たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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二十九話


洛陽




私がおみやげに肉まんを買って帰ろうかという時、
私の裤(ズボン)を咥えて引っ張っている犬が居る。


(この犬って明らかにセキトだよな・・・
コーギーなんて犬種の犬流石にこの時代の中国に
居ると思えないし、赤いスカーフ巻いてるし・・)


私がセキト(?)を観察している間も
セキト(?)は私の裤(ズボン)の裾を加えて
引っ張っている。


「フー・・・どうしたの?
お腹でも減ってるの?」
「ワン!」
「(・・・流石の知恵袋も犬の言葉はわからないよ。)
あ~、肉まんが欲しいの?
でも君が食べられるものじゃないよ?
玉ねぎとかニンニクとか入ってるだろうし。」
「ワン! ワン!」
「・・・ワンと言われても。」


肉まん屋の前で犬と話している私を
皆奇異な目で見てくる。


「あ~・・・すいません、おじさん。
この子が食べれそうな骨とかありませんか?」
「あ? まぁ、あるにはあるが・・・ちょっと待ってな喜媚ちゃん。」


このおじさんは私が良くこの店で買い食いをするので
私のことはよく知っているので、多少のお願いは聞いてもらえる。

おじさんはそう言って肉まん屋のおじさんは店の奥に行く。
その間もセキト(?)は私の周りをぐるぐると回りながら
吠え続けている。


「よぉ、またせたな喜媚ちゃん。」
「すいません、御迷惑かけて。」
「これくらい いいってことよ、
いつも贔屓にしてもらってるからな、ほれ。」


私はおじさんから少し肉の付いた骨を貰うと、
しゃがんでセキト(?)の目の前に出し食べるように促す。


「ほら、コレならお前も食べれるでしょ?」
「ワン!」


セキト(?)は その場で骨を咥えて齧りだしたので、
呂布さんが来るとまずいので セキト(?)が骨に夢中になっている間に
退散しようと思ってその場から立ち去ろうとするが
また裤(ズボン)の裾を咥えられる。


「・・なに? もうご飯はあげたでしょ?
もう無いよ?」
「ワンワン!」
「・・・・困ったな。」

「あ~~!! セキトこんなところに居たんですか!!」


私がセキトを見つけた様な声のする方を見てみると
そこには未来の呂布さん(董卓軍)の軍師、
陳宮(ちんきゅう)ちゃんがコチラに向かって走ってきていた。


「もぅ、何やっているんですか!
恋殿を探してと言ったではないですか!」
「ワン!」
「ワンじゃないのです!
・・・・お前は誰ですか?」
「いや、それは私の台詞なんだけど?」


セキトを見つけて叱りつける陳宮さんが、私を見て睨んでくる。


「音々は陳公台(ちんこうだい)!
恋殿の一の部下なのですよ!」
「はぁ・・・私は胡喜媚です、喜媚と呼んでくれて結構です。」
「それで、喜媚? はなんでセキトに絡まれてるんですか?」
「私が聞きたいんですけど?」


どうもお互い状況がわかってないようなので、
まず私の方からこうなった経緯を話し、次に陳宮ちゃんから話を聞いたのだが・・・


「つまり肉まんを買って食べている時に 呂布さんという方とはぐれてしまったので、
肉まんの匂いをセキトに嗅がせて 追わせていたら、ココに付いたと?」
「そうです。」
「・・・そりゃそうなりますよ。
この子は肉まんを探せと言われたと思ったんでしょう。
だからココに来て私を捕まえたんじゃないですか?」
「うぅ・・・肉まんの匂いで追わせたのは失敗ですか・・・」
「何か呂布さんの持ち物を持っていないんですか?」
「そんな物恐れ多くて持ち歩けるわけ無いです!
きちんと屋敷に保管してあるのです!」
「じゃあ警備隊の人にでも呂布さんの特徴を伝えて 探してもらったらどうですか?」
「そんな恥ずかしいことできるわけないじゃないですか!
まるで音々が迷子になったみたいではないですか!」
「いや、実際どっちかが迷子じゃないですか・・・」
「恋殿がそんな不名誉な迷子になるわけ無いのです!」
「じゃあ陳公台さんが迷子なんじゃないですか。」
「違うのです! ・・・・恋殿・・・・音々が迷子なのです・・・」


流石陳宮ちゃん、呂布さんを迷子扱いにするくらいなら、
自分が迷子扱いされるという不名誉を受け入れるとは!
なんという忠義心!!

