たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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五話


許昌




「ちょっと! 母さんマズイことになった!!」
「なによ、帰ってくるなり挨拶もなしに
大騒ぎして。」
「それどころじゃないんだって!
大変なことになったんだって!」


畑で荀彧ちゃんとの出会いのあと、
農具の片付けも早々に終わらせて
大急ぎで私は家に帰ってきた。


「何が大変なのよ・・野盗でも攻めて来たの?
それにしては静かだけど?」
「そういう問題じゃないんだって!
じゅ、荀彧ちゃんに話しかけられたの!!」
「・・・・・へ~、良かったじゃない。」
「良くないわよ!」


荀彧ちゃんに出会って混乱状態になっても
私の口調はこの数年かけて母さんに(文字通り)叩きこまれたせいで
昔の面影はなく、
丁寧どころか女の子が使うような口調になっている。


「何が良くないのよ、女の子に話しかけられただけでしょ?
喜媚は友達がいないんだから 仲良くしてもらえばいいじゃない?」
「友達がいないとか言うな!
そういう問題じゃなくて
荀彧ちゃんに会ったら 私の将来設計が台無しになっちゃうじゃない!」
「なにが台無しになるのよ?
さっきも言ったけど ただ話しかけられただけでしょう?」
「そう言うのじゃないんだって!
明日もまた来るって!」
「いいことじゃない、仲良くすれば?」
「だからそれじゃ駄目じゃない!」
「・・・・少し落ち着きなさいよ。」
「コレが落ち着いていられる状況かっていうのよ!」
「・・・・ハァ・・・・フンッ!」


私が一人で大騒ぎしていると、
いきなり母さんが私の頭にゲンコツを落としてきた。


「つっ~~~っ!!!!!
な、何すんのよ!」
「落ち着きなさいって言ってるのよ。
ただ話しかけられただけで どうこうなるわけ無いでしょう?
荀彧ちゃんが野盗に襲われて死んだとかならともかく
喜媚に話しかけただけでどうにかなるんだったら
とっくの昔に この国はどうにかなってるわよ。」
「だけどぉ!」
「全くしょうがないわね この子は・・・
何が不満なのよ?
私も知ってるけど あの子可愛いでしょう?
男なら可愛い子と仲良くなれたら普通喜ぶでしょうに。」
「仲良くなるっていうか、色々質問されたんだよ
堆肥がどうこうとか食物連鎖がどうこうとか・・・」
「そもそも、どういう風に話しかけられたのよ。」
「えっと、最初は・・・」


私は 荀彧ちゃんと出会った経緯を母さんに説明する。
最初は向こうが私の事を こっそりと見ていて
やがて観察するような感じになり
今日話しかけられ、どんな話をしたか。
そして最後に自己紹介して 別れたことを母さんに説明する。


「へ~、あの子らしいわね~。
大方 どこかで喜媚の噂でも聞いて確かめに来たんじゃないの?」
「私の噂って・・・」
「城壁沿いの畑で 頭の可哀想な娘が おかしな事をやってるってやつでしょう。
喜媚も知ってるでしょ?」
「・・・頭が可哀想な子っていうのだけは否定したいんだけど・・・」
「何も知らない人達が見たらそういう風にも見えるわよ。
だけど荀彧ちゃんも よく話しかける気になったわよね。」
「最初は目があっただけで逃げてったんだけどね・・・」
「でも、今日は話しかけてきたうえに
長いこと話し込んだんでしょう?
少なくとも荀彧ちゃんは 喜媚が頭が可哀想な娘じゃなくて
まともに話ができる子だと思ったんじゃないの?
でなかったら さっさと話を切り上げて帰るだろうし
明日また来るなんて言わないわよ?」
「・・・まぁ、そうなんだろうけど。」
「明日また会ったら話しをしてあげればいいじゃない?」
「・・でもぉ。」
「喜媚が何やってるわからなくて無くて
好奇心で話を聞きに来たのなら
気がすんだらもうこなくなるわよ。」
「そういうものかなぁ。」
「そういうもんでしょう?
あの子はいいとこの娘なんだから
そんなに軽々と城壁外まで一人で来れるはずないだろうし、
飽きたら来なくなるわよ。」
「む~・・・」
「前も言ったけど喜媚は好きなようにしたらいいのよ?
荀彧ちゃんと仲良くなりたいんだったらなればいいし
話をしてみて合わないんだったら
合わないなりの対応してれば
その内向こうから来なくなるでしょう。」
「・・・・」

