たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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四十三話


洛陽




私が弁ちゃん達を助けて1月ほどだった頃だろうか?
とうとう私と弁ちゃん達が暮らす家の改修工事が終わったと聞いたので、
弁ちゃんは変装し、賈詡さんや護衛の兵達と一緒に見に行く事になった。

めったに洛陽の宮殿から出ることはない弁ちゃんは、
街の様子を見るだけで楽しいらしく、
辺りをきょろきょろと見回しているので、
護衛がいるとはいえ、
ほうっておくとはぐれて迷子になりそうだったので、
彼女と手を繋ぎ、一緒に歩くことにした。

洛陽の宮殿、正門から歩いて1分か2分くらいだろうか、
まだ、門が見えているような場所で急に賈詡さんが止まり、
それに合わせて私達も全員足を止める。


「ほら、ココよ。」
「・・・・え?」


そう言って賈詡さんが指をさした建物は、
洛陽の主要の通りが合わさる交差点の北西の角地で、
建物の作りは豪華な装飾はそれほどないが、
他の建物に劣らぬ大きさで、中もかなり広そうな庭付きの二階建ての建物だった。


「ほら、中に入るわよ。」
「本当にココなの?」
「そうよ、ホラさっさとついて来なさい。」


賈詡さんがその建物の中に入っていったので、
私達もついていき 一緒に入るが、
外はそれほど豪華な作りではなかったが、
内部はかなり良い材質の物を使っているのか、
置いてある机や椅子もケバケバしい豪華さではなく、
品のある、落ち着いた感じの物が多く、
置いてある装飾品等も同様で 落ち着いた感じの装飾になっている。


「どう? なかなか良い感じでしょ?
ボクが宦官共から没収した私財の中から選んだのよ。
内装もあまり派手なモノでは無く 落ち着いた感じで統一してあるし、
用意した茶器等もそういった物で統一させてあるわ。
一階には常駐する兵士の部屋もあるから お客の対応をする部屋は小さめなんだけど
これくらいアレば十分よね。
厨房も洛陽で最新の物を用意してあるわよ。」
「あの・・・賈詡さん。
私 家の希望を聞かれた時、
小さいこじんまりとしたもので良いって言いませんでしたっけ?」
「言ったわね。
だからこうして落ち着いた感じで、
机の数も減らしてあまりお客が入らないようにしてあるじゃない。
奥の間仕切りの向こうには個室みたいな感じで、
ボク達と落ち着いて話ができる場所も用意してあるのよ。」
「・・・いえ、そういうことではなくて。
はっきり言わせてもらいますと・・・なんでこんなに大きな店なんですか!?
ぜんっぜん小さくこじんまりとしてないじゃないですか!」
「当たり前でしょ!劉弁様がお住みになる家なのよ!
防犯上の事なども考えれば、
兵士を駐屯させる部屋も必要だし劉弁様を市井の民と同じ部屋に住まわせるつもり?」
「だからってこの立地でこの大きさはないでしょう?」
「仕方ないじゃない、宮殿から近くて、防犯上、兵士も駐屯できて、
向かいに屯所が用意できて、
劉弁様がお住みになるのに相応しい物件がコレしかなかったんだから!」
「だからって、こんな大きな店・・・おまけに広い庭までついてるし。」
「そこは諦めてもらうわよ。
劉弁様がお住みになる以上、それなりの作りは必要だし、
すでに工事も済ませたんだから。
防犯上襲われてもいいように、壁や扉は厚めにしてあるし、
劉弁様の部屋とあんたの部屋には隠し通路も用意したり、
色々大変だったんだから。 因みにお風呂もあるるわよ。」
「私はもっと小さな店でよかったのに・・・」
「すみません喜媚様、私のせいで・・」
「いや、弁ちゃんは悪くないよ。
融通の効かない賈詡さんが悪いんだから。」
「あんたがわがまま言いすぎなのよ!
何が不満なのよ! こんなにいい店あんたが生涯かかっても持てるかどうかって店よ?
それをここまでお膳立てしてただであげようって言うんだから、
感謝して欲しいくらいよ!」
「・・・はぁ、本当にこの店私が貰わないとダメなの?」
「ダメよ。 コレはあんたが陛下や劉弁様を助けた報奨の一部にもなってるんだから。
大体、あんたが月の配下になって官職を頂くか、
どっかの領主にでもなるかすればそれで済んだのに、
陛下の意向を尊重するにはあんたを月の配下にするわけにも行かないし、
領主として洛陽から出すわけにも行かない。
だったらそれ以外の物で報いるしか無いじゃない。
表には出せないことだけど、バレた時に中途半端な物で済ませたとなったら、
陛下や月の器量が疑われるんだから 黙って貰っときなさい!」
「・・・はぁ、桂花の時もそうだったけど、それしか無いのか。」


