たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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十四話


許昌



昨日で宴席も終わり、今日は朝食をごちそうになったら
私は家に帰るつもりだったのだが、
荀桂さんが既に昨日の午後に、
私の私塾への入塾手続きを済ませていたらしく、
今から桂花と一緒に塾へ行け。
と 言われてしまった。

筆記用具などを全く用意して無いのだが、
桂花に借りればいいとあっさり言われ、
渋々ながら桂花や荀衍さん達と一緒に私塾へ行くことになってしまった。

途中で三日ぶりに桂花と一緒に塾へ通えるということと
桂花が立ち直りつつ有るということで
荀衍さん達は喜び、桂花が休んでいた時の塾の話などをしながら
通学(?)した。

彼女達の話によると、
桂花にちょっかいをかけていた三人組は
あれからおとなしくなり、
真面目に勉強しているそうなのだが、
塾に人の出入りがあると
桂花が来たのではないか? と怯える様子を見せるそうだ。

話ながら歩いていると やがて私塾に着き
四人で塾の先生の元へ行き、
今日から塾でお世話になる挨拶を交わす。

先生の方も昨日 荀桂さんからの書簡を受け取っていたために
特に問題なく入塾を認められ、
文字の読み書きやどの程度の知識があるのか
簡単に確認されたが
特に知識に問題はないようで、
桂花達と一緒に好きなように勉強するように言われた。

この私塾では、
文字の読み書きができない子は
最初に塾の年長者に文字の読み書きを教わり、
それが出来た子は
最初に読むべき本を何冊か指示され
それを読み終わったものは それぞれが収めたい学問を
好きなように勉強するという形をとっている。

塾の先生はそれぞれ わからないことがあった子達の質問に答えたり
様子を見ながら必要な時に助言を与えたり
先生自身が文官時代に得た経験などを 話して聞かせたりしている。

私の前いた世界の学校などと違い、
最低限の知識だけ教えたら後はそれぞれの子の自主性に任せ
先生自身はそれを補佐するという形を取っている。

こんな形をとっている理由は、
私塾に通うような子は
向学心が強かったり 家柄から通う必要が有る、
等の理由で通っている子が大半なため、
義務教育のような国家レベルでの教育方針があるわけではないので
教育を受けたいと望むもの以外は そもそも私塾には来ないと言う理由からである。


さて、一通り塾の先生の話を聴き終わり、
私達は先生に伴われ 所謂教室のような部屋に連れて行かれたが
桂花の姿をみた三人組の男の子達は顔を真っ青にしている。
そんな風に教室の様子を伺っていると
先生から自己紹介するように言われる。


「今日からコチラの塾で皆さんと一緒に
勉学に励むことになりました胡喜媚です。
色々と至らぬ所はあると思いますが
ご指導ご鞭撻の程 よろしくお願いします。」


こうして私の最初の挨拶も無難に終わ・・・・・ったかと思ったが、
挨拶が終わった後 桂花に引っ張られて教室の隅に
連れて行かれた。


「あんた あんな挨拶も出来たのね・・・」
「そう? アレくらいは普通じゃない?」


この世界に来る前はサラリーマンをしていたし、
義務教育やある程度の高等教育を受けてきたので
普通にできると思うんだが・・・


「・・・まだまだ、あんたについて
知らないことがいっぱいありそうね。」
「・・・?」


桂花は何かブツブツ言っているが、
特に問題がないようなのでいいだろう。

そうして桂花と話して居ると
見覚えのある眼鏡の人が現れた。


「お二人とも おはようございます。」
「おはよう郭嘉。」 「おはようございます。」
「三日ぶりですが荀彧さんが元気そうで安心しました。
噂には聞いていましたが 大変だったようですね。」
「まぁね・・・でも喜媚に助けられたから
擦り傷程度ですんだわ。」
「それは良かったです。
所で・・・喜媚さんですよね?」
「えぇ、郭嘉さんお久しぶりです。」
「・・・何やら・・・随分と雰囲気が変わりましたね。
特に頭の上のあたりが。」


そうなのである。
私は今桂花とお揃いの猫耳頭巾をかぶっているのだ。
最初は上着を着ないで塾に行こうとしたのだが
桂花に無理やり着せられ、
ならば頭巾を被らないようにしようとしていたら
これまた桂花に無理やり被せられ、
抗議はしたのだが、完全に却下され、
何度か言い争ったら桂花が涙目になったので 私が折れる形になった。

