たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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三十二話


寿春




宴席の準備が出来たと呼びに来た周泰ちゃんが、
息を荒くして今にも私に襲いかかろうという陸遜さんを殴って気を失わせ、
何事もなかったように・・・


「宴席の準備が出来たのでどうぞコチラへ♪」


と、にこやかに言ってのけた。
ココ孫家ではコレが日常なのだろうか?
周瑜さんも特に咎めること無く、私と桂花を屋敷内に案内していく。

陸遜さんは周泰ちゃんに引きずられている・・・・わざわざうつ伏せにして。
桂花も時々そうだが、
周泰ちゃんも陸遜さんの胸の事で色々と思うことがあるのだろうか?


案内された部屋には豪華な食事が用意され、
既に孫策さんと黄蓋さん(?)がお酒を飲んでいる。


「雪蓮! 祭殿! 喜媚殿と荀彧殿の歓迎の席なのに
お前達が先に酒を飲んでどうする!!
それに祭殿! 貴女はまだお二人に自己紹介すら済んではおらぬではないですか!」
「おぉ そうじゃったな、
儂は黄公覆(こうこうふく)、黄蓋(こうがい)で良いぞ。
ほら、冥琳すんだぞ。」
「・・・貴女という方は!」
「や~ねぇ、冥琳 固いこと言わないでよ♪
早く食べないと折角の料理が冷めちゃうしお酒も美味しく飲めないじゃない。」
「お前達はっ・・・・二人共 明日から暫く私達の分も含めて、
仕事は全部二人だけでこなすように。」
「えぇ! そんなぁ!」 「それはないぞ冥琳!」
「二人が馬鹿なことをやった罰だ!
本当に申し訳ない喜媚殿 荀彧殿。」
「べ、別にいいですよ。」
「私も気にしてないわ・・・だけど中央の役人相手にこんな事やったら
ただではすまなくなるわよ?」
「流石に二人もそれはわかっているのだが
どうも明命の友人ということで気が抜けているようでして・・。」
「さぁ、お二人共、どうぞ席の方へ!」


この世の終わり家のように凹む二人を放っておいて、
私達は周泰ちゃんに案内され席に着き
周瑜さんの歓迎の口上の後、私達を歓迎する宴会が開かれた。

その様子は、許昌での荀桂さんの宴会に
輪をかけたように明るく騒がしくもので
孫策さんが皆にお酒を進めて周り、
黄蓋さんが私達に食事を進め、
一見すると静かに黙々と料理を食べている周泰ちゃんの周りには
空のお皿が増えていき、
陸遜さんは私と桂花に絡んでさっきの話の続きを、
自分の部屋でゆっくりしよう誘いに来た所で
どこからともなく飛んできたお皿の直撃を食らって倒れ伏し、
周瑜さんは合間合間に私達の旅の話や、許昌での生活の話を聞いたり、
自分達の故郷の話などを話してくれる。


こうして、宴会が終了し、私と桂花は用意された部屋に案内され
この日は布団でぐっすりと眠ることが出来た。


翌日、孫策さんは朝食後すぐにお城へ行き、
私の事を袁術ちゃんに伝えてくれるそうだ。

私と桂花は孫策さんの屋敷の庭で、
武術の稽古をする周泰ちゃんと黄蓋さんをよそ目に、
東屋で周瑜さん、陸遜さんの四人で昨日の話の続きをしていた・・・のだが、
しばらくすると孫策さんがあわてて帰ってきた。


「喜媚ちゃん! ちょっと一緒に来て!」
「え? なんですか孫策さん?」
「袁術ちゃんが喜媚ちゃんをすぐに連れてこいって言ってるのよ。
本当に我儘で困った娘だわ!」
「お前が言うな雪蓮。
しかし、話を伝えてすぐに来いとは・・よほど会いたかったのか?」
「今頃は張勲が抑えてるところよ。
本人に伝えたら自分から会いに行くって言って聞かなかったんだから。」
「あんた書簡で何書いたのよ・・・
何書いたら あの袁公路がそこまで執着するようになるのよ。」
「別に普通の世間話し程度のことだけどなぁ。
じゃあ、すぐに準備します。」
「お願いね。」


