たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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十二話


許昌




服屋と鍛冶屋で用事を済ませた私達は、
一旦 桂花の家に帰り、
軽い昼食を皆で取った後
今夜は宴会になるということで 私達が家に居ると準備の邪魔なので
私と桂花は庭で碁を打っていた。


「・・・・くっ、やっぱ桂花には勝てないか。
今度から置き石もう少し増やしてくれない?」
「もう七つも置いてるのにこれ以上増やしてどうするのよ。
それに今のは あんたが途中で読み違えたのがいけなんでしょう?
あそこで読み違えなかったら あんたが勝ってたのに
何で今さら あんな素人みたいな読み違いするのよ。」
「そう言われても・・・」


私が碁を打つ時は 最初は普通に習いながら打っていたのだが
余りにも負け続けるので途中で私がムキになって
知恵袋からプロの棋士の棋譜をなどを真似て打ってみた。
その試合はもう少しで勝てる所まで行ったのだが
それに驚いた桂花が置き石を減らしてしまい
何とか追いつこうと棋譜を参照して打つ、
桂花が勝つが私の打ち方がえらく気に入り、
私が今までにないような打ち方をするのを面白がって
次の試合をせがまれる。
その後は・・・打つ、負ける、打つ、負ける。
コレを繰り返して結局 私は一度も勝つことが出来ずに
今に至っている。

そうして庭で碁を打っていると
真剣な顔をした荀桂さんに呼ばれる。


「桂花、喜媚ちゃん、ちょっと話があるから聞いてくれる?」
「いいけど・・どんな話なの お母様。」
「桂花を嵌めた子達が来たのよ。」
「・・・・そう。」
「昨日 ウチの使用人に事実確認に行かせた結果、
彼らがいたずらで桂花に嘘を教えて
あの場所に行かせたことが確認できたわ。
本人達が言うには桂花をちょっと懲らしめてやろうって言う
軽い考えだったらしいけど
起きた事は起きたことだからきっちりけじめは付けないと
いけないけど・・桂花、いけるわね。」
「・・桂花。」
「・・・はい。
・・大丈夫よ、喜媚。」


そう言うと桂花は椅子から立ち上がり、
しっかりとした足取りで荀桂さんについて行く。
私もその二人を追いかける。

二人の向かう先は屋敷内ではなく
門の方に向かって歩いている。
最初は応接室で待たせているものだと思っていたが、
どうやら屋敷の敷居をまたがせる気は無いようで
門の外で以前桂花の裙子(スカート)めくりをしていた
三人の男の子達は頭にたんこぶを作っていたり
頬を張られたのか頬に真っ赤な手形がついていたりして
三人とも目を真っ赤にして涙目だ。
そして その子達の両親と思われる大人達が
引きつった笑顔で荀桂さん達を待っていた。


「・・・それで、今日は何の用なの?」
「・・・」


普段桂花や私に話すような優しい話し方ではなく、
明確な敵意を持った冷たい刃の様な口調で
荀桂さんは話しかけ、桂花は拳を握りながら無言で荀桂さんの横に立っている。
私のその二人の様子を、門の内側から眺めていた。

