たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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十七話


洛陽




洛陽の町であれから何店か店を回っておみやげを買い
荀緄さんの家に帰り使用人の人と話をしながら時間を潰していると
桂花達が帰ってきた。

流石に昨日のように不機嫌ではなかったものの、
精神的に疲れたようで、帰るなり椅子に座って机に突っ伏した。


「桂花・・・お帰り。」
「・・・ん。」


桂花は机に突っ伏したまま返事するのさえ面倒なのか
言葉にもならないうめき声のような声で返事をしてくる。


「・・・大丈夫なんですか・・・コレ?」
「あぁ、慣れないことをやって疲れておるだけだろう。
今回会った者達は昨日の相手とは違い まだまともな方だからな。
皆それなりに家を構えておる故 多少がめついとこもあるが
理に惑わされて義や信をおろそかにする者達では無い。
桂花はこれからああいう連中と、
それこそ数えきれないほど交渉などをせねばならぬのだから
この程度でヘタれているようでは話しにならぬぞ?」
「・・・・・わかってるわよ。」
「宮中の者は化物とでも思っておくが良い。
奴らの腹芸ときたら人の域を超えておるからな。」
「・・・・ん~。」
「・・ほら、桂花。
今日町を散策した時についでに お土産を買ってきたから
あとで一緒に食べよ。」
「・・・ん。」


どうやら精神的にかなり疲れているようで
まともな返事は期待できない。

まぁ、無理もないだろう。
幾ら未来の王佐の才とは言え今は十二歳の子供だ、
そんな子が何人もの大人と会談をしてくれば疲れもしよう。

この日 桂花は食事もそこそこに済ませ
すぐに布団に入り寝てしまった。

翌日は、宮中で荀緄さんの部下や知人と会談してきたようで、
私は庭園で協ちゃんや弁ちゃんに会えたため
城の外での暮らしや、私の仕事の話などをしながら
一緒に遊んでいた。

翌日は桂花は休みを貰い、洛陽見物・・・と 言う名の視察。
この国の中心である洛陽を見ることで
今この国の現状を理解させようというのが荀緄さんの意図だ。
桂花に警備の人を付け、
洛陽にいる間に できるだけ多くのものを見て回るようにと・・
町を見て回る事で できるだけ多く見聞を広め、
将来 桂花が人の上に立つ時の肥やしになるようにとの荀緄さんの教育だ。

私も桂花に同行し、洛陽の様子を観察して回った。


洛陽での生活は、
桂花が宮中に行くときは私も同行して協ちゃん達と会い、
街の有力者と会う時は 私は洛陽の視察
数日おきに桂花は休みをもらって洛陽の視察。
このように洛陽での生活を送っていた。

その間、私は洛陽で食事の出来る店以外にも、
鍛冶屋などを回って金属加工の件で話を聞いて回ったりしていた。

と言うのも、この荀緄さんの屋敷で その良さを再確認したのだが
私はお風呂に入りたいのだ。
許昌で荀桂様に紹介してもらった 鍛冶屋のおじさんにも相談したのだが
まだ検討中ということで答えをもらえてない。

所謂、五右衛門風呂では鉄を使いすぎるし
加工や輸送が大変なので現実的ではない。

そこで考えたのが パイプ状に加工した鉄をUの字型に曲げ浴槽につなげる。
私がいた世界で言うバランス型風呂釜を もっと単純にしたものだ。
Uの字のパイプを浴槽の下方と上方につなげ、鉄パイプに水を循環させ、
水の循環する鉄パイプを薪で熱し熱湯にする。
原理自体は至って単純なものだが
鉄の耐久度と熱とサビによる経年劣化が問題になるため、
定期的に鉄のパイプ部分を交換しないとダメだと思うが
浴槽は木で作れるし、パイプとの接合部は粘土でも使えばいいから
鉄の加工さえうまく行けばできるのではないか?
と、素人考えをしている。

だが、洛陽の鍛冶屋さんに何点かあたってみたが難しいそうで、
いい返事を貰うことは出来なかった。

しかし、こうして洛陽を見て回ったが、
表通りの豪華さや賑わいとは違い、
裏通りの侘しさや廃れ具合はどうだ・・・
コレが・・この格差が まさに今のこの国を表している。
中央の一部が富、中央から離れれば離れるほど寂れていき。
重税や飢饉で食べていくことすらも出来ずに
流民や野盗に身を窶すしか無い人達。
この街を見ていると、そんなことを考えずには居られない・・・


