たいちの仮設避難所

某小説投稿サイトの規約改定による 仮設の避難所です。

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雑記


こんにちは


前回の九十話の時は更新で手一杯だったので、
雑記はありませんでした。
今回の雑記までのご指摘いただいた修正点は修正しておきました。
ご指摘ありがとうございました。


>>おふぃさん
なかなか時間が取れないので最近は不定期連載になりがちですいません。

>>YANさん
当時は相当ひどかったらしいですね。
民草なんて言葉があるように、草のように勝手に生えてくる。
って感覚だったらしいですね。
某人と三国志談義してた時も、中国は、相当本当最近まで、
三国で戦争やってたらしくて、それを皮肉った動画があるとか聞きました。

>>聖悠紀さん
七乃さんは当初は喜媚を警戒してたんですけど、
幼少期の書簡のやり取りで、結構喜媚とは文通友達って感覚だった裏設定があるんですよね。
その内書こうかと取っといた設定なんですが、まだ生かせてないですけど。
桂花の喜媚分不足は相当酷い状況です。
復興>移動>復興>移動……でどんどん飛ばされて陳留からの書簡の送付が遅れてるんです。
喜媚は陳留に書簡を送ってそこから桂花の任地に送るので、
送ったら移動済みだった、とかで書簡が遅れるとか言うのも有るんです。

>>綾宮琴葉さん
原作を知らない人でも読めるようにはしてるつもりですが、大丈夫ですかね?
しかし、ココからは原作では官渡の戦いで袁紹の領地全部一気に曹操が取った。
ってだけで、細かい話が一切ないはずなんですよね。
ウチのSSでは曹操さんや桂花が苦労してますが、
この辺で史実知ってる人だと桂花が今後どうなるかわかるんじゃないですかね?
わかった人は黙ってるように。
喜媚の生きてる世代では地盤作りだけで、
議会制民主主義っぽくなるのは相当後の世代の予定です。
っていうかまずは識字率上げて、民に学を学ばせるとこからやらないといけませんしね。
それで数世代かけて政治に関心を持たせて、
議会制に移行できたら喜媚達もあの世で祝杯を上げるでしょう。

>>花風さん
私自身関西人じゃありませんし、身近に関西系の人がいないので、
他所の地方の人が持つ関西人のイメージ、
的な口調とか使うことが多いと思いますが、
その辺は流石にご勘弁願いたいです。
ご指摘はご指摘として、有り難く参考にさせてもらいます。


たいち
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  1. 2012/11/22(木) 18:20:44|
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九十一話


洛陽




宮殿で公孫賛さんを、私の店で預かるように話を聞いた後、
劉花ちゃんを迎えに行って、この日は店に帰った。

早速翌日、午前中に公孫賛さんが私の店に来てくれたので、
席に案内し、まずはウチの接客を受けてもらい、
実際に体験してもらう事でまずは学んでもらう事にした。

そうしてある程度落ち着いてもらったところで、
私は公孫賛さんの席の向かいの椅子に座り、
公孫賛さんと今後の話をする事にした。


「どうですか? ウチのお茶やお菓子は?」
「あ、あぁ、正直びっくりしてるよ。
コレが洛陽で出される茶店の味なんだな。
お茶もお菓子も美味しくて、店も席の間が広めに取ってあって落ち着いた感じで、
すごくくつろぎやすい感じになっているな。
・・・私こんな所で働いて大丈夫かな?」
「何言ってるんですか、幽州を治めていたような御方が。
逆に私は、公孫賛さんをこんな所で働かせていいのか、そっちのほうが心配ですよ。」
「そ、そうかな? 私は確かに幽州を治めていたけど、
そんなに功績を上げたわけでもないし、反董卓連合・・・あ、
今は連合って言ったほうがいいか、先の連合に所属していた身分だし、
本来なら、領地没収や最悪斬首になってもおかしくないような立場だったから・・・」
「その件はもう済んだ話じゃないですか。
月ちゃんも詠ちゃんも連合の件で公孫賛さんを責めていませんし、
逆に登用したいって言うくらいなんですから、もっと堂々としてたらいいんですよ。」
「善処してみるよ・・・それで・・・その、私もあの制服を着なきゃいけないのかな?」

そう言って公孫賛さんが指を指したのは、ウチの従業員のウチの一人で、
その中でも比較的裾の短めのメイド服を着ている娘だ。


「あぁ、アレはあの娘が動きやすいからって短めにしてるだけで、
標準的な制服は・・・ほら、あそこで劉花ちゃんが着てる長めの裾の服ですよ。
劉花ちゃんは中にもう一枚薄い裙子(スカート)を穿いてますけど、
公孫賛さんが好きなような裾の長さでいいですよ。」
「そ、そうか・・・安心した。
だったら、今着てる裙子(スカート)くらいの長さにしてもらおうかな。
こっちの方が私も慣れているし、ある程度動きやすくないと、
警護の仕事の方にも支障が出るから。」
「分かりました、きょう午後お暇だったら一緒に、
制服を作ってもらっている服屋に行って、採寸してもらいますか?
その時に裾の事も相談しましょう。」
「私の方は問題ないよ。
逆に暇を持て余してて、桃香や部下のところに顔を出したら、
その後、何したらいいか困るくらいだから。」
「そうですか、だったら午後に美羽ちゃんとシャオちゃん達が帰ってきたら、
一緒に服屋に行きましょう。
あと、さっき護衛の話しをしていましたが、
彼女達の前ではその話しないようにお願いしますね。
変に警戒させても問題ありますから。」
「分かった。」
「じゃあ、午後までゆっくり店の様子や、皆の仕事ぶりを見て、
雰囲気を掴んでみてください。
お茶やお菓子のおかわりが欲しかったら、言ってくれれば出します、
昼食も一緒に食べていってください。」
「何から何まで申し訳ない・・・・
あと、その・・・お菓子のおかわり、もらってもいいかな?」
「フフ、いいですよ。 ご用意しますね。」


そうして私は席を立ち、
お菓子のおかわりを公孫賛さんに出すように従業員に指示をし、厨房に戻っていった。

私が厨房で仕事をしている間、公孫賛さんは店の隅の方の席で、
従業員を観察して仕事を覚えようとしていたようなので、
私も呼ばれるまでは従業員に、偶にお茶のおかわりなどが要らないか、
聞くように指示だけして、そのままにしておいたのだが、
しばらくした時、公孫賛さんと聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「桃香!?」 「白蓮ちゃん!?」


最初は誰の声か思い出せなかったのだが、
桃香と言う名前を思い出して、すぐに厨房から出て行ったら、
店の入口には、劉備さんを先頭に、愛紗ちゃんに張飛さん、
その後ろに薄い色の青い髪が見えるので趙雲さんと、
劉備さんの背後に見える背の小さい二人組は、
諸葛亮さんと、鳳統さん。
つまり、劉備さん一行が皆で店に来てくれたということだ。


「白蓮ちゃんなんでこんなとこにいるの?」
「なんでって、桃香こそ・・・?
あぁ、桃香達は普通にお客としてか。
私は今度このお店で働く事になったんだよ。
董卓軍に誘われてるんだけど・・・ホラ、連合の件があるだろう?
すぐに軍に入っても部下が着いてこないからしばらく時間を置いて、
ある程度落ち着いたら、董卓軍に入ることになっているんだ。
そんな理由で、今日は下見でこのお店におじゃまさせてもらってるんだ。」
「へ~そうなんだ! そしたら白蓮ちゃんとこれからも逢えるようになるね♪」
「そうだな。 私もこんな事になるとはまったく思ってなかったが・・・
幽州の民や迷惑を掛けた洛陽の民、それに寛大なご処置を頂いた陛下の為に、
まだ、私に何かできるのなら、少しでもお役に立とうと思ってな。」


私は厨房の入り口から公孫賛さん達の話を聞いていたが、
この様子なら、公孫賛さんが董卓軍に入る日も、
そう遠い未来じゃないのかもしれない。

公孫賛さんの心はまだ折れてないし、
協ちゃんに恩義を感じてくれているのなら、
董卓軍に入ってくれたら、力強い存在になってくれるだろう。
しかし今、口には出さなかったが、話の最後に表情が暗くなった所を見ると、
袁紹さんへの意趣返しも諦めていなさそうだ。

・・・ついでに、私の武術の訓練相手も公孫賛さんが努めてくれると嬉しいな。
彼女なら無茶な事はせずに手加減してくれそうだし、
開始数秒でボコられてハイもう一回、とかは無さそうだ。


いつまでも彼女達を店の入口で立ち話させておくわけにも行かないので、
私は、彼女達の元へ行って、店に入るように案内する。


「愛紗ちゃん、劉備さん達もいらっしゃい。」
「あ、喜媚殿、お邪魔しています。」
「喜媚ちゃんこんにちは~♪」
「こんにちはなのだ、またあの甘いお菓子を食べに来たのだ!」
「お、お邪魔します。」
「お邪魔します。」
「ふむ、しかし店に客としてきてるのに、お邪魔しますというのも変ではないかな?」
「あ・・・」
「愛紗ちゃんにつられて、つい。」
「あわわ。」 「はわわ。」
「アハハ、だけど皆さん今日はちょうどいい時間に来ましたね。
公孫賛さんもいるので、良かったら個室を開けますから、
そこでゆっくりお話でもされたらどうですか?」
「よろしいのですか喜媚殿。」
「全然構いませんよ、愛紗ちゃんもお客さんなんだから、
そんな緊張しなくてもいいよ。
ココはお茶を飲んでゆっくりしてもらうお店なんだから。」
「も、申し訳ありません・・・つい。」
「じゃあ、個室に案内しますので。
どうぞこちらです。」


そうして私は劉備さん達を個室に案内する。


「こちらです。
ご注文が決まっているのなら今お聞きしますが、決まってらっしゃいますか?」
「それじゃあ、とりあえず人数分のお茶と、この間食べて蜂蜜のぱんでしたか?
蜂蜜の塗ってある甘いお菓子をお願いします。」
「鈴々は・・・」
「コラ! 鈴々!! おとなしくしないか、すみません喜媚殿。」
「いえ、いいですよ、ココは壁も厚いので、多少騒いでもらっても構いませんよ。
時々霞さん、張遼さんが皆とお酒を持ち込んで酒盛りしたりしますから。」
「ほう、お酒もこの店では出すのですかな?」
「張遼さん達が勝手に持ち込むだけですよ。
ウチの菜譜(メニュー)にはお酒はありません。」
「ではメンマはありますかな?」
「め、メンマですか?」
「うむ、メンマです。
酒にもお茶にもよく合うあのメンマです。」
「さ、流石にメンマは無いですね・・・ウチで食べる分くらいでしか。」
「それは残念ですな。
・・・一つ喜媚殿お聞きしたいのだが、
その喜媚殿が自分達で食べるメンマは、自家製ですか?」
「い、一応私が作ってますけど?」


