たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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四話


許昌




あれから一年くらいたっただろうか・・
その間の私の生活を簡単に振り返ってみる。


朝、日が昇るとほぼ同時に起床。
寝坊したら母さんにたたき起こされる。
1年の生活で 妲己さんを母さんと呼ぶように変化していく。
朝食前に戦闘の訓練をして朝食。

昼間では家にあった本を参考に
この世界の文字の読み書きの勉強。

昼食後、城壁沿いの畑に行き
その時々の農作業をする。

夕方に戻り、戦闘の訓練。
夕食後、文字の勉強。


私の一日は基本的にこの流れで動いていく。


そんな中で 変わったことといえば、

一ヶ月ほどした辺りで
ある程度訓練後も動ける体力がつきはじめたので
今まで生活に不便だと思っていた
便所や風呂が無い事、井戸水が若干気になる等の問題点を
改善していくことにした。

便所がくみ取り式と言うことは変わらないのだが
小作人の人に手伝ってもらい
蓋を付け、風通しをよくしつつ壁やカーテン等で
花を摘んでいる最中に 人目を気にしなくてもいいようにした。
トイレットペーパー替わりに紙を使うわけにも行かないので
畑で柔らかい葉や繊維質の高い葉などを拾ってきて揉みほぐし
柔らかくした後に使ったりして 何が最適か実験中である。

風呂は流石に今の私にはどうしようもないので
大人が座れる程度の大きい桶を母さんに頼んで職人の人に作ってもらい
そこで行水をできるようにした。

水に関しては観測世界のデータベース、以降 知恵袋 とでも呼ぶが、
そこから現状でも作れる簡単なろ過器の作り方を参考に
試行錯誤を繰り返し一ヶ月ほどかかってようやく
最低限実用レベルの物が出来上がった。
だが、現状では素直に井戸水を煮沸したほうがいいレベルではあるが
働いてくれている小作人の人達は
川の水を生活用水に使っているそうなので
コレを使えば少なくとも川の水を直接使うよりはいいはずである。
このろ過器は今後も交換する時に改善していき
最終目標は井戸水に感じる土臭さを消すことである。


その後 少し手が空いたので
今度は農作物、主に肥料に手を出してみようと思ったが、
当時の私はあくまでただの5歳児である。

当然 小作人の皆に説明した所で
子供の戯言だと無視されるだろうし
無理やり言い聞かせるわけにも行かない。

そもそも肥料の問題を何とかしようと思ったのは
肥料に人糞を使っている所が結構多いからである。
人糞肥料は使えないことはないが
使用法を間違えると根腐れを起こしたり
ハエや蚊などを発生させたり 疫病の原因にもなりかねない。
それにココでは肥溜めで発酵させる手順を抜いているのでなお悪い。

そこでまずは私が自分で堆肥を作り
その堆肥で作物を育てて有用性を証明することが必要だと思ったので
母さんに頼んで 畑の隅っこの方に 私用の小さい畑を用意してもらい
堆肥を作ることから始めることにした。

堆肥の作り方は知恵袋に有る
枯葉、雑草や収穫時に余り食べることのない茎や葉、
更に家で飼っている牛と鶏の糞を混ぜ
発酵させるものを使い、
さらに台所の釜でいままで捨てていた灰や余った草や葉を焼いて
作物を上る前の畑に撒いて耕して置いておく。
豚は雑食なので使わずに 穴を掘り糞を一箇所に集めて
発酵させてから使うことにする。

堆肥の方は最初は水分量を少なめにして様子をみていたが
三回ほど作りなおした所でミミズを使って様子を見た所
ミミズが土に潜ってしばらくしても死ぬことがなかったので
ようやく 最低限使えそうな堆肥を作ることに成功した。

早速 出来た堆肥と畑の土を混ぜ
廃材と石で作った簡単な苗床に種を撒き
様子を見ていたが
順調に作物が育っているようで
ある程度育った所で畑に植え替え
様子を見ることにした。