その様子を見ていた荀桂さんに後で教えられたが、
桂花は私とお揃いの猫耳頭巾を気に入ってるらしく、
未だに男に対して不安だと言うのと合わさり、
色違いとはいえ 一緒の猫耳頭巾を私にかぶっていて欲しいのだそうだ。


「まぁ、色々あってこの服を着ることになりまして・・」
「・・そ、そうですか。」
「・・・・」


郭嘉さんはそれ以上深く追求はしてこなかった、
流石は 未来の仕事のできる眼鏡軍師(妄想癖あり)。
私の態度から色々と察してくれたようだ。


(荀彧さんと色違いでお揃いの猫耳頭巾・・・
荀彧さんの調教の成果もあり
既に喜媚さんは荀彧さんの所有物だという
周囲への牽制なのか!
・・・いや! 逆に普段は猫のようにツンとすました荀彧さんが
夜は逆にまるで盛りのついた猫のように喜媚さんに縋り付いて媚びを売る・・・
今までは喜媚さんが躾けられていたかと思ったら
実は逆で、荀彧さんが躾けられていたのか!?)
「ぶっ・・・っ!」
「「えぇ!?」」
「ちょ、大丈夫郭嘉、鼻血が出てるわよ?」
「ら、らいじょうふでふ、すぐにおさまりまふから。」
(・・・・郭嘉さん、私達を見て何を妄想したんだ?
と言うか、この頃から既に妄想癖があったんだな・・)


どうやら 私塾での生活も穏やかには済まなさそうである。


私塾へ通うようになったが、それ以外には特に私の生活には変わりなく、
塾でも 今まで桂花と話していたような話の延長であったり
そこに郭嘉さんも混じってきたりしたが、
それ以外には大きな変化もなく、
碁盤があったり、軍隊の指揮を学ぶための駒などがあったので
それで遊んだりしながら過ごしている。


そうして二十日ほど過ごし、
修理を頼んでいた私の鉄扇も
使いやすい形になって戻ってきて、
桂花の様子もだいぶ安定してきたようで 周りがあの事件のことを噂で知っていたので
桂花に気を使ってくれていたこともあり、
あの三人組以外には、普通一人で対応できている。
内心は分からないが、少なくとも表面上に嫌悪感を表すことは無い。

その日は塾の帰りに荀桂さんから
家に遊びに来るように言われていたので
そのまま桂花と一緒に帰り、家のお邪魔したのだが、
お茶を飲みながら話をしている時に 私の予想外の言葉が聞かされる。


