たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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十話


許昌




警備隊の人達に守られながら、
私と荀彧ちゃんは、彼女の家まで
無事にたどり着くことが出来た。

荀彧ちゃんの家についた時に、
私達の様子を見た使用人の人がびっくりして
荀桂さんを呼びに行き
何事かと小走りできた荀桂さんは
私と 私に抱かている荀彧ちゃんが何かに怯えている様子を見て
ただごとではないと察したようで、
私達と一緒に来た警備隊の人達に
普段の荀桂さんとは思えないような
凛とした態度で話を聞いている。

使用人の人が着替えや治療のために
荀彧ちゃんを屋内に入れようと声をかけるが
荀彧ちゃんは私の服を掴んだまま離さず、
その様子を見た荀桂さんが 私も一緒に中に案内するように指示を出し
私と荀彧ちゃんは一緒に屋敷内に入り
そのまま荀彧ちゃんの部屋まで案内された。

部屋についた事で少しは落ち着いたのか
荀彧ちゃんは私から離れ、小声で・・


「着替えるけど・・・こっち見るんじゃないわよ。」
「あ・・・私部屋から出てようか?」
「いやっ! ・・・・あ・・ごめん。
・・・部屋には居て・・・お願い。」
「・・・うん。」
「いいって言うまで、こっち見ないでよ・・・
見たら・・・ころ・・怒るわよ。」


そう言うと荀彧ちゃんは着替えを始めたようで
衣擦れの音が聞こえ、たまに擦り傷に布があたって痛いのか
痛みを我慢するような声が聞こえるが
一人で無事に着替えれたようだ。


「荀彧ちゃん大丈夫?
擦り傷を水かお酒で洗って消毒したほうがいいよ。」
「わかったわ・・・じゃあ台所に行きましょ。」


着替え終わった荀彧ちゃんは
いつもの裙子(スカート)や、おしゃれな服とは違い
秋か冬物でも出したのだろうか、
長袖の上着と 膝下まで有る褲(ズボン)を履き、
その上から薄手の上着を羽織り
なるべく肌の露出を無くすようにしている。

荀彧ちゃんの手には、さっき私が貸した上着が握られており
開いた方の手で私の手を握り、
台所まで移動し、すでに出血は止まっているが
膝や肘に出来た擦り傷を水で洗った後、
荀桂さんが呼んでいるということなので
応接室まで二人で移動していく。


「失礼します。」「・・・」
「・・・来たわね。
二人共座って、まずはお茶でも飲んで落ち着いてちょうだい。」
「はい。」 「・・・」


私はいつも通り荀桂さんの正面に座るのだが
普段 荀桂さんの横に座ることの多い荀彧ちゃんが
わざわざ椅子を動かして 私のすぐ横に座り
私の貸した上着を握ったままうつむいている。


「さて・・・まずはお礼を言わせてちょうだい。
胡喜媚様、この度は私の娘を救ってくれて・・本当に有難うございます。
家長である夫、荀緄は居ませんが、
家を代表して私 荀桂がお礼を申し上げます。」


荀桂さんはそう言うと膝を付いて右手で左の拳を包むように両手を組み
頭を垂れ2回頭を下げる、
所謂 再拝稽首と言う礼法でこの国では最上の礼のはずだ。
荀彧ちゃんも荀桂さんの様子をみて驚いて固まっている。


「じゅ、荀桂さん、止めてください!
頭を上げてください!」
「いいえ、胡喜媚様は 私共の娘の操と命を救って下さったお方です。
この礼は当然のものです。」
「分かりました。わかりましたから!
もういいですから。」
「・・・・ふぅ、じゃあココからはいつも通り
話させてもらうわね、喜媚ちゃん♪」
「・・・それでお願いします。
私の精神の安寧の為にも・・・」
「・・・はっ! わ、私も!
ええっと、胡喜媚様・・・」
「荀彧ちゃんもいいから・・・いつも通りでいいから。」
「えっ・・・ええと・・・じゃあ、その・・・・ありがと。
本当に・・・感謝してる。」
「はい、どういたしまして。」
「じゃあ、話を聞かせてもらおうかしら。
桂花が城門を出てからの話は 一緒に来た警備隊から聞いたんだけど
一体何処で どんな経緯があったのか。」
「「はい。」」


そして私の話と荀彧ちゃんの話をすり合わせていき、
今回の事件の経緯を知ることが出来た。


「そう・・・つまり桂花は私塾の子供達に嘘を教えられて
北の岩場まで行き、そこで野盗に襲われた所を
喜媚ちゃんに助けられたと。
簡単にいえばこういうことね。」
「そうですね。」
「・・・くっ!」