流石に趙雲さんと言うか・・・メンマに食いついてくるな。


「それは素晴らしい、できたら是非味見をさせていただきたいのですが、
無理・・・ですかな?」
「の、残り物で良かったら構いませんが・・・」
「それは重畳、是非それもお願いいたす。」
「か、かしこまりました。
それではしばらくお待ちください。」


こうして皆のメニューと何故か追加のメンマを用意するために、
私は個室を出て厨房で料理とお茶の様をする。
・・・お茶は別の娘に持って行ってもらおう。


そうして私が厨房でしばらく他の仕事をしていると、
急に個室から、『このメンマを作ったのは誰だぁ!!』
と言う声が聞こえてきた。

ウチの従業員が劉花ちゃん含め皆困惑してるので、
やむなく私が個室に行く事になったのだが、
部屋に入るとメンマを乗せていたであろう小皿を持った趙雲さんが、
席を立った状態でプルプルと震えていて、
愛紗ちゃんと劉備さん、諸葛亮ちゃんと鳳統ちゃんの四人が趙雲さんを、
座らせようとしており、公孫賛さんは諦めの表情で彼女達を見つめていた。


「あの~・・・なにか有りましたでしょうか?」
「コラ! 星! いい加減にしないか!」
「星はどうしたのだ? モグモグ。」
「せ、星さぁ~ん。」
「しょ、正気に戻ってください!」
「・・・このメンマを作ったのは・・・誰ですかな、喜媚殿?」


そう言って私の方を見た趙雲さんの形相は、喜怒哀楽が入り混じったような、
それでいて静かな威圧感のある表情で私の方を見た。


「わ、私ですけど・・・美味しくなかったですか?」


そう言った途端、趙雲さんは愛紗ちゃん達を跳ね除け、私の腕を取り、一言。


「素晴らしい!」
「・・・は?」
「こんな素晴らしメンマに出会ったのは何年ぶりでしょうや!
是非! 是非ともこのメンマを菜譜(メニュー)に乗せて、
このメンマの素晴らしさを世にしらしめるべきです!!」
「・・・あの、ウチお茶屋なんで、メンマは・・・」
「メンマがお茶に合わないと申されるか!?」
「えぇ・・・そ、その合わない事も・・・無いですね・・・?」
「そうでしょう、そうですとも!
是非ともこのメンマを世に・・・ガッ!? ・・・・・キュー。」


急に趙雲さんが気を失って、そのまま椅子に座り込んで背もたれにもたれかかり、
一瞬何が起こったかと思ったが、
その後ろで握りこぶしを作って、憤怒の表情でいる愛紗ちゃんを見付けた。


「喜媚殿。」
「は、はい!!」
「ウチの馬鹿が失礼いたしました。
コレの事は放っておいて、お仕事にお戻りください。
後できつく言っておきますので。」
「そ、それじゃあ・・・あの、失礼しますね。」


私はすぐに部屋を出て、厨房までもどって水を一杯飲んで一呼吸して落ち着いたが、
まさか、趙雲さんのメンマ好きは知っていたが、
実際体験すると、その執着は凄まじいの一言だった・・・
愛紗ちゃんがいなかったら、この店のメニューにメンマが追加されていただろう。

その後は、何度か普通にお茶やお菓子のおかわりの注文がきたが、
メンマの再注文はなかった。


しばらくして劉備さん達が皆で個室から出てきて、
趙雲さんは愛紗ちゃんに担がれていたが、まだ意識が戻っていないようだった。


「それじゃあ、喜媚ちゃんごちそうさまでした。
星ちゃんがちょっと迷惑掛けたみたいでごめんね。」
「あ、いいえあれくらいなら大したこと無いので。」
「喜媚殿、本当にウチの馬鹿がご迷惑をかけて申し訳ありません。」
「いやあ、本当に気にしてないから、ね? 愛紗ちゃん。」
「そう言っていただけると幸いです。」
「お姉ちゃん、お菓子美味しかったのだ~、また来るのだ。」
「はい、また来てね。 後私お兄ちゃんだからね。」


張飛さんは何度説明しても聞いてくれないな・・・


「喜媚さん、また来ますので、今度は是非農法や、内政について
ごゆっくりお話を聞かせてください。」
「お、お願いいたします。 是非喜媚さんから直接お話しを聞いてみたいので、
よろしくお願いいたしましゅ ・・・はわわ、噛んじゃった。」
「仕事中はさすがに無理だけど、時間の開いてる時ならいつでもいいから、
お店が休みの日にでも遊びに来てくれたら、話くらいなら出来ると思うから、
その時にでもね。
「「は、はい!」」


こうして、劉備さん達は帰って行き。
残った公孫賛さんは劉備さん達が来る前まで座っていた席に戻って、
またしばらく、皆の仕事の様子を見ながら、ブツブツと言っていたので、
接客の時のセリフでも覚えているのだろうか?
特に問題ないようなので、そのままそっとしておいた。


そうしてそろそろお昼になるので、昼食の準備をしていたら、
美羽ちゃん達やシャオちゃん達が帰ってきたので、
公孫賛さんも一緒に昼食を取ることになった。


「美羽ちゃん塾の方はどうだった?」
「今日は劉備や諸葛亮や鳳統がおらなんだからあんまり面白うなかったのう。」
「シャオ達は、子供達に文字を教えながら歌の練習してたんだ。」
「見てなさい袁術、こんどこそどちらが歌が上手いか証明して差し上げますわ!」
「あたし達のほうが上手いって証明してやるよ!」
「フフン、妾が何もせずにただ本を読んでいたと思っておるのか?
愚か者共め。
妾は新曲を覚えておったのじゃ、いつまでも同じ曲だけで通用するほど、
あそこの子供達は甘くはないぞ?」
「なんですって! ・・・くっ、大喬! あたし達も新曲を覚えるよ!」
「えぇ、いつまでも夜に一人で厠にも行けないような、
袁術と同等だなんて思われるなんて侵害ですから。」
「お、お主らその事と歌の勝負は関係ないではないか!!」
「あら、やっぱり事実でしたの?
いつも足音が二人分聞こえるからカマを掛けてみたんですけど、フフフ。
袁術はお子様ですわね~。」
「七乃! この性悪双子にギャフンと言わせてやるのじゃ!」
「美羽様が一人で厠へいけるようになれば、見返してやれますよ。」
「むむむ・・・き、今日のところはこの辺でかんべんしてやるのじゃ!」
「ふん、それはこっちの台詞ですわ。」
「とにかく大喬、明日は新曲を探さないと。」
「そうですね。」


そうやって美羽ちゃんと大喬ちゃん、小喬ちゃんが、
言い合いをしているのを見ながら食事を進めていたのだが、
公孫賛さんが私のすぐ横まで来て小声で尋ねてきた。


(なぁ、喜媚、ココはいつもこんな感じなのか?)
(だいたいこんな感じですよ、皆元気でいいことですよね。
話しながら食べるのは作法としてはどうかと思いますけど、
それ以外はしっかりしてますし、このほうが楽しいからいいじゃないですか。)
(まぁ、それはそうなんだが・・・なんかこう緊迫感がなくて。)
(私も最初は凄い警戒してたので人の事は言えないのですけど、
シャオちゃんは何かするとかそんな感じは今のとこ無いですよ。
それどころかいつも楽しそうに塾行ったり仕事したり、
毎日の生活を楽しんでる感じですね。)
(ふ~ん、そんな感じなのか。)
(公孫賛さんもあんまり緊張し過ぎないで、
まず生活に慣れてくださいね)
(あぁ、そうさせてもらうよ。)


私と公孫賛さんが小声で話しているとシャオちゃんが、割り込んできた、


「あ~喜媚ちゃんと公孫賛さんが怪しい!
喜媚ちゃんはシャオと言うものがありながら、他の女に手を出すの!?」
「そんなんじゃないですよ、美羽ちゃん達があんまりにも元気だから、
作法がなってないって注意しなくていいのかって言われただけですよ。」
「む~ほんとにぃ? 喜媚ちゃんは時々嘘がうまいから信用出来ないなぁ。」
「シャオちゃんは私が信じられないんですね・・・悲しいです。
シャオちゃんの愛はその程度の愛なんですね・・・」
「もう、その手には乗らないよ!
前そうやってシャオを弄んだんだから!」
「あの時のシャオ様は面白かったな~、プフッ、今思い出しても笑える。」
「小喬、失礼ですわよ。
いくら無様な醜態を晒したとは言え、私達が使える主を笑うなんて。
そういう事は小蓮様がいないところでやりなさい。」
「大喬もそれ隠れて笑えって言うことじゃない!!
お姉様に言いつけてやるんだからね!」
「小蓮様、それは卑怯ですよ。
そっちがその気なら、報告書にちょっと余計な一文が増えるかもしれませんよ。」
「そっちのほうが卑怯じゃない!」


今度はシャオちゃんと大喬ちゃん、小喬ちゃんが言い合いを始めたが、
私達は、その掛け合いを見ながら昼食を楽しんだ。


この後、美羽ちゃん達が帰ってきたことで、
とりあえず、店が回る人員は確保できたので、
公孫賛さんと一緒に服屋に制服の採寸をしてもらいに行った。

服屋に着くとすぐに店主に頼んで、公孫賛さんの採寸をしてもらい、
丁度合いそうな制服があると言う事なので話を聞いてみると、
制服を作る時に平均的なスタイルの形で一着作ってみたそうなのだが、
それが測ったようにぴったりだったらしい。
こんな所で公孫賛さんの才能が使われるとは思わなかったが、
本人には言わないほうがいいだろう。

せっかくなので試着してみようという事で、試着室に案内してもらい、
公孫賛さんに試着してもらったのだが・・・


「これって本当に元から作ってあった服なのか?
寸法が私にぴったりなんだが・・・」
「す、少し余裕のある服なんでそう感じるのかもしれませんね。
公孫賛さんによくお似合いですよ。」
「そ、そうかな?
こんなひらひらした服着たの初めてだからよくわからないんだけど・・・
着方も少し難しかったし。」
「その辺は慣れですよ、何度か繰り返してたらすぐに慣れますよ。」
「そうだな。」


公孫賛さんは恥ずかしそうにしているが満更でもなさそうだ。
サイズもピッタリだし、裾もこのままでいいそうだから、
予備を数着作ってもらえば公孫賛さんもすぐにウチの店で働くことができるだろう。