私は一旦用意された部屋に戻り、
袁術ちゃんのお土産用に持ってきた蜂蜜の壷と自家製酵母 試作品の蜂蜜飴等を持って
孫策さんの待つ庭へ急いだ。


「お待たせしました。」
「それじゃあ、行きましょうか。」
「じゃあ、桂花はココで待っててね。
私は行ってくるから。」
「いいけど、変な約束とかしてくるんじゃないわよ?」
「わかってるよ。」
「ふむ、喜媚殿 城に行かれる前に少し聞いて欲しい話があるのだがよろしいか?」
「なんですか、周瑜さん。」
「実はな・・・」


その後、周瑜さんは寿春の民の現状と揚州の現状などを簡単に説明し、
その問題の解決のために袁術ちゃんに人手や、資金を出して欲しいのだが
あまりうまくいっていない事などを話し、
揚州の民の生活を改善するための治水工事や畑の開拓資金の捻出の件で、
私に袁術ちゃんに口利きしてくれないか?
と頼んできた。

桂花の方を見てみたが特に問題ないのか 口を挟む様子はない。


「う~ん、私はただの農家の息子なので
袁術ちゃんが聞いてくれるかわかりませんよ?」
「だが、少なくとも我等が話すよりまともに話を聞いてくれるだろう。」
「その話は何度か袁術ちゃんにしたんですか?」
「あぁ、何度か話したが 検討するというだけで
返事をもらっていない状況だ。」
「・・・それだったらむしろ、私が袁術ちゃんのご機嫌を取りますから
どさくさに紛れて 孫策さんが話をすればいいと思うんですけど。」
「・・・普通だったらあり得ないけど、袁術ちゃんだと有り得そうだわ。」
「ふむ、逆に一から話すよりいいかもしれんな。」
「袁術ちゃんは昔から色々有って、
周りの情報から隔離されてるような状況なんですよ。
だから、そうしたら皆が喜ぶよ。
って、単純に話したほうが、彼女には効果的だと思うんですけど。
ちょっと我儘だけど根はいい子ですから。
下手に治水工事云々や開拓云々の話をするよりも、
皆お腹空いて困ってるから袁術ちゃんが少しお金出してくれれば皆喜ぶよ?
くらい単純に話したほうがいいですよ。
張勲さんが目を光らせてますから、全部が全部は通らないでしょうけど、
少なくとも 難しい話をするよりいいですよ。」
「なるほど雪蓮に話すよりも より単純に話せばいいのだな。」
「雪蓮さまに話すようにすればいいんですねぇ。」
「なんで二人して そこで私を例に出すのよ・・・」
「お前は難しい説明をしても、こっちのほうがうまく行く気がする!
とか言って勘で動くだろう・・・それで上手くいくから腹が立つんだが。」
「うまくいくのならいいじゃない。」
「・・・・な? どう思う荀彧殿?」
「私に振らないでよ・・・」
「とにかく、時間もないし喜媚ちゃん行きましょう。
喜媚ちゃんの案ならうまくいくそうな気がするわ!」
「あ、ちょっと、孫策さん!」
「ほらな。」 「ほらね。」
「・・・・あんた達も苦労してるのね。」
「わかってくれるか?」  「・・・・」
「そこ! うるさいわよ!」


そして私は孫策さんに服の襟の部分を捕まれ
猫のようにお城まで運ばれていった。

お城の城門は兵士が孫策さんを確認したのでそのまま素通りし
私は猫掴みで掴まれたまま、袁術ちゃんの待つ
謁見の間まで連れて行かれた。


「連れてきたわよ袁術ちゃん!」
「遅いの・・・・・喜媚ぃぃ!!
久しぶりなのじゃっ!!」
袁術ちゃんは私を見るなり椅子から立ち上がって、
そのままの勢いで私に飛びついてきた。」
「お久しぶりです袁術ちゃん。
だけど、アレから何年も会ってないのに よく私がわかったね?」
「妾が喜媚を見間違うはず無いのじゃ!」
「アハハ、そうなの?
袁術ちゃんは少し大きくなったね。」
「うむ! じゃがまだまだ妾は綺麗になるぞ?
七乃やそこの孫策よりも良い女になるのじゃ!」
「うん、頑張ってね。
・・・・でも好き嫌いはだめだよ?
張勲さんの書簡に袁術ちゃんが好き嫌いをして困るって書いてあったよ?」
「むぅ・・・七乃め、余計なことをしおって。」
「美羽さまぁ、喜媚さんの言う通り好き嫌いはダメですよ?」
「わかっておるのじゃ!
じゃから嫌いな人参も・・・・・少しは食べておるではないか。」
「その調子だよ、袁術ちゃんが嫌いな野菜も頑張って食べるって言うなら・・・
私も約束通り 袁術ちゃんにお菓子を作ってあげるんだどなぁ?」
「本当か! ならば今日から野菜も食べるから 早速お菓子を作るのじゃ!!」
「張勲さん聞きました?」
「はい♪」
「じゃあ、まずはコレ。」
「ん? なんじゃこの袋は?」