この国には受けた恩はそれ以上のもので返さないと、
恩を受けた側の器量が疑われるような風習がある。
だから桂花を助けた時も、宴席を開いてもらったり、
服を買ってもらったり、私塾に通わせてもらったり、
あげくには、荀桂さんは桂花をやってもいいとか言い出す始末。
コレで、皇帝陛下やその親族を助けたとなったらどうなるんだ?
董卓さんは何進さんの地盤を引き継ぐ形で官職を得たし、
張遼さんや華雄さんもそうだ、官職に宝剣や馬などを貰ったらしい。
そして私の場合はこの店と弁ちゃんと暮らす間の生活費に護衛の兵士だ。

とりあえず断れそうにもないようなので諦めて、
店の中を見て回るが、棚に置かれている茶器などはかなり良い物のようだ。


「賈詡さん、この茶器はどうしたの?
わざわざ買い揃えたの?」
「違うわよ。 この店に使われているものは建物以外、
ほとんど没収した宦官の私財から出したものよ。」
「へ~、こんないいものを揃えてたなんて、かなりいい暮らしをしてたんだね。」
「いい暮らしなんてものじゃないわよ!
酷いものだったわよ。
奴らから没収した私財の総額がいくらになるかあんた知ってる?
お金や塩などで洛陽の年間の税収の数倍はくだらないものだったわよ。」
「マジで?」
「? なにそのマジって言葉?
まぁ、本当よ。 お陰で洛陽の民の生活改善のための資金には当分困らないから、
ボクとしては予算で心配しなくてもいい分、少しは安心できたんだけど、
逆に言えばそれだけ宦官や権力者が好き放題やってたって事よね。」
「相当酷いことになってたんだね。」
「まぁね、だけどお陰で数年は予算には困ることはなくて済みそうよ。
その分 民に還元して行かなくちゃいけないし、
あんたが話してた 諸侯が連合を組んで私達を攻めてくるのを抑えるために、
色々やらなくちゃいけないのだけど、なんとか目処は付きそうよ。」
「そう・・それは良かった。
何としてもそれだけは防がなくちゃいけないから・・・」
「そうね、ボクもせっかく月が安心して暮らせる地盤を手に入れたんだもの、
絶対に守りきって見せるわ。」


それから賈詡さんの案内で二階に上がり、
私の部屋や、弁ちゃんの部屋などを見て回ったのだが、
弁ちゃんの部屋は他の部屋よりも倍の広さで、
内装もかなり豪華なものになっている。
私の部屋も今まで私が暮らしていた家などとは比べ物にならないほど豪華で、
弁ちゃんの部屋と隠し通路でつながっていたり、
外へ脱出できるような通路も有った。

それ以外にもたくさんの空き部屋が用意されており、
寝具も揃っているのだが、
コレは有事の際に兵が駐屯できるように と言うのと、
どうも賈詡さんが 私がこっちに移ってきても私の話を聞きに来るつもりのようで、
自分用の部屋をちゃっかり用意していた。
一階には言った通りお風呂もあったので、
許昌に手紙を書いて鍛冶屋のおじさんに鉄のパイプを頼んでおこう。
そうすればお風呂に入るのも多少は楽になるはずだ。


こうして、私達が今後住む 店舗兼住宅を見学した後、
宮殿に戻り今後の事を話すのだが、
問題は弁ちゃんの名前だ。
このまま劉弁と呼ぶわけにも行かず、
とりえず偽名を考えようと言う事になったのだが・・


