たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

三十話


洛陽




荀緄さんの屋敷で私達の旅立ちを祝う宴を開かれた後、
私は、後二人、弁ちゃんと協ちゃんに
洛陽を去ることを伝えなければならないので
いつもの時間に宮殿の庭園に行き、
二人が来るのを待っていた。

しばらく日向ぼっこをしながら待っていると
協ちゃんが一人で生垣の隙間から現れた。


「おぉ、今日は喜媚が先に来ておったか。」
「協ちゃんこんにちは。」
「うむ、今日は喜媚に会えて佳き日じゃな。」


その後、しばらく弁ちゃんが今日も執務で来れないことや
協ちゃんの、話や愚痴などを聞いていたのだが、
丁度話の区切りがいいところで、
洛陽を去る件を伝えることにした。


「協ちゃん。」
「ん? なんじゃ喜媚、そんなに暗い顔をしおって。
屋敷で嫌なことでもあったのか?」
「屋敷では良くしてもらってるよ。
今日はその話じゃなくて・・・
私、近い内に洛陽から出ていくことになったんだ・・・」
「・・・・そうか、いつかこの日が来るとは思ぉておったが、
とうとう洛陽を発つのか。」
「うん・・・近い内に発つことになるから、
二人に会えるのは今日が最後の機会かもしれなかったから
弁ちゃんにも会いたかったんだけど
仕事ならしかたがないよね・・・」
「すまぬの、妾も会わせてやりたいが
無理にそれをやると喜媚にも姉様にも迷惑がかかる・・・」
「しょうが無いよ・・・あ、でも手紙を用意してきたから、
それだけ渡してくれないかな?」
「うむ、承知した。 必ず姉様に渡そう。」
「お願いね。」
「うむ。
・・・・それで、次は何時くらいに洛陽に来れそうじゃ?」
「正直な話、次は何時来れるかわからないんだ・・・
今までは年に一回は来れたんだけど
次は何時になるのか・・・」
「そうか・・・ならば最悪、今日が最後になるやもしれぬのか。」
「・・・私もできるだけ洛陽に来るようにするけど、
今までは桂花や荀緄さんのお陰でここまで来れたけど
次は 宮殿に入れてもらえないかもしれないから。」


今までは桂花の使用人と言う事と、
荀緄さんの口利きでなんとかここまで来ることができていたが
次はそれも難しくなるだろう。


「そうか・・・っむ、そうじゃ!
以前妾と姉様で書いた 喜媚に渡したあの書簡はまだ持っておるか?」
「え? 持ってるけど?
今はお屋敷に置いてきてあるけど。」
「ならば次はアレを使うと良い!
あの時は ほんのイタズラ心と、また会いたいというお守りのつもりで書いたが、
アレをしかるべきものに見せれば 十分使えるはずじゃ!」
「本当なの?」
「うむ、妾と姉様の連名で、父上の印まで押してあるからの。
大丈夫じゃ!」
「う~ん、じゃあ 次ココに来る手立てがなかったら使ってみるよ。」
「うむ!」


その後も私と協ちゃんは、別れを惜しむように
今までの思いで話や、これから私が何処に行くかなどを話し、
彼女の時間が許す限りいろんな話をした。

そしてとうとう、別れの時間がやってきた。


「そろそろ、戻らんと周りが騒ぎ出すじゃろうな・・・」
「そっか・・・」
「喜媚・・・もし次に洛陽に来るのならば、
できるだけ急いでくれ・・・
姉上もそうじゃが 妾も直に
こうして抜け出すこともできなくなるじゃろう。」
「そう・・・なんだ。」
「姉上も妾も喜媚には会いたいのじゃが
周りがそれを許さぬ・・・妾もこんな所に生まれねば、
姉上と喜媚と三人で楽しく暮らせたのだろうが・・な。」
「協ちゃん・・・」


その時の協ちゃんの表情は、
私よりも年下の幼い彼女が普段するような表情ではなく、
まるで人生に疲れた老人のような表情だった。


「無事会えたとしても、おそらく次が妾達が喜媚に会える最後の機会となろう。
・・・・もし、次会えたならば・・・その時は妾達の本当の名を教えよう。
・・・だから喜媚、ちゃんと次も会いに来るのじゃぞ?」
「協ちゃん・・・また、洛陽に来るよ・・・必ずまた会いに来るよ。」
「うむ、待っておるぞ。」


