たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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三十四話


許昌




寿春から許昌までの道中は、
賊の急襲などはまったくなく、無事に許昌までたどり着くことが出来た。

実は夜襲が何度か計画されていたらしいのだが、
周泰ちゃんが事前に察知して、
賊の頭領を討ち取ることで急襲を阻止してくれていたという話だ。
私や桂花、それに傭兵の皆も完全に熟睡していて 全く気が付かなかった。
以前 関羽さんにボコボコにされてわかってはいたが
この世界の武官は明らかに強さの桁が二~三桁違う。
なにかあったとしても 武力で立ち向かうというのは絶対にやめておこう。

こうして無事に許昌にたどり着き、
行商人達と別れ、桂花を家まで送った後、
周泰ちゃんには 旅の疲れを癒す間 家に泊まってもらうことになった。

私はその間に 母さんに華佗か、
華陀と一緒にいるであろう卑弥呼達に連絡を取ってもらい
周瑜さんの診察を頼むよう、母さんに言付けと手配をしてもらっておいた。


許昌についたその日は、荀桂さんが簡単な宴席を設けてくれたので 皆で参加し、
寿春での出来事などを話したりして、一時の安らいだ時間を過ごした。
次は南皮、かなり遠いが袁紹さんの本拠地だ。

桂花が荀諶ちゃんに誘われ、まずは様子見としてしばらく仕え、
袁紹さんの為人や器を見定めるそうだ。
おそらく、袁紹さんのところでは桂花は長く勤まらないだろう、
派手好きの袁紹さんが桂花の出す内政に関しての政策を受け入れるとは思えない。
そうなると近いうちにも次は陳留、曹操さんのところになる。
私が桂花の使用人として仕えるのも もうすぐ終わるだろう。

その後は・・・特に考えが纏まっている訳ではないから
一度 許昌に戻ってゆっくり考えるのもいいかもしれない。

・・・そういえば協ちゃんが次に洛陽に来るなら
できるだけ早く来いと言っていた、
黄巾の乱が本格的に動き出す前に一度 洛陽に行ったほうがいいかもしれない。
アレが始まれば、しばらく行商人も都市間の移動も控えるだろう。
私に一人旅は流石に無謀なので、
洛陽に行くなら黄巾の乱が始まる前か その直後がいいだろう。
アレだけの乱が鎮圧された後なら賊の動きもおとなしくなるだろうし
行商人達の動きも激しくなるだろう。


周泰ちゃんが家に逗留している間に、
桂花は南皮に行く行商人達や傭兵と打ち合わせして
南皮までの同行の手配をしいる。

今回の許昌での逗留はそんなに長くはなさそうだ。


そうして数日ほど許昌で周泰ちゃんや桂花と過ごした後、
とうとう周泰ちゃんが洛陽に向けて発つというので
私の家で私と周泰ちゃんだけでのお別れとなる。

今回 荀桂さんによると 桂花は家の仕事を手伝っている(?)ので、
周泰ちゃんの見送りには来れないようだ。
一応 護衛のお礼と餞別という事で桂花から周泰ちゃんに
幾らかのお金が渡されている。


「それじゃあ、周泰ちゃん洛陽までの道中気をつけてね。
周泰ちゃんが強いのは知ってるけど、怪我とかしないようにね。」
「ありがとうございます。
仕事柄慣れてますから大丈夫です!
でも、喜媚さまの御心使い 感謝いたします。」
「あとこれ、道中で食べて。
飴とか日持ちするお菓子とか水は入ってるから。
それと寿春からの護衛のお礼として幾らか入ってるから、
周泰ちゃんの旅の路銀にでも使って。」
「そ、そんな・・そこまでしていただいてはむしろ申し訳ないです。」
「いいからとっといて。
特に 洛陽までの道中は普通の旅の食事だけじゃ味気ないだろうから
甘いものを摂れば元気も出るから。」
「・・ありがとうございます。
許昌に来てからと言うもの 喜媚さまには何から何までお世話になって。」
「私達の護衛をしてくれたんだからこれくらいは当たり前だよ。
・・・それじゃあ、元気でね。」
「はい! ・・・喜媚さま・・今度また私達の所に遊びに来てくださいね。
雪蓮さまも皆も、私も待ってますから!」
「うん、また寿春か孫策さん達が居る所に行ったら遊びに行くよ。」
「はい! お待ちしています。
それでは!」
「またね!」


こうして私は周泰ちゃんを見送り、
この数日後、桂花や行商人に皆と一緒に南皮に旅だった。


南皮までの道中は今までとはまた違い、
洛陽までの道中よりも寿春までの道中に近い。

道は南皮に近づくに連れ荒れていき、
それに連れて怪しい人影が こちらの様子を伺う回数も増えていく。
私達がこれだけの人数じゃなかったら とうの昔に襲われていただろうか?