「気にし過ぎなのよ喜媚は。
別に貴方にこの国をどうこうしろなんて誰も言ってないんだから
もっと気楽に生きたらいいのよ?
それこそ 『原作ブレイクして皆 喜媚ハーレムに入れてやるぜ! ガハハ!』
くらいの気持ちで。」
「何が喜媚ハーレムよ・・・ハァ。」
「まぁ、喜媚もいきなりのことで混乱してるみたいだけど、
明日になれば落ち着くわよ。
ほら、本当は今日の訓練してから 夕食にしようと思ったけど、
今日の訓練は無しにしておいてあげるから
手と顔洗ってうがいしてらっしゃい。
その間に夕食の準備しておくから。」
「・・・・はい。」


その後、夕食を食べ いつもだったら少し本を読んだり
農法等を研究するのだが
明日の事が心配で そんな気もなくなり
鬱々としながらこの日は眠ることにした。

翌日 訓練や食事を済ませ畑に行こうとしたが
荀彧ちゃんに会うのが嫌で今日は畑に行くのをやめようとしたら
母さんに家を叩きだされ、やむなく私は畑に向かうことにした。

畑について作業をして軽く汗をかいた所で
また昨日のように荀彧ちゃんが背後から話しかけてきた。


「こんにちは、昨日の話の続きをしにきたわよ!」
「こんにちは。
・・・なんでそんなに気合入ってんの?」
「べ、別に気合なんか入ってないわよ!」


荀彧ちゃんはそういうが
語尾に力が入っているし、肩から下げている袋から
何本か竹簡が頭を覗かせ
荀彧ちゃんは近くの手頃な木材を引きずってきて
椅子がわりにして座り込み、
更には筆と墨を取り出している。


「・・・・あの、何してんの?」
「見ればわかるでしょ、
要点を竹簡に書き留めとこうと思って 用意してるのよ。」
「本気? 私の話なんて大したことないと思うけど・・・」
「昨日あれから家の本を調べたり お母様や姉様に話を聞いたリしたけど
昨日あんたがしたような話は全く出て来なかったし
誰も知らなかったのよ。」
「食物連鎖くらいなら五行思想の関連から出てきそうなものなのに。」
「あんたが話したような細かい事までは出てこないでしょ!
っていうか、あんたどこでそんな知識を手に入れてきたのよ!
自慢じゃないけど 私もそれなりに学問は納めてるつもりだけど
あんたが昨日話したような細かくて理解しやすい話は聞いたこともないわよ!」
(小学生向けの理科の話を
たとえ話を交えながら話しただけだから
そんなに感心するようなことでもないと思うんだけどな・・・)
「荀彧ちゃんは家で学問教えてもらえるんでしょ?
だからその内習うよ。
それに 私と同じくらいの年だと思うから
まだ10歳にもなってないでしょ?」
「それでも私は 今 知りたいの!
ほら、昨日の話を最初から頼むわよ。」
「・・・はぁ。」


結局 荀彧ちゃんにせがまれ
小学生で習う理科の話を最初からさせられ、
お陰で今日の畑仕事も最低限にしかできなかった。

この日以降、荀彧ちゃんは
ほぼ毎日のように私の所に現れて、
最初は私のほうが理科や農法の話をさせられていたのだが
その内 荀彧ちゃんの愚痴を聞かされることになる。


「だいたいお母様は荀諶(じゅんしん)に甘いのよ・・・」
「そう言ったって荀諶ちゃんは まだ小さいんでしょ?
しょうがないじゃない。」
「小さいって言っても私と2つも違わないわよ!」
「だからって毎日家を抜け出して
こんな所に来てると危ないよ?
城壁内ならまだしも 外は警備の人の目も届きにくいんだから。」
「そんな事言ったらあんただってそうじゃない。」
「私は荀彧ちゃんとこみたいに いいとこの家じゃないから
そんな危険な事にはならないよ。
それに畑には知り合いもいるし。」
「じゃあ私も大丈夫じゃない。
あんたと一緒にいるんだから。」
「・・・はぁ。」
「それよりちゃんと聞きなさいよ!
お母様は荀諶に甘いのよ!」
「もうその話4回目だよ・・・」


この年の子供にしては荀彧ちゃんは大人びており
おそらく家でもそんなに手のかからない子なんだろう。
その分 妹の荀諶ちゃんは話を聞いてる分じゃ
手のかかると言うよりも、
歳相応の子供なんだろう。