すると堤を切ったように男の子達の親が頭を下げながら
謝罪をしたり 許しを請うたり、
お詫びの品物を差し出したりと
なんとかして許してもらおうとしている。

子供達の方も、親が頭を下げるのと一緒に
頭を下げ謝罪し、反省の弁を述べる。

桂花や荀桂さんはその話を黙って聞くだけで
特に返事を返すこともなく
謝罪の品を受け取る気配も見せず
ただ黙って相手の話を聞くだけだ。

しばらくそうしていると、
相手のほうも話すことがなくなってきたのか
ただひたすら謝罪を述べるだけになり、
そこに来てようやく荀桂さんが口を開いた。


「・・・・桂花、聞いていたわね。
貴女はどうするの?」
「・・・・」


どうやら荀桂さんは桂花に決めさせるようだ。
家の事や一族の事だとは言っていたが
やはり最後には当事者である桂花に決めさせるのだろう。

おそらく 桂花がどんな決断を下しても
それを家や一族の総意として扱うだろう。

それと同時に 桂花に自分が
荀家の人間であるという自覚をもたせるのと
今回どんな判断を下すのかで
桂花の成長具合や器を確かめるつもりなんだろう。

私は桂花が今回の件でどんな判断を下すのか、
桂花がどんな決断をするのか ただじっと待っていた。

そうして私の体感では前の世界の時間で数分ほど、
あの男の子達やその両親達には
もっと長く感じたであろう沈黙が続いた後、
桂花がそっと一言はなった。


「・・・もういいわ。」


その言葉を聞いて男の子達や両親はほっとした表情を浮かべたが、
桂花の言葉はまだ続いていた。


「そのかわり、今後 私達 には一切関わらないで。」


その言葉を聞いた男の子達は ほっとした表情のままだったが、
その両親達の表情は一気に青ざめ、
悲壮感を感じる表情に変わってった。

桂花が放った言葉はこう言い換えることができる。


『今回の件ではこれ以上 罪は問わないが
以後、荀家には関わるな。』


つまり、罪に問わない代わりに
今後 荀家の支援はなくなり、逆に敵に回したままということになる。

荀家では 桂花のお爺さんは神君と噂されるほどの高名な人で
桂花の父親も尚書という天子様に近い役職に付いている。
荀桂様もこの許昌では有名だし
荀家自体が許昌では名家として有名だ。

つまり彼らは許昌においては荀家を敵に回し、
漢という国においても重要な役職を負う尚書様を敵に回した。
少なくとも許昌や中央である洛陽に近い都市などでは
彼らの未来は暗いものとなるだろう。

大人達はそれがわかっているから
あんな悲壮感に満ちた表情をしているのだろう。


逆に桂花の立場では
親の叱責だけで それ以上罪に問わないと言う形になるので
世間の評価では、親からの叱責だけで罪に問わなかったと言う寛容さを表しつつも、
その実 『絶対に許さない!』 と言う意思を込めたことになる。

荀桂さんもそれがわかっているのか
満足そうな顔をして桂花の頭を撫でている。


後はもう話すことはないとばかりに
二人はその場を後にし、
門の中に入り そのまま門を閉じてしまう。

外からは許しを請う大人達の声が聞こえるが
二人はそれらを一切無視して
庭の方に移動していき、私も二人について行く。

私達は無言のまま 庭の東屋に用意された椅子に座ると、
すぐに使用人の人がお茶の用意をし
用意されたお茶で喉を潤す。


「さて、喜媚ちゃんも当事者の一人なのに勝手に話を
進めちゃって悪かったわね。」
「・・・いえ。」
「桂花もちゃんと成長しているみたいだし、私も嬉しいわ。」
「別に・・私はこれ以上あの馬鹿共に関わりたくなかっただけよ・・・
後は ついでに奴らに嫌がらせをしてやっただけよ。」
「もう、桂花は素直じゃないんだから。
喜媚ちゃんもそう思うわよね?」
「はぁ・・・まぁ、そうですね。」
「桂花は あともう少し素直になったらもっと可愛いのに。」
「ほっといてよ!」


桂花の頭を撫でようとする荀桂さんと
子供扱いされるのを嫌がる桂花。

二人の様子を見ていると仲の良いただの親子に見えるけど、
やっぱりいいとこの娘だけあって
私の知らないような苦労や、
立場っていうのがあるんだろうな~、
と 考えさせられた一日だった。


この後、庭で三人で夕食までの時間を潰していると
宴席の準備が出来たと呼ばれたので
三人で移動し、私は今回の宴席での
主役ということらしいので上座に座らされ、
その横に荀桂さんと反対側には本来なら年長者が座るのだろうが
あまり厳密に決めているわけではなく
仲がいいということで桂花が座り、
後は 各々好きな場所に座っている。

