たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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三話


許昌




さて、外史に渡っての初日は最後に醜態を晒したが
この二日目からは気分を入れ替えて頑張っていこう。

・・・前の俺・・・私のアパートの事はもう忘れよう。


この日 朝日が登った時に丁度目を覚ましたのだが
時計など無いから時間がわからない。
その内 暇を見て、日時計でもいから用意するのもいいかもしれない。

しばらく布団でまどろんでいると
なにか美味しそうな匂いがする、
宛てがわれた自室から 居間の方に出てみる。
昨日あの後 夕食時に あらかた家の構造を説明されたので
迷うことは無い。

そのまま今に入ると 丁度妲己さんが朝食を並べている所だった。


「あら、おはよう。」
「おはようございます。」
「もう少しで朝食ができるから顔洗ってきなさい。」
「・・手伝いとかしましょうか?」
「別に今はいいわよ。
喜媚の身長や体力で手伝ってもらっても
そんなに手伝えることないでしょ?」
「・・・申し訳ないです。」
「気にしなくてもいいわよ、
その分成長したら存分に家事を手伝ってもらうから。」
「お手柔らかにお願いします。」
「はい はい。」


朝の挨拶の後 井戸へ行って水を汲んで顔を洗おうとしたのだが、
この井戸の桶がまた思いの外重い。
この時代で つるべ式の井戸があったのかは分からないが
眼の前にあるんだからあるんだろう。

桶を放り込んで縄を引くだけなのだが
子供に戻った私にはそれだけで重労働なのだ。
なんとか引き上げた桶を取ろうと片手を離すと
重さで桶が井戸に落ちていってしまう。

このままでは同じ事の繰り返しだと思った私は
とりあえず引き上げた後につるべを支えている井戸の柱に
縄を何回か巻き 摩擦の力を利用して
なんとか水を汲み上げたのだが・・・


「コレが今日から毎日続くのか・・・
何はともあれ まずは体力だな。」


それだけで朝からいい汗をかいていた。


「あら遅かったわね・・・何やってきたの?
汗だくじゃない。」
「・・・井戸の桶が重くて。」
「あ~、喜媚くらいの歳の子だと まだちょっときついかもね。」
「いえ、これからアレを毎日 何回も やらないといけないので
なんとか体力をつけますよ。」
「まぁ、頑張りなさいな。
それはそれとして 朝ごはんにしましょう。」
「はい。」

「「いただきます。」」


どうやらウチ妲己さんは できる妲己さんで、
この朝食にしても 昨日の夕食にしても
かなりおいしいのだ。

やはり前の世界とは違って見た目や味付けはシンプルなのだが
素材の味をうまく生かして美味しい料理を作る。


「この外史だとの喜媚の居た世界と違って
食事なんかはどうしても
味が落ちると思うんだけど どう?」
「いえ、美味しいですよ。
私は料理人じゃないので詳しく説明できませんけど
シンプルだけど素材の味を生かしてて
すごく美味しいです。」
「そう、良かったわ♪」
「良かったら後で教えてもらえますか?
一応一人暮らしだったので
簡単な料理はできますけど
この先この世界の調理にも慣れないといけないと思うので。」
「いいわよ。
どちらにしてもある程度 喜媚の身体ができたら
手伝わせるつもりではあったから。」
「ありがとうございます。」
「そうだ、食事の後に
ウチで働いてる小作人に紹介するから
そのつもりでいてね。」
「わかりました。
・・・農家って言ってましたけど
どんな感じの畑何ですか?」
「どんな感じって言われてもね・・・私にしたら普通よ。
喜媚が見たら また別の感想が出てくると思うけど。
ついでだから一緒に見に行く?
城壁の外に出ることになるけど。」
「お願いします。
まだこの家の中しか知らないので。」


