たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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二十八話


洛陽




洛陽での生活も十日ほど経った頃、
桂花はいつものように荀緄さんの仕事を手伝い、
今日は荀緄さんが何処かの諸侯と会談を開くというので 桂花だけ帰された。
あまり桂花に合わせたくないタイプの人間のようだ。

関羽さんも洛陽の視察を終わらせて帰ってきたのだが、
洛陽での滞在日数がかさむのと比例して 彼女の表情は暗くなっていく。

最近では、路地裏などや、周辺の畑を見て回っているらしいが
洛陽で暮らす一般の民の生活水準を見てショックを受けたようだ。

私は桂花の仕事や、屋敷での仕事を手伝いながら、
空いた時間を見て協ちゃんに会いに行っているが
未だに弁ちゃんとは会えていない。


今日の夕食後、いつものように桂花の仕事の愚痴を聞きながら
食後のお茶を楽しんでいたのだが、
関羽さんが私たち二人に話があるというので、
彼女の借りている部屋に三人で向かうことにした。


「それで? 私達だけに話したい話って何なの? 関羽。」
「はい・・・実は近いうちに洛陽を発とうと思います。」
「そう・・もう洛陽の視察はいいの?」
「はい、荀彧殿が洛陽はこの国の縮図だと
言っていた意味がよくわかりました。
・・・一部の者達だけが富を独占し、民は重税に苦しみ、
日々の食事も満足に得られることができていません。
まさしく、この国の縮図を見ているようでした。」
「そう。」
「しかし、私ではこの洛陽で仕官して
国を内部から変えることは出来ないでしょう・・・
私にはそんな知もなければ 器も無い。」
「「・・・・」」
「ですから私は また旅に出ようと思います。
今度は、私と同じ志を持ち この国を・・・
この国の民を救うことができる仲間と、それができる主を見つけて
協力して、少しでもこの国の民の現状を、良い方向に変えていきたいと思います。」
「そう、じゃあ私から言うことはなにもないわ。
私には私のやるべきことがあるから、
関羽、貴女と共には行けないけど、
貴女の旅で良い出会いがあるように祈っているわ。」
「関羽さん・・・きっと良い仲間に出会えます・・・
貴女が心から信頼出来る人達に会えますよ。」
「ありがとうございます。
・・・その旅立つ前に一つお願いがあるのですが・・・
私と真名を交わしていただけないでしょうか?」
「真名を?」
「本当なら、許昌を発つ時に言うつもりだったのですが、
郭嘉殿に先を越されてしまいましたので・・・」
「別に稟と一緒に言ってくれても良かったのに。」
「いいえ、気恥ずかしかったというのもありますが、
郭嘉殿には失礼かもしれませんが、
私はお二人と真名を交わしたかったので。」
「私達と?」
「はい。
別に郭嘉殿が信頼出来ないというわけではないのですが、
私はあの方の心底を計れるほど 付き合いがあったわけではないので・・
ですが、お二人とは短い間でしたが、
私の人生において大事な時間を過ごさせて頂きました。
お二人には 私に何が足りないのか教えていただき、
その足りないものを埋めて頂きました。
それで、完全になったなんて烏滸がましいことは言いませんが、
それでも 目指すべき道標は出来ました。」
「・・・」
「そう、まぁ、あんたはもう少し学問を修めるべきね。
個人の武はもう申し分ないのだから、
後は知を補えば 優秀な武官になれると思うわ。」
「ありがとうございます。
それにお二人は それぞれ形こそ違えど 心から民を思って居られます。
そんなお二人だからこそ、私の真名を預け、
できることならお二人からも
信頼を預けていただきたいと思っています。」
「・・・そこまで言ってくれるなら
私はいいけど・・・」
「私もいいわよ。
短い間だったけど、あんたの為人は見定めたつもりよ。
ただ残念なのは、あんたが歩む道が私と違ったことね。
あんたが力を貸してくれたら、
武においての不安要素は無くなったのに。」
「私も同じ思いです・・・荀彧殿は
上から変えようとしておられる。
私はまずなによりも先に民を救いたい。
そういう意味では喜媚殿の方が私の思いには近いですね。」
「私!? 私はそんなに大それた事は考えてないよ・・・」
「そうでしょうか?
私には 何れ喜媚殿は大業を成し遂げる人物だと思っています。」
「私はそんな・・・」
「喜媚にはそんなのは似合わないわよ。
喜媚は私の下でこき使われるのがお似合いなのよ。」
「桂花・・・さすがにそれは。」
「う、うるさいわね! あんたにはそれがお似合いなのよ!」
「フフフ・・・私は何れ喜媚殿が
私と同じ道を歩んでくれると期待していますよ?」
「関羽! あんたねぇ・・・!」