・・・そんなに大したことでもないんですけど。


「とにかく、だったらやっぱり警備隊の人に・・・」
「ワンワン!!」
「「へ?」」


陳宮ちゃんと今後のことについて話していると
急にセキトが走りだした。
向かった先には、両手で抱えるほどの袋に
いっぱい詰まった肉まんを抱えた呂布さんが居た。


「れ・・恋殿ぉぉ~~っ!!」
「音々、勝手に離れたらダメ。」
「うぅっ・・・申し訳ないのです。」


呂布さんに抱きついて謝る陳宮ちゃんはかなり微笑ましい感じだったが、
このままココに残っていると、
呂布さんにも絡まれるおそれがあると思った私は、
話しかけられる前に、そそくさとその場を後にした。


「そういえば恋殿、さっきセキトがエサを貰った娘が・・・・あれ?」
「・・・?」
「・・・いないのです。」
「ワン! ・・・ッハッハッハ。」
「セキト、その骨どうしたの?」
「そうです、さっきセキトが間違えて捕まえた娘が、
セキトにその骨をあげていたのです!」
「・・セキトご飯貰ったの?」
「ワン!」
「嬢ちゃん達、喜媚ちゃんならもう帰ったぞ。」
「店主、どういうことですか?」
「あんた達が話している間に喜媚ちゃんは帰っちまったぜ?」
「なんと・・」
「・・セキトのご飯貰ったのにお礼言ってない。
・・義母さんに怒られる。」
「て、丁原(ていげん)殿に怒られるのですか!?
・・・あわわ、なんとかして探してお礼を言わないといけないのですが、
時間がもう無いのですよ。」
「探す。」
「しかし、恋殿、丁原殿から頼まれた
お仕事もしないといけないのです。」
「・・・どうしよう?」
「と、とにかく、まずは丁原殿の仕事を先に済ませてから 喜媚を探すのです!」
「分かった。」

「あ、おい嬢ちゃん・・・・行っちまったか。
なんで喜媚ちゃんの住んでる屋敷を俺に聞かないのかね?」


結局この後、呂布ちゃん達は
洛陽にいる間、私を探していたそうなのだが、
帰らなければいけない日まで私を見つけられなかったため、
丁原さんの元に帰った時に 拳骨を貰ったそうだ。


「痛い・・・」 「痛いのですぅ・・」 「クゥン・・」


そろそろ、洛陽で四ヶ月ほど過ごした時、とうとう桂花の限界が来た。


「あ~~! もう、やってらんないわよ!!」
「いきなり私の部屋に入ってきたと思ったら何なの?」
「もう限界! あの宦官共・・・
報告を勝手にいじる、経費の水増しはする、
勝手な命令書を作っては予算を懐に入れる、
賄賂は要求する、挙句に私をいやらしい目で見た挙句 妾になれですって!!
・・・今すぐアイツら殺すわ!」
「桂花・・・誰かに聞かれたら大変なことになるよ?」
「あんたの部屋は壁が厚いから大丈夫よ!
だからわざわざこの部屋に来たんじゃない!」
「・・・ハァ、頭に血が登ってても
そういうとこはしっかりしてるんだね。」
「当たり前よ! これくらい出来なきゃ、
アイツらとまともに仕事なんてできないわよ!」
「でも、荀緄さんの所で仕事を学ぶんじゃなかったの?」
「もう充分学んだわよ!
それに、お父様はともかくアイツらの仕事の仕方を学ぶより、
あんたのほうがよっぽど効率良く仕事してるじゃない!」
「私は、仕事をやる前に整理して順番を決めて片付けてるだけだよ。」
「それに何よあの使いやすい算盤!!
私にもよこしなさいよ!!」
「アレは試作品だから
もう少しちゃんとしたのができたらあげるよ。」
「本当でしょうね! 約束したからね!」
「はいはい。」


