たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

十五話


許昌




あれから 同行させてもらう行商人の人や
護衛に付いてきてくれる荀桂さんの知り合いの
傭兵の人達と打ち合わせをして
洛陽に向かう日取りを調節し、
とうとう私達は洛陽へ行くことになった。

この世界に来てからは許昌周辺しか知らない私には
道中に見える全ての物が新鮮に見え、
途中で傭兵の人達にあれこれ質問しながら洛陽への道中を楽しんでいた。

桂花は幼少時に何回か洛陽に行ったことがあるようで、
あまり記憶には残っていないが
所々見覚えのある地形などが有ったようだ。

道中は商隊の護衛と、桂花の護衛で固められていて
更にその私達についてくるように武装した旅人や
商隊を組めるほどの人員がいない商人達が付いてきていたので
遠目には大規模な護衛付きの商隊に見える。
野盗などに襲われることはなかったが、
コレが黄巾の乱の時期になると
今の私達くらいの人員で移動していても
襲われる可能性が高くなるのだろう。

こうして八日ほど掛けて移動し
とうとう洛陽の城壁が視認できる所まで来たが
外から見る洛陽は圧巻で、高く強固そうな城壁、
周辺に広がる大規模な畑、
流石この国の首都であり、天子様が住む首都である。


・・・と、この時は思っていた。


しかし城門を通り城壁内に入ると最初の印象は吹き飛び、
洛陽に少なからず落胆してしまった。

主要の道路はきちんと舗装され
その脇に広がる商店は豪華な装飾がされ
一見賑わっているように見えるのだが、
そこで買い物をしている人達は皆、
豪華な服に身を包んだいかにも裕福な豪族か
何らかの官職に付いている者やその親類縁者で
普通の、私のような一般の民は殆ど見かけないのだ。

不審に思って路地の方を覗いてみると、
そこには粗末な商店や屋台の様な店が並び
一般の人達は そういう店を利用していた。
商品の方も遠目で見てもわかるくらい差があり、
大通りの方の店の商品と比べても明らかに品質が落ち、
私の住む許昌の方がよほど良い作物が流通している。

どうやら この洛陽にはある程度裕福な人達と
一般の人達とでは通常の官位や生まれから出る格差よりも
遙かに大きな格差が有るようだ。


私達と同行した行商人の人達や
一緒に付いてきた旅人や商人たちと別れ、
私と桂花、それに護衛の人たちと一緒に
桂花のお父さんが住む邸宅まで移動することにする。

護衛の人達が地理を把握しているようで
移動自体は問題なく、順調に目的地に付くことが出来
門の前で人を呼び、桂花が荀桂さんの書簡を渡し
無事に到着したことを伝える。

一旦 使用人の人が門内に戻ってしばらくすると
いきなり すごい勢いで門が開かれ
そこにはきちんと手入れされた立派な髭を蓄え、
豪華な服に身を包み、
その服の上からでも十分に体が鍛えられていることがわかるほどの
筋肉をつけた男の人が、両手を広げて桂花の名を叫んでいる。


「桂花ぁぁ!!」
「「・・・・」」


桂花は落ち着いてその男性の前まで歩いて行き
手を組んでお辞儀をし・・


「お久しぶりですお父様、お元気そうで何よりです。」


と 普通に挨拶をしただけであった。
桂花がお父様と呼んだことから あの人が荀緄様だということがわかったが、
荀緄さんは桂花の取った態度に納得がいかないようで
桂花の肩を掴もうとしたのだが、
つかむ瞬間に手を止め、一瞬悲しそうな表情をした後
すぐに元の位置まで下がって行った。

その時、桂花がどんな表情をしたのかは分からないが
おそらく怯えた表情を見せたのだろう
父親とはいえ 書簡で近況を報告し合うだけで何年も会っていない男性だ
まだ、以前の事件のことを完全に乗り越えたとはいえない状況なので
仕方ないこととはいえ、父親ならば大丈夫だと思ったのだが
なかなか 根は深いようだ。


「うむ、桂花の元気な顔を見られてよかったぞ。
さぁ、長旅で疲れているだろう、
すぐに食事を用意させるから供の者も連れて中に入るが良い。」
「ありがとうございます、ですがお父様、
その前に紹介したい者がおります。」
「うむ・・・・・それはいいのだが、
その硬い話し方は何とかならんか?
久しぶりに会えた家族なのに
その話し方は少々寂しいものがあるぞ。」
「では、いつも通りに話し方で・・・
お父様に是非とも紹介したい子がいるんだけど。」
「うむ。」
「この子よ、書簡では何度か書いたけど 私の命の恩人よ。」
「初めまして、胡喜媚と申します。
周りの者は皆 喜媚と呼びますので
尚書様もそうお呼びください。」
「喜媚と申したか、そう堅苦しくせずとも良い。
ワシのことは荀緄と呼ぶが良い。
娘の命の恩人ならばそれは我が家、一族の恩人じゃ。
何も遠慮することなど無い。」
「ありがとうございます。」