「何か特別手を加えたいところはありますか?
特に無いようだったらこの服で予備を数着作りますけど。」
「そうだな・・・コレだったらある程度動くのにも問題無さそうだ。
鎧を着た時よりよっぽど動きやすいし。」
「分かりました、それではその寸法で制服を用意しますね。
ご店主、お願いします。」
「かしこまりました。」


こうして公孫賛さんの才能(?)のお陰で、制服の採寸は意外なほどあっさり終わり、
服屋から帰る帰り道、ふと公孫賛さんから質問された。


「そういえば喜媚はあの制服着ないのか?」
「・・・公孫賛さん私にあの服を着ろっていうんですか?」
「え? 似合うと思うけど・・・あっ!」


公孫賛さんは自分で気がついてくれたようで、
私が男だという事をちゃんと思いだしてくれたようだ。


「ご、ごめん! わざとじゃないんだ、すっかり忘れてて・・・」
「・・・いいですよ・・・似合うって言われたの一度や二度じゃないですから。」
「本当にごめん! ちゃんと喜媚が男だってわかってるから!」
「・・・・どうせ私は女装の似合う男ですよ。」
「ごめん! 謝るから! な? 機嫌を直してくれないか?」


こうしていじける私を公孫賛さんが慰めながら、
私達は店に帰った。

この時ばかりは私は、本気で一刀くんを恨んだ・・・
なんでこの世界であんな服をデザインして流通させたのか?
小一時間ほど問い詰めたい気持ちで一杯になった。


  1. 2012/11/22(木) 17:51:32|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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九十話


洛陽




美羽ちゃんとシャオちゃん達が一緒に塾に行くようになりだしてから、
少し七乃さんの様子がおかしい、と言うか、
美羽ちゃんを心配しすぎているような様子が伺えたので、
一度、彼女と落ち着いて話をしてみようと、夕食後、片付けをしている時に、
七乃さんに『今夜お酒でも飲みながら少し話しませんか?』
と、誘ってみた。


「あらあら、もしかして私、喜媚さんに口説かれちゃってます?」
「・・・真面目な話です、七乃さんも自分で気がついているでしょ?」
「・・・美羽様の事ですか?」
「美羽ちゃんの事は心配してませんよ。
塾ではよく勉強しているそうですし、鳳統さんに聞いた話だと、
かなり物覚えがいいようで、教える方も教えてて楽しいそうですし、
シャオちゃん達共、仲良くやってるいみたいですし。
まぁ、偶に塾や店の中で歌合戦をやるのも、今やっている程度なら可愛いものですし。
彼女達の歌合戦目当てに来てるお客さんだっているみたいですから。
・・・問題は七乃さんご自身ですよ。」


私がそう指摘すると、洗い物をしている七乃さんの手が止まる。


「美羽ちゃんの幼い頃から七乃さんがずっと見てきて、
彼女にとって七乃さんは姉か母親、それくらい大事な存在だと思います。
同時に七乃さんにとっても美羽ちゃんは、愛する主君、
大切な妹か娘、そんな感じなんじゃないですか?」
「・・・喜媚さんは意外に普段は見てないようで、
見るべきところはしっかり見てるんですね。
確かに美羽様は私にとっては大切な主である以上に、
家族みたいな存在です・・・ですから・・・」
「最近シャオちゃん達と仲がいいのはいいけど、
孫策さんとの事があるから、
いつかシャオちゃん達が美羽ちゃんに何かしないか心配だと?」


そう言うと七乃さんは洗い物を置いて私の顔を正面から見つめる。


「・・・・・・ほんと、喜媚さんは私よりも年下何ですか?」
「言いたくないけど身長だって七乃さんと同じくらいか、
『喜媚さん私より低いじゃないですか。』
・・・まぁ、そういう事です。 確かに七乃さんよりは年下のはずですよ
(中身は無駄に倍くらい生きてますけどね。)」


そうして七乃さんは正面を向いて洗い物を続ける。


「私達・・・と言うよりも私が孫策さん達にしてきた事は、
恨みを買ってもしょうがない事です・・・
でも当時はそうするしか美羽様を守る手立てがなかった・・・
美羽様はまだ幼くて、利用しようとする者が後を断ちませんでしたし、
信用できる者もごく一部で、それもやがて利用しようとする者に懐柔されていく。
そんな折に孫堅さんが劉表に討たれて亡くなって、
孫策さんがウチに救援を求めてきたので、
ちょうどいいと思い、孫策さんと、美羽様を利用しようとする者達で、
牽制し合うように画策して、なんとか美羽様が成長して・・・
袁家の者として恥ずかしくないように成長なされる事を期待していたんですが・・・」
「美羽ちゃんは無意識に精神的に幼い自分を演出する事で自分を守ろうとしていた。」
「・・・やっぱりご存知だったんですか?」
「美羽ちゃんの年齢にしては幼い印象を受けましたけど、
ある変な部分の知識はしっかりしてたりして、歪な感じを受けたんですよね。
元々、美羽ちゃんはかなり聡い娘だと思ってました。
最初の出会いでもそうでしたし、書簡のやり取りをしていてもそうでした。
物の本質を無意識に見抜いたかと思ったら、他の知識が付いて行かない。
精神的には幼いまま・・・でも洛陽で生活するようになって大分変わりましたよね。
無邪気な性格はそのままですが、知識がついてきたので、
塾でも、時に鳳統さんがびっくりするような質問をしてくるそうですよ。
普通なら段階を踏まえて質問してくるような内容を、
数段飛ばして質問してきたりして。
その理由を聞いたら、美羽ちゃんの中ではちゃんと段階を踏まえて答えが出ていて、
ちゃんと理論も合っている。
このまま育てば将来、名君に成れるんじゃないかと、
鳳統さんのお墨付きをもらいましたし。」
「・・・美羽様は決して暗愚な方じゃないんです。
袁逢様の血を引いていて暗愚になる理由がないんです。
・・・ただ、寿州を継ぐ時期が悪かっただけなんです。」
「でも七乃さんが心配しているのはそこじゃない・・・
シャオちゃん達にいじめられないか? というのも、もちろん心配してますけど、
それ以上に、このままシャオちゃんや塾の友人なんかと仲良くなって行ったら、
いつか美羽ちゃんが自分から離れて行っちゃうんじゃないか・・・
とか思ってるんじゃないですか?」
「・・・・っ!?」


七乃さんは洗っていたお皿を手放すが、その下は水が溜まった桶なので、
お皿は割れずに、 『カチャリ』 と音を鳴らすだけで済んだ。


「・・・喜媚さんは・・・いぢわるです。」
「そうかもしれないけど、今、
まだ手が打てるウチに二人を何とかしてあげたかったんですよ。
今ならまだ、美羽ちゃんと腹を割って話し合えば、
今まで通りに仲の良い二人のままでいられます。
美羽ちゃんは成長しても、七乃さんを一人置いてどっか行ったりなんかしませんよ。」
「喜媚さん・・・」
「もしこの先、美羽ちゃんとシャオちゃんが大喧嘩したり、
真名を交わし合ったりした後じゃ、
少し手遅れになっちゃいますからね。
そうなると、美羽ちゃんも、七乃さんも余裕が無くなって、
落ち着いて話ができなくなっちゃいそうですから。」
「・・・・」
「そうなったら七乃さん、美羽ちゃんを心配して、
また前みたいに美羽ちゃんにべったりになって囲い込むとかしそうですし。」
「そんな事・・・」
「それにシャオちゃんは、彼女なりに過去の事を消化して、
ちゃんと 『今の』 美羽ちゃんと向かい合おうとしてますよ。
・・・大喬ちゃんと小喬ちゃんはまだ、わだかまりがありそうですが、
シャオちゃんは結構しっかりしてますよ。
あの娘はきっと将来、大人物になります。
過去に色々あった美羽ちゃんを、
ああやって受け入れられるだけの器があるんですから。」
「・・・大物になるという意味でしたら、美羽様のほうが凄いお方になります!」


私がシャオちゃんを褒めると、すぐに七乃さんが反応して、
美羽ちゃんのことを持ち上げる。
それでこそ、いつもの七乃さんだ。 ようやく調子が出てきたみたいだ。


「ハハハッ、その調子ですよ、七乃さん。
今まで七乃さんと美羽ちゃんが築いてきた絆は、決して脆いものじゃありません。
一度腹を割って美羽ちゃんと話し合ってみてください。
きっと美羽ちゃんは七乃さんが嫌だって言うまで、
そう言ったとしても、七乃さんを離したりしませんよ。」
「・・・そうですね。
今夜辺りからでも少しずつ美羽様と話をしてみようと思います。」
「えぇ、そうしてあげてください。
きっと美羽ちゃんも、七乃さんの様子が前と少し様子が違うって気がついて、
表には出してませんが、きっと心配してますよ。」
「はい・・・それで、今夜の晩酌はどうしますか?
今日だったら少しくらいなら喜媚さんに、ご奉仕してあげてもいい気分ですよ?」
「やめときますよ。 美羽ちゃんとの話の時間を邪魔しちゃ悪いし。
桂花にバレたら怒られそうですから。」


私がそう言うと七乃さんは私の耳元に顔を寄せてきて・・・


「それに・・・賈詡さんにもですか?」
「・・・っ、気づいてたんですか?」
「気づかないほうがどうかしてますよ。
定期的に泊まりに来たと思ったら、用意した部屋にはいないし、
朝見たと思ったら、妙に気だるく色っぽくなってますし。
それに、このお店で男性って行ったら喜媚さんだけじゃないですか。
日頃の賈詡さんの態度見てたら、
よほど鈍感な方じゃない限り、すぐ気が付きますよ。」
「・・・あぅ。」
「ここだけの話ですけど、店の従業員達の中にも、
喜媚さんの寵愛を受けたい、受けよう、と思っている娘達も居るみたいですよ?」
「・・・本当ですか?」
「さぁ・・・どうでしょう?」
「七乃さんっ!?」
「フフフ。」


お店の従業員には何人か口止めしてあるが、
もしかして、すでに新しく来たシャオちゃん達以外全員に、
バレてるんじゃないだろうか?
一度それとなく調査して、口止めしたほうが良いのかもしれない。
それに七乃さんの言っていたことが本当か確認もしたほうがいいかもしれない。


こうして、少しすっきりした顔になった七乃さんは、
この日から寝る時に少しずつ美羽ちゃんと話をして、
わだかまりを少しずつ解していった。


さて、七乃さんの件を何とか話し合いで解決した後。
ある日、宮殿から私だけ呼び出しがあったので、行ってみたのだが。
案内された部屋には、詠ちゃん、音々ちゃん、そして公孫賛さんと侍女が数名いた。
詠ちゃんと音々ちゃんに呼ばれるのはよくあるのでいいのだが、
そこに公孫賛さんが居るのはどういう事だろうか?