関羽さんが私の方を見て微笑んだ後
桂花を見つめている、桂花も負けじと関羽さんを睨みつけるが
関羽さんの瞳には全く悪意や邪心はなく、
ただ 自分の信頼するものを見つめる 穏やかながらも真摯なものだったので
桂花も毒気を抜かれて、すぐに目をそらしてしまった。


「さて、私 関雲長 真名を愛紗と申します。
私の心からの信頼の証としてお預かりください。」
「・・・・私の真名は 桂花よ。
・・・よろしく。」
「私は、以前説明したかもしれませんが
真名がないので・・・」
「えぇ、わかっています。
荀彧・・・桂花殿と同じように、
今まで通り喜媚殿と呼ばせてもらいますが、
その意味は今までとは違い、信頼を込めて呼ばせて頂きます。
喜媚殿は私を真名で呼んでください。」
「・・じゃあ、その、愛紗ちゃん、よろしく。」
「ちゃ・・ちゃん!?」
「あ、まずかった?」
「い、いいえ! 結構です!
それで結構ですよ!」


関羽さん、あらため愛紗ちゃんは、少し慌てながらも
頬を赤く染め、すこし照れたほほ笑みで 私を見つめて来た。


「喜媚殿。 桂花殿。 これからもよろしくお願いします。」


こうして、私と桂花、愛紗ちゃんの三人で真名を交わし、
翌日、今日の真名を交わした一件を荀緄さんに話、
桂花は仕事を早く切り上げ屋敷に戻り、
一日遅れだが、三人で祝杯を上げた。


この日から数日後、
とうとう、関羽さんが洛陽から旅立つ日がやってきた。


「それじゃあ愛紗、元気でね。
できたら貴女とは同じ主の元で働けると良いわね。」
「そうですね、桂花殿と私では 色々考えが違うところもありますが
この国や民の暮らしをよくしたいと望む主の元でなら、
一緒にやっていけると思います。
お互い そういう主に出会えることを祈っています。」
「えぇ・・じゃあ、道中気をつけてね。」
「はい。」
「愛紗ちゃん。」
「は、はい・・・・どうもその ちゃんと言うのは慣れませんね。」
「私から愛紗ちゃん言える事はそんなに無いけど・・・
醜聞に惑わされず、
自分の目と耳で真実を確かめるように気をつけてね。
悪人だと言う噂の人が善人だったり、
良い話に裏があったり・・・愛紗ちゃんは
真っ直ぐすぎるところがあるから、時間がある時は、
まず一旦落ち着いて情報の真意を確認してから動くようにしてね。」
「はい。 肝に銘じておきます。」
「私の見た目で女だと思って閨に誘った時みたいに 思い込みで判断しないでね♪」
「あ、あの時は!
あの時は喜媚殿が黙っていたのが悪いのではないですか!!」
「ハハッ、冗談だよ。
アレは言わなかった私も悪かったからね。
でも、そういうことだよ。
見た目や噂に惑わされないで。」
「分かりました。
・・・・それでは、また会える日を楽しみにしています。」
「お互いにね。」
「愛紗ちゃん、元気でね。」
「はい! ・・・それでは!」


こうして愛紗ちゃんは行商人の人達と次の街へと旅立っていった。

一応 彼女には釘を刺しておいたけど、
恋姫の歴史の流れ通りに反董卓連合が起きてしまった時に、
少しでも洛陽の皆の被害を抑えられるように・・・


さて、愛紗ちゃんが洛陽を発ち、
荀緄さんの屋敷内が少し寂しくなってしまったが、
私も桂花も がんばって洛陽での生活を送っている。


洛陽での生活が一月ほど経った時に、
周泰ちゃんが袁術ちゃんの書簡を持って訪ねて来たので、
お互いの無事を確認した後、
洛陽の店で、簡単な祝杯を上げ、
お互いの近況を話し合った。


「それにしても あの時は本当に大変でしたよ、
喜媚様が洛陽に行かれたと袁術様が聞いた時は
『なんで喜媚は妾の所に来ずに毎回洛陽などに行くのじゃ!
こうなったら妾も洛陽に行くのじゃ!』
と言い出して、張勲様が袁術様をなだめるのに
寿春中から色んなお菓子を集めて
なんとかご機嫌を取ってましたから。」
「あはは・・・それは張勲さんに悪い事したかな?」
「多分 張勲様からの書簡には、
その愚痴が書き連ねられていると思いますよ。」
「覚悟はしておくよ・・・それにしても
やっぱり一回 寿春に行ったほうがいいのかな・・・
一応、洛陽での仕事が終わって、許昌に戻った時、
少し休みをもらって行こうかと桂花に話してはいるんだけど。」
「来てくださるなら、日程がわかれば私がお伴いたします!」
「周泰ちゃんが付いてくれるなら道中は安心だね。」
「おまかせください!
その話を袁術様にしたら、
きっと私の派遣を許してくださるはずです。」
「なんか悪いけど、日程がわかったら教えるよ。」
「はい!」