すると 荀緄さんは私の前に来て
両手を組み一度拝礼し・・


「この度は私の娘の命を救ってくれてありがとう御座います。
本来なら最上の礼を持って対するべきですが
私も天子様から官職をいただく身、
今はコレでご容赦いただきたい。」
「え・・・? いえいえいえいえいえ、
私などには もったいないお言葉です!
それにお礼なら許昌で荀桂様から既に宴席を開いていただいたりしてますし
これ以上されると私も困ってしまいます!」
「そうか・・・ならばこの場はコレで終いとしよう。
だが、困ったことがあればいつでも
我が家の門を叩くといい。
ワシにできることならいつでも力になろう。」
「あ、ありがとうございます。」
「さぁ、堅苦しいことはここまでだ。
中に入ってゆっくり旅の疲れを癒すといい。」
「喜媚、行きましょう。」
「え? ・・・うん。」


こうして私達は荀緄さんの屋敷の中に案内される。
荀緄さんの屋敷は許昌の屋敷よりも更に広く 豪華で
所々に装飾品が置かれ、まるで何処かの宮殿を思わせる。

案内された部屋では、すぐにお茶が出され、
しばらくすると 次々と豪華な料理が出される。

洛陽までの長旅で、私が用意しておいた
長期保存の効く漬物や干し肉等の携帯食を主に食べていたので
久しぶりの出来たての料理はとても美味しく感じた。

桂花や傭兵の人達が言うには、
私が用意した携帯食もかなり美味しかったようで
旅の道中でアレだけの料理を食べることができるのは
殆ど無いそうだ。

桂花は食事をしながら、桂花の許昌での生活ぶりや
他の家族の話等を話し、荀緄さんも久しぶりに聞けた
家族の話を楽しそうに聞いていた。

そうして一通り食事が終わった後、
今日の私達の宿の話になったのだが
荀緄さんは桂花は荀緄さんの屋敷に泊り、
私達は洛陽で結構いい宿を用意してくれるそうなのだが
それに桂花が猛反発し、
私が宿に泊まるなら自分も同じ宿でいいと言い出し、
荀緄さんを困らせることになる。


「し、しかしな桂花、嫁入り前の女が
男と同じ屋根の下というのはまずいのではないか?」
「命の恩人を屋敷に泊めるのに何の問題があるの?
それに、私と喜媚は許昌では もう何回も一緒に寝てるわよ?」
「なんじゃと!」


私は慌てて荀緄さんそばに行き、耳打ちをする。


(荀緄さん! その件は、あの事件で桂花が怯えて
夜も眠れない状況だったので已む無くの事でして・・・)
(むぅ・・・真であろうな?)
(荀桂さんから何も聞いてないのですか?)
(ワシはお主を屋敷に泊めたとしか聞いておらぬぞ。)
(・・・・と、とにかくそういうことですので。
それに私も桂花も十一か十二才ですから
間違いなど起こりようがありませんよ。)
(くっ・・・・そういう事ならば仕方があるまい。)
「とにかく私は喜媚が宿に行くのなら私も宿に泊まるから。」
「・・・・・ならば仕方がない。
喜媚も屋敷に泊まるといい。」
「ありがとうお父さま、あと私達の部屋は一緒でいいから。」
「なんじゃと! ならぬ! それはならぬぞ!!」
「じゃあ、私達は外で勝手に宿を取ってくるわ。
お母様からその為の資金も預かってるから。」
(荀桂さんもグルか・・・まったく 何やってんだよ二人共・・・
荀桂さんが桂花の為に私をついていかせたのはいいとして
そこまでやらなくてもいいでしょうに・・・)


荀緄さんの様子を見ると必死の形相で歯を食いしばり
口の横からは血が流れてきていて、桂花と私の方を交互に見ている。
しかし桂花の方はどこ吹く風で、優雅にお茶を楽しんでいる。


(娘が自分の屋敷で他所の男と一緒に寝ようと言うのを
不快に思う気持ちはわかるけど・・・
そんな顔で私の方を見ないでくださいよ、
私は巻き込まれてるだけなんですから・・・)
「あ、あの桂花? 流石に一緒の部屋はまずいんじゃないかな?」
「そうじゃ! 喜媚の言う通りじゃぞ!
嫁入り前の娘がはしたないぞ!!」