そう思いながら、椅子に座るように言われたので、
指定された詠ちゃんの横の椅子に座って、
話が始まるのを待っていた。


「さて、今日喜媚を呼んだのは、ほかでもないわ。
察しはついてるかもしれないけど、公孫賛の事についての話よ。」
「公孫賛さんの? 何か問題でもあったの?」
「いいえ、何も問題はないのです。
宮中ではおとなしくしてますし、偶に劉備達に会いに行ったり、
自分の部下の様子を見に行ったりしてるようですが、特に問題はないのです。」
「そう、問題はないの。
だけどいつまでも公孫賛を、
お客様待遇でこのまま宮中に置いておくわけには行かない。
そろそろ、彼女の進退を決めなきゃいけないのだけど、
私達としては、彼女にはウチの軍に、
董卓軍に所属して欲しいと思って今勧誘している。
これは彼女だけじゃなくて、一緒に来た部下達も含めてよ。
彼女達の騎馬隊はきたの方では有名だからね。
霞、翠、恋、これに公孫賛の騎兵が加わったら、
騎馬戦で負けることはまず無いわ。
公孫賛からも良い返事をもらっていて、
月や陛下の元で働けるなら喜んで働いてくれるそうよ。
それに彼女の持つ能力もそうだけど、烏桓に対する知識が私達には有用なの。
羌族や氐族は私達もよく知ってるけど、北の烏桓に対する知識はあまり無いわ。
そこで、公孫賛や、その部下達の知識があれば、
烏桓に対しての対応も素早く取ることができる。」
「ただ、一つ問題があるのですよ・・・」


よくわからないな、董卓軍で公孫賛さんの力が必要にしてて、本人も部下も乗り気。
烏桓の対策も取れて、いいことずくめの話に見えるけど何が問題なのだろうか?


「よくわからないんだけど、何がまずいの?
それになぜその話に私が呼ばれたの?」
「まず問題は、公孫賛が、先の反董卓連合に所属していて、
罰則金の支払いが終わること無く、袁紹軍に滅ぼされた事。
コレはまぁいいのよ。
事情が事情だし、公孫賛には非が有るとしたら、袁紹に負けた事だけど、
戦力比を考えればしょうがないわ。
あの兵力差で勝てるんだったら、私達は連合に負けてたでしょうね。」
「それともう一つ問題は、あの連合が終結してから、
まだ時間があまり経っていないため、
公孫賛に叛意が有るのではないか? と疑われる事なのです。」
「あの謁見の間での態度と、短い期間とはいえ、
ちゃんと罰則金の支払いはされていたので、問題は無いのだけど、
このまますぐ将官に登用、となると部下が着いて来るかどうか・・・
公孫賛が連れてきた兵たちとの折り合いもあるしね。
そこでしばらく様子を見る期間が必要なの。」
「・・・まさか。」
「そう、そこで喜媚の店なのです!」
「なんでよ! どう考えてもおかしいじゃない!」
「喜媚は先の連合の戦いで、功績を上げているからウチの部下からの信頼も厚いのよ。
特に一部では熱狂的とも言っていいわね。
あんたの率いていた部隊では、あんたを是非董卓軍の将官にして、
再度あの部隊を結成して欲しいって、嘆願が定期的に上がってくる位なのよ。」
「そんな事になってたなんて・・・」
「まぁ、その話はいいのですが、
喜媚の店にある任務を帯びた細作としてしばらく働いて、
兵の信用を得る必要があるのです。」
「で? その任務って・・・」


私は詠ちゃんのすぐ横まで椅子をずらしながら移動していって、
詠ちゃんの耳元で話す。


(まさか劉花ちゃんの護衛じゃないでしょうね?)
(その事は話してないわ。
ただし劉家、陛下の遠縁の娘ということにして、一応護衛対象にはしてあるわ。)
(ならいいけど・・・)


私は再び元の位置に椅子を戻す。


「それで、任務って何なの?」
「あんたの見張りよ。」
「はぁ?」
「正確には、孫尚香があんたに手を出さないか公孫賛に見張らせるのよ。」
「公孫賛にはすでに話したのですが、
孫家の一部で喜媚のこ、子種を狙う動きがあるのです。
喜媚は皇帝陛下にとても近いので、
その血族となったら宮中での発言力も増す事になるのです。
今回、孫尚香は友好の使者と人質代わりと言う事で洛陽に来てるので、
迂闊な事はできないのですが、喜媚の店で従業員として公孫賛を働かせつつ、
孫尚香が喜媚に夜這いをかけたりしないか見張らせるのです。」
「シャオちゃんはそんな事しないと思うけどなぁ・・・」
「すでにこの短期間で孫尚香と真名を交わした、
あんたが言っても説得力がないのよ!」
「あぅ・・・」


それを言われると辛い・・・と言うか、アレは絶対に私は悪くないと思う。
今でも何故急に真名を預けられたのかが分からない。
あまりにもシャオちゃんが本気だったのと勢いで受けてしまったが。


「そういう訳なので喜媚殿と劉花殿の警護と孫尚香殿の見張りは私に任せてくれ!」
「・・・一つ疑問なんだけど、なんで公孫賛さんはそんなに気合入ってるの?」
「やる事が無くて暇を持て余していたんですって。
今まで、殆ど腹心の部下と呼べる者がいなくて、使える文官や将官はいたんだけど、
殆ど主な決定や決裁は一人で領地運営していたから、
大忙しだったんだけど、洛陽に来てやることがなくて困ってたそうよ。」
「逆に言えば、その状況で烏桓を抑えていたのですから、
有能であるという証拠でもあるのです。」
「いやぁ・・・それほどでも無いよ・・・エヘヘ。」


音々ちゃんが褒めたら、公孫賛さんの態度が一気に変わった。
真っ赤になって照れている・・・
この人褒められ慣れてなさすぎじゃないだろうか?
やってる事は凄い事のはずなのに・・・


「それにこの任務を、私が無事に完了して、晴れて董卓軍の将官として認められれば、
避難してきた一部の幽州の民や、
今も残っている民達の受け入れも順調に進むと思うんだ。
私が董卓軍で功を上げれば、それだけ幽州の避難民の顔も立つ。
避難してきたと言う、後ろめたい気持ちも少しは無くなると思うんだ。」
「そういえばその件で、詠ちゃんに聞きたいことがあったんですけど、
今、幽州の人達や袁紹軍はどうなったの?」
「そうね、ちょうどいいから話しておきましょうか。」


そうして詠ちゃんはまず、幽州の人達がどういう状況なのか説明してくれたが、
袁紹軍が攻めてきた時に、籠城し、
一部の民に被害が出ないように逃がしながら戦っていたのだが、
公孫賛さんは最後まで戦おうとしたのだが、
部下の人に気絶させられて逃がされたそうだ。

その後、幽州の人達は詠ちゃんの細作の情報によると、
邑や村は袁紹軍の略奪に合い、流民や避難民を大量に出しているが、
曹操さんや月ちゃんの軍が見つけ次第保護しているそうだ。
実際、洛陽ではないが、月ちゃんの領内で、
均田制を使って幽州から来た流民が戸籍と衣食住を得て、
働いている村や、新しく開墾している畑も多数あるそうだ。
曹操さんの方からも、同様の報告が来ているらしい。

コレは幽州の民だけではなく、
袁紹さんの領内からの避難民や流民も含まれているそうだ。

曹操さんは、今回の事でかなりの民を受け入れているそうなので、
将来的な兵力もかなりの数になるだろうと言う事で、
詠ちゃんや音々ちゃんは、警戒して細作を出して細かく調査しているそうだ。


さて、袁紹軍だが、コレは主力部隊の袁紹さんが御輿にされていた部隊は、
曹操さんの軍の新兵器等や桂花や稟ちゃん、
程昱さんの策等使って、撃退したそうだが、
かなり、独自に武装蜂起して旗揚げした元袁紹軍所属の諸侯がいるらしく、
旗揚げ、とは言っているがほとんど賊と変わらないそうだ。
そして曹操さんは、今はその部隊の撃滅をしているそうだ。
忙しさのあまり発狂する、桂花の叫び声が聞こえてきそうだ・・・




--荀彧--


「あぁ~~もうっ! うっとおしい!!
なんでこう次から次へと、コレだったら華琳様と一緒に袁紹軍から離反した部隊を、
潰して、回ってる方がよっぽどいいわよ!!
袁紹は何やってたのよ! どうしてこんなに酷い事になるのよ!」
「桂花はん、そないなこと言うてる暇があったら、手を動かしてや・・・
まだ、書簡は山ほどあるんやで?」
「わかってるわよ! 動かしてるわよ!!
あんたも私に注意してる暇があったら、手を動かしなさい真桜!!」
「動かしてまんがな・・・でも、もう限界や・・・」

(稟や風が華琳様と共に袁紹軍と戦い戦功を上げているというのに、
私はこんな所で、いつまでもいつまでもいつまでもいつまでも・・・
書簡の山に埋もれて、袁紹軍が荒らした村の復興作業ばかり。
このままでは、新人の稟や風に追いつかれてしまう。
あの二人は嫌になるくらい頼もしく、優秀だから、放っておいても出世していく。
だけど曹操軍筆頭軍師の私のこの座は、なんとしても守らないといけない!
でないと、何のために喜媚と離れてまで華琳様に仕えているのかわからなくなる。
私は華琳様の元で才を従前に活かして、家の為、民の為、名の為に功績を上げて、
喜媚と一緒に暮らせる世の中を作らなきゃいけないのよ!
すぐにでも、この仕事を完璧に終わらせて、私も華琳様に同行して、
戦働きで戦功を挙げなくてはいけないのに・・・次から次へと!!)