皆の話をすり合わせ、事の経緯がわかった所で
荀彧ちゃんは騙されたことが悔しいのか
俯いて私の貸した上着を強く握りしめながら怒りに震えている。

荀桂さんは手を叩いて使用人を呼び・・


「話は聞いていたわね、
今すぐ私塾へ行き桂花を騙した子達や先生に確認してきて。
夫と私の名前を出して構わないわ。」
「かしこまりました。」


荀桂さんがそう言うと、使用人の人は部屋から出ていった。


「さて、ココからは一族の問題になるから、
わかってるわね桂花。」
「・・・でも、お母様!」
「ダメよ。 ココからは桂花個人の話ではなく
荀家として、一族としてけじめを付けるわ。」
「・・・わかりました。」
「さて・・・それにしても喜媚ちゃん、ひどい格好ね。」
「・・え?」
「貴方 自分の格好を見てみなさい。
私、最初は喜媚ちゃんが大怪我したのかと思ったわよ?」


そう言われて自分の格好を見てみるが、
右足の靴や褲(ズボン)の裾は血に塗れ、
服にも返り血が付いている。
鉄扇も確認してみると血がついている。


「あ・・・」
「まぁ、それだけ喜媚ちゃんが必死に桂花を助けてくれたということでしょ。
とりあえずお湯を用意させてるから身体を洗ってらっしゃい。
その間に 服はなにか見繕っておくから。」
「いえ、そこまでお世話になるわけには・・・・」
「何言ってるの? こっちは桂花の命を助けられたのよ?
喜媚ちゃんがこの家で何したって誰も迷惑だなんて思わないわよ。
自分の家だと思ってゆっくりしてちょうだい。」
「いや、でも・・・」
「それにもうすぐ日が沈むわよ。
今から身体を洗ってたら日が沈んでしまうわよ。
家に帰ろうにも警備兵に見つかったら
喜媚ちゃん一人だと怒られるか盗賊と間違えられるわよ。」
「だったらなおさら帰らないと・・・」
「今日は泊まって行きなさい。
・・・いえ、しばらく泊まっていってちょうだい。
今回のお礼の宴席も設けないといけないし。」
「いや、・・・「ダメよ喜媚ちゃん。」・・・うぐ。」
「喜媚ちゃんにはなんとしても 私達の歓迎の席に出てもらうわよ。
荀家の者が娘の命の恩人に対して
恩に報いず 家から放り出したなんてことになったら
一族の恥になるんだから。」
「・・・・どうしてもですか?」
「どうしてもよ。」
「・・・畑の方は・・」
「私の方で人手は用意するわ。」
「・・・母さんには。」
「すぐに説明に向かわせるわ。」
「・・・・・・・じゃあ、あの・・・・お世話になります。」
「ええ♪ ゆっくりくつろいでいってね♪
とりあえずは身体を洗ってらっしゃい。」
「・・・はい。」


私が席を立ち、案内をしてくれる使用人の人について行こうとすると
荀彧ちゃんが一緒についてこようとする。


「桂花はココにいなさい。
嫁入り前の娘が 殿方が肌を晒そうという所に
ついていって何をするつもり?」
「・・・・はい。」


こうして荀彧ちゃんは部屋に残り、
私は使用人の人に連れられ身体に着いた返り血や汗をを洗い流し、
荀桂さんが用意してくれた服を着ようとしたのだが・・・


「あの? 服ってこれですか?」
「はい。 奥様からコレをきていただくように仰せつかってます。」
「・・・・ハァ。」


用意されたその服は黒を基調とした長袖の上着と
裾が膝下までの黒い褲(ズボン)なのだが
上着の意匠が明らかに女物の上着だった。

用意された服をきて先ほどの応接室に戻ると、
荀桂さんや荀彧ちゃんとは別に
二人・・・一人は荀彧ちゃんに似た薄い栗色の髪を
背中まで伸ばし後ろで縛っていて
黒を基調とした连衣裙(ワンピース)で
上から披肩(ストール)を羽織っている。
身長は私と同じか少し高いくらいだが
おそらく年上だろうか、荀彧ちゃんより少し大人びた感じがする。

もう一人の方は濃い栗色のウェーブの掛かった髪を
顎くらいまで伸ばして、
桃色の上着に桃色のふわっとした裙子(スカート)
この子は荀彧ちゃんより明らかに年下だろう。
私と初めて出会った頃の荀彧ちゃんを思わせるが
荀彧ちゃんのようにキツい目付きではなく
明るい素直そうなパッチリとした目をしている。