コレが意外にも初回で成功し、
周りの畑よりも一回り大きく、
一つの苗あたりの収穫量も一~二割多く収穫できた。

しかし私の知恵袋で閲覧できる作物よりは遙かに出来が悪いので
その辺は 今後も改善していく必要がある。


さて、そんな生活を続けていたが
当初は私が行なっている灰を撒いたり 堆肥作ったりする
畑仕事に 奇異な目を向けていた小作人の皆が
私の育てた作物の出来がいいことと、
母さんから 私が新しい農法を実験していると言う話を聞いたことで
私の話を少しづつ聞いてくれるようになり、
畑仕事の合間に 私が何を目的に堆肥を作っていたか、
なぜ、畑に灰を撒いて土と混ぜていたのか
等の話を聞いてくれるようになった。

更には小作人の人達の子供達が畑仕事を手伝う合間に
皆に簡単な文字の読み書きを教えたり
簡単な足し算引き算を教えたりしたことで
今までみたいな奇異な目で見られることもなくなり
普通に日常会話を楽しむことが出来る程度には
仲良くなることが出来た。


しかし、ウチの小作人や その家族はいいが
それ以外の人には 私がやっていることは
頭がおかしいか 頭が可哀想な子供に見えるようで
近所での私の評判は 結構悪いものになり。
隣の家の人が私に挨拶などをしてくれることも
ほとんど無い状態になった。

母さんからは・・


「別に間違ったことはやってないだけに
難しい問題よね~。
もし許昌で疫病でも流行ったら喜媚のせいにされたりして♪」


などと洒落にもならないことを言っていたので
私も少し気をつけて
隣近所の人には 私から積極的に挨拶くらいはするように
心がけることにした。


それと私にとっては悪夢以外の何物でもないのだが
母さんの私に対しての口調の強制が酷い。

当初は丁寧に話していれば問題なかったのだが
途中から「我慢ができなくなった!」とか言い出し
女言葉を強要するようになってきた、
しかも逆らうと 持っている扇子で容赦無く殴ってきたり
夕食を抜かれたり、挙句に怪しい妖術まで使って強制的に
話させようとしたり。

こっちもムキになって逆らったが 最終的に
口調を直さなかったら術で女にする と言われ
泣く泣く話し方を変えることになった。

この世界では力が全てだという事を
身を持って知る事となった。


一年が過ぎた辺りで
母さんから 私がこの世界に一年経った記念日ということで
夕食に肉料理が多めに出たり
食後に胡麻団子が出たりと
簡単ではあるが お祝いをしてくれた。


「そういえばもう一年経ったんですね。
カレンダーなんか無いから忘れてましたよ。」
「フフン、私はちゃんと数えてたわよ。
庭に日時計を作るのはいいけど
日付も計算できるようになんかやったら?」
「そうですね・・・余った木片にでも
なにか印をつけとこうかな。」
「何にしても まずは食事が冷める前に食べましょう。」
「そうですね・・今まで1年ありがとうございます。
また来年からも よろしくお願いします。」
「仮とは言え喜媚は私の娘だからね♪
気にしなくてもいいわよ。」
「・・・そこはせめて息子にしてくださいよ。」


こうして私の一年は終わり
新たに二年目に突入した。

と言っても、特に生活が変わるわけではなく、
武術の訓練では、そろそろ型が身体に染み付いただろうということで
妲己さんとの防御や回避をメインとした簡単な模擬戦が新たに追加され
背負う砂袋も重い物へと変更された。

農業の方は試験的に畑の2割ほどの面積で
私の指示する農法に変わり
全体でも人糞の肥料をやめてもらい
そのかわり貯めておいた豚の糞を
発酵させたものを使ってもらうようにお願いし、
衛生面でも うがい手洗いを徹底してもらうようにした。

さらに畑で使う堆肥を作るために
小作人の皆が 知り合い等から枯葉やいらない茎や草、
家畜の糞などを集めてもらったり、
私一人で行くことを許可されてない近くの森から
枯葉や土などを少しづつ集めてもらったり、
堆肥を作る際の雨よけの簡単な建物を
作る時に協力してもらったりした。


こうして二年目は特に目新しことはなかったが、
ろ過器の性能が上がったり、畑で使う分の堆肥を大量に用意できたり、
小作人の皆の農業知識が上がり 識字率も同時に上がり
簡単な足し算引き算位ならできるようになっていた。

武術の方は子供の割には強い程度、と言う評価を受けた。
少なくとも近所の普通の子供と喧嘩しても
負けることはないとか・・・・それは自慢できるのか?