「コレはあれでっか? 前に朝議で桂花はんが、
華琳様に楯突いた件が原因やないですか?」
「何よ、私が華琳様に楯突いたって?」
「ほら、漢の皇室の扱いで、袁紹領を平定した後、華琳様が国を立ち上げるって奴。
確か魏やったかな? 華琳様が王として立ちあがり、この国を平定する!
て言ってた奴でんがな。」
「あぁ、でもあれはどうしてもあそこで異論を突っ込まないとダメな議題だったし、
華琳様もその辺の事はよく分かってらっしゃるわよ。
昔の皇室ならともかく、今の漢を正面切って敵対する訳にはいかないわ。
特に反董卓連合以降はね・・・
アレで皇室、今の代の皇帝陛下の人気は洛陽を主として国内では、
絶大なモノになっったわ。
こんな状態で、元袁紹領を治めて華琳様が覇王として国を立ちあげてみなさいよ、
この国の諸侯すべて敵に回す事になるわよ?
その為にも華琳様には覇道も大切だけど、
皇帝陛下との信頼関係も結んでもらわないと。
せめて董卓と同格位には・・・でないと、最後の決戦でウチと董卓で決戦になって、
ウチが勝った場合、最悪陛下が董卓と一緒に心中か自害でもされかねないわよ?
たとえ死因がなんにせよ、華琳様の仕掛けた戦で、
皇帝陛下が命を落とされたとなったら、
各地で 『皇室を蔑ろにした!!』 と、武装蜂起が起きて、華琳様が、
世紀の大悪人。 権力欲しさに善政を敷いた董卓を討って、
陛下を死に追いやった重罪人として扱われて、国中が私達の敵に回るわよ?
そうなったら、せっかく一つに収めた国も分裂して、
戦乱の時代に逆戻りじゃない。
異民族だってそんな好機を見逃すはずないわ。
だから華琳様には、建国は一先ず先延ばしにしてもらってでも、
表面上は、皇室を尊重した態度を取ってもらわないと、
反曹操連合なんてなりかねないわよ?
そういう訳で、アレは華琳様が将来的には国を立ち上げるつもりである。
という事を皆に理解させた上で、私が今は時期じゃないって忠告申し上げて、
現状を皆に理解させるための、予定調和の議題だったのよ。」
「へ~、あの時の朝議には、そないな意味があったんですか。
そりゃまぁ確かに。今皇室に楯突いたらええことはありゃしまへんわな。」
「そういう事よ、あの場合誰かが言わなければならなかったから、
たまたまその筆頭軍師の私に出番が私に回ってきただけよ。
華琳様もその辺の事は分かってらっしゃるはずだわ。
だからアレ以降、華琳様はその事について何もおっしゃらないでしょう?
私が意見した段階で、すぐに議題は変わって次の議題に話は進んでいったし。」
「たしかにな~。」


私達がそんな事を話しながら、次から次へと書簡を処理している時に、
文官の男が次の書簡を持ってきた。


「荀彧様、追加の竹簡が来てますが・・・」
「あ~もう! その隅の机の開いてるところに置いておいて!
あとそこの左の竹簡は処理したものだから持ってって頂戴!」
「はい・・・」


そう言って辛気臭い顔をした文官の男は指示通りに動き、
部屋から退出していく。


「・・・ん? 桂花はん今の文官新人でっか?」
「えぇ、あまりにも人手が足りないから華琳様が試験の難易度を下げて、
新しく文官を雇ったのよ。
その内一人でしょ? なんか私を変な目で睨んでくるやなやつよ。
でも仕事は最低限できるみたいだから、使ってるのよ。」
「そうですか、ふ~ん。 華琳様も大変やけど、人不足も大変なんやな。」
「そうね、領地が増えればそれだけ統治する人も必要になる。
ましてや華琳様の文官になるともなれば、それなりの才も要求されるわ。
だからなかなか人が集まらないらしいのよ。」
「それで試験を少しゆるくしたんでっか。」
「そうみたいね。」


私達は華琳様指揮する部隊から離れ、袁紹軍から離脱して、
殆ど賊に成り下がった部隊や諸侯を潰して回っている袁紹の部隊が荒らして回った、
邑や村の復興のために竹簡の山と戦っている。

私と真桜が攻撃部隊から外されて、その後始末の内政側に回されているのは、
稟や風よりも私の方が内政向きの能力が高いのと、真桜も同じように、
攻撃よりも何かを作る側の人間だからだ。

すでにこの村で八つ目なのだが、復興させる計画を立てて、
復興事業をある程度波に乗せたら次の村へ、
その村である程度目処を立てたらまた次へと、
転々と邑や村を回されては、同じような仕事を繰り返している。


「荀諶の馬鹿娘め、何が袁紹の所をいつ出てもいいようにしてきたよ。
どこもかしこも無茶苦茶じゃない!」
「荀諶はんを責めるのはお門違いやって、
袁紹の部下のアホ共が暴れまわって荒らしとるんやから。」
「わかってるわよ! でもそうでも言ってないとやってらんないわよ・・・
なんでここまで荒らせるのよ・・・ほんの少し民の事を考えたら、
こんな事できるわけ無いでしょうに・・・」
「そういう輩やからこないな酷いことができるんや・・・
ウチらの村はまだマシやったけど、
ほんま酷いところは村ごと潰されてしもうたから・・・」
「ココはまだ復興出来るだけマシって考えるしか無いわね。」
「・・・せやね。」
「・・・はぁ。 喜媚・・・どうしてるかな?
喜媚の竹簡も陳留経由でしか届いてこないし・・・」
「桂花はんはええなぁ、想い人がおって。」
「何、馬鹿言ってんのよ・・・会えないから余計に辛いわよ・・・」
「え? ・・・け、桂花はんが素直に弱音吐くなんて、
珍しいこともあるもんやね・・・」
「・・・この竹簡の量と、コレがまだ続くと考えたら、
弱音の一つくらい吐きたくなるわよ。」
「・・・せやね・・・ハァ。」
「ハァ・・・仕事しよ。」


こうして私達は竹簡の山と戦い、この村の復興の仕事を続ける事にした。




--???--


私は華琳さんの部隊が私の本隊を攻撃している隙を付いて、
監視の目をかいくぐり二人と共に逃げ出して、
なんとか、追手を撒いて、こうして荒野や廃墟に近い村々を転々としている。

しかし、今まで見てきた戦は本当に酷いものでした・・・
賊でもなんでもない村々を私の兵が襲って略奪を繰り返し、
幽州の白蓮さんの領地に入ってはそれはさらに悪化し、
挙句に白蓮さんの城まで攻め滅ぼしてしまう。


「コレが・・・こんな事が、私がしてきた事。
・・・私の領地の本当の姿だったんですのね。」
「麗羽様は悪くないっすよ!
悪いのは麗羽様の目を盗んで好き勝手やってきたあいつらですよ!
それも、雇ってやった恩を忘れて、麗羽様の指示に背いて、
挙句の果てに麗羽様に罪を着せるようなまねまでして・・・!」
「文ちゃん・・・すべてが彼らの責任という理由でも無いよ・・・
私達だって、もっとあの人達をしっかり管理できていたら・・・」
「斗詩は、あたいらが悪いって言うのかよ!?」
「私達も悪かったんだよ・・・私がもっとしっかり麗羽様を補佐できていたら・・・
荀彧さんや荀諶ちゃん達の進言を聞いていたらこんな事には・・・」
「二人共おやめなさいっ!
・・・全ては私の責ですわ・・・私は領主として、
あの者達をしっかり管理する責任がある。
お父様に昔から言われていたのに、私が愚かだったばっかりに・・・」
「「・・・・」」


私の叱責と、その後に私の今までの後悔を吐露したことで、
二人は黙りこんでしまいました。


「・・・とにかく今は少しでもここから離れましょう。
曹操の軍も私達を嵌めた彼奴等の軍も、まだすぐそこにいます。
今はとにかく一刻も早くこの場から逃げて、
安全を確保しないと! もう交州で再起がどうのなんて言ってられませんよ!」
「そ、そうだな、流石私の斗詩、麗羽様、まだきついと思うっすけど、
今は休んでる時間すら惜しいっす。
もうひと頑張りして次の村まで、逃げましょう。」
「そうです、今また奴らに捕まったら、
また御輿としてすべての責任を麗羽様に押し付けて、
奴らに好き放題されますよ!」
「そうですわね・・・行きましょう。」


こうして私達は二つの軍から逃げるように南に移動を開始し、
交州で再起を図ることなど完全に頭から抜け落ちて、
あの者達に二度と捕まらない事と、自分達の安全を確保するために
どこに逃げる宛があるとも無く、とにかく、あの者達から少しでも離れるために、
移動を開始した。


「しかし一体私達はどこに向かって逃げれば・・・
それに私には配下を抑えられなかった事や、
幽州の白蓮さんのお城を攻めてしまった責もありますわ・・・」
「「麗羽様。」」
「・・・この上は陛下に御沙汰をいただくしか無いのでしょうか。
ここまでの事をして、交州で董卓さんを見返しても、
陛下は必ず私達を許す事などありませんわ。
いっそ、いまから陛下の下に自ら出頭すれば、
貴女達くらいは助けられる可能性も・・・」
「「麗羽様!!」」
「陛下の元へ行くならあたい達も一緒ですよ!」
「そうですよ、麗羽様だけでなく私達にもこの戦の責任はあるんですから。」
「貴女達・・・」
「「麗羽様・・・」」


こうして私達は頼る当ても無く、ただひたすら、華琳さんの軍と、
元私の軍から逃げる事だけを考えて南に進んだ。
この先どうするべきかを頭の片隅で、考えながら私達は逃げる。




--喜媚--


詠ちゃんと音々ちゃんから説明を受けて、今の現状を知る事ができたが、
やはり予想通り酷い事になっているようだ。

結局この策には私も最初は反対したとはいえ、
最終的には賛成したのだから同罪だろう。

私にできるのはせめてこの先、この国の未来が今よりもまともな国になって、
明るい未来を後世に残す事くらいだろう。


「・・・さて、袁紹領内の話はコレでいいわね。
これ以上詳細な情報が欲しかったら、後日私の執務室に来るか、
音々の執務室で音々に聞いてちょうだい。」
「ん、わかったよ。」
「それで、公孫賛なんだけど、何時頃から喜媚の店で預かれそう?」
「そうだね・・・部屋の用意と制服の用意さえできたら、
すぐにでも受け入れは大丈夫だけど、
公孫賛さんはもちろん接客なんてやった事無いですよね?」
「あぁ、流石に食堂や茶店の店員は経験は無いな。」
「じゃあ、受け入れは後日、服の採寸をして制服を作った後ということでいいですか?
仕事は私達の方で教えますから、最初はまずは、厨房で雑事をしてもらいながら、
劉花ちゃんや皆の接客の仕方を見ながら、雰囲気を掴んでもらって、
その後、練習して貰うという事で。」
「分かった、じゃあ、もうしばらくは宮中で待機かな?」
「あ、もしお暇ならウチの店に来てくださっても構いませんよ。
お客として接客を受けてみて勉強になることもあるでしょうし。
それくらいは経費で出しますから、お代もいただかなくて結構ですし。」
「そうか? 申し訳ない。
じゃあ早速明日から、お店の方には顔を出させてもらうよ。」
「はい、お待ちしています。」