こうして洛陽での生活も過ぎていき、
いよいよ近い内に許昌に帰ることになったのだが、
宮中で協ちゃん達にその事を伝えると ひどく落胆されてしまった。


「むぅ・・・やはり喜媚は帰ってしまうのか・・・」
「・・しょうが無いですよ 協。
喜媚様にも喜媚様のご家族が居るのですから。」
「せっかく仲良くなれたのに・・・ごめんね。」
「・・・むぅ、ここは父上に頼んで・・・」
「だめよ、協! そんなことをしては駄目!」
「しかし姉上ぇ・・・・」
「喜媚様が大事な友達だというのならば ココは笑って送って差し上げないと・・・」
「・・・・・うむ。」
「喜媚様、短い間でしたけど、今までありがとうございました。
喜媚様のお陰で、今まで私達が知らなかったことや
想像も出来なかった外の世界のことを知ることが出来ました。」
「うむ! 喜媚は妾達が知らなんだいろんな遊びを知っておったからな。
いままで姉様と遊ぶ時には同じような遊びばかりしておったが
お陰でいろんな遊びができるようになった。
感謝しておるぞ。」
「いいえ、私も二人と知りあえてよかったです。
私の知らない宮中のお話も聞けたし。
それに、二人という友達も出来ましたし。」
「うむ!」 「はい!」


協ちゃんは 一旦はいい返事をしたものの
やはり寂しいようですぐに暗い表情になる。


「・・・・しかし、もう喜媚には会えんのかのぅ。」
「う~ん、これからも洛陽に来ること自体はあるかもしれないけど、
今日までは荀緄さんのお供ということで
宮中に入ることが出来たけど 私一人で洛陽に来ても、
宮中には入れないから・・・」
「そうですね・・・」
「・・・・むっ!」


不意に協ちゃんが何かを思い立ったようで
いきなり立ち上がった。


「そうじゃ! 宮中に入れれば良いのであろう!」
「へ・・・・まぁ、誰かに許可をもらって入れてもらえれば。」
「姉上! 行くぞ!」
「え? えぇ?」
「喜媚は少しそこで待っておれ!
良いか! 勝手にいなくなってはいかんぞ!!」
「はぁ・・・」


そう言うと協ちゃんと弁ちゃんは走って何処かに言ってしまった。

残された私は とりあえず協ちゃんの言う通りに
しばらく待っていたのだが、
かなりの時間が経ち、
もう少ししたら桂花達が戻ってくるかもしれない時間になった時に
協ちゃん達が息を切らせて帰ってきた。


「ハァハァ・・・何とか逃げ切れたのぅ。」
「ハッハ・・・ハァ ハァ こ、こんなに走ったのは初めてです。」
「どうしたの二人共 そんなに慌てて・・」
「うむ、コレを用意してきたのじゃ!」


そう言って協ちゃんが取り出したのは
細長い立派な箱と まだ墨が半乾きの紙だった。


「協ちゃん コレ何なの?」
「うむ、よくぞ聞いてくれた。
要は喜媚が洛陽に着たた時に宮中に入れればよいのであろう、
じゃから妾と姉上でその許可証を書いてきたのじゃ!」
「・・・弁ちゃん?」
「本当に効果があるかはわかりませんが、
見る人が見ればそれなりに効果があると思います。
それに それを見せて私達に確認を取るように言ってくだされば、
私達のどちらかの耳に入りますので
後はなんとか・・・・・できるかも?」
「・・・・」
「きっと大丈夫じゃ!
中を見てみるが良い。」


協ちゃんが言うので紐を解いて箱のなかに入っている
小さな巻物を広げるとなにか文字が書いてあるのだが・・・


「これ・・・者 洛・・・・・・ゴメン、
なんて書いてあるのかわからないよ。」
「何じゃ喜媚は文字が読めぬのか?」
「いや違うよ、コレってかなり達筆で・・達筆すぎて読めないよ。
それに文字の形式も少し古くない?」
「・・・姉上?」
「そうなんですか?
私が習った文字はそんな感じなんですけど・・・
歴史や格式が大事だからと 文字はかなり練習したのですが。」
「私が主に使うのが草書だから
コレは少し前の章草かもう少し前の文字なんじゃないかな?」
「はぁ・・・喜媚様は博識でらっしゃるんですねぇ。」
「あ、ひ、人の受け売りだよ。
で、これってなんて書いてあるの?」
「要約すると、この書を持つものは洛陽内ならどこでも行けますよ。
と言うことです。
それで、署名は私と協の連名なんです。」
「ついでに父上の机に置いてあった印を押しておいたぞ。」
「そんなこと勝手にやっていいの?」
「・・・見つかったら怒られるかの・・・?」
「・・・協が勝手にやったことですから。」
「酷いぞ姉上! 姉上も止めなんだではないか!」
「冗談ですよ。」
「むぅ~・・」
「ハハハ。」
「とにかくこの書が実際に使えるかどうかはわかりませんが、
私達がもう一度 逢えるようにとの願いと
必ず もう一度会おうという約束の形ということで・・・
受け取っていただけませんか?」
「・・・弁ちゃん。」
「そうじゃぞ、喜媚。
せっかく友になれたのじゃ。
このまま別れるのではあんまりではないか。
いつか・・・いつか、必ずまた会おう!」
「うん! じゃあ、また皆で会えるというお守りの代わりとして
もらっていくよ。」
「うむ!」 「はい!」
「・・・あ、そのかわりと言っては何だけど・・・」


