たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

三十九話


洛陽




黄巾の乱が鎮圧されたことで、洛陽内な雰囲気もだいぶ穏やかなものになり
宮殿での物々しい雰囲気もなくなったが、
宮中のお偉いさん方の間で怪しい動きが目立つようになってきた。

コレは私が食堂で働いていたため、
お客の会話から幾つか聞いた話をつなげていった結果わかったのだが、
霊帝様の体調がかなり悪いらしく、下手をしたら今日明日にも危ないらしいのだ。
そこで次代の皇帝を誰にするかで揉めているらしく、
宦官やその中でも最も力のある十常侍達、何進大将軍、その異母妹
さらに様々な者達の色々な思惑の中で策謀が繰り広げられている。

そんな中、とうとう霊帝が崩御し、何進さんの暗殺未遂事件。
それに怒った何進さんによる報復行動、
少帝弁の即位と目まぐるしく政治が動いていく。
何進さんは報復のため宦官を排除しようと袁紹さんや袁術ちゃん等を呼びだし
王匡(おうきょう)さん、橋瑁(きょうぼう)さん、
鮑信(ほうしん)さん、張楊(ちょうよう)さん、張遼(ちょうりょう)さん等に
兵や兵糧を集めさせると共に、
黄巾の乱の後の周辺の治安維持のために動いていた董卓さん、丁原さんの軍を呼び出し
本格的に動き出そうとしていた。


ここまでの事態になって、ようやく私のヘタレな心も決まり、
協ちゃんに一度会いに行く事にした。

弁ちゃん協ちゃん達がもし宦官の娘だったら、
最悪 今回の宦官排除で彼女達の身も危ないだろう。
何進さん側の配下の娘だったとしてもこの騒ぎで身に危険が及ぶ可能性があるし、
その騒ぎの中で命を落とそうものなら悔やんでも悔やみきれない。
本人達もわかっているだろうが、
もし まだ現状を把握していないなら宮中で、
怪しい動きがあると言う事を警告してあげたいし
騒ぎの時に、宮中から逃げ出すにしても逃げ場がなかったりしたら、
私が匿ってあげることもできるし、
もし彼女達が何らかの形で親を失い 自分達生きていけないというのなら、
私が許昌で匿うのもいいだろう。
少なくとも 彼女達に宮中の外での生活能力があるとは思えない。
彼女達からもらったこの書簡で宮殿に入れるかどうかわからないが
二人は友達だから、出来るだけのことはしてあげたい。

そういった理由で、私は書簡を持って洛陽の宮殿に向かった。


洛陽の宮殿に向かうと、
宮殿に入るために様々な人が並んで検査を受けている。
以前はここまで厳重ではなかったのだが、
黄巾の乱以降、さまざま事情で宮中の人への面会の人が増え、
それと同時に何進さんの暗殺未遂事件があったので 警戒が厳重になっているのだ。

しばらく待っていると私の順番が来たので、
検査をする兵士の人に宮殿に来た理由と入城に際して、
宮殿内部の人の紹介状などがないか、
武器を持ち込んでいないかなどを検査される事になった。


「あの、この書簡を書いたお方に面会したいのですが。」


そう言いいながら私は二人から預っていた書簡が入った箱を兵士に渡し、
中身を確認してもらうのだが・・・どうも様子がおかしい。
最初は兵士の人達が、私のように書簡に書かれた文字が古くて達筆なため、
文字をはっきり読むことが出来ないのかと思ったが
その内、確認できる文官を呼びに行くから待つようにと言われ 待っていたのだが、
私の後ろの方で並んでいた人達が、
あまりにも確認に時間がかかりすぎているので騒ぎ出し
その中の内の一組が、私達のところにやってきた。


「何をちんたらやってるのよ!
こっちは急いでるのよ?」
「何者か知らぬが、ちゃんと列に並ばれよ!」
「コレを見ても同じことが言えるの?
私達は何進大将軍から呼び出されて わざわざ兵を連れてやってきたのよ?」