私と公孫賛さんの話が終わったところで、詠ちゃんが 『パンッ』 と手を叩く。


「はい、じゃあ話はコレで終わりでいいわね。
喜媚の方も公孫賛の方も、もう聞きたいことは無い?」
「はい、私はもういいですよ。」
「私の方も問題ない。」
「それじゃあ、今日はお疲れ様。
わざわざ呼んで悪かったわね。」
「いやいいよ、幽州の人達や、袁紹さんの領内の事も気になってたし。」
「あんたは・・・ハァ、程々にしときなさいよ?
ある程度のところで割り切らないと、自分が辛いだけなんだから。」
「その時は、誰かに泣きつくよ。
私はヘタレだから泣き言の一つや二つ言ったって、誰か聞いてくれるでしょ?」
「全く・・・泣きつくなら、私か月にしときなさいよ。」
「? なんで詠と月何ですか?
音々のとこに来ても話しくらい、いくらでも聞くですよ?」
「そ、そんな細かいこと気にしなくてもいいのよ音々は!
ほら! 行くわよ! 仕事は山積みなんだから。」
「? 何なんですか全く・・・音々だけのけものですか・・・」
「よくわからんが、喜媚殿も程々にな。
・・・でも幽州の民の事を気にしてくれて、ありがとう。」
「いいえ・・・私も人事じゃないですから・・・」


こうして話し合いは終わり、
この数日後、公孫賛さんが私の警護と劉花ちゃんの警護という裏の名目で、
ウチの店の従業員として働く事になった。


  1. 2012/11/19(月) 18:42:21|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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雑記


こんにちは。


少し遅れましたが、先程八十九話を投稿しました。
良かったら読んでやってください。

それと、この雑記を書くまでに指摘された誤字等は、
全て修正しました。
ご指摘ありがとうございました。


>>Gfessさん
ようやく月ちゃん参戦ですね。
小蓮もゆっくりと動き出して、喜媚の女性関係はいっそう厄介になって来ました。

>>マサフミさん
もう少しいい言い回しが思いついたらいいんですが、
この辺が今の私の文章力の限界みたいです。
日頃から突拍子もない献策や案を出す描写があれば、
喜媚なら陛下を戦場に引っ張りだしてもしょうが無い。
と言う風に納得出来るような雰囲気を作れたかもしれませんね。
しかし、そういう描写を入れると、話が進まないし、
ボロがでそうで、難しいところです。


たいち
  1. 2012/11/15(木) 01:35:59|
  2. 雑記
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八十九話


洛陽




月ちゃんの執務室で、突然の告白を受け、キスをして、
少し落ち着いたところで、月ちゃんの執務室を出ようとした時。


「喜媚さん。」
「ん? 何、月ちゃん。」
「今度から、私の部屋に来て二人っきりになった時はその・・・
ま、またおねがいしますね。
・・・・へ、へぅ。」


そう言って月ちゃんは真っ赤になって唇に人差し指を当てた。
つまり、二人っきりの時にはまたキスをしようというお誘いだ。

私も普段は引っ込み思案な月ちゃんの、急な申し出で、
せっかく落ち着いたのに、また顔が熱くなってしまい。


「う、うん。 分かったよ。
そ、それじゃあね。」
「はい、そ、それではまた。」


などと、そっけない返事しかできなかった。
我ながらいい年をして情けない事である。


さて、詠ちゃんの執務室へ向かう間に気合を入れなおして、
シャオちゃん達が塾へ通えるようにお願いしないといけないわけだが、
詠ちゃんのところに行ったら、また何か言われるかと思うと・・・気が重い。

詠ちゃんの執務室は月ちゃんの執務室に近いので、すぐ着いたが、
私は扉の前で深呼吸してから、詠ちゃんに声をかけ、扉をノックして返事を待った。


「開いてるわよ、入ってらっしゃい。」
「ど、どうも。」


そう言って私は詠ちゃんの執務室に入る。
相変わらず竹簡が机の上に山のように積まれていて、
詠ちゃんの顔が頭の先しか見えない。


「やっぱり喜媚ね・・・
扉をそうやって叩くのはあんたしかいないから、すぐ分かったわ。
そこの椅子に座ってちょっと待っててね。」


そう言って詠ちゃんは、竹簡で窓際に置いてある机と椅子を指して、
竹簡になにか書き込んでいる。
そうして、ひと通り書き終わったら、
椅子を立って私の座っている向かいの椅子に座って、
肩をグルグルと回しながら揉んでいる。


「っ~、待たせたわね。
・・・ふむ、どうやらその様子だと月ともうまく行ったみたいね。
コレで何もなかったら、
喜媚をぶん殴って、もう一度月の執務室に放り込むところだったけど、
そうずに済んで安心したわ・・・ボクとしては少し複雑だけど、
・・・やっぱり月にも幸せになってもらいたいしね。」


自分の好きな男を、親友とはいえ、
一緒に愛して正妻の座を奪い合う関係になるというのは、
どういう感じというか、心境なんだろうか・・・
この世界に心底染まってない私では彼女達の考えは、
ジェネレーションギャップが強すぎて、
ついていけないが、少なくとも、詠ちゃんも月ちゃんも、
暗いところはなくサッパリした感じだ。
桂花も詠ちゃんと話をしたそうだが、こんなかんじなんだろうか?
それとも、愛憎渦巻くドロドロとした心境なんだろうか?


「? あんた何変な顔してるのよ? 気持ち悪いわね。」
「さすがにそれはキツイよ詠ちゃん。
・・・ちょっとね、詠ちゃんと月ちゃんの心境がどんな感じなのか考えててね。」
「それで桂花の事も一緒に考えてみたと?」
「・・・やっぱりバレちゃうか。」
「分からいでか、コレでも董卓軍筆頭軍師よ?
ほ、惚れた男の事くらい見抜けないでどうするのよ。」
「そこで軍師が関係有るのかどうかはわからないけど、
正直まだコレでよかったのか悩んでる。
桂花は好きだし、詠ちゃんも好きだよ。
それに月ちゃんも真剣に私の事想ってくれてるし、
私もそれに応えたいとも思う。
だけどこれでいいのか・・・ね。」
「農家の一人息子がいつの間にか茶店の店主になり、
気がついたら洛陽でも上から数えたほうが早い豪族になって、
女三人侍らして混乱しなかったら大したものよ。
あんたは十分まともよ。
だけど、逆に安心したわ。 それだけボク達の事真剣に考えてくれてるんだってね。
女に傅かれててデレデレするような男じゃなくて、ボクは安心したわ。」
「流石に私にそんな度胸はないよ。
昔っからヘタレと言う事では桂花から散々言われてきたけどね。」
「喜媚がヘタレねぇ、喜媚がやってる事だけ見たら、まったく信用出来ないわね。
馬から馬車に飛び乗って皇帝陛下達を助けて、汜水関では戦闘指揮を見事にこなして、
挙句に皇帝陛下を戦場に引っ張りだす?
これだけやってヘタレなんて評価がついたら、他の者は皆ヘタレ以下よ。
・・・だけど、こうやって顔をあわせて話して見ると、確かにそうだと分かるけどね♪
でも、喜媚はそれでいいと思うわよ。 少なくともボクや月、桂花はね。」
「そう言ってもらえると少しは救われるよ。」


そうして私達が話している間に用意されたお茶を飲んで、
喉を潤し、今日の本題に入る。


「それで? 今日わざわざボクを訪ねてきたのはなんの用なの?」
「実はシャオちゃん・・・・しまっ痛ぅ~~~っ!!」


シャオちゃんと呼んだ瞬間、詠ちゃんは私の脛を蹴り上げてきた。


「あんた、その名前は孫尚香の真名の愛称でしょう!?
いつの間に孫尚香と真名を交わしてきたのよ!
いくらなんでも手が早すぎるわよ!
まったく桂花の言ってたとおりね!
あんたはちょっと目を離すと、すぐ別の女を引っ掛けてくる!」
「そ、そんなんじゃないんだって・・・
私もなんで真名を預けられたかわかんないんだよ、
むしろ嫌われるような事したのに、感心されて真名を預けられたんだから。」
「どういう事よ! はっきり説明しなさいよ!!」


詠ちゃんに言われて私は渋々、事の経緯を説明する。
最初美羽ちゃんが毎朝どこに行くのか? と言う話から始まって、
塾にシャオちゃん達三人も通ったら? と誘い。
美羽ちゃんとシャオちゃん達との店での様子が問題なので、
少しお説教まがいの話をしたら、なぜかシャオちゃんに真名を預けられた。
という経緯の話だ。


「・・・あんたいいかげんにしなさいよ。
ただでさえあんたの子種狙ってる孫家の娘に、
そんな話したら、そうなるに決まってるでしょう!」
「えぇ!? なんで!? お説教したら、どうして真名を預けるって話になるの!?」
「わかってないわね! あんたは、孫尚香に過去の事は水に流して、
敵だったとしても有益なら受け入れる器を持て、って話をしたのよ?
わざわざ、月の話も持ちだしてね!」
「それでなんで真名を預けるって話になるの?」
「だから! 月とあんたを見てみなさい!
あんたの説教通りに、敵だった袁術や孫尚香達を受け入れて、
おまけに塾に通わせるなんて世話まで焼いた挙句、
袁術と孫尚香達に自分達のように仲良くなれ!
つまり過去に敵だったとしても有益なら受け入れるだけの器を持てって説教したのよ!
今時どこの世界に、そんな器を持ってる将官がいるのよ!
私が知るかぎり月とあんたくらいよ!」
「そんな事ないでしょう?
曹操さんとか劉備さんとか孫策さんも多分それくらいの器持ってると思うよ?」
「百歩譲って、あんたの上げた人間にその器があったとしましょう。
で? その中に男は一人でもいるの?」
「え・・・・いない・・・けど。
・・・え? まさか?」
「ようやくわかってきたわね、孫尚香はね、あんたに主君としての器を見出したのよ。
それも月と同格のね。 だから急に真名を預ける気になったのよ。
孫家にもあんたの持つ知識の事は知られているけど、
そこに主君としての器まで備わってるときたら、
武家の女だったらその男の子を産みたくなって当然でしょうが!」
「・・・・マジで?」
「マジよ。」


まさか詠ちゃんにも教えておいた、『マジ』と言う言葉を、
こんな形で使うことになるとは・・・


「武家の女は力のある男の子種を取り入れるために、
有力な豪族や将官と会って見合いをしたり、時には側室になってでも、
子を産もうとするんでしょうが!」
「・・・まずいじゃない!」
「まずいわよね・・・あんたこの件、私からも桂花に報告しておくから。
後、月にも話しておくから。」
「・・・桂花に今度会った時殺されるかも・・・」
「そうならないように、孫尚香に手を出さないようにする事ね。
出したら桂花じゃなくても、ボクがあんたに引導を渡してあげるわ。」
「絶対手を出しません!」
「そう願ってるわよ。 あ、それと塾の件、学費さえいれてくれたら通っていいわよ。
元々洛陽の民に開いている塾だから、機密事項は教えてないし、
孫策のところの内政が充実するのは天下三分の計にも有用だから問題無いわよ。
揚州は唯でさえ内政面で遅れを取ってるからね。
・・・でもわかってるわね? 孫尚香に手を出したら・・・」