ともかく、皆 大きい怪我や病気になることもなく
むしろ うがい手洗いを実践するようになって
風邪を引いたり下痢になったりすることが減ったという事で
以前よりも健康な生活を送ることができるようになった。

外史に渡って二年目が終わりを迎えつつある中
農法の改善に伴い作物の出来や収穫が2割ほど増えたことで
今年は結構良い収入であったようだ。
というのも、税の徴収方法が畑の面積辺りで計算されるため
おなじ面積畑で二割多く作物がとれたら
それがそのまま利益になるのだ。

農法の改善で利益を上げたことで
母さんから儲かった利益の内、
何割かを私の個人的な財産として使ってもいいように言われた。


「でも、本当にいいんですか?」
「いいわよ~、喜媚が頑張ったおかげで儲かったんだし
将来的にも先立つ物がないと困るでしょう?
それになんか新しい事をするにもお金は必要だろうし
喜媚ならその元手と知識を生かしてもっと稼ぐことが出来るだろうし。
その中で何か私に還元してくれたらいいわ。
・・・具体的に言うとお酒で!
喜媚の知識で喜媚の世界のお酒作れるでしょ!
早速今日から作りましょう!」
「流石に今日からは無理ですって・・・
自家製どぶろくとかならできるかもしれませんが
それにしても麹も一から作らないといけないし
本格的な日本酒なんか作ろうと思ったら
まともにできるのに何年かかるか・・・」
「やりなさい! コレは母親としての命令よ!
お金も(左慈に稼がせて)私が出すから!」
「・・・あんまり期待しないでくださいよ?」
「期待してるわよ!
この国のお酒はどうも薄くて飲んだ気がしないのよね。」


母さんの言う通りにこの国のお酒は比較的アルコール度数が低い。
夕食時にはいつも飲んでいるようだが
酔っ払った所を見たことがないので
母さんはかなりお酒にも強いんだろう。

とにかく母親命令で私の日常作業にお酒の研究も含まれることになった。


(っていうか・・・七歳児に酒作らせるなよ。
味見なんか出来ないっていうのに・・・)


三年目に突入して日常生活では
今まで通り
起きる、訓練、勉強、畑仕事、訓練、寝る
という流れを繰り返していたのだが、
ある程度 暖かくなる過ごしやすい時期になった時
変化が訪れた。


ある日、堆肥の研究をしていた時である。
視界の隅に見慣れない女の子を見つけたので
そちらの方を見てみた時、
私と目があった女の子が走って慌てて走って逃げていった。

それだけだったら特に珍しいことではない。
私は近所で(頭の)かわいそうな子として
嫌な意味で有名だったので
たまに見に来る人はいたのだ。

だがその女の子はその次の日、
またその翌日にも現れ
最初は目があったら逃げていたが
何日かして私が 特に気にしてないのを悟ったのか、
目があっても逃げることはなく
たまに来ない日もあったが ほぼ毎日のように現れては
日が沈む前に帰って行き
また翌日の午後には現れるということを繰り返していた。

そうなってくると私も気になったので
女の子の事を観察してみると
若干クセの着いた肩まで伸ばしたの栗色の髪の毛で、
コチラを見ている時の目は真剣味を帯びているためか
少し気が強そうな印象を受ける。
身長は私と同じくらいで、
女の子は子供の時は男より発育がいいからもしかしたら年下かもしれない。
着ている服は日によって変わるが女の子らしく可愛らしい服だ。
基本的に彼女が着ている服は綺麗な物が多く
種類も多そうなので、どこかいいとこの娘なのだろう。