そう言うと、緑の長髪を左右に編み上げ、
眼鏡越しに見える瞳は本人の気性を表しているのか、
気の強そうなつり目で、身長は私より少し低いくらいだろうか?
ミニスカートに黒のストッキング、黒のブーツ(?)を履いている。
・・・・私の記憶に間違いがなければ、賈文和 賈詡さんだ。
その後ろには肩まである青みがかった白髪に気の弱そうな表情で、
賈詡さんをなんとか宥めようとしているが
声をかけるタイミングを失ったのか、
あわあわと どうしていいか分からない様子の董卓さん、
それに控えるように、肩までの紫がかった灰色の髪に
上半身は肌の露出の多い服装だが、そこから見える筋肉等は
女性らしさと武人としての鍛えあげられた肉体と
両方を持ち合わせた不思議な魅力を放つ華雄(かゆう)さんと何人かの護衛兵が居た。


彼女は紙の書簡を広げ兵士に突きつけると、
兵士の表情がどんどん青ざめたものへと変わっていく。


「こ、コレは失礼いたしました!」
「わかったらいいのよ。 それで? 何を揉めているのよ。」
「実はこの者が持参した書簡なのですが
あまりに不自然なものが多く、我々では判断できかね無いので
上の者に確認のため連絡をとっているところなのですが・・・」
「騙りじゃないの? まぁいいわ、ちょっとその書簡見せてみなさいよ。」
「は、っはい!」


そう言うと賈詡さんが私を怪しいものを見るような目で一瞥した後、
私が持ってきた書簡を読み始めるが、
読み進めるに従って顔がこわばっていき、最後には顔面蒼白で頬を引き攣らせている。


「あ、あ、あんた? こ、コレをどこで手に入れたのよ?」
「・・・大丈夫ですか?」
「いいからボクの質問に答えなさいよ! コレを何処で手に入れたのよ!?」
「えっと、そこの最後の方に連名で二人の名前が書いてあると思うんですけど
その二人から直接もらったんですけど?」
「何処で!」
「ここの宮殿の中の庭園でですけど?
もう何年か前になりますけど、まだ二人が幼かった頃に書いてもらったんです。
それでこの宮殿に入れるかどうかわからないが、
その書簡を持って来れば私が来た事が自分達の耳に入るだろう、
だから困ったら使えと言われて・・・やっぱり何かまずかったですかね?」
「まずいも何もないわよ!!
あ・・・うん、失礼しました。
大変まずい事になりますので、
よろしかったら私達と同行していただけますでしょうか?
私達と同行していただき、
この書簡があればお二人にご面会する事ができると思いますので。」
「? どうしたんですか? 話し方急に変わりましたけど。」
「・・・同行して い た だ け な い で しょ う か ?」


賈詡さんはコメカミに血管を浮かせて引きつった笑顔で、
私に同行するように進めてくる。
賈詡さんの態度がここまで急変するのだ、
よっぽどまずい事でも書いてあったのだろうか?
賈詡さんの後ろでは董卓さんがどうしていいものかと 今もあわあわと慌てている。


「分かりました、とりあえず皆さんに同行すれば二人に会えるんですね?」
「・・そう取り計らわせて頂きます。」


こうして私は董卓さん達一行と一緒に宮殿内に入ることにしたのだが、
賈詡さんが董卓さんとヒソヒソと話をしながら私を宮中へと案内するのだが、
その様子が、あからさまにおかしい。
時折 私の方を見てはコソコソと何か話している。


「あの~やっぱり何かまずかったですかね?」
「・・・貴女もしかして 何も知らずにこんな物騒なモノを持ち込んできたの?」
「え? それってそんなに物騒なものなんですか?」
「物騒も何も、これ一つでヘタしたら私達や貴女の首が簡単に飛ぶわよ?」


