たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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二十四話


許昌




(冷静になれ、冷静になるんだ。
冷静になればなんでもできる。)


私と桂花の目の前に立っているのは
知ってる人が見れば人目でわかる、美髯公
もとい美髪公こと関雲長その人だ。

そもそも なぜ 今 関羽さんが許昌に居るのか?
とにかく、彼女の話を聞くしか無いようだ・・・


「それで、関雲長といったかしら?
あなた我が家の家主、私のお母様に用があるとかいう話だけど
一体何の用事なの?」
「はい、実は・・・」


彼女の話を要約すると、こうだ。


彼女は今の漢の現状を憂い、
旅をしながら賊を狩ったりしているのだが、
旅の途中で この許昌の噂を聞いたんだとか。

なんでもこの辺りでは最も発展していて、
民が飢えること無く、賊の大群に襲われても
見事に返り討ちにしたとか。

そこで見聞のため、それと心もとなくなった旅費を稼ぐために
この許昌まで来たのだが、
市場などを周り、用心棒や傭兵等、
武を使う仕事を探したのだが、
この許昌では、警備隊が優秀なため満足な仕事がなく、
あったとしても別の町へ移動する際の警護といったものしか無い。
かと言って普通に働いたのでは
旅費を稼ぐまでにどれくらいかかるかわからないので
割のいい仕事を探していたのだが
その途中で、この辺りに顔の広い荀桂さんなら
いい仕事を紹介してくれるかもしれない。
と言う話を聞き、やってきたというのだ。


はい、彼女が許昌に来たのは私のせいですね。
ありがとうございました。


「ふ~ん、そういうこと。
生憎とお母様が帰るまでもうしばらくかかるけど・・・
貴女、誰の紹介でココに来たの?」
「市場で鍛冶屋を営んでいた熟年の男性の紹介です。」
「あぁ、あの人ね。
わかったわ、家の中に入ってお母様が帰ってくるまで待つといいわ。
お茶と飲茶くらい出すわよ。」
「ありがとうございます!」

(ちょっと、桂花いいの?)
(いいのよ、鍛冶屋のおじさんの紹介なら
この娘の為人は確かだろうし。)
(そういうものなの?)
(そういうものなのよ、この家に紹介されてきたなら
その途中で為人を確かめられてきているはずよ。
逆に為人が確かな人物じゃなければ
家に紹介されて来ることなんてないんだから。)
(ふ~ん、そんな風になってたんだ。)

「あの、どうかされましたか?」
「なんでもないわよ、
今この子にお茶の用意をさせるように言っていただけだから。
じゃあ、喜媚頼んだわね。」
「はい。」


そして私は勝手知ったる桂花の家の台所へ行き、
お茶等の用意をしてから
応接間で待っている桂花たちの元に行く。


「おまたせしました。」
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」


二人にお茶を出して私は下がろうとしたのだが・・


「喜媚、あんたも座りなさいよ。」
「え? ・・・・でも。」
「あんたはウチの使用人じゃないんだから
別に問題ないじゃない。」
「じゃ、じゃあ・・・失礼します。」
「それじゃあ、簡単に自己紹介しようかしら。
私は荀文若、貴女が訪ねてきた荀桂の娘よ。」
「私は胡喜媚と言います、喜媚と呼んでください。
私は・・・・なんというか、
この荀文若様の友人をさせてもらっています。」
「そうだったんですか。
では、先程も名乗りましたが、
私は関雲長、河東郡解県から諸国を旅をして回っています。」
「河東郡解県と言うと、塩で有名ね。」
「えぇ、よくご存知で。」
「有名だからね。
それで、雲長さんはどうしてわざわざ諸国を旅してるのかしら?
何処かに仕官するという道もあると思うけど?」
「はい、未だ、私が心から
仕えることができる主に出会えませんので・・・
それに、将来のため、今の内に見聞を広げようかと。」
「そう、それは立派なことね。
・・・・どこかの誰かに聞かせてあげたいわ。」