そう言って詠ちゃんは親指を立てて、その立てた親指を自分の首辺りまで持ってきて、
横に、まるで首を斬るかのように動かした。


「絶対、手を出しません!」
「期待してるわ。
で、話はそれだけ?
それだけならボクは忙しいから仕事に戻りたいんだけど。」
「いや、それだけじゃなくて・・・
どうも私の部屋と劉花ちゃんの部屋に通じる抜け道から、
声が漏れてるらしいんだよね・・・その夜の。」


そう言った途端、詠ちゃんお顔が真っ赤になって、一気に立ち上がった。


「そっちを先に話しなさいよ!!
一大事じゃない! い、今すぐ工事の手配をしないと!!
って言うか、もうあの隠し通路塞いだほうがいいわよね!?」
「いや、塞ぐのはまずいでしょう、
でも防音工事はしないと本当にまずい事になるよ。
って言うか、劉花ちゃん聞こえてきたとか仄めかしてきたし!」
「い、今すぐ突貫で工事をするわよ!
誰か!! 誰かあるか!!」


こうして詠ちゃんは軍の一部の事情を知っている工兵を連れて、
私の店の私の部屋にある隠し通路の防音工事と、
ついでに壁の防音工事も数日がかりで突貫工事していった。
ついでにシャオちゃんが夜中に部屋に来ないように、
また。来てもいいように扉の鍵も増やしてもらうことにした。

その間、私は客間で過ごしていたのだが、鍵をかけて、つっかい棒を何重にもかけて、
シャオちゃんが夜中に侵入してこないように、
完全防備の状態で数日を怯えて過ごしていた。




--孫尚香--


「なんか最近喜媚ちゃんが夜になると、
異常に私を警戒してるけど、賈詡さんに何か言われたのかな?」
「さぁ? あの男女の考える事はわかりませんので。」
「シャオ様の武勇でも聞いてきたんじゃないか?
弓腰姫って二つ名があるくらいだし、董卓軍でもそれくらいは調べてるでしょ?
喜媚は武術は全然駄目らしいから。 よく華雄にボコボコにされてるからね~。」
「そんな感じじゃないんだよね~、お店やってる時は、
普通に話してくれるし、塾にも通えるように話をつけてくれたし。」
「言われてみれば、確かに夜になるとおかしくなりますわね?
喜媚さんの部屋を突貫工事してる事と何か関係があるのでは?
あの日、賈詡さんがいきなり兵を率いて、
喜媚さんの部屋に押し込んで行きましたから。
・・・・案外艶本でもどこかに隠してるんではないですか。
喜媚さんもあんな格好してるとはいえ殿方ですから、
それが店員の皆や賈詡さんにバレるのが怖いのでは?
喜媚さん以外、この店の店員は全員女性ですし。」
「だったら私だけ警戒するかなぁ?」
「シャオ様の考え過ぎじゃないんです?
普段はあたしから見ても普通だし、夜にあたしに会ってもビクついてるよ?
だけど、もしかしたら賈詡が私達の目的を察して、
喜媚に余計なこと吹き込んだのかもしれないね。
だから夜になるとシャオ様やあたし達が無理やり喜媚を襲わないか警戒してるとか?
フフフッ。」
「笑い事じゃないよ! ・・・まぁ、いっか。 喜媚ちゃんは一気に行くよりも、
時間をかけて、じっくり行ったほうがよさそうな気がするから、
ココは本当は時間をかけてられないけど、あえて持久戦で行こう。
喜媚ちゃんも、しばらくすれば私が何もしないって分かってくれるでしょ、
大喬と小喬もそのつもりでね。
いきなり夜這いとかしたら余計に警戒されちゃうからね。」
「わかりました。」 「まぁ、いいんじゃないかな。」




--喜媚--


こうして私が無駄な、警戒をしている間に突貫工事は終わり。
私の部屋の防音はかなり完全なモノになった。
コレで劉花ちゃんの部屋まで音が聞こえる事は無いだろう。


工事の数日間で賈詡さんが早速手配してくれて、
シャオちゃん達三人は塾に通えるようになっていた。
最初は文字を教える子供のクラスや段階的に専門的な知識を教える、
諸葛亮さん達が開いてる授業のどちらを受けるか悩んでいたようだが、
ひと通り受けてみて、受けれそうな授業を受けるようにするようだ。

この日も朝食後、美羽ちゃんと一緒にシャオちゃんは仲良く塾に出かけていく。
どうやら塾の劉備さんが開いている授業で、
シャオちゃん率いる江東の二喬vs美羽ちゃんで、
歌の勝負をした時に、何か通じるものがあったらしく、
シャオちゃん達と美羽ちゃんは今のところ、表面上は仲良くやっているようだ。
仕事の時も、今まであった妙な距離感も薄れ、
塾に行く時も一緒に出かけて行っている。

しかしそれを快く思わない・・・と言うか、
シャオちゃん達が来てから様子がだんだんおかしくなってきたのが、七乃さんだ。

表面上はいつも通りだが、
仕事中でも美羽ちゃんを目で追う回数が増えているみたいだし、
シャオちゃん達と話している時などは、様子を窺っているようでもあった。

七乃さんが何かおかしな事をするとは思えないが、
一度、機会を見てゆっくり話してみたほうがいいかもしれない。

シャオちゃん達が、美羽ちゃんに微妙な距離感を持っていたように、
美羽ちゃんや七乃さんも孫策さんと色々因縁の有る人達だ。
シャオちゃんたちだけではなく、特に大人の七乃さんの方も、
良く話をしたほうがいいだろう。




--北郷--


あれから華佗や卑弥呼、貂蝉と多くの村や集落、流民の集団や、
董卓軍が煽動する避難する民にも会い、
華佗と一緒に治療をしていたが、皆一様に疲れきった表情で、
生きる事に疲れきったような表情をしていた。


「くっ・・・袁紹の軍や他の軍は何をしているんだ。」
「ご主人様・・・袁紹の軍はむしろ彼らにとっては敵よ。
彼らの村を襲って金品や食料を強奪したりしたのは袁紹の軍だったり、
元袁紹の兵達だもの。
今や殆ど黄巾の乱のような賊達と同じよ。
曹操軍が主導して鎮圧に乗り出しているけど、
主力部隊はすでに叩いたそうよ、だけど今は主力から別れた多くの残党や、
勝手に武装蜂起した、元袁紹軍の将官達を虱潰しにするのに必死になってるわね。
孫策の軍は避難民の受け入れをしてるけど、州の境を警備するのに手一杯みたいね。
後、董卓軍は避難民の受け入れと曹操の領土を犯さないように迂回しながら、
袁紹軍の残党を狩っているそうよ。
今回の元袁紹領内の内乱に近いこの状態は、
もうしばらくしたら完全に鎮圧されるわ。」
「でも、そうしている間にも怪我や病に苦しむ人達が! ・・・済まない。
俺が言えた立場じゃないよな・・・
この状況を作り出した責任の一端は俺にもあるんだから。」


そうして一人落ち込んでいると、華佗がやってきた。


「一刀、あまり自分を責めるな。
お前は、個人で出来る範囲でよくやっている。
俺達は俺達にできる事をして、政治の事は専門家にまかせておけばいい。
幸い、俺の治療した馬騰・・・は董卓に恭順したから、董卓、曹操、孫策、
今主要なこの三つの諸侯は善政を敷く事で有名だ。
それに師匠も洛陽で董卓軍に協力していると言う話だ。
今までこの国は最悪の状況にあったが、今は確実に良い方向に向かっている。
黄巾の乱が収まり、袁紹が起こした反董卓連合も戦ではなく、
皇帝陛下が自ら動いた事で、被害が少数で終結し、
こうして袁紹の領内では内乱に近い状態が続いてはいるが、
それも終結に向かっている。
この後は、しばらく大きな戦も起きずに、
人々は安心して暮らせるようになっていくだろう。」
「華佗・・・」
「まぁ、俺には政治の事はよくわからんが、こうして治療の旅をしていると、
色々なモノを見るからな、この国は昔に比べたらずいぶんいい方向に向かっているよ。
怪我や病で苦しむ人々も、昔に比べたら随分減ったしな。」
「・・・コレで減ってるのか?」
「コレでも減ったほうだぞ?
昔は酷かった・・・賊に襲われた旅人に会うのはしょっちゅうだったし、
村についたら疫病で、すでに手遅れの状態だった、なんて事もあったしな。
今はまだ、俺の治療が追いつくんだ、昔に比べたらずっといい。」
「そうか・・・」


今こうして見ている現実だけでも酷いものだと思っていたが、
昔はもっと酷かったのか・・・
俺が知る三國志の知識じゃこんな事はあまり書かれてなかったからな・・・
偶に疫病で苦しむ民がいた。 そうやって一文で出ていただけだ。
それよりも劉備や曹操、孫権、等の英傑の話ばかりで、
本を読んでいた時は胸が踊ったものだが、
現実に起きてみると、こんな状況になるんだな・・・