何やら賈詡さんが物騒なことを言っているが、
話し方は元に戻っている事から、
私の出自が そう上の方の人物ではないと見定めたのだろう。


「え゛?」
「当たり前でしょう? ココに書かれてある二人から直接もらったのなら、
読んだ上で無碍に扱えば勅令無視と不敬罪で。
貴女が騙りならこんな文章を偽造したうえ、
ココに押されている印の偽造なんて それだけで死罪ものよ?」
「あの~あの二人ってそんなに偉い娘・・偉い方なんですか?」
「あんた本当に何も知らないの?」
「はい、二人からは弁、協と呼べと言われただけで
本名はわけあって話せないと言われてますし、
その書簡も古い言葉な上達筆なので読みにくくて・・・」
「この書簡を書いたお二人はね、少帝弁様とその妹の劉協(りゅうきょう)様よ。
そして押されている印は伝国璽。」
「・・・・・・は?」
「貴女大丈夫? ちゃんと聞いてた?」


私は賈詡さんが言った言葉を何度か頭の中で反芻して、
なんとか理解しようと努力する。


「まって! ・・・と言うことは? あの二人は先代の霊帝様の娘で?
弁ちゃんの方は今の天子様?」
「そうよ、だからまずいのよ。
読んでしまった以上、ボク達が貴女を無碍に扱えば、
皇帝陛下のお客を無碍に扱ったという事と同義になるのよ。
そして もし騙りならあんたは公文書の偽造と皇帝陛下を侮辱した罪になるのよ。」
「・・・・ま、まずいじゃないですか!?
あの二人・・・なんて物を私に渡したんだよ!」
「まぁ、貴女はコレを作った人が本人である事を祈ることね。
それ以外だったら即 死につながるのだから。」
「・・・・・最悪だ。」
「だから物騒な物だって言ったでしょう。」
「詠ちゃん、そんな脅すようなこと言わなくても・・・
この娘も悪気があったみたいじゃないから。」
「月は甘いのよ! こんな事に巻き込まれて・・・
っていうか私が勝手に首を突っ込んだ形なんだけど、
私達にもコレはまずいのよ?
コレが本物だったらこの娘の扱いでなにか言われるかもしれないし、
偽物だったら、くだらない話を持ってくるなと叱責されるかもしれないのよ?」
「でも、詠ちゃんが話に横から入ったのがいけないんだから・・」
「うっ、それを言われると私も辛いのよね・・・
はぁ、まったく。 余計な事しなければよかった。」


その後、無言で足取りも重く宮中を進んでいくのだが、
少し離れた所で怒声と破壊音が聞こえてきた。


「またんかいコラァ!!
この神速の張文遠(ちょうぶんえん)から逃げられると思んなや!!」
「っち・・・!
おい、お前達足止めをしろ!」
「「はっ!」」
「離すのじゃ! は~な~す~の~じゃ~!!」


何やら聞き覚えのある声が聞こえてくる方を見ると、
そこには宮中でありながら刃物を持った複数の男達と
その男達に抱きかかえられた見覚えのある少女、協ちゃんだ。
その男達を追うように、
無手の張遼さんが二人の武器をもった男達に足止めをされていた。


「協ちゃん!!」
「む、その声は・・・喜媚か!!
喜媚! 助けてたもぉ!!」
「協ちゃん!」
「ちょっと貴女!」


私はすぐに協ちゃんを抱えた男達を追うために飛び出す


「エエ所に来たなあんたら、そいつら捕まえるの手伝ってや!
そいつらが何進様を暗殺して劉協様を攫ったんや!」
「「「えぇ!?」」」
「何進様が暗殺って・・・」
「ちょ、月! 今は劉協様をお助けしないと!
華雄!!」
「任せろ!!」
「あんた達も半数は追うのよ! 劉協様には傷ひとつ無いようにね!
残りはボク達と馬と兵を連れてくるわよ!
何進様を暗殺して劉協様を攫おうなんて奴らよ、
必ず裏で手を引いてる奴らが居るはずよ!
華雄についていって追う者達は 奴らが何処に逃げようとしてるのか分かり次第、
私達の所に報告するのよ!
ほら月行くわよ!」
「え、詠ちゃんもっとゆっくり走って~。」
「「「「「「はっ!」」」」」」