そう言いながら桂花は私の方を流し目で見てくる。


「・・・・」
「どこかの誰かに聞かせてあげたいわ。」


今度は はっきりと私の顔を正面から見ながら言ってくる。


「何度も言わなくてもいいよ。」
「あの・・・」
「あぁ、別に気にしなくてもいいわよ。」
「はぁ・・・それで、先程文若殿が名乗られて
思い出したのですが、
文若殿はもしかして、この許昌で農法や兵法等で
民の為に太守様に知恵を貸しておいでになると言う
話を聞いたのですが、その文若殿ですか?」
「まぁ、私一人の知恵じゃないけどね。
他の二人と皆で考えてその知恵をお母様に伝え、
それが結果的に太守様に伝わって、実行されただけよ。」
「おぉ、では、噂は本当だったのですね!
私では武でしか民の為に力になれませんが
文若殿は知で多くの民を救ってらっしゃるのですね。」
「私は知があるからそれを使っているだけで
貴女には武があるのだから、
私にはできない方法で民の為に力になればいいんじゃない?」
「そうですね・・・私にはそれしかありませんし。」
「おせっかいかもしれないけど、
最低限の知はつけておいたほうがいいわよ?
貴女が将来仕官して軍を率いるのに 最低限の知が無ければ、
それはただの烏合の衆と同じなのだから。」
「はい、それはわかっているので
一応兵法も学んではいるのですが、なかなか・・・・」
「まぁ、武も知も一朝一夕でどうこうなるものではないのだから、
継続することが大事よ。」
「そうですね。」


・・・・なんか凄い真面目な話をしていて
私は居づらいのだが・・・帰っては駄目だろうか?
桂花がたまに私の方を睨むのは、
「あんたも雲長を見習って少しは世のため・・・
と言うか私と一緒に働け!」 と、言っているようにしか見えない。

時折、桂花が私の方をにらみながら、
真面目な話を続ける二人を桂花の横で眺めていたのだが、
私の精神が削り取られる前に
ようやく 荀桂さんが帰って来てくれたので
なんとか、私は耐え切れずに逃げ出すという愚行を犯さずに済んだ。


「ただいま・・・あら? お客さん?」
「お帰りなさいお母様、
鍛冶屋のおじさんに紹介されて、お母様を訪ねて来そうよ。」
「そう・・初めまして、荀桂よ。」
「はじめまして、関雲長と申します。
この度は 荀桂殿に是非お願いがありまして、
こうして訪ねて参りました。」
「あら そうなの?
どんなお願いかしら?」


その後、関羽さんは最初に私達に話した内容を
荀桂さんに説明し、良い仕事を紹介してもらえないか?
と、説明をする。


「う~ん そうねぇ・・・ある程度稼ぎが良い仕事ねぇ。」
「武には自信がありますので、
賊退治や傭兵等の仕事でも構いません。」
「ふむ・・・」


荀桂さんは、関羽さんを上から下へと観察する。


「そうね、私と一対一で試合をしたら、私 負けちゃいそうね。」
「えっ!? お母様、雲長はそんなに強いんですか?」
「さん をつけなさい、お客さんなんだから。」
「ご、ごめんなさい。」
「試合なら負けるわね、戦場でなら話は別だけど。」
「む・・・如何に荀桂様といえど、
今の言葉は聞き捨てなりませぬ。」
「別に貴女の武を侮辱したわけじゃないのよ?
貴女には経験がまだ足りないから、
経験が豊富な分私でも勝ち目があるっていう話しよ。」
「・・・・」


関羽さんが荀桂さんを睨むが、
荀桂さんはどこ吹く風だ。


「戦場では常に一対一というわけではないでしょう?
それに流れ矢だって飛び交うし、
敵の兵を盾にしたりそれこそなんでもありよ?
そういう経験が私のほうがあるから、
戦場では別だといったのよ。
一騎打ちで貴方に勝てるなんて言ってはいないわよ。」
「・・・そうですか。」
「己の武に自信を持つのはいいのだけど、
もう少し、落ち着いて周りを見ることができるようになれば、
貴女も戦場で命を落とすことはなくなるでしょう。
今みたいにちょっと武を貶されたように聞こえただけで冷静さを失っていたら、
そこらの新兵にだって隙を突かれてやられちゃうわよ?
気をつけなさいね。」
「ご忠告として承っておきます。」