「ところで桂花、
お父様があの事件の話を聞いて桂花の心配をしているのよ。」
「心配するのはしょうがないと思うけど
私はもう大丈夫よ?」
「もちろん 一緒に暮らしている私達はわかっているけど、
お父様は書簡でしか知らないし
その情報も遅れているから余計に心配なのよ。」
「・・・それだけじゃないんでしょ?」
「えぇ・・・まだ少し早いとは思うんだけど、
一度 桂花に洛陽に来て顔を見せるように言ってるのよ。」
「・・・そ れ だ け で は ないのでしょ?」
「・・・そこで桂花に洛陽の知人に紹介して
今から人脈を作っておくそうよ。」
「はぁ・・・以前から話は聞いていたけど。」
「洛陽に行くのは大変だと思いますが、
そんなに気落ちするようなことなんですか?」
「お父様は以前から私を何処かの宦官の息子辺りと
婚姻させようとしてるのよ・・・」
「・・・あぁ、前もそんな話を聞いた覚えが。」
「もちろん桂花も いずれ何処かに嫁入りするか
婿を取るかしないといけないんだけど
何も、こんな時期に言い出さなくてもねぇ・・・
人脈を作ることも もちろん大切だけど、
もう少し待ってくれてもいいと思うわ。」
「確かに・・・
(せっかく桂花の様子が落ち着いてきたこの時期に
無理に婚姻なんかさせたら、
また男性不信になるきっかけになりかねない。)」
「一応 今回は婚姻云々は無しで
単純にあの人が桂花の無事を確認したいのと
せっかく来るなら何人か同年代の子達に会わせておこう
って言うことらしいけど。」
「お父様がそういうのなら私はいいわよ。」
「桂花はそういうとは思ってたんだけど・・・う~ん。」
「実際 洛陽に行くときはどうやって行くんですか?」
「知り合いの行商人と一緒に行くつもりよ。
桂花以外にコチラで雇った信用のおける護衛を何人か付けてね。
向こうは護衛兵が増えるし
こっちも桂花の護衛が増えることになるから安心だし。」
「なるほど。」
「でも、洛陽に行くとなると、移動時間と向こうでの滞在も考えて
普通で二十日か長くて三十日ってところかしら?
馬で走って行くならもちろんもっと短縮できるけど
桂花を馬に乗せて警備と行かせるよりは
行商人の護衛と一緒に移動したほうが 人が多くて安心だしね。」
「結構かかるんですね。」
「道はある程度整備されてるけど
商隊との移動だからどうしても荷物を運搬しながらの移動になるから仕方ないわ。
それにあの人も桂花と会ったら それなりの期間は一緒にいたいでしょうし。」
「じゃあ、しばらく桂花に会えませんね。」
「そこで喜媚ちゃんに今日来てもらった意味が出てくるのよ♪」
「・・・・まさか。」
「喜媚ちゃんも一緒に洛陽見物してこない?
あの人がいるから 多分宮殿内も見せてもらえるわよ♪」
「お断りします。」
「え~なんでぇ?」 「そうよ!何でよ!!」
「普通に考えて二十日以上も畑仕事休めないでしょう。」
「そこは塾に行ってる時みたいに 私の方で手伝いを出すから。」
「コレで問題無いわね。
・・・あんたまさか私だけ洛陽に行かせて
会いたくもない連中に会わせるつもりじゃないでしょうね?」


桂花がドスの聞いた声で脅してくるが
流石に洛陽に行く訳にはいかない。
そもそものんびり許昌で暮らしていければいい私には行く理由がない。


「流石に私が洛陽に行く必要も理由もないでしょう?」
「・・・・くっ。」


桂花も理論的に考えて どうしても私が
洛陽に行かなくてはいけない理由を思いつかないようで、
しばらく考え込んでいる。

桂花が考え込んでいると荀桂さんが
私のすぐ横までやってきて、
少し屈んだと思ったら私の顔のすぐ横に自身の顔を持ってくる。
それと同時に荀桂さん持つ大人の女性独特の体臭や
普段から使っている香の匂いなどがして
一瞬ドキッとするが、なんとか平静を保つ。

すると荀桂さんは 私の耳元で囁くように話し始める。


(ねぇ、喜媚ちゃん。
コレは桂花のことを想う 私の馬鹿な親心だと思ってくれていいけど
桂花と一緒に洛陽に行ってくれないかしら?)
(洛陽に・・ですか・・・)
(せっかく桂花の様子が落ち着いてきたのに
今ココで二十日以上も喜媚ちゃんと離れ離れになったら
また、前みたいに男性不信になってしまうわ。
もちろん喜媚ちゃんには悪いとは思うんだけど 私は桂花の母親だから・・・)
(それは理解できますけど・・・)
(喜媚ちゃんも桂花が喜媚ちゃんのことを
どう想っているのかは察しが付いているでしょう?
普通ならこんな事 貴方みたいな年頃の子には言わないんだけど
喜媚ちゃんと話していると、
時々同年代の人と話しているような気がするくらい大人びて見えるわ。)
(そ、そうですか?)
(そんな喜媚ちゃんだからこんな話をしたのだけど
今の桂花には喜媚ちゃんが必要なのよ。
私や荀衍じゃ桂花は弱音を吐いてくれないし、
荀諶じゃ言わずもがなよね。
別に桂花の面倒を死ぬまで見ろ、なんて言わないけど せめて桂花が立ち直って
普通に男の人と接することができるくらいまでは・・
喜媚ちゃんには悪いけど桂花に付き合ってやってくれないかしら?)
(・・・・)


荀桂さんにこう頼まれると私も弱い。
また、この世界に来て母さん以外で
初めて友人と呼べる関係を築けた桂花のことが、
恋愛感情を抜きにして 個人的に好きだというのもあり
今の彼女には誰かが付いていないと駄目だというのもよく分かる。
そう考えると、私が桂花に付いて洛陽に行くしか無いのだが・・・