その為どうしても荀彧ちゃんの母親や乳母は
手のかからない荀彧ちゃんよりも
荀諶ちゃんの方の面倒をよく見ているのだが
大人びているとしても荀彧ちゃんはまだ10歳にも満たない子供だ。
やはり母親のことが恋しく
妹に母親を取られたような気がするのだろう。、
しかし、その愚痴を私に言われてもどうしようも出来無いわけで・・・


「この間だって 桃を切りわけた時に
私も もう少し食べたかったのに
姉だから我慢しろって荀諶のほうが一切多かったのよ!」
「あぁ・・・それは大変だったね。」
「儒教の教えから言ったって本来なら
年上の私のほうが多く食べるべきでしょう!
身体だって大きいんだから。」
「そうだね、大変だったね。」
「あんたちゃんと聞いてるの!」


おやつの桃が荀諶ちゃんの方が一切多いとか私に言われても
どうしようもないよ・・・


私が荀彧ちゃんと知り合って
1ヶ月ほどした時。
その日は荀彧ちゃんの塾の話を聞かされていた。


「ほんっと あの塾の男共は腹立つわ。
忌々しいったらありゃしない!」
「何があったのよ?」
「何があったも何もないわよ!
人が読もうとしてた本を 私の手の届かないとこに わざと置いたり
何考えてるのかわからないけど人の裙子(スカート)を
いきなりめくってくるのよ!」
「あ~・・・まぁ、よくあることだよね。」
「こんな事よくあってたまるか!!
私がどんな恥ずかしい目にあったと思ってるのよ。
本当、男っていやらしい最悪だわ。
将来 絶対男の下では働かないし
男の部下なんていらないわ。」
「どこかに勤めたらそうも言ってられないでしょうに・・
そんなに男が嫌いなの?」
「前は苦手ではあったけど最近はもうダメね。
憎しみしか湧かないわ。」


このくらいの年だと複雑だからなぁ・・・
小学生くらいの年って
男子と女子に完全に分かれて
仲良くしようものならからかったりするから
余計に同性で固まるんだよね。

その上 好意を表現するのがまだ慣れてないせいで
いたずらしたりするわけだけど。


「その男の子きっと荀彧ちゃんが好きで
気を引きたいだけじゃないの?
そのくらいの年の男の子ってそういうとこあるし。」
「はぁ? 冗談でも笑えないわよ。
そんなこと有るわけないし
仮にそうだとしたら 私そいつ殺すわ。」
「物騒な・・・」
「好きだから嫌がらせってどういうことよ?
理解できないわ。」
「荀彧ちゃんは頭で考えすぎるんだよ。
好きだから仲良くなりたいけど
恥ずかしくて どうしていいかわからないから
気を引く為に好きな子をいじめるってよくある話だよ?」
「好きなら好きって言えばいいじゃない。
ホント男って理解できないし 仲良く出来ないわ。」
「そう? 私とは結構仲良く話してるじゃない?」
「・・・なに言ってんの?
あんた女じゃない。」
「え? 言ってなかったっけ?
私男だよ?」
「冗談にしては笑えないわよ?」
「いやいや、本当だって。
皆に聞いてみなよ、畑で働いてる皆
私が男だって知ってるから。」
「・・・・からかってんの?
皆あんたのことお嬢って呼んでるじゃない。」
「荀彧ちゃんも疑り深いな・・
本当だって。」
「じゃあ、あんた何でそんな格好で
話し方も女みたいに話してるのよ。」
「・・・・色々複雑な理由があるんだよ。」
「その理由を言ってみなさいよ。」
「母さんが本当は娘が欲しかったとかで・・・」
「全っ然 複雑じゃないじゃない。
・・・大体本当でしょうね?
確かめるわよ? 違ってたら蹴っ飛ばすし
本当だったら穴に埋めるわよ?」
「どっちでも酷いことになるじゃない・・・」


その後 荀彧ちゃんが皆に聞いて回った結果、
私の所に走って戻ってきたと思ったら
そのままの勢いで私に殴りかかってきて
私の頭に拳骨を落としていった。


「いった~~~っ!」
「あ、あ、あんた騙したわね!!」
「別に騙してないじゃない、皆私のこと男だって言ったでしょ!」
「そういう意味じゃないわよ!
あんた男なら男ってなんで最初に言わないのよ!」
「いや、聞かれなかったし
知ってるものかと思ってたし。
それに見ればわかるでしょ?
髪の毛伸ばしてるけど
どこからどう見ても私は男じゃない。」
「あんたはどっからどう見ても女にしか見えないわよ!
あんたの噂だって頭の可哀想な『娘』って言う噂だったし。」
「マジで・・・?」
「マジよ。
あんたの家族やあんたの家の人間以外
皆あんたのこと女だと思ってるわよ。」