「劉姓はこのままでもいいとボクは思うのよ。
結構劉姓の者は居るし、下手に全てをごまかすのもどうかと思うわ。
ご先祖様にも悪いだろうし。
それに名目上、劉弁様は喜媚に命を救われたお礼に家屋敷を贈って、
自分は居候と言う事になってるのだから、
それなりに格のある家柄ということにしておいたほうがいいと思うわ。
・・・っていうか居候じゃなくて、劉弁様が喜媚を雇ったって形じゃダメなの?」
「私は店の経営などまったくわかりませんし、
それに・・・・形式上とはいえ喜媚様の雇用主になるというのも。」
「共同経営で良いった言ったのに、なぜか弁ちゃんは嫌がるんだよね。
っていか今は名前の話ですよね?
姓は劉でいいとして名はどうしましょうか?」
「やはりそうなると名前ですね。
皆さん なにかいい案はありますか?」
「あまり変えるのもどうだろうか?
今の名前と同じ音の別の文字にしてはどうだ?」
「・・・・モキュモキュ。」
「それもいいですがやはり、
同じように りゅうべん と聞こえると混乱する者が出てくるですよ。
あぁ、恋殿、口の周りが汚れています。」
「だったらまったく別のモノの方が良いのかのぅ。
呂布よ、その肉まん一つ妾にもくれ。」
「・・・・・ん。」
「ふむ、市井の食べ物もうまいのう、賈詡、今度コレを三つほど買ってきてくれ。」
「陛下! 陛下がそのような物をお食べになるなんて!
毒見もしてないのですよ!?」
「呂布が食うておるではないか。」
「あ~~~~もうっ!!」
「詠ちゃん、落ち着いて。」
「ありがとう月・・・でもその片手に持ってる肉まんが全てを台無しにしてるわ。」
「なんでもええんちゃう? 偽名何やから間違わんようにすればなんでもええやん。
呂布、ウチにも肉まん一個頂戴な、酒だけでは口が寂しいわ。」
「・・・ん」


なぜか呂布さんが山のように抱えてきた肉まんを、
皆で食べながらの話し合いになっている。


「喜媚様は何かいい名前は無いですか?」
「そうだな・・・・花なんでどう?
元の弁と合わせると花弁、はなびらって意味になるし、
弁ちゃんの花が散る一瞬の儚げな感じの綺麗さと合うと思うよ。
花と言う言葉自体には これから咲き誇るっていう意味も含めて。」
「あ、あらあら・・・喜媚様・・・そんな皆の前で。」
「・・・あんた自然な感じで劉弁様を口説いてるんじゃないわよ!
そんな容姿で女を油断させといて口説き回ってるんじゃないでしょうね?」
「あ・・・ち、違うよ!
何かいい名がないかって言われたから考えただけで、
弁ちゃんを口説くとかそういう意味じゃ!」
「妾もなにか喜媚に名を付けてもらおうかのう。
市井を見て回る時に名乗る名前を。」
「陛下! 陛下が町を見て回るなどもってのほかです!」
「賈詡は固いのう、喜媚も言うておったではないか、
自分の目で見て体で感じて、今この国に何が必要か感じることが大切だと。
お主もその意見には賛成しておったじゃろう?」
「だからといって陛下が外を歩くのでは問題が大きすぎます!」
「ほんに賈詡は固いのぅ、そんなんでは嫁き遅れるぞ?」
「よ、余計なお世話です!
ボクは月と一緒にいられればそれでいいんです!」
「女同士とは、非生産的すぎるし良い趣味とは言えぬぞ。
女として生まれた以上子供くらいやはり産まぬとな、
よし、賈詡に子が生まれたら妾が名をつけてやろう。」
「え、詠ちゃん、私も女の子同士は・・・」
「陛下!!
月ぇ~、ボクはそんな意味で言ったんじゃないよ!?
月とはいい友達っていう意味で言ったんであって、
決して同性愛とか百合とかそういう意味じゃないからね?」
「フフッ冗談だよ、詠ちゃん♪」
「月ぇ~!!」
「董卓もやるようになったのぅ。」
「コレも陛下の教えの賜物です。」
「陛下! 月に余計なことを教えないでください!」
「妾はなにも余計なことは教えておらぬぞ?
ただ、董卓が面談に来る者達にどういう対応をすればよいか、
相談に来たからちょっと指南してやっただけじゃ。」
「なんでボクに聞いてくれなかったの月!?」
「聞いたけど詠ちゃんは 「適当に話を流して、
はっきりとした約束はしちゃダメよ!」
って教えてくれたじゃない。
忙しそうだったからそれ以上細かく聞くのも悪いと思って、
慣れてらっしゃる陛下にお聞きしたのだけどまずかったかな?」
「まずくはない・・まずくはないんだけど・・・っく!
恋! ボクにもその肉まん頂戴!」
「・・・もう無い。」
「うがぁ~~!!」
「ではとりあえず私の偽名は 『劉花』 と言うことで。」
「弁ちゃんがそれでいいなら、私はいいよ。」
「まぁ、いいんじゃないか?
花と言うのも私の華と似ていていいしな。」
「ええんちゃう?」
「きまりじゃな。」
「いいと思います。」
「・・・モキュ・・ゴクン。」
「いいのではないですか?」
「・・・・喜媚、後でなにか摘み作って、今日は飲むわ。」
「飲むのはいいけど この間みたいに私の部屋でそのまま寝るのはやめてね。
あの後みんなに誤解されて大変な事になったんだから。」
「わかってるわよ!」