しかたがないので私が荀緄さんの援護に周り
桂花を諌めようとし、荀緄さんも乗ってくるが
不意に悲しそうな顔をした桂花は・・


「・・・・お父様・・・私、夜が怖いんです。
今でも夜になると あの時に事を思い出して・・・
でも、喜媚が一緒にいてくれたら思い出さずにすんで・・
安心して眠れるんです・・・お父様、今しばらくの間ですから
お許し下さいませんか?」
「くぅ・・・・け、桂花・・・・」


私にはわかるが アレは荀桂さんが仕込んだ仕込みだ。
桂花がこんな皆が見ている前で弱みを見せるはずがない。
おそらく、荀桂さんが荀緄さんが反対したら
泣き落とせとか言ったのだろう。

そもそも 桂花は今は普通に一人で寝ているのだ、
時折 男の人が急に近くによってきた時に緊張はするが
それ以外では普通で旅の道中でも私塾でもやっていけているのだ。
完全に振りきってはいないが
日常生活に支障が出るほどではない。

しかし、荀緄さんの方は桂花の演技を真に受けてしまい、
結局は桂花の言い分を飲んでしまう。
洛陽にいる間、私と桂花は一緒の部屋で寝ることになってしまった。


その後、護衛の人達は用意された宿に移動し
私と桂花は屋敷に残り、
皆で話をしたりしながら時間を潰し、
夕食を取った後は度の汚れを落とし、
用意された寝室にで私と桂花は一緒に寝ることになった。


「桂花・・・昼のあの演技は荀桂さんの仕込み?」
「ヤッパリあんたにはわかっちゃう?
そうよ、お母様と一緒に考えたの。」
「あんな演技ができるなら もう私と一緒に寝なくてもいいんじゃないの?
荀緄さんじゃないけど嫁入り前の娘が
男と一緒に寝てるなんて噂がたったらまずいんじゃないの?」
「多少はまずいかもしれないけど、別に噂が立ったら立ったで良いわよ。」
「・・・良くないって。」
「・・・別にあの演技の全部が全部嘘ってわけでも・・・無いわよ。」
「桂花?」
「今日お父様と会って、肩を掴まれそうになった時・・
自分では意識してなかったけど 私多分怯えた顔をしてたと思うわ。
だからお父様も あんな顔したのよ・・・」
「・・・」
「情けないわね・・・家族だっていうのに・・・・」
「・・・しょうが無いよ、
まだアレからそんなに時間がたったわけじゃないし・・
それに桂花はよくやってるよ。
私塾や旅の道中では大丈夫だったじゃない。」
「普通に話すだけなら もう大丈夫なのよ・・・
でも、体に触れられたりすると・・・ね。」
「・・・そっか。」
「私、この洛陽に居る間に、せめてお父様とは
普通に接することができるようになりたいの。
最後に別れる時くらい普通に握手したり、
家族として抱きあうくらいはできるようになりたいのよ。」
「・・・・」
「だからあんたも協力して欲しいの・・・
喜媚がいれば・・何とか出来ると思うから。」
「・・・・ハァ、わかったよ桂花。」
「・・・・・・私がこんな事言ったなんて誰にも言うんじゃないわよ?
喋ったら あんた殺して私も死ぬわよ。」
「はいはい、言わないよ。」
「約束よ!」
「約束しましたよ。」


あの演技はやり過ぎだとは思ったが、
桂花は桂花なりに あの件を乗り越えようとしてることを知った私は
この洛陽で、できるだけ桂花に協力しようと思った。


さて、翌日。
皆で朝食を摂り、今日は洛陽の宮殿で
桂花を荀緄さんの知り合いの何人かに合わせるらしいのだが
私はついていく必要がないので
洛陽の様子でも見に行こうと思ったのだが、
桂花が私に洛陽の宮殿内に連れていけないか?
と 荀緄さんに頼み、最初は揉めたが結局私も宮殿に入ることを許されたのだが
流石に桂花が人と会うところまでついて行くのは駄目だということで
荀緄さんの使用人の女性に案内され
宮殿内の庭園を見学できることになった。

流石に天子様もたまに見に来る庭園ということで
整備も行き届いていて
庭園に咲き誇る花もよく育てられている。

使用人の女性は庭園の入口付近で待っているので
花を散らしたりしない限り、好きに見て回っていいと言われたので
私は庭園内を散歩していたのだが、
私と同じように庭園を見学している人達や、
面会の順番待ちのため時間を潰している人達なども居て
庭園では結構な人達が過ごしている。