以前 私が不意に口にした『マジで?』という言葉の意味を
私の前いたところの方言で『本当に?』と言う意味だと教えて以来、
たまに荀彧ちゃんも使うようになった。

それはいいとして 私は周りには女だと思われているというのは
本格的に何とかしないといけない・・・
頭の可哀想な子(こ) と頭の可哀想な娘(こ)だと
同じ音で聞こえるため 今までは気にもしてなかったが
本格的に誤解を解く方法を考えないといけないようだ。


「まったく、男なら男って最初から言いなさいよね。」
「知ってるものだと思ったからゴメンね。」
「まぁ、いいわよ。
私が勝手に勘違いしてたのも悪いんだし・・」
「それで荀彧ちゃんは私が男だとしても
また明日からいつも通りにココに来るの?」
「来るわよ。
あんたは塾のバカどもと違って
ちゃんと話通じるし。」
「・・・そうなんだ。」

「何で少しがっかりしてるのよ。
そこは普通 喜ぶところなんじゃないの?」
「いや、だって荀彧ちゃんが来ると
話してばっかだから作業進まないし。」
「別に話しながら作業すればいいじゃない。」
「前にそうしたら 人の話聞いてるのか? とか言って
怒りだしたじゃない。」
「・・・・・まぁ、そんなこともあったわね。」
「逆に荀彧ちゃんはいいの?
家の人心配するんじゃないの?」
「私がどこに行ってるかは教えてあるし、
お父様の教えで畑仕事や町の様子を
自分の目でよく見るように言われてるのよ。」
「それはいい教えだけど、
荀彧ちゃんにはまだ早いんじゃない?」
「早く学ぶことは悪いことじゃないでしょ。
私はもっともっといろんな勉強をして
将来は父様のような立派な人になるのよ!」

「荀彧ちゃんのお父さんって言うと荀緄(じゅんこん)様だっけ?」
「そうよ父様は尚書を務めていてすごく偉いのよ!」
「尚書さまって天子様に上奏する時にまず尚書さまを
通さないといけないんだっけ?」
「そうよ・・・あんたよく知ってるわねそんなこと。」
「たまたま・・たまたま知ってただけだよ。」
「あんた本当に変なことばっかり知ってるわね・・
常識的なこと知らないと思ったら
誰も知らないような事知ってるし。」
「私の知識が偏ってるのは認めるよ。」
「まぁ、いいわ。
とにかくお父様は尚書と言う役職を天子様から頂いてるくらい偉いし
お祖父様も神君と噂されるくらいなんだから
私もお二人に負けないように偉くなって
この国を良くしないといけないのよ!」


荀彧ちゃんはすでにこの年齢から
将来の事を考えてたんだなと感心させられる。


「まぁ、そうね。
私が偉くなったらあんただったら使用人か書生として
使ってあげてもいいわよ?」
「はははっ、コレで私も将来の仕事には困らずに済みそうだね。」
「まぁ、あんたも頑張って勉強しなさい。」


以前の私だったら 「冗談じゃない!」 と思う所だが
何週間か荀彧ちゃんと話している内に
この手の話を冗談、又は子供が思いつきで言う話 程度には
受け入れられる余裕ができたので軽く受け流す。

それにしても最初は思いっきり警戒していたが
こうやってただの友人として付き合う分には
そんなに警戒せずともいいのかもしれない。

実際に仕官するのは真っ平御免だけどね。


こんな感じで私と荀彧ちゃんは友人と呼べる関係になり、
この後も私と荀彧ちゃんの付き合いは 長く続くことになる。


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  1. 2012/09/15(土) 22:19:21|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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誤字の報告

妹に母親を取られたようなきがするのだろう。、
→妹に母親を取られたような気がするのだろう。

その愚痴を私に言われてもどうしような出来無いわけで・・・
→その愚痴を私に言われてもどうしようも出来無いわけで・・・

「荀彧ちゃんのお父さんって言うと荀緄(じゅんこん)様だっけ?
→「荀彧ちゃんのお父さんって言うと荀緄(じゅんこん)様だっけ?」
  1. 2012/10/26(金) 22:09:19 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字の報告

誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/27(土) 16:09:17 |
  2. URL |
  3. たいち #-
  4. [ 編集 ]

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