それか、むしろこれだけの人数で荷物を輸送しているのだから
逆に興味を引いて監視に来ているのかもしれない。

とにかく、私が警戒しすぎなのかもしれないが、
私達が人目を引いているのは間違いない。


私が一人で神経をピリピリさせている間、
同行している行商人や傭兵達、それに桂花はのんきなものだった。
結局南皮まで賊に襲われるという事などはなく、
私が一人、精神をすり減らしただけですんだ。

もう十年以上この世界で生活をしているが
やはり前の世界の感覚が抜け切らないのだろう。
行商人や傭兵にとっては旅は日常みたいなところがあるので
ある程度リラックスしているのはわかるが
桂花ですら 途中で見た怪しい人物や視線などを気にすること無く
道中の地形の把握や調査をしていた。

・・・単に私が臆病なだけと言う可能性も高い。


南皮に着いて最初に思ったことは
何もここまで豪華にしなくてもいいのに・・・
と言う感想だった。

城門は彫り物が施され
城壁にも彫像が立っていたり彫り物がしてあったりする。
主要の道の店や建物は この世界にしては綺羅びやかに飾られ
洛陽に勝るとも劣らぬ豪華絢爛差である・・・が
一本脇道に入れば そこには古い建物や一部が崩れた建物、
とても表の通りの建物とは比べ物にならない貧相なもので、
そこで生活する人達の表情は一様に暗く、瞳に生気はなく、
ただ生きるためだけに黙々と働いている、といった感じである。

私と一緒にその様子を見ていた桂花も
コレには驚いたようで、あの袁家の本拠地でさえこの現状なのか?
と、後で宿に泊まった時に話していた。
寿春も酷かったが、ここ南皮も酷い現状だ。
洛陽と同じく一部の者が富を独占し、
その他の民は ただ日々を生きることで精一杯といった感じだ。


南皮に着いた私達は その日は宿で一泊し、
翌日、お城に努めている荀諶ちゃんを尋ねることにした。


「お姉ちゃんいらっしゃい、喜媚ちゃんも良く来たね。」
「ひさしぶりね、あんたは・・・どこでも元気そうね。」
「荀諶ちゃん久しぶり。」
「ぶ~、そうでもないよ。
私も仕事が大変でさ、お姉ちゃんが来てくれて助かったよ。」
「言っとくけど私はあんたの仕事を手伝う気はないわよ。」
「え~なんでぇ、手伝ってくれてもいいじゃない?」
「自分の仕事くらい自分でやりなさい。」
「ちぇ~ 喜媚ちゃんは?」
「私は桂花の使用人なので~。」
「酷い! 喜媚ちゃんにまで見捨てられた!」


そう言って荀諶ちゃんは その場に泣き崩れる。


「演技はその辺にして、さっさと袁本初様に会わせなさいよ。」
「いいよ、とりあえず私とお姉ちゃんは本初様のとこに行くけど
喜媚ちゃんは・・・私の部屋で待ってて。」
「あ、私は一旦外に出て、今日から暮らす家を探そうかと思うんだけど。」
「それなら心配ないよ、私が探しておいたから
お姉ちゃんを本初様に会わせたら皆で行こうよ。」
「そういう事なら待ってるよ。」
「じゃあ、こっちね、着いてきて。」


その後 私は荀諶ちゃんの部屋で二人戻ってくるのを待っていたのだが、
しばらくすると こめかみに指を当てながら渋い表情の桂花と
いつも通りのニコニコ顔の荀諶ちゃんが帰ってきた。