今日はとりあえず荀桂さんの家の人間だけということらしいが
明日には近所に住む荀家の血縁者も顔を出すということで
私は 何やら大変なことに巻き込まれているようだ。

食事は私がこの世界に来てから見たこともないような豪華なもので、
豚の丸焼きがあったり、大きな貝を焼いたものや
魚を焼いたもの、肉を煮込んだ料理や、
食材を使った彫刻のようなものまで有り、
いったい何が食べれて 何を食べていけないのかすら
わからない状況になったが
その辺りは荀桂さんや桂花が教えてくれたり
取り皿に食事をとってくれたりしたので
なんとか事なきを得たが、
味を楽しむ余裕など無く、
食事が終わった時はただひたすらに
疲れたと言う印象だけが残った。


食後は身体を流すお湯を用意してくれたようで
お湯で身体を流した後は用意された寝間着を来て寝るのだが
用意された寝間着はやはり昨日と同じように
明らかに女物に見える服だった。

その後、昨日と同じように桂花と一緒に寝ることになり、
布団の中で 今日の昼の出来事や、鍛冶屋でのできごと、
宴席での出来事などを話をしている内に
眠気がやってきたので
昨日と同じように正面から抱き合いながら眠った。


翌朝 起きた私達は朝食をとり、
桂花の姉妹は私塾へと行き、
私と桂花は庭でのんびりとしていたのだが
どうやら 私にお客さんが来ているようなので
桂花と一緒に応接間まで行くと
そこにはあの日、桂花を助けるのに協力してくれた
警備隊のお兄さんが兜を脱いで座っていた。


「よぅ、喜媚・・・・元気みたいだな。」
「はい、お陰様で。」
「そうか、あの時は時間がなかったから心配してたが
・・・どうやら大丈夫らしいな。」
「・・・なんとか。
あっ! あの時 最後に掛けてくれた言葉、ありがとうございました。」
「なに、いいってことさ。
俺達みたいな仕事してると、賊を斬ったりすることもあるからな。
新兵が通る通過儀礼みたいなもんだが
お前は武術の訓練をしていたとはいえ
本来なら俺達が守る民だからな。
逆に あれくらいしかしてやれなくてこっちが申し訳ないくらいだ。」
「いいえ、助かりました。」
「そうか・・・っと、今日来た用事なんだが、
太守様より賊の討伐に対する恩賞が出てるぞ。
今日はそれを届けに来たんだ。」


そう言うと警備隊のお兄さんは持っていた小さい袋を
机の上に置いて私の方に差し出した。


「コレが報奨金だ。
まぁ、お前さんは素直に喜べないだろうがあって困るもんでもない。
ありがたくもらっとけ。」
「・・・そうですね。
ありがとうございます。」


そう言い、差し出された小さいが少し重みを感じる袋を手にする。


(少し重いけど、お金にしたらあの二人はこんなもんなんだな・・・)


桂花を助けるためとはいえ、
人を殺めてお金を得るというのは複雑な気分ではあるが
お兄さんの言う通りにあって困るものでもないので受け取って置く・・・が

私は桂花に手を握られるまで
気が付かなかったのだが
受け取った小さいが袋を持っている手が少し震えていたようで
桂花が私の手に そっと手を合わせてくれたら
不思議と震えが止まった。


「なんだなんだ? 喜媚はガキのくせにもう女がいるのか?
羨ましい限りだな!」
「え・・・? ち、違いますよ!
桂花とは・・・仲はいいですけどそういう関係では!」
「・・・・・」


私がお兄さんの言葉に反論しようとしたら
桂花が私の手を思いっきり抓る。


「・・痛ぅ。」
「はっはっは、お前はどう思ってるかわからないが
この娘の方はまんざらでもないようだぞ?」
「勘弁して下さいよ・・」
「まぁ、お前達をからかうのはこの辺にしておくか。
じゃあ、俺はまだ仕事があるから失礼させてもらうぞ。」
「あ、わざわざすいません。」
「なに、コレも仕事の内だ。
じゃあな。
荀桂様お騒がせしました。」
「いいのよ。
面白いものも見れたことだし♪」