こうして私は協ちゃんと握手をした後、
その場を離れ、洛陽の宮殿を後にした。

屋敷に帰る時に振り返って洛陽の宮殿を見てみたが、
その豪華な作りとは裏腹に、
洛陽の宮殿は何処か、虚ろで空虚な印象を受けた。



こうしてこの日から数日後、私と桂花は許昌へ向けて旅立った。

荀緄さんは私達が旅立つ前日に、
「もう既に伝えるべきことは伝えた。」
と言い、この日は朝から普段通り宮殿に向かっていった。

私と桂花も、特に普段と変わること無く、
荀緄さんを送った後、城門で待ち合わせをしている行商人や傭兵の人達と合流し、
許昌に向かった。


道中、小規模な戦闘の後が何箇所かあり、
そのまま放置された死体などが幾つかある。
洛陽、許昌と言う主要の道でもこの有様なのだ。
洛陽から離れれば離れるほど状況はひどくなっていくのだろう。

最近では黄巾の噂もちらほら聞くようになったし
管路(かんろ)の占いも耳にする。

果てには東から太陽を背負った救世主が現れるとか
龍が天より降りてきてこの国を一旦滅ぼしてから再生させるとか、
そう言った与太話に近い噂も流れている。
ただの与太話で済めばいいが、私は外史や管理人を知っているだけに
その与太話が本当に起きるのではないか?
と 心配になるが、その話を許昌に帰った時 母さんにしたら・・・
おもいっきり笑われた。


許昌に無事到着した私達は、同行した行商人や傭兵の人達と別れ、
荀桂さんの家へ向かった。


「ただいま! お母様。」
「ただいま戻りました、荀桂さん。」
「あら、二人共お帰り!
予定より随分と早く帰ってきたわね。」
「色々あったのよ、でも 向こうで学ぶべきことは学んできたわ。」
「そう・・・・でも まだ喜媚ちゃんとの事はダメみたいね・・・」
「・・・・ぅ。」
(本人がいる前でそういう話は止めて欲しいんだけどな・・・)


荀桂さんはわざとなのか、私の方を見ては
桂花の耳元で何か囁いて言る。

その後一旦、私は家に帰り母さんと会い、
旅の話を軽く済ませ、久しぶりに食べる母さんの手料理を味わい この日は就寝。


翌日、荀桂さんの家で、母さんも呼んで無事帰ったことを祝う宴会が行われたが、
私は本来祝われる側なのにもかかわらず、
母さんのわがままで私も厨房に立たされることになり
宴会終了直前まで厨房で料理をしているだけだった。

この日は私や、母さんも泊まっていくように言われ
空き部屋が無いから、と言う理由で
私と桂花は一緒に桂花の部屋で寝させられた。
少なくとも私の知る限り空き部屋はいくつもあるし、
寝るなら私と母さんだろうと思ったが、荀桂さんと母さんが結託して、
私と桂花を一緒の部屋に放り込もうとしているので
逆らうことは出来無かった。


「あ、あんたわかってるわね!?
へ、変なことしたらこr・・怒るわよ!!」


真っ赤な顔をして怒る桂花だが、
だが逆に言えば 私が何かしても怒るだけで済ませてくれるということだ。

それに桂花の方から抱きついてきているのだが、
・・・私は怒ってもいいんだろうか?


もちろん 桂花に変なことをするつもりはないが、
私も桂花の気持ちをまったく察していないわけじゃないし
私も決して桂花が嫌いというわけではない。
きちんと手順を踏んで行けば、
ちゃんと 世間一般で言う恋愛関係には成れるだろうし、その先もあるだろう。
しかし 私にはまだそのつもりも覚悟も無い。

荀緄さんに言われた言葉が思い出される・・・

荀緄さんは時が経てば 私と桂花も変わるかも知れない、と言っていたが、
変わった時 私と桂花はどういう関係になっているのだろうか?
私と彼女は幼少時から長く付き合い
今では私の知る恋姫の荀文若ではなくなっている。