こうして、弁ちゃんが町で使う偽名は劉花と言う事になり、
店への引越し準備も着々と進んでいった。

この頃からようやく桂花に書簡を出すのを賈詡さんに許されたので、
表に出せる事の経緯を説明し、しばらく洛陽に住むことを伝える。

表面上は、先の宦官粛清の折にどさくさに紛れて、
賊に襲われていた劉花ちゃんを助けたが、
両親は助けることが出来なかったため弁ちゃんは天涯孤独の身になってしまった。
お礼として両親の持っていた店を貰ったが、
劉花ちゃんの行く所がなかったので、
お店で一緒に働きながら 彼女が一人でも店をやっていけるように訓練をし、
将来的には店を彼女に返す予定だということにし、
桂花には説明しておいた・・・・のだが その返答で帰ってきた書簡には、
大きな文字で 「馬鹿! さっさと陳留に戻って来い!!」
と書きなぐられてあっただけだった。

その数日後に 数日して落ち着いたのか、
心配かけさせるな、もっと早く連絡をよこせ、
早く会いに来い、要約するとこんな感じの内容の書簡が届いたので、
私も早く桂花に会いたいけど、今は洛陽を離れられないのでしばらく待って欲しい。
といった内容の書簡を送っておいた。


こうして私の洛陽での新しい家であり、
目標の一つであった 小さくはないが 茶店の主としての一歩が始まることになった。


『黒猫茶館』


店の名前はこれで決まり、
開店のために兵、あらため、
従業員と劉花ちゃんにお茶の入れ方や接客方法を教える日々が始まる。


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  1. 2012/09/21(金) 12:45:59|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

えと

両親は助けることが出来なかったため弁ちゃんは天涯孤独の身になってしまった。

この前後の文を見るに弁ちゃんの部分は劉花ちゃんのほうがよくないですか?
細かい突っ込みですみません(>_<)
  1. 2012/09/21(金) 15:33:42 |
  2. URL |
  3. 静 #bxvF113M
  4. [ 編集 ]

ご指摘の部分は実際悩んだのですが、
喜媚の心情をより深く表現するために、劉花という偽名の人物ではなく、
劉弁と言う本人の愛称を使うことで、表現して見ました。

ですのでそこは誤字や間違ったわけではありません。

ですが伝わらなかったのは私の文章力不足なので、
ご指摘はありがとうございました。
  1. 2012/09/21(金) 17:25:53 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

桂花に対しての文としてかたっているので劉花が適切なのでは?
ということをいいたいのではないでしょうか?
  1. 2012/09/22(土) 03:35:14 |
  2. URL |
  3. 匿名さん #-
  4. [ 編集 ]

桂花に対して書簡を書いている描写の地の文なので、
いいかと思ったんですが、変ですかね?
少し考えてみます。
  1. 2012/09/26(水) 17:58:05 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

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