
もちろん劉花さまのお茶も贔屓目なしで採点しているわよ。」
「アッハハ 国広しと言えども 前陛下の入れたお茶が飲めるのはココだけやな。」
「笑い事じゃないわよ、本来なら不敬もいいところなんだから。」
「私は気にしませんので、どうぞ、お茶を楽しんでください。」
「きょ、恐縮です!」


華雄さんだけが妙に硬くなっているが、
皆お茶を一口飲んだ所で賈詡さんと私達以外驚いた表情をする。


「へぇ~、ウチはお茶のことはよう解からんけど、美味しいやんか。」
「そうですね、私も自分でお茶を入れますけど、ここまで美味しくは無理です。」
「・・・・恐れ多くて あ、味が解からん。」
「・・・・ゴクゴク。」
「恋殿! お茶はそんなに一気に飲まれるものではありませんぞ。」
「ふむ、だいぶ安定して入れられるようになったみたいですね劉花様。」
「はい、練習しましたので。」
「劉花ちゃんを厨房に立たせる訳にはいかないからね、お茶を任せたんだよ。」
「姉様が入れてくれたお茶は初めて飲んだが美味しいのう。
これからも飲みに来るかのう。」
「劉協様は今回限りです。
次回以降飲みたいのなら、劉花様を宮殿に呼んでからにしてください。」
「良いではないか、すぐ目と鼻の先なのじゃから、ここまで来るくらい。」
「ダメです!」
「賈詡は頭がかたいのう、そんなんでは嫁き遅れるぞ?」
「大きなお世話です!!」
「はいはい、今度は私が作った料理を食べてみてよ。
ウチはお茶とお菓子と簡単な飲茶でやっていこうと思ってるから、
こっちの味も大切なんだから。」


そう言って私は従業員の皆と、皆の前に料理を並べていく。


「お~喜媚の作った菓子か!
久しぶりじゃのう。」
「久しぶり? あんたまさか以前に劉協様に食事を食べさせたことがあるの!?」
「前に何度かね。」
「あんた・・・バレたらそれだけで とんでもない事になるわよ。
毒見もしてない料理を陛下に出すなんて・・・」
「喜媚が妾に毒を盛るはずがなかろう。」
「そういう問題じゃありません!
陛下の安全のためなんです!」
「賈詡はほんに頭が硬いのう。」
「はいはい、話はいいから冷める前に食べてみてよ。」
「はい、それでは頂きます。」
「饅頭みたいに柔らかいが、甘い匂いがするな、どれ・・」
「おぉ~、甘くて美味しいのじゃ~!」
「本当ですね、これは蜂蜜ですか?」
「そうだよ、許昌のウチでとれた蜂蜜を送って貰ったんだ。
それを生地に練り込んで仕上げに上から少しかけた、
餡の入ってない饅頭みたいなものだよ。
遥か西の方ではパンっていう食べ物なんだけどね。」


今回私が作ったのは蜂蜜を練りこんだパンを一口大に焼いたものだ。
コレならオヤツ代わりになるし、持ち帰りもできるし、
洛陽には無いタイプのお菓子なので、当たれば結構な売り上げになるだろう。


「後は簡単に出せる飲茶だよ、饅頭とか胡麻団子とかね。」
「ふむ、コレなら大丈夫そうね。
お菓子とお茶ならこの洛陽では 客もそんなに多くなさそうだし、
食べに来る客は富裕層だから多少高く値段を設定しても大丈夫でしょうし。
私達が泊まりに来た時は普通に食事やお酒は出すんでしょ?」
「出すけど、宿代わりに使わないでよ。
ただでさえ賈詡さんは勝手に自分用の部屋作っていったんだから。」
「アレは私の部屋じゃないわよ、客間よ。」
「よく言うよ、陳宮ちゃんと一緒に、
本とか荷物とか替えの服も持ち込んできてるくせに。」
「音々もしょうがないのですよ、
必要な事をするのに必要な準備をしているだけなのです。」


この娘達に口で勝つのは不可能なので早々にあきらめることにする。


「喜媚の菓子は相変わらず美味いのう。
のう呂布よ。」
「・・・うん。 おいしい。」
「呂布さんは・・・美味しそうだね。」
「・・・・モキュモキュ。 ・・・・うん、おいしい。」
「へ、へぅ~・・・恋さん、私の分も食べますか?」
「呂布よ、私の分も食うか?」
「・・・・うん。」


呂布さんは頬いっぱいに食べ物を詰め込んでいる。
その様子に見とれた董卓さんと華雄さんが、
自分の分のお菓子を呂布さんのお皿に移しては、
呂布さんの口の中に消えていく。


「なぁなぁ、喜媚ぃ~酒は在らへんの?」
「ウチはお茶屋であって酒屋じゃありません。」
「そんな事言う手も自分達で飲む分くらいあるやろ?
せっかくの喜媚の店の開店祝いの席なんやから、ちょっとくらいええやんか~。」
「・・・一杯だけですよ。」