そんな中 私のような子供が一人で居ると
どうしても目立ってしまうので居心地が悪くなった私は
庭園の隅の方の生垣の方で日向ぼっこでもしようと思い
移動していたのだが、生垣の向こうから何か 女の子の話し声が聞こえてきた。

何事かと思い、生垣の隙間から覗いてみると
そこには二人の女の子が座って話しをしており
二人共 黒髪を長く伸ばしていて、
年上の娘は、私と同年代か少し上に見えるが
腰まで伸ばし、きちんと手入れされている艶やかな黒髪で
着ている服も白を基調としたかなり豪華な服だ。
足をすっぽり隠すほど長い裙子(スカート)で
顔立ちは優しそうな感じだが、何処か儚げな印象を受ける。

もう一人の子の方は、
同じく黒髪を背中まで伸ばし、
私よりも少し年下に感じる。
着ている服は水色を基調とした服で
ゆったりとした裤(ズボン)を履いていて、
顔立ちは活発な感じで、見てるこっちまで元気になりそうな
明るい表情をしている。

そうして私が観察していると
向こうも気がついたようで話しかけられた。


「むっ! 何者じゃ! 追手か!?」
「・・・・? でもこの宮殿の人という感じではないわよ?」
「お主何者じゃ、この妾と姉上の秘密の場所にどうやって忍び込んだのじゃ!」
「どうやってって・・・そこの生垣の隙間から普通に来ましたけど?」
「む、妾達の秘密の抜け道を見つけるとは・・・
それでお主は何者じゃ。」
「私は許昌から来た、胡喜媚と申します。
今日は尚書さまとそのご息女の共で参りました。」


この子達の身分がわからないので なるべく丁寧に話す。
どうやらこの二人は姉妹のようだ。


「ほう、許昌とな・・・・・・・それは何処じゃ?
姉上は知っておるか?」
「私も詳しくは・・・確か南東の方かと思ったけど?」
「え~っと 許昌はですね。」
「待て、そんなところの居らずにこっちに来い。
お主がそんなところに居っては他の者に見つかってしまう。」
「あぁ、はい。」


私は生垣の隙間から二人のいる生垣の裏の小さな空間に入りこむ。


「許昌というのはですね・・・・
あ、その木の枝少し貸してくれますか?」
「ん? コレか、良いぞ。」
「それで許昌というのはですね・・・」


私はこの国の地図を地面に書き
洛陽と許昌の位置に丸を書いて彼女達に説明する。


「ココが今いる洛陽で、ココの辺りが許昌です。」
「ほ~~意外に近いのじゃな。」
「凄いですね、胡喜媚さまは、地図をお書きになられるんですね。」
「そんなにすごくないですよ、大雑把に書いただけですから。
・・・・あ、そういえばお二人の名前をまだ伺ってませんでしたが
よろしければお教え下さいませんか?」
「え゛・・・・・え~っと・・・わ、妾は・・・・
そ、そうじゃ! 協じゃ、協と呼ぶがいい。
故あって本名は明かせぬが、お主にはそう呼ぶことを許してやろう。」
「では・・・私は弁ですか?
そうお呼びください。」
「じゃあ、私のことは喜媚と呼んでください。
皆そう呼びますから。」
「喜媚さまですか、分かりました。
あと、私達にそんなに丁寧に話さなくても結構ですよ。
普通に話してください。」
「うむ、姉様がそういうのならば、妾も喜媚が普通に話すのを許そう。」
「じゃあ失礼して・・・弁ちゃんも普通に話していいんじゃないの?」
「私はこの話し方が普通なんです。
いろんな人と会う機会がありますので。」
「そうなんだ。」


コレが私と弁ちゃん 協ちゃん、彼女達との初めての出会いだった。


スポンサーサイト
  1. 2012/09/16(日) 13:08:59|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<感想返し | ホーム | 十四話>>

コメント

十六話へのリンクを設置、と
  1. 2012/09/21(金) 17:09:10 |
  2. URL |
  3. 読み返しは一気に派 #e.MnMlRY
  4. [ 編集 ]

誤字の報告

どうしても目立ってしなうので
→どうしても目立ってしまうので

姉様がそういうのならが
→姉様がそういうのならば
  1. 2012/10/27(土) 01:43:04 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 追加誤字の報告

追加の誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/27(土) 16:14:55 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://current9.blog.fc2.com/tb.php/173-dc51a19a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。