男に対して下ネタを含んだ罵詈雑言は吐かないし、
仕事の上では男が相手でも(腹の中で何を考えているかは分からないが)
ニッコリと愛想笑いを崩すこともない。
その分 愚痴等が私に集中するのだが、それもただ彼女の話を聞いてやれば
次の日にはスッキリした顔をしているのだから、
男に対する嫌悪感は、私が恋姫と言うゲームで知るほど酷くはない。

この先どんな形で私達が変わっていくのかわからないが、
少なくとも お互いが幸せでいられる関係でありたいと願っている。


その夜、私は結局桂花に抱きつかれたまま、
彼女の女性特有の匂いや柔らかい身体、体温などを感じながら、
悶々とした夜を過ごしたのだった。


翌朝、私達が袁紹さんの居る南皮へ行く前に
寿春へ行くことを 荀桂さん達に告げたが、
私も桂花も既に家を出た身、 「好きにすると良いわよ。」 と言われ
あっさり寿春行きは決定した。


寿春へ行くまで同行する行商人や傭兵を手配する間、
久しぶりに稟ちゃんに会おうと思い、桂花と一緒に私塾へ行ったが、
既に彼女は旅に出た後で、会うことは出来なかった。

寿春では周泰ちゃんや袁術ちゃん達に会うため
なにかお土産を用意しようと思い何がいいだろうかと考えた。、
袁術ちゃんには手料理でいいのだが、周泰ちゃんは何がいいだろうか?
しばらく考えた後、以前考えた通り彼女の嗜好に沿った物にする事にし、
それを用意するために、服屋へ行き布を購入して早速制作に入った。

後は特筆するようなことはなく、
久しぶりに会った、小作人の皆と話したり、
荀桂さんの家に呼ばれて三人で洛陽での生活の話をしたりしながら
寿春へ旅立つ日まで穏やかに過ごしていた。


数日後、寿春へ旅立つ日になり、
荀桂さんや母さん達に見送られながら出発。

日が合えば 周泰ちゃんが、護衛を引き受けてくれる手はずだったのだが、
私の前居た現代とは違い、通信手段もなければ
移動時間もかかるこの世界では 日数調整はうまく行かず、
周泰ちゃんは寿春で待っていてもらい、
寿春から許昌へ帰るときに送ってもらうよう、書簡で打ち合わせをした。


寿春への道中は、洛陽、許昌間よりも更に酷く、道も若干荒れている。
行商人や傭兵の人達が言うには
コレでもマシな方らしく、さらに南や東に行くと
もっと道が悪かったり、野盗などの危険が多いのだそうだ。

寿春までの道中で小規模な野盗に一回襲われたが、
傭兵の人に怪我人が出た程度で、
私の鉄針の投擲や、傭兵の人の弓で牽制し
桂花の指示した順番で野盗を討っていったら すぐに退散していった。
どうやら、まだ賊に身を堕としたばかりの賊のようで、
武器なども農具であったり、棍棒、粗末な剣等で武装していた。


そうして、無事に寿春にたどり着き、
行商人の人達と別れ、周泰ちゃんが待つ
孫家の屋敷へ向かうのだが、道中 寿春の町を桂花と一緒見て回ったのだが、
主要の道路以外は 洛陽や許昌、陳留よりも酷く荒れ、
路地裏で痩せた老人が座り込んでいたり、
子供達は城壁外の畑で働いていたり、
見る人々も 裕福な人達以外は皆やせ衰えている人が多く
この寿春の政がうまく機能していないことがはっきりと分かった。


「・・・名門袁家の息女の領内とはいえ、
こんなものなのね・・・コレだったら許昌の方がよっぽど良いわよ。」
「仕方がないよ・・・袁術ちゃんの周りが好きかってやってるんだから・・」
「わたしもあんたに言いたくないけど、
それでも領主として着任している以上、責任は袁公路様にあるのよ。」
「それはわかってるよ・・・」
「・・・悪かったわね、あんたの友人を悪く言うような真似して。
でも、それが領主として領内を任された以上 最低限負うべき責任よ。」
「・・・うん。」


袁術ちゃん自身は我儘なところもあるけど
決して善悪の判断が間違っているわけじゃない。
ただ、あの子は若くして領主になってしまい、
なまじ袁家の力があるから それを利用しようとする人間が多すぎる。
そして、それらの人から袁術ちゃんを守るために
張勲さんが無茶をするから余計におかしくなる。
孫策さんの件がいい例だろう。