私は足止めされている張遼さんが相手している内の一人を、
背後から鉄扇で殴りつけて倒し、協ちゃんを攫った男達を追う。

無手とは言えそこは神速の張遼さん、武器を持った二人を何とか無傷で倒し、
私の後に続いて、華雄さん張遼さんそれに董卓さんの兵士が数人着いてきて
一緒に協ちゃんを攫った男達を追う。


「助かったわ、あんた名前は?
ウチは張遼や。」
「喜媚で結構です、今は協ちゃんを助けないと。」
「華雄だ、董卓様の一の槍だ。
後ろの者達は私の部下だ。」
「ほんなら一時共闘といくで!
劉協様に怪我を負わせんようにな、それと別口で天子様も連れ去られてもうた。
おそらく犯人は十常侍や宦官の連中や、
奴ら前に何進様の暗殺が失敗して以降なんとか復権しようと躍起になっとる。
陛下を拐ってどこぞの諸侯と組んで復権を狙うつもりや!」
「犯人の証拠は何かあるんですか?」
「それが何もないんや、アイツらそういう手口だけは一流やからな。」
「犯人探しは後でもできるだろう、
今は劉協様をお救いすることだけだ。
董卓様の一番槍、この華雄の武を劉協様にお見せするいい機会だ!」


お互い今の状況を確認しながら走るが、
流石にこの国の武官ともなると足も早い。
身長差もあるのか、先行した私にあっさり追いつき、
今は並走している状態だ。


「奴ら東の門から出るつもりやな、
あそこには馬も馬車もあるから そこまでに追いつけんとちょっと厄介やで。」
「聞いていたな! 東だ、一人急いで賈詡に伝えろ!
騎馬の用意をさせるんだ。」
「はっ!」


華雄さんがそう指示を出すと一緒に追っていた兵士の内の一人が逆に走りだし、
賈詡さんへの報告へ行く。


「っち、面倒な、 おい、二人で時間を稼げ!」
「「はっ!」」


逃げていた男達の内二人が止まって剣を抜き、
コチラに向かって身構える。


「厄介やな、誰か棍でも持ってへんか?」
「ココは宮中だぞ、武器など持ち込めるか!」
「っち、さっきの奴らの剣取っとくんやった。」
「なら私が剣を抑えますのでその間に張遼さんと華雄さんで倒してください。」
「大丈夫なんか?」
「この鉄扇なら剣を受けるくらい平気です。」
「それ鉄扇やったんか、なら任せたで!」
「っち、私も武器があればあんな者達など一閃で真っ二つにしてやるものを。」
「アホか! 宮中で流血沙汰起こしてどないすんねん。」
(そうか。宮中だからなるべく血を流さないようにしないといけないのか・・・
だったら鉄針は使えないな・・・・そうだ、これなら!)


私は速度を上げ 武器を構える二人の内、
一人に 持っていた飴が入った袋を投げつけ牽制し、
もう一人の剣を鉄扇で正面から受けて 一瞬だけ鍔迫り合いの状況に持ち込む。


「張遼さん!」
「任せときや!」


私が一人の剣を抑えた隙に張遼さんが男を抑えこむ。
その間に飴の袋で牽制した男が切りかかってきた所を鉄扇で受け流し・・


「華雄さん!」
「おう!」


剣を受け流したことで体勢が崩れたところへ
華雄さんがもう一人の男の顔面を殴りつける。

その間に 協ちゃんを攫った男達との距離が空けられてしまい、
外が見える所まで逃げられてしまう。


「こっちは片付いたで!」
「こっちもだ!」

「喜媚ぃ~!!」

「協ちゃん!! すぐに追いますよ!」
「任せとき!」
「おう!」


二人は男達から取り上げた剣で武装し、
私達は男達を追って宮殿の東の出口、
張遼さんが言うには近くに厩舎があるそうなのだが
そこに逃げられる前に男達を捕まえ、協ちゃんを救出するために私達は駆ける。


スポンサーサイト
  1. 2012/09/20(木) 03:45:23|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<四十話 | ホーム | 三十八話>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://current9.blog.fc2.com/tb.php/200-4bfd2364
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。