とりあえず算盤を貰えるということで 少しは怒りが収まったのか、
桂花は私の寝台に座り、顎に手を当てて何か考えている。


「・・・・・決めた! そろそろ許昌に帰るわ。」
「は?」
「何驚いてるのよ?
ちゃんと学ぶべき仕事は学んだし、洛陽である程度人脈も作ったし、
もうやること無いじゃない。」
「え~っと、何遂高様に仕官とかは?
誘われてなかった?」
「あんた本気で言ってるの?」
「・・・やっぱりだめか。」
「わかってんならくだらないこと言わないでよ。
こんな所で この国をよく出来るわけ無いでしょ。
上の奴らは どいつもこいつも 私腹を肥やすことしか考えていないし
下の手柄を平気で横取りするし。
私がこんなところで仕官したら潰されるわよ。」
「・・・それで? 許昌に帰った後はどうするの?」
「とりあえず許昌に少し逗留した後は荀諶がうるさいから、
一旦 袁本初(えんほんしょ)様の所に仕官するわ。」
「荀諶ちゃん? そう言えばあの子 袁本初様のところに仕官したんだっけ?」
「えぇ、まぁ、あそこは名門として有名だから 泊を付けるには最適よね。
・・・ただ、袁本初様にすこし問題があるらしいけど。」
「まぁ、詳しくは聞かないけど・・・
そうだ、許昌に少しの間いるなら、私、寿春まで行ってきていい?」
「なんであんたが・・・あぁ、袁公路様とあんた懇意にしてたわね。」
「何度か洛陽に来てからも書簡でやり取りしてたんだけど、
袁術ちゃん、袁本初と仲悪いから 私が袁本初様の所に行くと言ったら、
攻め込みかねないって張勲さんが・・・・
だから、せめて袁本初様の本拠地の南皮に行く前に、
顔を出して欲しいって張勲さんに言われてるのよ。」
「・・・・あんたが原因で戦が起きるなんて洒落にならないわね。」
「・・・あの子は本気でやりかねないんだよ。
いい意味でも悪い意味でも純真だから・・・」
「私も話には聞いてるけど、かなりの箱入りなんですって?」
「えぇ、それもまだ若い彼女を守る為なんだけど、
少し度が行き過ぎて悪影響が出てるんだよ。
袁術ちゃん自身は決して愚鈍な娘じゃないんだけど、
周りが幼い彼女を利用しようとするから、
彼女に重要な決済が回らないように 周りで処理してるんだけど、
それだけに彼女には判断材料が全くないのよ。
だから場合によっては 本気で私を捕まえに軍を率いて南皮まで来かねないんだ。
その結果どうなるか 今の彼女には予想も出来ないから。」
「・・・流石に周りが止めるでしょ?」
「止めるでしょうけど、
それでも聞き入れなくて袁術ちゃんが命令を出そうとしたら彼女、最悪謀殺されるよ?
そしたら今度はそれが原因で袁家が寿春に攻め込むよ?」
「あんたどれだけ、袁公路様に好かれてるのよ・・・」
「・・・さぁ? 私もよくわからないけど
長いこと書簡でやり取りしてたらいつの間にか・・・
前に貰った書簡には 今度会う時は私に真名を預けるとか書いてあったし。
・・・多分、周りには彼女を利用しようとする大人か、
彼女を守るために軟禁に近い状態にする人達しかいないから、
同年代で普通に話ができる子が 私しかいないからじゃないかな。
張勲さんは姉か母親って感じだし・・・
あの人もちょっと・・・かなりおかしいとこあるけど。」
「・・・若くして官職を継ぐと大変なのね。」
「とにかく、一回私が顔を見せれば、
しばらくは大人しくしてるって張勲さんが言ってるし、
袁本初様の所に行く前に かならず顔を出して欲しいって言われてるから、
私は少し休みを貰いたいんだけど。」
「・・・・そうね、良いわよ。
だけど私も寿春に行くわ。」

「は?」

「何よ、今後のために実際に見ておくのも悪くないでしょ?
それに袁家に縁が出来るかもしれないし。」
「だったら尚更行かないほうがいいんじゃない?
袁術ちゃんと袁本初様は色々と問題抱えてるから 変な疑い持たれるよ?」
「そしたら『袁公路様は王の器ではありません
ですので仕官の誘いを断って袁本初様の元に参りました。
貴女こそ王の器を持つお方です。』 とか言えば良いんじゃない?」
「よく口の回る・・・」
「・・・・洛陽で仕事してれば これくらい嫌でも口が回るようになるわよ。」
「・・・・・苦労 したんだね。」
「・・・お父様はこういうことを体験させたくて 洛陽に私達を呼んだのよ。
不本意だけど今の世では必要なことだから。」

「「・・・ハァ。」」

「じゃあ、寿春には二人で行くということで。」
「そうね。」
「そうだ、寿春では私の知り合いの周泰ちゃんが
紹介したい人がいるって言ってたから桂花も会うといいよ。
少なくとも一人は話が合う人がいるだろうから。」
「そう? 楽しみにしておくわ。」


そんなこんなで、洛陽の後は許昌、寿春へと行くことになった。
桂花と周瑜(しゅうゆ)さんはきっと話が合うだろう。
陸遜(りくそん))さんとかもいれば彼女とも話が合うだろうし。