「どうしたの桂花?」
「どうしたもこうしたも・・・明日から私はアレの下で働くの?」
「本初様は扱いやすくていいじゃない。
適当に褒めておけばいいし、袁家の人脈もできるし、袁家で働いたって泊もつくし。」
「だからって街のあの現状を放って置けることなんて出来ないでしょ!」
「私だって別に放っておいてるわけじゃないよ。
色々やってるけど それでもあの現状を維持するのがやっとなんだよ・・・
周りが足を引っ張すぎるのよ・・・だからお姉ちゃんが来て
二人ならなんとか出来ると思ったんだけど。」
「・・・はぁ、とりあえず まずは現状を確認しないと。
誰が敵で誰が味方で誰が使えるのかを・・・」
「その前に私達が住む家を何とかしない?」
「・・・そうね、まずはそっちが先ね。
荀諶、案内しなさい。」
「は~い。」


荀諶ちゃんの案内で、一旦城から出て、彼女が探しておいたと言う家に着き、
とりあえず、今日寝れるだけの掃除を皆でして この日は終わった。


翌日から桂花と荀諶ちゃんは お城で働き、
私は家の掃除と食事の用意などの雑務をこなしながら、
町の様子を見て回り、夜に帰ってきた桂花に南皮の現状を桂花に報告。

夜眠る時、寿春までは別々で寝ていたのだが
南皮に来てからまた桂花と私が一緒に寝るようになり、
更に桂花が何処で手にれたのか薄手のネグリジェのような寝間着で
私にくっついて寝るものだから、私もたまったものではない。
桂花がそれ以上の行動に移らないため、
なんとか耐えてはいるが かなり困った状況ではある。
・・・おそらく桂花にこんな事をさせたのは荀桂さんだろう。
桂花が自発的にこんな行動に出るとは思えない。
荀桂さんの思惑通りに行かないためにも
私は日夜の武術の訓練で思いっきり汗を流し
体力を使い果たすことで なんとか桂花の誘惑(?)に耐えるようにした。

南皮では しばらくはこんな生活が続いた。
そんなある日・・


「とりあえず文醜(ぶんしゅう)は性根はいいとしても文官としての能力は皆無。
顔良(がんりょう)がこの南皮の唯一の良心ということね。
後はひどすぎて言葉も出ないわ・・・」
「そうだね、それ以外にもいい人はいるけど、
完全な善人ってわけじゃないから、
自分が不利益を被ってまで何とかしようっていう気は無いね。
まぁ、それが普通なんだけど、話の持っていきかた次第で
敵にも味方にもなるってとこかな。」
「まぁ、その辺はうまく立ち回ればいいでしょう。
洛陽で宦官達相手にするよりかは楽なはずよ。」
「そうだね~。」
「ならばまずは顔良を味方につけて
その上で町の改善要求を出して・・・」
「後は文醜さんも一緒に味方に出来れば・・・」


二人はこの南皮の民の生活水準を上げるために知恵を絞っている。
桂花に性根は真っ黒だと言われる荀諶ちゃんも
荀桂さんの教育の賜物か、やはり南皮の民を放ってはおけないようで
今まで一人で がんばって来てたそうだ。


こうしてしばらくこの二人はなんとか、
南皮を立てなおそうと頑張ってきていたのだが・・・


「何よアレ!! わけわかんないわ!
何が 「美しくないから却下。」 よ!!
顔良も顔良よ! あの娘がもう一押しすれば
文醜も袁紹も納得しそうだったのに
な ん で あの娘がまっさきに折れるのよ!!」
「もう顔良さんは完全に本初様の言いなりだよね。」
「あ゛~もう!! やってらんないわよ!
これじゃあ、どんなに良い計画書を出しても 袁紹の気分次第じゃない!」
「内政なんて地味な積み重ねだからね~
なかなか、本初様が好む派手さとか 華麗さとかは無いよね。」
「その積み重ねを怠ったら華麗さも糞もないでしょうが!」


もはや桂花には当初から少なかったが、
確かに有った袁紹さんに対する忠義の心は既に完全に無くなり、
袁紹と呼び捨てにするほどだ。
荀諶ちゃんも桂花が来たらなんとかなるのでは?
と 思っていたようだが既に諦めの境地に入っている。