そう言うと警備隊のお兄さんは
もう一回 私の方を見てにこやかに笑い帰っていった。

その時 何が記憶に引っかかるものがあったので
もう一度お兄さんの顔を思い出してみようとすると
ある人物と非常に似ている気がしたのだ・・・・


「あぁぁ~~ぁっ!!」
「ちょっと何よ、いきなり大声を出して。」
「あ、ご ゴメン桂花。」


そう、思い出した・・・と言うよりも知恵袋から画像が引っぱり出された。
あの警備隊のお兄さん、北郷一刀くんによく似ているのだ。


(ま、まさか・・・・本来は あのお兄さんが
桂花を助けるんじゃないのか?
そう考えると辻褄が合う。
あの岩場は門から近いからある程度の大声を出せば充分聞こえる。
桂花は未来の魏の軍師だからかなのか 意外と声は大きい。
実際 私の呼び声は聞こえていないようだったが
桂花の叫び声は聞こえてきた。
それに本来 桂花は男の人は苦手意識はあったが
私と出会った当初 それほどひどくはなかった。
私塾であの三人の男の子にちょっかいをかけられたため
嫌悪感を抱いてはいたが、原作みたいに顔を見るだけで
暴言を並び立てる程でもなかった。
だけど今回の一件は致命的だったはずだ・・・
多分この件が一番のきっかけになって
桂花の男嫌いが決定的になるのだろうが
その割には一刀くんに対する桂花の態度は
暴言こそ吐くが ある程度は認めていたし
だからこそ彼の功績を認めることが出来たのだろう。
それにあんな事があったら 本当に嫌だったら
曹操(そうそう)さんが命じたからって彼に抱かれるわけがない。
警備隊のお兄さんの面影を感じつつ
一刀くんの功績を認めていたからこそ
桂花が曹操さんの命令に従って一刀くんに抱かれたというのなら・・・
そう考えると 私は何か大変なフラグを
思いっきり、バキバキに へし折ってしまったんじゃないだろうか・・)


「あんたどうしたのよ?
そんなに汗かいて・・・また・・思い出したの?」
「ち、違うよ! アレとは全く別の話!
全然大丈夫だよ!」
「本当? ならいいけど・・・」


桂花にはまた私が あの賊を殺めた時の記憶を
思い出したのかと心配されたが、
私が冷や汗をかいているだけで
それ以外には異常がないと言うことで
おかしいとは思いつつも 納得はしたようだ。


(やばい・・・一刀くん・・・
魏に来るのは止めたほうがいいかもしれない・・・
このまま桂花の男嫌いが改善されなかったら
本格的に桂花が一刀くんを魏から追いだそうとするかもしれない・・)


この後 私はしばらく
一刀くんが魏に来て、桂花に無碍に扱われないか?
いっそ来ないほうがいいんじゃないか?
と 心配しつつも、
魏に来てくれないと桂花の陣営が負けてしまう と言う
この二つの未来にしばらく悩むことになる。





ちなみに後日、賊を倒した報奨金の事を家に帰るまで忘れていた私は
家に帰った後に母さんといくら入っていたのか確認したのだが、
銀が四斤ほど、銭にして約八千銭で
良い牛が一頭買えそうなくらい入っていてびっくりした。


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  1. 2012/09/16(日) 13:05:48|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

誤字だと思うので報告

そう考えると 私はな何か大変なフラグを
→そう考えると 私は何か大変なフラグを
  1. 2012/10/11(木) 21:40:08 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字だと思うので報告

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/12(金) 21:22:05 |
  2. URL |
  3. たいち #-
  4. [ 編集 ]

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