この後も いろんな話をした後、
周泰ちゃんは仕事があるというので
最後にお茶で乾杯して別れた。


洛陽での生活もだいぶ慣れ、
荀緄さんの屋敷の人達や、よく行く店の人達、
それに加え、私がよく出入りするのと、
特徴的な猫耳服のお陰で宮殿の見張りの人達とも、
ある程度挨拶や世間話をするようになった頃、
ようやく宮殿内の庭園で弁ちゃんに会うことが出来た。


「喜媚様・・・お久しぶりです。」
「弁ちゃん久しぶり・・・ちょっと痩せた?」


最後に彼女を見たのが 約一年ほど前の記憶なので
あまり当てにはならないが、
彼女は少し痩せた・・・と言うか
やつれたと言う表現のほうが正しいのかもしれない。
若干顔色が悪く、けだるいような感じを受ける。


「食事はちゃんと食べているのですが・・・
最近少し忙しいので。」
「・・・姉様は最近ほとんど休みをとっておらぬ。
今日姉様の体調が悪いということで
ようやく休みを取れたのじゃ。」
「え? じゃあ、こんなとこに来てないで寝てないと!」
「すいません・・どうしても一目 喜媚様に会いたかったので・・
無理を言って少しだけ時間を稼いでもらってきたんです。」
「どういうこと?」
「妾や姉様の身の回りの世話をする者の中に
信用できるものが数人おってな、
その者に姉様の身代わりをしてもらっておるのじゃ。
あまり時間は取れないが それしか方法がなくてのぅ。」
「そこまでして・・・・」
「せっかく喜媚様が洛陽にいらしているのに、
一目もお会いできずに、手紙だけなんて悲しいじゃないですか。」
「弁ちゃん・・・」
「今日は妾の事はいいから、姉様の相手をしてやってくれぬか?」
「でも、体の調子はいいの?」
「えぇ、喜媚様の顔を見たらなんだか気分が良くなってきました。」
「そう? でも少しでも体調が悪くなったら すぐに言ってよ?」
「はい。」


その後、ほんの少しの時間だったが
弁ちゃんと、二人で近況を話し合い、
時々協ちゃんが茶々を入れながら楽しく過ごしていたが
不意に協ちゃんが、今の境遇に付いての愚痴をつぶやくようになった。


「妾もそうじゃが、特に姉様はもう少し、謁見の回数を減らすべきなのじゃ。
今ではまともに休む時間や、食事の時間も取れておらぬではないか。」
「でも協、私が会わないといつまでも待ってる人達も居るし・・」
「それで姉様が体を壊したら元も子もないのじゃ!
それに父様がまだ存命なのにもかかわらず
跡目の事で周りが勝手に騒ぎ立ておって・・・
母様も母様じゃ・・・」
「協!!」
「う、うむ・・・すまぬのじゃ。
喜媚がおるのにする話しじゃなかったの・・・
喜媚も今の話は聞かなかったことにして欲しいのじゃ。」
「それはいいけど・・・二人共体調だけは気をつけてよ?
私には話を聞いてあげるくらいしか出来ないから。」
「うむ、だが喜媚はそれでいいのじゃ。」
「えぇ、話をしてくれるだけで だいぶ気分が楽になりますから。」


彼女達はこ宮殿の中でも
かなり偉い人の娘だということは察しがつくが、
桂花もそうだが、そういう家に生まれたら それはそれで大変なんだろう、
家を守って行かなければならないし
権力が強ければ それに付随する荷物も大きくなる。
跡目争いもある・・・
私には何も出来ないけど、
せめて彼女達の愚痴を聞いたり 気晴らしくらいには付きあおうと思った。


結局この後、すぐに二人は戻らなければならない時間になり
部屋に戻っていった。
短い間ではあったが
お互いこうして顔を合わせて 無事を確認できて良かった。


この後、私も宮殿から帰ったのだが、
帰り道で、肉まんを売っている店があったので
おみやげに買って帰ろうと思い、
何個か買って店前から立ち去ろうとした時。
不意に足を引っ張られる感覚がしたので
下を見たら、この時代のこの国に居るべきでない
赤いスカーフを首に巻いた犬が
私の裤(ズボン)の裾を加えていた。


(なぜオマエがここにいる・・・セキト!)


「ワン!」


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  1. 2012/09/18(火) 01:24:19|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

誤字を発見

まず一旦落ち着いて情報の真意をを確認してから動くようにしてね。」
→まず一旦落ち着いて情報の真意を確認してから動くようにしてね。」
  1. 2012/10/06(土) 16:39:06 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字を発見

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/06(土) 19:52:39 |
  2. URL |
  3. たいち #-
  4. [ 編集 ]

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