そういって私は奥から許昌から送ってもらった日本酒を出す。
後に、私はこの行為を後悔する事になる。


「はい・・・本当に一杯だけですよ。」
「わかってるって、お?
なんやコレ、水みたいに透き通ってるけど、匂いはかなりええ酒みたいやん。」
「家で作ったお酒です。
蜂蜜と一緒に送ってもらったんです。」
「どれどれ・・・っんく・・はっ~!
なんやこれえらいきっつい割に飲みやすくて美味い酒やなぁ!」
「家の母がコレが飲みたいってうるさくて・・・
数年がかりでなんとか再現したお酒です。」
「なぁ、喜媚これもう一杯頂~戴!」
「ダメです。 一杯だけっていう約束です。」
「そないな殺生な! こんな旨い酒一杯だけやなんて・・・」
「コレは私が自分用に取り寄せたんですからダメです。」
「こんなうまい酒一人で楽しむつもりなんか!
そりゃあかん! この神速の張文遠! ウチが絶対許さへんで!!」
「そんな大げさな・・・」
「ウチの分も! ちゃんと代金は払うからウチの分も取り寄せてぇなぁ。」


そう言いながら張遼さんが胸を押し付けてすり寄ってくる。


「ちょ、張遼さん! 胸が当たってますって!」
「ん? 喜媚も男の子やなぁ♪
なぁなぁ、お願いやからウチの分も取り寄せてぇなぁ~。」


張遼さんは更に胸を押し付け、首筋に顔を埋めるようにしながら、
私の耳元で甘えた声でお酒の催促をしてくる。


「あんた達! 陛下達の前で何やってるのよ!!」
「あだっ!」 「痛たっ!」


そんな私達に賈詡さんが拳骨を落としていく。


「いったぁ、私はなんにもやってないじゃない。」
「霞に言い寄られて鼻の下が伸びてたわよ!
何よ! そんなに乳がでかいのがいいっていうの!?」
「鼻の下なんか伸びてないって・・・張遼さんにはお酒を催促されてたんだよ。
それに胸の話なんかしてないじゃない。」
「お酒? あんたアレ霞に飲ませたの!?」
「祝いの席だからって、家には今料理用以外はあのお酒しか無いし。」
「あんなもの霞に飲ませたらそうなるに決まってるじゃない。
・・・まったくしょうがないわね。」
「なんや? 詠はもしかしてウチより先にアレ飲んだんかいな!
・・ずりゅいで!!」
「ずりゅいって、少し口調がおかしくなってるわよ。
私は、喜媚の所に泊まった時にちょっと貰っただけよ。」
「・・・嘘つけ、その後 張遼さんと同じように催促したくせに。」
「なんか言った!?」
「いいえ、何も。」
「・・・ならウチも今日から喜媚と一緒にココで暮らす!!」
「ダメに決まってるでしょ!!」
「せやったらどうやったら このお酒をもう一回飲めるようになるっちゅうんや!」
「泣きながら言う事じゃないでしょう・・・
もう、しょうがないわね。
喜媚、霞の分も取り寄せてやってちょうだい。
お金は霞の給料から引いてあんたに渡すから。」
「そんなんせぇへんでもちゃんと代金は払うって。」
「ウチにもそんなに量があるわけじゃないんだけど・・・」
「だったら多めに作ればいいじゃない。
代金は出すから・・・霞が。」
「そりゃないで詠!」
「冗談よ、でも飲む分は出すから作ることは考えておいて、
・・・ボクも もう少し飲みたいし。」
「・・・はぁ、わかったよ。」


結局この数カ月後、
二人以外にもお酒を口にした人達や、
あの董卓さんも一緒になって要求してきた事で、
ウチの庭に小さい酒蔵が建つ事になるのであった。


こうして、ウチの店のプレオープンは一部問題もあったが順調に終わり。
本番のオープンを迎えることが出来た。


まずは本来ならプレオープンの時に呼ぶべきだった、
近所の顔役の人達を無料で招待し、
その後、一般のお客をいれ始めたのだが、最初はそれほどお客は入らなかったのだが、
一度来てくれたお客がかなりの確率でリピーターになってくれたので、
最初の月はまずまずの売上だった。

賈詡さんにも コレ以上お客を入れると劉花ちゃんの保安上の問題があるので、
あまりお客を入れないように、と釘を刺された。


更に賈詡さんや陳宮ちゃん、華雄さん、張遼さん、呂布さんに董卓さんまで来るので、
その事が豪族達の間で話題になり、
私が何か董卓さんとの特殊な人脈があると考えた人達が、
店に訪れるようになった事で、一般の民には入りにくいが、
ある程度の富裕層の間では店主は董卓軍と人脈があり、
美味しいお茶や珍しいお菓子を出す店として、
そこそこ名が売れるようになっていった。


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  1. 2012/09/21(金) 12:47:10|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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