どうやら関羽さんも納得したようで
先ほどのピリピリとした威圧感はなくなった。


「さて、仕事の件だけど。
私が紹介できる仕事だと・・・そうねぇ、
喜媚ちゃんのところとかどうかしら?」
「「はぁ!?」」


私と桂花が、お客の前で出しては行けないような声を出して驚く。


「喜媚殿・・の所ですか?」
「えぇ、喜媚ちゃんの所は農家なんだけど
色々手広くやってて、あの袁家とも繋がりがあって
私が知ってる中でもかなり儲けている方よ?」
「袁家というと、三公を輩出したあの袁家ですか?」
「そうよ。」
「荀桂様・・・袁術ちゃんとは普通に商取引をしているだけで・・・」
「ほらね? あの袁公路様を袁術ちゃんなんて呼べるのは 許昌ではこの子だけよ。」
「・・・な、なるほど。」
「荀桂様! 雲長さんも変な風に納得しないでください!
それになぜ私のところなんですか?」
「私が紹介できる中で、一番儲けているからよ?」
「他にも商人とか居るじゃないですか・・・」
「雲長さんができそうな仕事で 高給を出せる所は無いわよ?
それに理由はもうひとつあるのよ。」
「何ですか?」
「雲長さんは許昌の見聞もしたいのよね?
この許昌がどうして発展しているのか知りたいのよね?」
「はい。」
「なら喜媚ちゃんの所が一番いいじゃない。
この許昌が他の都市よりも農作物の出来がいいのは
喜媚ちゃんの研究のおかげなんだから。
この許昌で、いま一般的に使われている農法の基礎は、
ほとんど喜媚ちゃんが考案したのよ?
ウチの桂花達はそれを普及しやすいように調整しただけだもの。」
「・・・本当ですか!?」
「本当よ、表向きは桂花が普及させたようになってるけど
農法自体は喜媚ちゃんが確立したものだもの。」
「・・・・・。」


関羽さんがなんか凄い尊敬の眼差しで見つめてくる・・・
(止めて! 私はただ人の知識を模倣してるだけなの!!)


「それと、雲長さんには もう一つ仕事を頼みたいのだけど。」
「何でしょうか?」
「今度ウチの桂花が洛陽に行くのだけど
それの護衛をして欲しいのよ。
鍛冶屋のおじさんの紹介なら為人は確かでしょうし、
武も私以上なら問題無いわ。
雲長さんは洛陽には行ったことある?」
「いいえ、まだ行ったことはありません。」
「それなら一度行っておいたほうがいいわ。
国を知るなら まずその国の首都を見ないと。」
「・・・確かに。」
「しばらく喜媚ちゃんのところで働いて、
桂花が洛陽に行く時になったら一緒に洛陽に行く。
当然その時の旅費や護衛代は私が払うから、
雲長さんは安い経費で洛陽まで旅ができるし 喜媚ちゃんのところで稼いだお金は
そのまま取って置けるわよ?」
「あの・・・まだ、私が雇うと決めたわけでは・・・」


いきなり関羽さんは立ち上がり、
私の手を両手で握る。


「喜媚殿! ぜひともお願い致します!
喜媚殿の所で働かせてください!
給金は少なくてもいいので、是非この許昌で、
作物の収穫を増やしたという農法を学ばせてください!」
「いや、雲長さんは兵法を学びたいんじゃないの?」
「兵法も大切ですが、人は食べないと生きていけません。
それに食べていけなければ心が荒み、
やがて一部の者は賊に身を窶してしまいます。
民が食べていくためにも 是非優れた農法を学ぶ事が大切なのです!」
「あ~・・・・・あの桂花どうしたら・・・・」
「・・・・なんで私に聞くのよ?
あんたの好きにすればいいじゃない!」
「うぅ・・・」
「喜媚殿!」