(私の個人的な意見で言えば喜媚ちゃんが
荀家に婿入りして桂花と結婚してくれてもいいのよ♪)
「ぶふぅっ! ・・・ゲホッ ゲホッ。」
「ちょっとあんた何やってんのよ 汚いわね!」
「ご、ゴメン。」
「あらあら・・」


桂花の目の前で 私と荀桂さんが密談紛いなことをしているのを見て、
訝しげな視線を向けてくるが
そのことに付いて触れてくる様子はない。
桂花はその辺の空気は読めるのであえて放っておくつもりのようだ。


(何言ってるんですか! 荀桂さん!!)
(私の個人的な意見を言うくらいいいじゃない。)
(今 言うようなことじゃないでしょう!)
(逆に今だからこそ言ったのよ?)
(・・・・もういいです。
これ以上何か言っても泥沼になりそうですから・・・
行きますよ・・・洛陽に。」
「本当? ありがとう♪」
「・・・話は終わったの?」
「えぇ、喜媚ちゃんが桂花と一緒に洛陽に行ってくれるんですって♪」
「そ、そう? まぁ、当然よね。」
「何が当然なのかわからないけど・・・まぁ、洛陽には行きますけど
旅費とかは大丈夫なんですか?
一応 私も少しくらいは蓄えがありますけど。」
「それはもちろん私のほうで全額出すわよ。
私達のお願いで行ってもらうんだから。」
「それはありがたいんですが・・・」
「いいのよ、気にしないで。
ただ、向こうでは桂花はウチの旦那と一緒に住むからいいだろけど
喜媚ちゃんはもしかしたら宿をとって貰うかもしれないけど・・」
「それはかまいませんよ。」
「喜媚も私と一緒にお父様の屋敷に住めばいいんじゃない?」
「私はそれでいいと思うけど、
あの人がどう判断するのかわからないから・・・
桂花は嫁入り前だから 喜媚ちゃんと一緒はまずいと考えるかもしれないし。
だけど書簡では喜媚ちゃんのことは恩人として感謝してたし、
恩人に身分差持ちだして、
ないがしろにするような人じゃないから無下には扱わないはずよ。」
「そうね。 もしお父様なにか言うようだったら
私が文句言ってあげるから、喜媚は心配しなくてもいいわよ。」
「はぁ・・・ (あれか? もしかして
桂花のお父さんの荀緄さまは奥さんや娘には弱いタイプなのか?)」


何はともあれ、こうして桂花の洛陽行きに
私も同行することになってしまった。

この日 家に帰り今回のことを母さんに話した所・・


「あら、そうなの?
だったらちょうどいいから左慈に洛陽に行ってもらって
貴方と顔合わせするように言っておくわ。」
「左慈って・・・あぁ、そういえば左慈もこの外史に来てるんでしたっけ。」
「左慈だけじゃなく、于吉と貂蝉、卑弥呼も来てるわよ。」
「皆居るんですか・・・」
「だけど左慈以外は 皆仕事を優先するから
喜媚のサポートは左慈だけだけどね。」
「十分ですけど・・・具体的にどの程度の事を頼めるんですか?」
「そうねぇ・・・・皇帝を暗殺してこい、くらいなら大丈夫よ。」
「・・・・むちゃくちゃじゃないですか!
はぁ・・・まぁ、顔合わせと・・・・そうですね、
買い物くらい頼もうかな・・・」
「その辺は喜媚の好きなようになさいな。」


今回の洛陽行きで分かったが、
どうも このままだと私はこの先も
かなり桂花に振り回されることになりそうだ。

最悪、曹操さんの所に桂花が仕官するか
それ以外に仕官先を見つけて仕官するまでは付き合わされるだろう。
私は曹操さんの所に仕官するつもりは全く無いので
桂花が曹操さんの所に仕官したら速やかに許昌に退散するが、
そうなる場合、これからも今回の洛陽行きみたいに
いろんな所を旅することになりかねない・・・

そうなると私の武術の腕では心もとないので
何か、他にも桂花と私の身を守る方法を考えないといけないのだが、
万が一の黄巾党対策で考えていた
アレの材料がこの世界で揃うだろうか?
洛陽で左慈に会った時に相談してみよう。


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  1. 2012/09/16(日) 13:07:59|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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