ついでに私は周泰ちゃんに 前から考えていたお土産を持っていくことにして、
袁術ちゃん達には、
約束していた私の手料理とお菓子を作ってあげればいいだろう。


こうして、許昌へ帰る手配ができ次第、桂花と私は許昌へ帰ることになったのだが、
その前に私に話があると荀緄さんに言われ、
私は 荀緄さんの執務室に呼ばれた。


「ふむ、楽にしてくれ。
今日は儂の役職は関係なく、桂花の父として喜媚と話がしたいのでな。」
「はぁ・・・それで、どういった話でしょうか?」
「妻から聞いておると思うが、桂花の婚姻の話だ。
アレは喜媚を桂花の相手にしようと考えておるようだが・・
お前には今のところその気はないだろう?」
「・・・・荀緄さんや荀桂さんには悪いのですが、
私と桂花では生きる世界が違うと思っています。」
「うむ、儂もそう思っておる。
家柄等は関係なく、思想が違うというところか・・
お主は人としての安寧を求める。
桂花が家に入って家庭に収まるのなら問題なかろう。
お主は桂花を大切にするだろうし、子が生まれれば大切に育てるだろう。
だが桂花はこの国を憂い、民に幸福を与えようとしておる。
喜媚と結婚したとしても 今の桂花は生き方を変えはしまい。
桂花はお主に補佐されて伸びるだろうが、
お主には安寧は訪れず、その道は険しいものとなろう。」
「・・・・」
「妻はそれがわかった上で それでもお主と桂花の二人ならば
乗り越えていけるだろうと考えておるようだが・・
儂はそうは考えていない。
少なくとも今の喜媚では 何れ持たぬ時が来るであろう。」
「・・・そう ですね。」
「お互いどんなに大切に想い合っておっても生き方が違えばどちらか、
又は双方が歪むことになる。
そうなってしまってはお互いが不幸になるだろう。」

「・・・」

「だが、そこまでわかっておっても
儂にも桂花には喜媚しか相応しい者がおらぬとも思っておる。」
「・・・どうしてですか?」
「元から男が苦手な上にあの件じゃ、お主以外に心を許しておる男がおらぬ以上、
下手に無理にでも子を産ませようと 別の男をあてがえば、
桂花は心が壊れるか 自害してしまうだろう。
それは儂も妻も望むところではない。」
「・・・」
「だが喜媚に無理に桂花と一緒になれとも言えぬ。
それにそんな中途半端な気持ちの状態の喜媚に 大事な娘をやるわけにもいかん。」
「・・・」
「だから儂は今少しの間、時を置くことにした。」

「・・・え?」

「少なくとも、今は時期ではない。
お主と桂花が結ばれる定めならば 天がその時を決めるだろう。
それに・・・これから世は荒れる。
コレはもはやどうしようも出来ぬ。
お主や桂花も否応なく巻き込まるだろうが、
その時に 二人の生き方も変わってくるやもしれぬ。
うまく変われば二人の生き方が交わう事になるだろう。
そうならないかもしれぬ。
または 喜媚より桂花にふさわしいものが現れるやもしれぬ。
・・・だがそれらは 天が決めるであろう。
儂は、お主達の生き方が交わうのをただ祈るのみだ。」
「・・・・・荀緄さん。」
「何も言わずとも良い。
儂はそう思っておるというだけで お主に何かを強要しようとは思っておらぬ。
喜媚が桂花を求めるなら好きにするがいい。
どうするかはあの子が決める。
逆また然りじゃ。
・・・ただ儂はどんな形であれ、
あの娘が幸せになってくれればそれで良い。」
「・・・・荀緄さん。」
「後は 妻が下手に暴走しないよう、
儂が見張っておくから お主達は好きにするといい。
仮に喜媚が桂花を選ばずとも無理に桂花に男をあてがって、
あの子を壊すような真似はせぬ。」
「荀緄さん・・・・その、なんて言うか・・・ありがとうございます。」
「うむ、今しばらくの間、桂花を頼んだぞ。」
「はい。」
「ならば、わしの話は終わりじゃ。
今宵は二人の旅立ちを祝い宴を開くゆえ
楽しんでいくといい。」
「はい。」


こうして、この夜は皆で洛陽での最後の宴を楽しんだ。


その数ヶ月後 荀緄さんも尚書から、
済南相になり洛陽を去ったという話を桂花から聞いた。


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  1. 2012/09/18(火) 01:25:27|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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