私は上着のポケットから小さな袋を取り出して
袁術ちゃんに見せる。


「コレはウチで作った蜂蜜飴だよ。」
「蜂蜜の飴かや!?」
「後で張勲さんに渡しておくから、
ちゃんと野菜を食べたら張勲さんからもらってね。」
「七乃に渡すのではなく妾によこすのじゃ!」


袁術ちゃんは私にしがみついて、飴の入った袋を取ろうとするが
私に近寄ってきた張勲さんに先に飴の袋を取られてしまう。


「七乃返すのじゃ!」
「ダメですよ、美羽さまがちゃんと野菜を食べた時に
一つずつあげますから、ちゃんと嫌いな野菜も食べてください。」
「むぅ~・・・・っ!」


張勲さんを睨みつけながら むくれる袁術ちゃんを
背後から抱えて 私の方を向かせる。


「袁術ちゃん、もう一つお土産があるんだけど。」
「む、何なのじゃ?」
「前書簡で約束した通り、袁術ちゃんお菓子を作って上げようと思ってね。
蜂蜜等は持ってきたけど、張勲さん、厨房を少しお借りしてもいいですか?」
「はい、いいですよ。」
「孫策さんも少し手伝ってもらえますか?」
「え? 私? 言っておくけど私 料理はそんなに得意じゃないわよ?」
「大丈夫ですよ、少し力仕事があるのでそこで手伝ってもらえれば。」
「・・・女の私に力仕事をさせるの?」
「ここまで私を片手で掴みながら走ってこれるんですから
私なんかより十分力がありますよ。」
「・・・うっ。」
「妾も手伝うのじゃ!」
「美羽さま!?」
「いいよ、じゃあ袁術ちゃんも一緒に作ろうか?」
「うむ!」
「あの・・大丈夫なんですか?
美羽さまは料理などした事は・・・」
「大丈夫ですよ、作業自体はそんなに難しことはないですから。
じゃあ、厨房に案内してもらえますか?」
「はい、コチラです。
「はぁ・・・まったく なんで私が。」
「何を作るのじゃ?」
「できてからのお楽しみだよ。」


厨房に案内され張勲さんに他に使う材料を用意して貰う。
使うのは小麦粉、塩、水、酵母だ。
フランスパンを焼いて薄く切り、そこに蜂蜜を塗って食べようということだ。

私の家なら牛乳もバターも用意できるのだが
ココにはさすがに無いので、
今日はコレで我慢してもらう。
だが、焼きたてのフランスパンなら十分おいしいので
袁術ちゃんにも気に入ってもらえるはずだ。

途中の生地を捏ねるのを袁術ちゃんと、孫策さんにやってもらう。
袁術ちゃんはすぐに力尽きてしまったのだが、
孫策さんはラクラクとこなしていた。

一次発酵、ガス抜き、二次発酵、切り分け、寝かせて成形し釜で焼く。
発酵を待つ間にお茶をしながらお互いの話をして時間をつぶす。
焼きあがったパンを少し冷ました後切り分け、
用意していた蜂蜜塗り、皆で食べることにした。


「む!? 甘くてふわふわで美味しいのじゃ!」
「表面がカリッとして中がフワフワなんですねぇ、
甘くて美味しいです。」
「へ~、こんなの初めて食べたけど、美味しいわね。」
「本当ならもっと柔らかく美味しく出来るんですけど
今は材料がないのでコレで我慢してください。」
「コレよりもおいしいものがあるのかや!?」
「まだ、色々あるよ。
でも、コレも焼きたてだから美味しいでしょ?
それに自分で作ったものだから余計に美味しく感じると思うよ。」
「コレを妾が作ったのか・・・もう一つ食べるのじゃ!」
「ほとんど私が練ったんだけどね・・・でも美味しいからいっか。」