すると気になるのが なぜ彼女のような いいとこの子が
わざわざ城壁の外の畑まで来て
私の作業を見ているのかということだ。

一日二日なら好奇心からだろうが
彼女を始めて見てから もう既に三週間ほど経っている。
好奇心にして気が長すぎるだろう・・・
などと思いながらも 作業をしていた所、
不意に背後から話掛けられた。


「ねぇ、ちょっと貴女。」
「・・え? 私ですか?」
「そうよ・・貴女それ何してるの?」
「これ・・・ですか?
堆肥を作ってるんですけど、・・堆肥ってわかりますか?」
「たいひ? 初めて聞くけど何なの?」
「簡単に説明すると肥料の一種です。
糞や枯葉などを使ってる所がこの辺では多いみたいですけど
ウチでは去年あたりから この堆肥を使うようにしてまして。」
「ふ~ん・・でも肥料ならさっさと畑に撒かずに
何でそこでかき回してるのよ?」
「コレはまだ畑に撒ける状態じゃないんですよ。
使えるまでしばらく置いておかないと駄目ですし
こうやって時々かき回して空気に当てて
やらないと駄目なんですよ。」
「・・・なんでそんな面倒なことしてるのよ?」
「え~っとですね・・・・説明すると長くなるんですが・・・」
「少しくらい長くてもいいわよ。」


どうやらこの娘は知的好奇心が強く
気になったことは調べるか何かしないと気が済まない性質のようだ。

いいとこのお嬢さんみたいだから無碍にも出来ない。
しょうがないので 私は堆肥が
どうやってできるかということを説明していくが、
話が食物連鎖等の小学校で習う程度の生物学の話まで
広がり始めた所で 夕日が目に差し込むのに気がついた。


「あっ! まずいそろそろ帰らないと。
え・・・と お嬢様も早く帰らないと
城門が閉まってしまいますし
お家の方が心配しますよ?」
「・・げっ! もうこんな時間なの!?
早く戻らないと!」


この許昌を含む多くの この国の都市では
都市ごと城壁で囲んでいて
日が沈むと城門を閉め、外との出入りが完全にできなくなる。

城壁内部でもそれぞれ区画が決められていて
夜にその区画を超えた移動が原則禁止されているので
日が沈むまでに帰らないと
下手したら家に帰れないことにもなりかねないのだ。


「そういうわけなので私は片付けてから
帰りますのでお嬢様も早く帰ったほうがいいですよ。」
「わかったわ・・・でも、そのお嬢様っていうのやめなさいよ。
私にはちゃんとした名前があるんだから。」
「すいません、まだ自己紹介してなかったし
見たところ貴女は結構いいところのお嬢さんなんでしょう?」
「・・そうだったわね。
私としたことが まだ名乗ってもいなかったなんて。」
「申し遅れましたが、私は胡喜媚という名です。
喜媚と読んでくれて構いませんので。
皆そう呼びますし。」

「そう、わかったわ。
私の名前は 荀彧(じゅんいく) よ。」


「・・・・はっ?」


「何 聞こえなかったの?
じゅ ん い く よ!」
「・・・・マジ?」
「何その まじ ってどういう意味?」
「あぁ、すみません。
私の前いたところの方言みたいなものですので
気にしないでください。」
「そう? じゃあ私は帰るけど
また明日来るから さっきの話の続き聞かせなさいよ!
あと敬語も必要ないわ。
一応 教わっているのはこっちなんだから。」
「あぁ・・・はい、分かりました。」
「敬語はいらないって言ってんのよ!
全く・・・じゃあ、また明日ね!」


そう言って荀彧と名乗った彼女は城門の方へ
駆けていった。


「・・・・どうしてこうなった?」


この世界に渡って三年目。

恋姫の武将になる様な人には 決して関わらないでおこうと誓っていた
私の誓いは彼女によって あっさりと破られることになった。

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  1. 2012/09/15(土) 22:17:39|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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