袁術ちゃんを利用しようとする人間だけだと
暴走しかねないし抑え切れないから、
牽制役に丁度 孫堅さんが亡くなって
力を失っていた孫策さんを取り込むことで
お互いで牽制し合うようにしたのだろう。
自分の利益の為に暴走する者達を、
呉の領民を守る事を第一に考える孫策さんを当てることで
張勲さんが袁術ちゃんをうまく言いくるめて
お互い牽制し合う状態を維持し、袁術ちゃんを守っている。

張勲さんの書簡や、袁術ちゃんの書簡、周泰さんの話、
私の原作知識を動員して考えた結果、
コレが最も納得の行く理由だった。
完全に合ってるとは思えないが、それほど間違っても居ないと思う。

だからといって 袁術ちゃんの領主としての責任が無いわけでもない。
どんな理由であれ、領主になってしまった以上
寿春の領民の生活が苦しいのは 彼女の責任なのだから。


そんな事を考えながら、周泰ちゃんの用意してくれた
書簡の案内通りに進み、途中で人から話を聞くなどして
無事に孫家の屋敷にたどり着くことが出来た。


「じゃあ、桂花 私が中の人と話すから。」
「いいわよ、まかせたわ。
私は周泰って娘、ちょっと遠目で見たことある程度だから。
いい娘そうだったけど ほとんど他人だしね。」


私が門に向かって中の人を呼ぶと、
中から、若干肌が焼けて褐色の肌色をした
長身で長い黒髪の綺麗なメガネをした女性が応対に出てきた。


(あの女は・・・・あの乳は・・敵ね!)


後ろで桂花がブツブツ言っているが無視する。


「すいません、私 胡喜媚と申しますが、
コチラに周幼平様はおられますでしょうか?」
「私は周公瑾(しゅうこうきん)と言う。
明命に用とは・・・あぁ! 胡喜媚殿と申したか。
話は聞いている、明命・・・幼平が世話になっているそうだな。
丁度 今屋敷に居るから どうぞお連れの方も一緒に中へ入られるといい。
すぐに呼んでこよう。」
「ありがとうございます。」


周瑜さんに案内され、屋敷の中に入り、
庭にある東屋に案内されて、ここで待つように言われた。

しばらく待っていると、私と同じ黒い猫耳頭巾のついた服を来た
周泰ちゃんが走ってやってきた。


「喜媚さま! お久しぶりです!!
約束通り来てくれたんですね!」
「お久しぶり、周泰ちゃん。
元気だった?」
「はい! 私は元気です!」
「それにしても・・・私があげたその服 まだ着てたんだね。」
「はい! 屋敷に居る時はこの上着で過ごしているんです。
ところどころほつれたりもしたのですが、
祭様が直してくださるので 今でも貰った時同様 ちゃんと着れますよ。」
「あんた・・・その服一着足りないと思ったら この娘にあげてたのね・・・」


私の横で桂花が小声で呪詛のようにつぶやく。
っていうか、数えてたの!?


「あの、喜媚さま、そちらのお猫様・・・じゃなかった!
そちらの方は?」
「私は荀文若、喜媚の・・・いいな、友人よ!」
「喜媚さまのご友人ですか! 流石お猫様の頭巾がよく似合ってらっしゃる!
私、周幼平と申します! よろしくお願いします!」
「こ、こちらこそよろしく。」
(ちょっと喜媚! この娘何なの!?)
(周泰ちゃんはちょっと人より猫好きだから、
桂花の猫耳頭巾を気に入ったんじゃない?)
(・・・・私のはあの子にあげないわよ。)
(・・・・好きにして。)
「お二人共 どうかされましたか?」
「い、いいえなんでもないよ。」
「なんでもないわ。」


こうして、私は寿春に来た理由の内の一つ、
周泰ちゃんに会うと言う目的を果たしたのだった。


スポンサーサイト
  1. 2012/09/18(火) 01:26:32|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<雑記 | ホーム | 二十九話>>

コメント

三十一話へのリンクを設置、と
  1. 2012/09/21(金) 20:21:18 |
  2. URL |
  3. 読み返しは一気に派 #e.MnMlRY
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://current9.blog.fc2.com/tb.php/189-cd03eb7d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。