これからの生活への心配もあるが
やはりココは古代中国、
海外旅行もしたことがない私にしたら
見るもの全てが目新しくて
好奇心が刺激される。

食事の後、働いてる小作人に合う前に
妲己さんから説明を受けた。


「喜媚 皆に会わせる前に 一応説明しておくけど、
さっきは食事中だったこともあって一応小作人と言ったけど
彼らの立場は奴隷にかなり近いものになっているの。」
「奴隷・・ですか。」
「喜媚の倫理観からすると おかしく感じるかもしれないけど
この世界ではそういうものだと思って置いて。
もう少しいいとこの家だと 使用人として普通の人が働いてたりするけど
ウチは標準的な農家よりも少し裕福なくらいで
そういう所で働くような人は
他所から逃げてきて戸籍のない人や
その親族だったりすることが多いのよ。
別に奴隷に近いからって 私が無碍に扱っているという意味ではないわよ?
ちゃんと人並みに衣食住は保証している
暴力を働くとかはないけど
立場上は雇用関係ではなく
彼らは私の所有物扱いになることになる。」
「そうですか。」
「同時に私のむすm・・・息子でもある
喜媚にもその所有権があることになる。
貴方が個人的に彼らと仲良くするのはいいけど
他の人が見るとおかしく見える場合もあるから気をつけておいてね。
あと 喜媚が普通に彼らと話してて
たまたまそこに 家柄の良い所の人が現れて
彼らがその人に同じような口を聞いて その人を怒らせたら
彼らだけじゃなく彼らの所有者である私や喜媚にも
その矛先が向くことがあるから。」
「・・・分かりました。」
「まぁ、一応注意したけど
彼らもその辺はよくわかっているから
そんなことにはならないと思うけど
この外史はそういう世界だということを覚えておいて。」
「はい。」


どうしても恋姫のゲームの感覚があるから
以外にのんびりした世界かと思っていたけど
そういう所は結構シビアな世界なんだな・・・と
思い知らされる。

(そうなると 開いた時間にでも
この時代の情報を集めておいたほうがよさそうだ。)


その後、妲己さんに案内され
家から出て街の中を見て回ったが、
今まで映画でしか見たことないような
古い建築様式の家が多く
自分が古代中国の世界に来たんだと認識させられる。

しばらく歩き、城門から一歩出た時、
視界いっぱいに広がる畑や大地がこの国の広さを感じさせる。


「は~・・凄いですね。」
「そう?」
「えぇ・・私が今まで住んでいたところは
家やビルで視界が塞がれていましたから
こんなに視界いっぱいに大地が広がる光景
見たことありませんでした。」
「・・そっか。
さっきは暗い話もしたけど
この世界もまんざら悪いことばかりじゃないでしょう?」
「・・そうですね。」


その後、畑まで歩いて行く途中周りを見回してみたが
よく見ると遠くの方に森が見えたり
畑に水を引くための小川が見える。

その内 川に釣りに行くのも悪くないかもしれない。
などと考えながら移動していると
不意に妲己さんが足を止める。


「着いたわよ。」
「この辺がだ・・お母さんの畑ですか。」
「そうよ、くわしい事はまた後で説明するけど・・きたわね。」


話しているとコチラに5人ほどの男性が近づいてきた。


「「「「妲己様おはようございます。」」」」


妲己さんは自分の名前をそのまま呼ばせているが
特に気にした様子もないから いつも通りなんだろう。


「おはよう。
前話したと思うけど
この子が今度 私の子供になった胡喜媚よ。」
「よろしくお願いします。
あと 呼び方は喜媚で結構なので。」

「「「「「お嬢! これからよろしくお願いします。」」」」」

「・・・あの喜媚でいいので。
それに私男ですし。」
「いえいえ、妲己様からお嬢と呼ぶように言われてますから。」


すぐさま私は妲己さんを睨みつけるが
ニヤニヤと笑うだけで
私の睨みなどものともしていない。


「・・・謀ったな。
最初から このつもりだったな・・」
「別にいいじゃない、喜媚は可愛いんだから。
私 息子よりも娘が欲しかったしぃ~。」
「・・・クッ。」
「フフフ♪」


今この場で外史云々の話を出すわけにも行かず、
とりあえずは引き下がるが
おそらく私が女顔なのも口調を直せ云々も
この件が絡んでいる違いない・・・
後で詳しく問いただす必要がありそうだ。

結局この後 何回か呼び方を変えてもらうように言っては見たが
我が家では妲己さんの方が権力が圧倒的に強いため
呼び方を変えてもらうことは出来なかった。

畑からの帰りに本人に文句を言ってみたが
呼び方を変えさせる気も全くなく
更に口調を元に戻そうとしたりしたら
食事を抜きにすると脅され
泣く泣く私は引き下がることになる。


(・・・一刻も早く一人で生きていけるようにならないと。)


妲妃さんの思惑はどうかわからないが
今回のことは少なからず
私が独り立ちするために動機の一つになることになった。

その後、家に帰った私達は早速文字の読み書きをするため
妲己さんが用意した本を相手に夕方まで格闘することになる。

空が夕日で赤く染まり、
城壁に夕日が沈んでいく頃、
妲己さんから話があると呼ばれた。


「何です?
夕食の手伝いですか?」
「それはしばらく後でいいわ。
明日からは朝食前と昼の喜媚の勉強後にやることにするけど
これから武術の訓練をするわよ。」
「武術・・ですか。」
「まぁ、訓練といっても
今の喜媚にまともに剣を振ったりできるわけないから
体力作りと木刀・・・と言うには形が悪いけど
木刀と棍をつかって型を教えるから素振りを何本か。
後は基本的な歩法や型を教えていくから
ちゃんと覚えるのよ?
喜媚自身の命にかかわるんだから。」
「分かりました。」