その後 ハニートーストもどきを皆で食べながらお茶を楽しんだ。
まぁ、ほとんど袁術ちゃんが食べちゃったんだけど。


「余は満足じゃ~。」
「あらあら美羽さまったら♪」
「それじゃあ約束も果たせたし 私達はコレで帰ろうと思うんだけど・・・」
「なぬ! ならぬ! 喜媚は帰ったらダメじゃぞ!」
「もうすぐ日も沈むからそろそろ帰らないと。
それにまだ何日か寿春に居るからまた会いに来るよ。」
「ダメじゃダメじゃ! 喜媚はココに泊まっていけば良いではないか!」
「う~ん、どうしましょう 張勲さん?」
「美羽さまもこういってますし、
お部屋は用意しますので今日は泊まっていってください。
「いいのかな、私みたいな普通の農民の子がお城なんかに泊まって。」
「はい、喜媚さんなら構いませんよ。」
「それに喜媚にはまだ褒美もやっておらぬ。」
「別に私はいいよ、元々袁術ちゃんにお菓子を作ってあげるのは約束してたし。
それよりもご褒美だったら、孫策さんにあげて。
孫策さんが今回のお菓子作りで一番頑張ったんだから。」
「むぅ、しかしのぅ・・・」
「一番頑張った孫策さんがもらえないなら私ももらえないよ?」
「むぅ・・・・・なら孫策よ、お主何が望みじゃ?」
「私の望みと言ったら・・・今日はアレでいいわ。
前 言っていた、揚州の開墾工事と治水工事の指揮権を、
任せてくれればそれでいいわよ。」
「むぅ?」
「揚州の人達がご飯を食べれなくて困ってるから、助けて上げようって言う工事だよ。
袁術ちゃんがそれを許可してくれたら 後は孫策さんが勝手にやってくれるし、
揚州の皆が御飯食べれるようになって、袁術ちゃんに感謝すると思うよ。
張勲さんどう思います?」


張勲さんは困ったような表情で考え込んでいるが
軍部を動かすならともかく、治水工事や開墾工事ならば行けると思うけど・・・


「・・・う~ん、まぁ、それくらいなら。」
「張勲さんも良いって。」
「うむ、ならば孫策よ、そのなんたら工事をするがよい!」
「ありがと、袁術ちゃん♪」
「ならば喜媚はどうしようかの?
何か欲しいものでもあるか?」
「私は特にないよ、今回使った蜂蜜とかの材料費を少し貰えればそれでいいよ。」
「むぅ・・・うむ! 決めたのじゃ!」
「なに?」
「喜媚には妾の真名を預けるのじゃ!」
「「「・・・・・は?」」」
「み、美羽さま!?」
「なんじゃ、だめなのか?
わざわざ、妾との約束を守るためにここまで来てくれて、
美味い菓子を馳走になったのじゃ。
その友に真名を預けるのに何の問題があるのじゃ?」
「いや・・・・う~ん、喜媚さんなら・・いいのかなぁ?」
「張勲さん!」
「なんじゃ・・・喜媚は妾と真名を交わすのは嫌なのか?」


袁術ちゃんがそう言うと悲しそうな顔をして、
上目+涙目で私を見つめてくる。


「嫌じゃないけど・・・私 真名がないんだよ。」
「どういうことじゃ?」


皆に私の真名がない理由を話し、
真名を交わしたとしても私には交わす真名が無いことを説明する。


「じゃあ、荀彧ちゃんとはどうなの?
荀彧ちゃんの真名は預かってるわよね?」
「アレは桂花が、私の名を呼ぶときには真名を呼ぶつもりで
魂と誇りを懸けて呼ぶって言って・・・」
「ならば妾もそれで良いのじゃ!」
「張勲さん・・・?」


私は最後の望みをかけて張勲さんを見つめるが・・・


「なら、私のことも今後は七乃とお呼びください♪」
「・・・・張勲さん。」
「美羽さまの為にわざわざ許昌からいらしてくれて
美羽さまの信に応えて下さった喜媚さんなら何も問題無いと思います。
それに喜媚さんと私達とのお付き合いもそれなりに長いですし
喜媚さんの為人は見定めたつもりですよ♪」
「ならば妾のことは今から真名で呼ぶのじゃ!」
「これからもよろしくお願いしますね、喜媚さん♪」
「・・・じゃあ、その美羽ちゃんと七乃さん、よろしくお願いします。」


こうして、私がこの世界に来て、
真名を交わした相手が、桂花、稟ちゃん、愛紗ちゃん、美羽ちゃん、七乃さんの
五人になり、何やら大変なことなってきてしまった。


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  1. 2012/09/19(水) 02:57:41|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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