二人に共通して言えることは・・・胸がな「喜媚ちゃん♪」
・・・私はなにも考えなかった。


「紹介するわね。
こっちの黒い服の子が荀衍で桂花の姉、
もう一人のほうが荀諶で桂花の妹よ。」
「初めまして、荀衍と申します。
話は聞きました、妹がお世話になったようで、本当に有難うございます。」
「はじめまして♪ 荀諶です!
お姉ちゃんのこと、ありがとうございます!」
「どうもご丁寧に、初めまして胡喜媚と申します。
皆は喜媚と呼ぶのでその呼び方でお願いします。」
「よろしく。」 「よろしくお願いします♪」
「・・・喜媚あんたに言っておくけど、
荀諶に騙されちゃ駄目よ、
この子 私達の中で一番性格が悪いんだから。」
「え~お姉ちゃんひどぉい。」
「あんたは可愛らしい喋り方でごまかしてるだけで
中身真っ黒じゃない!」
「そんなことないもん。」
「はいはい、二人共喧嘩は後で二人っきりの時にしなさい。」
「・・・ちっ!」 「はぁ~い。」


荀彧ちゃんが思いっきり舌打ちをしてるが
あの二人 そんなに仲が悪いのだろうか?

そんな中、荀衍さんが私のそばまで来て
上から下までまるで品定めするように私を見ていた。


「ふむ、やはり私の見立ては間違ってなかったようね。」
「・・・はぁ。」


不意に荀衍さんが私の頬を手で撫でると。


「喜媚、貴方私の弟にならない?」
「・・・はぁ!?」
「私 弟が欲しかったのよ。
それが素直で素朴で可愛かったら最高。
貴方は私の弟になるために生まれてきたような子だわ!」
「・・・姉様、引っ込んでて。」
「変態姉はお疲れのようだから
自分の部屋でゆっくりと休んでてください、永遠に。」
「・・・・ず、随分と個性的な姉妹ですね。」
「もう一人荀愔っていう子がいるんだけど
その子はウチの人の所に行っているから、
その内会う機会もあるかもしれないわね。」
「あの姉は何時まで経っても父離れ出来ませんから。」
「さぁ、色々と皆聞きたいことは有るでしょうけど
今は食事にしましょう♪
もう用意させてるから、喜媚ちゃんもいっぱい食べていってね。」
「はい、ごちそうになります。」


その後、食堂に案内され皆で食事を楽しんだが
流石に荀彧ちゃんの家は大きいだけあって
出てくる食材もかなりいい物が多く
肉料理も出てきている。

明日以降の私の歓迎会ではもっと豪華になるというのだがから
私には想像もつかない・・・

食事中、荀彧ちゃんはあまり食が進んでいないようだったが
しばらくはしょうがないだろう。
周りもそれがわかっているのか、
無理に食事を進めようとはせず、
その代わりにいろんな話題を振って
荀彧ちゃんが余計なことを考えないようにと
気を使っているようである。

それに気になったことがある。
給仕のために荀彧ちゃんに使用人の男性が近づくと
わずかに身を竦めるのだ。
元々男の人が苦手だったこともあり、
そこへあんな事があったので
やはり男の人に対する恐怖が沸くのだろう。

食後、荀桂さんがお酒を持ってきて
私に飲むように勧められたが
私は飲めない旨を伝え、断ろうとしたのだが
荀彧ちゃんが無事に帰ってこれてめでたい席なので
口をつけるだけでもと言われ、
一口だけ飲むことにしたのだが、
この時代のお酒にしてはすごくキツいお酒だった。


荀彧ちゃんの事を気遣って、皆で明るい雰囲気で食事を終え、
皆、就寝の時間となったのだが
ここで、一つ問題が起きた。

私は客間で寝ることになっていたのだが
荀彧ちゃんが無言で私の手を握り、
離してくれない。


「荀彧ちゃん?」
「・・・・・」
「あの、離してくれないと私 客間の方に行けないんだけど?」
「・・・・・っ。」
「・・・喜媚ちゃん、今日は桂花と一緒に寝てあげてくれないかしら?」
「え? ・・・でも。」
「・・お願い。」
「・・・・・はい。」