説明を受けながら庭まで移動していくと
庭には既に木刀や棒、アレが棍だろうか後
何か入った袋がいくつか置いてあった。


「木刀や棍は見ればわかるわね。
その横においてある袋は砂を入れておいたから
それを背負って家の周りを何週か歩いてもらう。
最初は走るのは無理だと思うけど
そのうち慣れたら走ってもらうし
距離も伸ばしていくわよ。」
「分かりました。」


こうして私の武術訓練が始まった。

最初は一番軽い砂袋を背負って家の周りを何週か歩き
次の木刀や棍での訓練は最初は型を覚えるために
力は入れずに丁寧に素振り、
それが終わったら無手で歩法を覚えるために
ひたすら決められた順番で足を動かす。
それが終わったら砂袋を背負ってまた家の周りを歩く。
コレを1つの流れとして朝と夕に繰り返していく。


一見 簡単そうに見えるが
5歳児の身体にはかなりきつく
最後に歩き終わった時にはへたり込んでしまった。

今日の訓練が終わり、
疲労で私がへたり込んでいる時に
ふと妲己さんはどの程度の強さなのか気になった。
左慈や貂蝉はかなり強いはずだ、
記憶に間違いがなければ呂布(りょふ)さんとだって戦えていたはずだから
その上司の妲妃さんはどれくらい強いのか聞いてみたら・・・


「さぁ? 私がどれくらい強いのかなんて知らなわ。」
「・・・じゃ、じゃあ左慈や貂蝉と比べてどうなんですか?」
「戦ったこと無いし。」
「・・・・」
「・・・・冗談よ、冗談♪
そんなにむくれないでよ、可愛い顔が台無しよ。」
「褒め言葉になってません!」
「まぁまぁ、それで私の強さだっけ?
女が強くてもどうかと思うんだけど
呂布ちゃんよりは強いわよ。」
「・・・・この国で既に最強じゃないですか。」
「まぁ、それなりに強くないと
この仕事やってられないからねぇ。」
「・・・ハァ。」
「まぁ、その内 私と模擬戦をすることになるから
その時を楽しみにしてなさい。」
「全然楽しみじゃありません。
基礎体力の時点で差がありすぎて
模擬戦にもなりませんよ。
私の基礎体力は前の世界のまんまなんですよね?」
「そうねこの世界の武将になるような人は
石を握りつぶすくらいわけないし。」
「絶望した・・・努力しても埋まら無い現実に絶望した。」
「別にいいじゃない。
喜媚は武将になりたいわけじゃないんでしょう?」
「まぁ、そうなんですけど・・・訓練に対する意欲というかなんというか。」
「大丈夫よ、その内意欲なんて言ってられないくらい
必死になって訓練するようになるから。」
「・・・嫌な予感しかしない。」
「私はなにもしないわよ?
城壁の外に出れば その内 野盗に襲われた死体を見ることになるから
それを見たらやる気も出るだろうと思って。」
「やる気が出るどころの騒ぎじゃない・・・
きっと数日は眠れなくなるに違いない。」
「でもそれが今の現実なのよ・・・
でも大丈夫、私がちゃんと鍛えてあげるから。
ちゃんと喜媚にこの世界で野盗に襲われても生きて逃げられるように、
一人でも生きていけるだけの強さを身に付けさせてあげるから。」
「・・・・ありがとうございます。」


普段おちゃらけてはいるが
こういう時はちゃんと真面目になる人だし
この世界の現実に直面する前に
事前にこうして教えてくれようとしている。

良い人なんだろうが・・・・娘扱いは勘弁して欲しいです。


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  1. 2012/09/15(土) 22:16:29|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

誤字の報告

開いた時間
→空いた時間

私がどれくらい強いのかなんて知らなわ。」
→私がどれくらい強いのかなんて知らないわ。」
  1. 2012/10/26(金) 18:11:33 |
  2. URL |
  3. へいほう #0DCaDBFQ
  4. [ 編集 ]

Re: 誤字の報告

追加の誤字の指摘ありがとうございました。
修正しておきました。
  1. 2012/10/27(土) 16:06:32 |
  2. URL |
  3. たいち #/InZ6.Jo
  4. [ 編集 ]

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