そしてこの数日後、私が買い物に行っている時の話である。




--荀諶--


「もう駄目だわ・・・ココを中から変えるのは袁紹が居る間は無理よ。
私はもう南皮を出ていくけどあんたはどうするの、荀諶?」
「私はもう少し南皮に居るよ。
お姉ちゃんはいいけど 私は結構長い事ココに居るからね。
私まで一緒に出て行ったら民にどんな被害が出るか・・・
民に出る被害を最小限にできるように準備してそれからにするよ。」
「そう・・あんたも気をつけてね。
最悪何かあったら、お母様が居る許昌か、私の所に来なさい。」
「うん、喜媚ちゃんの居る所に行くよ♪」
「私かお母様のところに来いって言ってんのよ!!」
「え~、私が本初様の所で駄目だったら喜媚ちゃんに嫁入りしようと思ってたのに。
ココお給金だけはいいから、
結婚費用とその後の生活費はもう十分たまったんだよね。」
「あんた 子供の頃からずっと言ってるけど まだそれ言ってんの?」
「私はずっと前から喜媚ちゃん一筋だよ。
少なくともお姉ちゃんよりは 私のほうが喜媚ちゃんに合ってると思うな~。」
「・・・・どういうことよ?」
「お姉ちゃんは自分の事ばっかりで喜媚ちゃんの為に何かしようとしたことある?
お姉ちゃん 喜媚ちゃんの将来の夢・・知ってる?」
「・・・・のんびり暮らすことでしょう。」
「そう、それよ。
お姉ちゃんは家のため、この国のため、って言ってるけど
実は自分の才を十全に活かしたいだけでしょ?
お姉ちゃんわかってる?
お姉ちゃんがその才を活かそうと思ったら 喜媚ちゃんの望む、
贅沢は出来ないけど、
家族が幸せにのんびりと暮らせる生活を送ることは出来ないんだよ?」
「・・・・」
「お姉ちゃんが才を完全に活かせる場は 政治や戦場、
喜媚ちゃんの願いと まるで正反対。
だからお姉ちゃんが幾ら喜媚ちゃんを誘惑しようとしても、
喜媚ちゃんはお姉ちゃんを相手にしないんだよ。」
「そんな事! ・・・・無いわよ。」
「実は私達もお母様から言われてるんだよね~
お姉ちゃんが駄目だったら 私か荀衍お姉ちゃんが喜媚ちゃんの嫁になれって。」
「・・・・っ!?」
「今夜辺り喜媚ちゃんに夜這いかけちゃおうかな~。
『こんな国は放っておいて 何処か遠くで私と一緒に幸せに暮らそう?』
・・とか言って♪」
「荀諶あんた!!」
「お姉ちゃんはどっちか選べないんでしょう?
いや、違うわね、お姉ちゃんは自分の才を活かしたいんだよ。
喜媚ちゃんの事なんてどうでもいいんだ、
喜媚ちゃんの持ってる独特の着想や知識が欲しいだけなんだ 「荀諶!!」 ・・っ!
叩いたわね・・・。」


お姉ちゃんは私の頬を思いっきり叩き、
私を睨みつける。


「あんたに喜媚は渡さないわ!」
「 今の お姉ちゃんじゃ喜媚ちゃんを幸せにできない。
近い内にきっと喜媚ちゃんを悲しませる。」
「・・・・私には・・喜媚しか いないのよ。」
「そうやって喜媚ちゃんに甘えている内は、
何時まで経っても喜媚ちゃんは振り向いてくれないわよ。
ま、私にはそっちの方が都合がいいんだけど。」


最後にそう言って私は部屋を出る。


(痛~、お姉ちゃん本気で叩いてくれて・・・母さんにもぶたれた事・・・あるわね。
コレは喜媚ちゃんのお妾さんくらいは許してもらわないと駄目ね♪
・・・でも、コレでお姉ちゃんも少しは
喜媚ちゃんの気持ちを考えるようになるでしょ。
このままだと本当にあの二人がくっつくことなんてなさそうだし。
喜媚ちゃんは妙にお固いし、お姉ちゃんは全っ然素直じゃないし、
普通だったらとっくの昔にどっちかが手を出して結婚して、
私がお妾さんになれてるはずなのになぁ・・・ホント二人とも困ったものだよね。
・・・でも、そういう二人が可愛いのよね♪)


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  1. 2012/09/19(水) 02:59:42|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

誤字を見つけたので報告

一度 許昌に戻ってゆくり考えるのもいいかもしれない。
→一度 許昌に戻ってゆっくり考えるのもいいかもしれない。

周りが足を引張すぎるのよ
→周りが足を引っ張りすぎるのよ

話の持ってきかた次第
→話の持っていきかた次第
  1. 2012/10/17(水) 09:42:13 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字を見つけたので報告

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/18(木) 21:15:06 |
  2. URL |
  3. たいち #-
  4. [ 編集 ]

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