どうしようか考えていたのだが、
今日の あの事件があって荀彧ちゃんも心細いのだろう。
それに荀桂さんの縋るような表情と真剣さの篭った声・・

たまたま 私が荀彧ちゃんを助けたのもあって
今は私がそばにいるのが 一番安心できるのだろう・・・
それを思うと、私も無碍に断ることも出来ず、
私の精神年齢は 前 と合わせて三十歳を超えるし
肉体年齢でも十一歳なので間違いも起こらないだろう。
そう考え 私は荀彧ちゃんと一緒に寝ることにした。

荀彧ちゃんと手を繋ぎ
本日二回目の荀彧ちゃんの部屋に行く。

日は既に落ちており
明かりは私が持っている燭台の明かりのみ。

普段暮らしている自分の家とは違い
他人の家なので
燭台の明かりで揺らいで見える屋内の様子が
いつもと違うことで 私は少し不安に駆られる。

荀彧ちゃんは無言で私を寝台に誘い
私も荀彧ちゃんの手を握ったまま
寝台のそばまで行き
燭台の火を消そうとした時
不意に荀彧ちゃんと目が合う。


「・・・・」
「・・・・」


蝋燭の火に照らされる荀彧ちゃんの顔は
普段の勝気な表情とは違い
若干怯えたような表情をし、
蝋燭の火で顔色が若干赤く染まっているように見え
なんとも不思議な魅力を醸し出していた。

お互いがお互いをしばらく見つめていたが
不意に窓から流れた少し肌寒い風が
二人の頬を撫で、少し落ち着いた私は・・


「・・じゃあ、寝よっか。」
「・・・えぇ。」


こうして先に荀彧ちゃんが布団に入り
私が続いて一緒の布団に入り、
どちらからともなく 布団の中で荀彧ちゃんと手を繋ぐ。




こうして慌ただしかった一日が終わると思い、
ようやく自分と荀彧ちゃんの無事を確認して
気持ちの落ち着いた私は
目を閉じ眠ることにした・・・・・のだが、
荀彧ちゃんが横にいることに緊張して眠れなかったので、
今日一日の出来事を振り返って考えて見た時、


私の脳裏に 今日の出来事が蘇る。


駆け出し 鉄の釘を構え 投擲し 鉄扇で殴りつける
先ほどまで完全に忘れていた感触が 今はっきりとこの手に蘇り
踏みつけた足の感触、何かを砕いたような感触
鉄の釘を人の頭蓋に打ち込んだ感触。

それらの感触が蘇り 古くて出来の悪いフィルム映画のように
ノイズの入った映像が脳裏に映し出された時・・・

その時になってようやく 私は この手で
人を殺めたんだと オモイダシタ。


一度 記憶が蘇ると 堰を切ったように脂汗が流れだし
自分が今日何をしたのか、その事実が頭の中を駆け巡る。

仕方なかった! 荀彧ちゃんを助けるために仕方がなかった!
私にはあの時は アレしか出来なかった!

何度もしょうがない、仕方がなかったと
自分で自分を納得させようとするが、
いままで生きてきた三十年以上の人生で、
人を殺めることは悪いことだと教育され続けてきたため
どんな理由があったとしても
その罪悪感を拭い去ることができない。

こんな事なら あの時逃げ出せばよかったのか?


否!!


あの時はアレが最善だった。
荀彧ちゃんや警備隊の人と話した荀桂さんから聞いたが
あの二人は今日と同じように何人もの女性を辱め
奪い 時には殺害してきた罪悪人だ。
後日 報奨金も出るらしい。

私は良いことをしたんだ!

そう自分に言い聞かせるが、
罪悪感が薄れることは無く、
自分の手や足、それどころか全身が震えているのがわかる。
汗をかいているはずなのに 酷く寒く感じる。

私が自分でやったことに対しての罪悪感に苛まれている時、

不意にが誰かに抱きしめられ名前を呼ばれていることに気がついた。


「喜媚! 喜媚! あんた大丈夫なの!?」
「・・・・荀 彧ちゃ ん? 」
「あんた・・・大丈夫なの?
急にあんたが手に汗をかいたかと思ったらいきなり震えだすし・・・
体調でも悪いの?」
「・・・いや、違うよ、なんでもないから離してくれていいよ。
・・・その荀彧ちゃんの・・胸とか
顔にあたってるっていうか埋まってるし。」
「こんなに汗かいて震えてるのにほうって置けるわけ無いでしょう!
何ならすぐにお医者さんでも呼びましょか?」
「いい! 別にいいよ、本当に体調が悪いとかじゃないから・・・」
「じゃあ何なのよ! さっきはあんなに震えてたのに。」
「・・・・別に・・大したことじゃないよ。」