若干機嫌の悪い桂花と熱心に私に頭を下げて頼み込んでくる関羽さん。
その二人の様子をみてニヤニヤと笑っている荀桂さん。


(・・・・そうか、荀桂さん仕組んだな。
前から荀桂さんは私と桂花をくっつけようとしてたけど、
今回は関羽さんを間に入れることで桂花を煽るつもりか・・・
その上で、関羽さん私に押し付けて洛陽までの護衛を確保。
一石二鳥どころか三鳥と言うわけか・・・
かと言って・・こんな風に頼まれると断りづらい・・
関羽さんの場合、十割善意だから質が悪い、
それにむ、胸が当たって凄いことになってるし。)
「喜媚・・・」


私が関羽さんの胸を意識した瞬間、
桂花が地獄の底から聞こえてくるような
悍ましい声で私の名を呼んだ。


「ひぅ!?」
「・・・あんたわかってんでしょうね?
関羽とあんたはあくまで雇用関係よ。」
「は、はいっ!!」
「それでは私を雇ってくださるんですね!!」
「決まりね♪」
「え・・・? あっ!?
・・・・じゃ、じゃあ・・・しばらくお願い出来ますか。」


結局 私は弱い人間なのだ・・・
この部屋の中では最弱の虫けらの私が
桂花や関羽さん、荀桂さんに逆らえるはずがないのだ・・・

こうして、この後の話し合いの結果、
関羽さんがウチの空き部屋を使って
住みこみでウチで働くことになってしまった。


私が関羽さんと家に帰る前に
桂花に私だけ呼び出され・・


「いい、あんたと関羽はただの雇用関係なのよ!
その辺しっかりと頭に叩きこんでおくのよ!
特にあの 忌 々 し い 乳 に惑わされて
妙なことしたら あんた・・・・殺すわよ。」


あの時の桂花の目はマジだった・・・
今までの怒りから出る台詞ではなく 本気で私を殺るつもりの目だった。


関羽さんを家に連れ帰り、
母さんに話をしたら あっさり了承され、
空き部屋を関羽さんと掃除し、
とりあえず今日は寝れるような状態には出来た。

その際、他人行儀なので、
字ではなく名で呼んでほしいということで お互い名で呼ぶようになり、
関羽さんも桂花の家でのような固い話し方ではなくなり、
普段(?)通りの話し方になったのだが、
元々お固い性格のようなので そんなに変わった感じはしなかった。

掃除の後に母さんと武術の訓練となるはずだったのだが、
母さんが、 「関羽ちゃんが居るなら
関羽ちゃんに稽古をつけてもらえばいいじゃない。」と言う、
明らかに自分が面倒だからという理由で、
関羽さんと組手をすることになったのだが・・・
この人マジで武術に関することには容赦がない。

特にまだ若いと言うことで教え方が、

「痛くなければ 覚えませぬ。」

を 地で行くのだ。
そういう理由で わずか数分でボコボコにされた私は、
そこで終了・・・・・と いうわけには行かず。
叩き起こされてはボコボコにされるというループを何度か繰り返し、
流石に見かねた母さんが、
「少しは 加減してあげてね♪」 と言うまで 関羽さんのシゴキは止まらなかった。


夕食時に明日からの仕事の話をし、
農法に付いて教えて欲しいと言われたが、
実際の仕事をしながら教えたほうが覚えがいいだろうという母さんの意見で
今日は、食後は普通に寝て 仕事や農法の話は明日以降となった。


こうして、関羽さんを交えた
私達の生活が明日から本格的に始まる・・

私にとっての当面の課題は
明日の朝の稽古を生き残ることであった。


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  1. 2012/09/18(火) 01:19:21|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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  4. | コメント:1
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武には自身がありますので、
→武には自信がありますので、
  1. 2012/10/27(土) 14:12:04 |
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