そう言って私は髪の毛を左右に分けるために縛っていた
組紐を解いて二人に一つづつ渡す。


「む、コレは何じゃ?」
「コレは私が編んだ組紐って言うんだけど。
今の私には二人に渡せるものはこれくらいしか無いから・・・
あ、でも、どっか他所の国で、
こういう紐を身に着けて願掛けすると、
自然に紐が切れた時に願いが叶うって言うらしいし。」
「そうなのか? ならば妾は肌身離さず持っていよう。」
「私もそうさせてもらいますね。」


三人で話しているとここから見える通路を桂花の猫耳が通るのが見える。


「そろそろ、私は行かないといけないけど・・・
二人共元気でね!」
「うむ、喜媚もな!」
「喜媚様も、お元気で!」


こうして 短い間ではあったが
洛陽で出来た新しい友達と、
いつか必ずまた会おうと言う約束をして 別れることになった。


宮中から帰り二日後には洛陽を立つ予定になっているので
明日は視察も会談も無しで
ゆっくりと洛陽を観光でもするように、
それと食事も今日明日は豪華なものになるので
楽しみにしておくようにと 荀緄さんからのお言葉があり、
私も桂花も今日明日の食事と、
明日の観光を楽しみにするのだった。

翌日は今までの鬱憤を晴らすように桂花はいろんな店を回っては食事をしたり
家族へのおみやげを買ったりと楽しみ。
私もそれに付き合わされることとなった。


今回の洛陽の旅では、
洛陽を通じてこの国の現状を知ることが出来た。

桂花とも話し合ったのだが・・・
この国をこのまま放おっておくと長く持ちそうにない、と言う意見は一致し、
この国を立て直すためにも不正を働き、富と権力を貪る一部の者達を速やかに排除し
一刻も早く民が安心して暮らせるように
する必要がある・・・その為にも自分は今以上に
学を見につけ、この国の民が
安心して暮らしていけるようにしなければならない。
・・・と桂花は決意を新たにしていた。

私にはそんな桂花がとても眩しく見え、
自分がいかに自己保身しか考えていないのかを痛感させられたが・・
それでも・・・それでも 私には桂花のような生き方は出来そうにない。
その事を最確認させられる事となった。


桂花にとっては決意を新たにし
新しい段階へと進む旅となり、
私は自分の浅ましさや臆病さを痛感する旅となった。


帰りも特に野盗などに襲われることもなく、
無事に許昌に帰ることが出来、
桂花の家まで同行し、私は荀桂さん達と
旅の無事を報告し、
荀桂さんは私達の旅が無事に終わったことを祝って
宴席を開いてくれるといったが
私は丁重にお断りし 自分の家へと帰った。


「・・・只今ぁ。」
「あら、お帰り。
無事に・・・とは言いづらいけど帰ってきたのね。」
「なんで?」
「何でって・・・喜媚、自分が今どんな顔してるのか自覚してるの?」
「・・・へ?」
「ひどく落ち込んだ表情をしてるわよ?」
「そう・・かな?」
「洛陽で何かあったの?」
「別に大したことはなかったよ?
新しい友だちも出来たし・・・
まぁ、ちょっと思うことはあったけど・・・
自分という人間がどういう人間か再確認出来ただけだよ。」
「そう・・・貴方がそういうのならばそうなんでしょうね。」
「うん・・」
「さぁ! それじゃあ顔でも洗ってスッキリしてらっしゃい。
今日は私が夕食を作ってあげるから。
そのかわり 明日からは喜媚が作るのよ♪」
「・・・はぁ、わかったよ。」


母さんに言われるとおりに
荷物を部屋において庭の井戸で顔を洗い。
スッキリした所で改めて自分の周りを見回してみる。


(・・・そうだな、桂花や荀桂さん達や
郭嘉さんみたいな歴史の偉人達と一緒になって私塾に通って、
この国のことや、政治の勉強をしたりしている内に、
ちょっといい気になってたかもしれない。
私にはこれくらいの屋敷と 一緒に暮らす家族が居て・・・
それくらいが私の器にちょうどいいんだろう。
これからもこの許昌で暮らしていけば いろんな人に会うかもしれないけど、
私は私の器に合う暮らしをしていけるようにがんばろう。)


こうして顔を洗い、スッキリした所で
久しぶりに母さんの作った料理を楽しむことにしよう!


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  1. 2012/09/17(月) 01:00:30|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

読み返すたびに気になっていたのですが、
協ちゃん・弁ちゃんが持ってきた「まだ墨が半乾きの紙」ってどこに行っちゃったんでしょうか…
おそらくは「小さな巻物 in 細長い立派な箱」と同じものを指しているんだろうな〜とは想うのですが。
  1. 2012/09/20(木) 20:26:40 |
  2. URL |
  3. 匿名さん #-
  4. [ 編集 ]

誤字の報告

もっと単純にしたものだ。。
→もっと単純にしたものだ。
  1. 2012/10/27(土) 09:14:55 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 追加の誤字の報告

追加の誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/27(土) 16:19:11 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

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