私がそう言っても納得しない荀彧ちゃんは
抱きしめていた私の頭を今度は自分の顔の正面に持ってくる。


「私は、あんたに命を救われたのよ!
あんたが何でそんなになってるかわからないけど、
今度は私があんたを助けてあげる番でしょ!
どんなことでもいいから話してよ・・・私じゃ力になれないかもしれないけど・・・
私にだって 何かできることが有るはずよ!」
「・・・・本当に、大したことじゃないんだよ・・・」
「だったら話しなさいよ。」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・私が 話せって言ってんでしょうが!!」
「っ・・・・実は。」


そして、私はさっき思い出し、考えていたこと・・・
今日私がしたこと 、それについて私が自分でどう思っているのか、
どう思い込もうとしているのか、そしてそれが出来ないことを
荀彧ちゃんに全部 最初はつぶやくように・・
最後には吐き出すように話した。


「そう・・・・」
「頭ではわかってるんだよ・・・アレしかなかったし、
周りに誰も私を責める人は居ないって・・・
でも・・・」
「いいから聞きなさい!」
「・・・・・荀彧ちゃん。」
「あんたは何も悪くない!
アレはしょうがなかったの!
この国内で 誰が なんと 言おうが あんたは悪くない!
国内すべての人間があんたを責めても
私と私の家族はあんたの味方よ!
それに警備隊の男共も言ってたでしょ。
『お前はその子を守った。 お前が その子を守ったんだ。
俺達 皆が それを知っている・・・それだけは忘れるなよ。』
・・・って。」
「・・・・・・」
「それに あんたが悪いんだったら、
あんたに殺しをさせた原因の 私も悪いってことよ。」
「それは違うよ! 荀彧ちゃんは明らかに被害者じゃない・・・」
「だったらその被害者を罪人から助けたあんたは
褒められこそすれ 非難されるいわれはないわ。」
「・・・・」
「あんたが 罪悪感に苛まれることなんて無いの。
あんたには私が居るんだから そんなに怯えることなんて無いの。」
「・・・・荀彧ちゃん・・・」

「その荀彧ちゃんって言うのも もうやめなさい。
今からは『桂花』でいいわ。」

「・・・荀彧ち「桂花!」・・・・け、桂花・・・」
「私はあんたに真名を預ける。
コレは信頼であり、絆であり、そ、それに・・・・ゴニョゴニョ。
と、とにかく! あんたは悪くない!
それでいいわね!」
「いいわねって・・・」
「いいの!
ホラわかったらさっさと寝るわよ!」


荀彧ち「あ゛ぁっ!?」・・・桂花はそう言うと私を引き寄せ
私に抱きつく。


「あ、あのじゅ・・・桂花?
その抱きつく必要は無いんじゃ・・・」
「あんたさっきまで震えてたじゃない。
そ、それに・・・・」
「・・・・それに?」
「・・・・皆には言うんじゃないわよ。
他の人間に喋ったら あんたでも殺・・・怒るわよ。」
「・・・・わ、わかったよ。」
「・・・・わ、私も その・・怖いのよ・・・目をつぶると思い出して。」
「・・・そっか。」
「・・・そうよ。」


私も初めて人を殺めておかしくなってたけど、
桂花も男達に無理やり犯されそうになって怖かったんだな・・・


(私は 桂花を助けることができたんだな・・・)


そう思うと罪悪感が無くなったわけではないが、
この腕の中にある温もりを
この手で守ることができたんだと言う思いが溢れ、
不思議とさっきまでの体の震えや汗は収まり、
その代わりに桂花の温もりが身体に染み渡った。


(あの時の選択は間違ったとは思えない。
アレで全て良かったとも思えない。
それでも 私は桂花を無事に助けることができて
・・・本当に良かったと思う。)


桂花に一方的に抱かれていた私は
身体を少し動かし、私からも桂花を抱きしめ、
桂花の耳元で囁く。


「桂花・・・」
「な、何よ・・・」
「ありがとう。」
「・・・その、私も・・・ありがとう。」


こうしてこの世界に来て最も波乱に満ちた一日は終わり。
ようやく私達は眠りにつくことが出来た。


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  1. 2012/09/16(日) 13:03:43|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

誤字を報告いたします

捨てに出血は止まっているが
→既に出血は止まっているが
  1. 2012/10/11(木) 21:20:25 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字を報告いたします

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/12(金) 21:21:50 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

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