「ご主人様。」
「ん? なんだ貂蝉?」
「そろそろ、ご主人様がこの先どうするか決めないといけないわん。
徐州の民はすでに避難済み、今行っても袁紹軍の残党が暴れているだけよ。
正直行く事は勧められないわ。」
「・・・そうか。」
「元の世界に戻るなら、その儀式を行う場所に移動しなくちゃならない。
この世界に残るのなら、ご主人様が一人でも生きていけるように、
その準備をしなくてはいけない。
・・・そろそろ、どうするか決まったかしら?」
「・・・一つ、この皆との旅の間、考えていた事はあるんだ・・・
なぁ、貂蝉・・・この世界から元の世界に戻った後、
また俺がこの世界に来る事はできるのか?」
「可能か不可能か、で言えば可能よん。
でも、それは私一人だけでは出来ない上に、私の上司の許可を得る必要があるわん。」
「それ・・・許可取れるか聞いてみてくれないか?」
「それはいいけど・・・ご主人様、一体何のために?
もし、元の世界に戻って知識や武力をつけて、
黄巾の乱が始まるあの時間に戻ってやり直したいっていう願いなら、
即却下されるし、私も承服出来ないわよ。」
「ハハッ・・・そんな事願っちゃいないさ・・・
俺にそんな器が無い事は今回の事で痛感したさ。
桃香達と軍勢を率いて黄巾の乱で戦い、反董卓連合であんな事になって、
華佗と旅をして、つくづく痛感させられたよ・・・今の俺には何の力もないんだって。
でも、今の俺でもできる事があるんだ。
義務教育と高校で習った理科の知識と、保健体育で覚えた応急処置。
これだけでもこの世界では人を助けられるんだ・・・
こんな俺の力でも困っている人達を助けることが出来るんだ!
だから俺、元の世界に戻って、医者の勉強をしようと思うんだ。
そうして、しっかり医療知識を身に着けて、それでこの世界に戻ってきて・・・
ハハッ、華佗達や貂蝉達に世話をかける事になるかもしれないけど、
その分、医者として一人前になって、一人でも多くの怪我や病に苦しむ人を救う事で、
俺が今まで徐州や、この国の人達に迷惑をかけた分の・・・
償いと言っちゃ変だけど、この国の人達のために何かしたいんだ。」
「ご主人様・・・」
「こうして華佗と旅をして、病や怪我に苦しむ人を救った時・・・
なんとも言えない達成感を感じるんだ。
ハハッ・・・こんな事言うと華佗にぶん殴られるかもしれないけどな。
こんな俺でも、なにかができて、誰かが救えて、
それで感謝されて、償いにもなって・・・
上手く言えないから、伝わるかどうかわからないけど。
俺も華佗みたいにちゃんとした医療知識を身に着けて、
少しでも多くの人を助けたいんだ。
武力じゃなく、政治の力でもなく、
俺個人の力でもそれが出来ると今回の旅で分かったんだ!
それが、俺がこの国の、世界に迷惑を掛けた償いにもなるのかと思って。
・・・それに親父やおふくろにお別れくらい言いたいしな。」
「・・・分かったわご主人様、そういう事なら上司に確認してみるわ。」
「済まないな貂蝉、世話かけるばかりか、無茶な事頼んで。」
「私はご主人様の愛の奴隷だもの、これくらい構わないわよ。
でも、妲己様は許可を出しても、左慈がなんて言うか・・・」
「上司ってのは何人もいるのか?」
「いいえ許可を取る上司は一人よ。
だけどご主人様を元の世界に返すのに、
私や卑弥呼のような管理人達四人でやるのだけど、
その一人の左慈って子がちょっとね・・・ご主人様を元の世界に返すだけだったら、
喜んで協力してくれるだろうけど、
その後また戻すって言う事になったら、ゴネる可能性があるから。」
「よくわからないんだけど、なんでその左慈ってやつがゴネるんだ?
そんなに面倒な事なのか?」
「面倒というか、左慈はご主人様にあまりいい印象を持ってないのよ。
だからこの世界からご主人様を追い出す事には協力しても、
この外史に戻す事に協力するかどうか・・・
まぁ、その時は妲己様にお願いして何とかしてもらうから、
ご主人様は気にしなくていいわ。」
「そういう訳にも行かないだろ? 今度その左慈って奴に会ったら俺も頼んでみるよ。
なんで俺にいい印象を持ってないか理由を聞いて、
俺でなんとかなるような理由だったら、
俺にできる事はなんでもするつもりではあるから。」
「ご主人様がそこまで言うなら左慈に会った時に、
ご主人様と話をするように説得してみるけど、
あの子は頭が硬いからあまり期待しないほうがいいわよ。
今だから言うけど、別の外史では左慈はご主人様を殺そうとしたくらいなんだから。」
「・・・別の外史の俺は、左慈ってやつに何をしたんだよ。」


こうして俺のこれからの方針・・・人生の目標は決まった。
この世界の人々のために、俺にできる事を少しずつでもやって、
徐州の人達や他に迷惑を掛けた人達の分も、
この世界で医者として華佗のように生きていこう。
それで少しでも救われる人がいるのならば、
一人でも多くの人を救っていこうと思った。


  1. 2012/11/15(木) 01:24:59|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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八十八話


洛陽




孫尚香ちゃん・・・いや、シャオちゃんに真名や愛称を呼ぶことを許され、
彼女達が塾に通えるように詠ちゃんに頼まなきゃいけない事になったし、
幽州の人達の事も気になるので、
私は午後に少し休みをもらい、お土産を持って、
後ついでに劉花ちゃんも一緒に、護衛を連れて宮殿に向かう事にした。


宮殿についた私達は、詠ちゃんは少し政務があるので待たされるのだが、
協ちゃんの方はすぐに会えるという事で、先に協ちゃんに会う事にした。


「おぉ、喜媚に姉様、まだ会いに来る日ではないが、
二人なら毎日来ても、なんの問題も無いのじゃ。
今日はどうしたのじゃ? 妾に会いに来たのか?」
「協ちゃんに会いに来たのもあるけど、今日は詠ちゃんに少し頼みごとがあってね、
ついでだから劉花ちゃんも連れて協ちゃんと、
後、会えたら月ちゃんにも会って行こうと思ってね。」
「そうか、せっかく喜媚が来たのじゃ。
妾も一仕事終わった所だし、何かして遊ぶかの?
部屋の中だから蹴鞠等はできぬが、おはじきでもするか?」
「それもいいけど、一仕事終わったところなら、
甘いモノが欲しくなってきたんじゃない?
おみやげでウチの店のお菓子を持ってきたから、お茶にでもしようか。」
「おぉ、それは良いのう、それに喜媚には聞きたい事があったのじゃ。
汜水関や虎牢関では大活躍だったそうではないか?
ぜひ喜媚の武勇伝のも聞かせてもらおうかの?」
「あ、私もそれ気になります。
お店ではなかなか聞く機会がないので。」


話しながら、侍女の人達が私達のお茶の用意をしてくれていたようで、
部屋に入ってきて、私達のお茶を置いて行ってから、
また部屋を出ていった。


「武勇伝って言っても、私は大したことしてないよ。
むしろ華雄さんとか霞さん、恋さんの方がすごかったからね。
私は連合の士気を下げるためにコソコソと嫌がらせして回ってただけだから。」
「妾が何も知らぬと思っておるのか?
霞にも聞いたぞ? 汜水関で華雄を止めるのに活躍したそうではないか。
なんでもあの華雄に一発、張り手を張ったとか。
霞も喜媚に武人としての命を救われたと言っておったぞ?」
「霞さんも余計な事を・・・ん?
協ちゃん霞さんの真名呼ぶようになったの?」
「うむ、この連合の戦いが終わった後に、霞や他の者と話す機会があってな。
その時に霞が妾と一緒に槍を並べて戦場に立ったのじゃから、
皇帝という役職がなくても、もう戦友だと言うてな、
その時に皆から真名を預かったのじゃ。
生憎と妾は役目柄掟があるので、夫となるものか、親族以外には真名を名乗れぬので、
妾の真名は預けられぬのじゃが、喜媚が妾の夫になるのなら真名を預けても良いぞ?」
「そ、それは流石に今は遠慮しておくよ・・・
詠ちゃんや月ちゃん達にバレたら大騒ぎになるからし、
桂花もいるし、大問題になるから・・・」
「むぅ、そうやって女を焦らすのが喜媚のやり方なのか? のう姉様?
喜媚は店でもこんなかんじで姉様を焦らしておるのか?」
「焦らすって・・・でも、喜媚様は一時期、私と少し距離を置くような事をして、
私を困らせてくれましたね。
もしかしたら喜媚様は女を焦らしたり、
困らせたりするのが好きな嗜好の方かもしれませんね。」
「ちょっと、劉花ちゃん! 私はそんな変な趣味持ってないよ!」
「そうですか?
でも荀彧様や賈詡様には随分と酷い仕打ちをなさっている様子ですね。
喜媚様と私の部屋は抜け道が繋がっているのを忘れてませんか?
荀彧様や賈詡様が泊まっていった時、
お二人の声が私の部屋まで聞こえる時があるんですよ?」
「なっ!? 嘘・・・本当に?」
「フフフ、さぁ、どうでしょう?」
「ちょっと弁ちゃん、本当にどうなの!?
それ本当だったら洒落にならないんだけど!」
「妾もその辺の辺り気になるのう、姉様、どうなのじゃ?
その様子じゃと喜媚は閨では激しいのか?」
「協ちゃん! そんな事聞かなくてもいいじゃない!」
「フフフ、喜媚様も困ってらっしゃるから、この話はこの辺にしておきましょうか。」
「ちょっと待ってよ! 声が聞こえてるかどうかって、
すごく重要な話だと思うんだけど!!」
「フフ、さぁ、どうでしょう?」
「劉花ちゃぁ~ん!!」 「姉様どうなのじゃ? 気になるのじゃ~!」


この後、私と協ちゃんで何度も問い直したが、
弁ちゃん・・・劉花ちゃんはのらりくらりと躱すだけで、
本当のところは何も教えてくれなかった。

コレは大変まずい事なので、詠ちゃんに会った時に是非、
壁と抜け道の防音対策を練ってもらわないと、大変な事になりかねない。

この時、私はその事だけを考えていたので、
他の事が頭に回っていなかったが、詠ちゃんに、
『私達の房事の声が劉花ちゃんに聞かれてるかもしれない!』
と、詠ちゃんに言う事になる。

そんな事を彼女に言ったらどういう事になるか・・・
この時の私はそこまで頭が回っていなかった。


さて、協ちゃんとはこの先は姉妹二人っきりでの話合になり・・・
実際、どんな話し合いが行われるのか非常に不安なのだが・・・
私は月ちゃんの執務室に先に向かう事にした。


「月ちゃんおじゃまするよ。」
「喜媚さんいらっしゃい♪
さっき、侍女の方から喜媚さん達が来てるって聞いて、
急いで仕事を終わらせて待ってたんですよ。」


私が月ちゃんの執務室に入ると、執務用の机の上の竹簡は整理されて横に置かれ、
脇の窓際に用意された机と椅子に月ちゃんは座って待っていた。
私が部屋に入ると月ちゃんは立ち上がって私を迎え入れ、
侍女の人にお茶を用意するように指示して、私を椅子まで案内してくれた。


「ごめんね、ちょっと協ちゃんのところで、色々あって・・・
あ、そういえば協ちゃんと真名を交わしたんだって?」
「はい、それだけで・・・陛下に真名を呼んでいただけるだけで、
大変名誉な事なんですけど・・・
あの時は、お酒を飲んで酔った霞さんが、陛下に真名を預けるって言い出して、
その後、恋さんがじゃあ自分もと続いて・・・
そうしたら陛下が、 『他の者達は妾に真名を預けてくれぬのか?
共に戦場に立った戦友じゃというのに、寂しいのう・・・』 とおっしゃって・・・」
「あ~・・・それで皆、真名を預ける事になったんだ。」
「はい。 その時、馬超さん・・・翠さんや蒲公英さんも一緒にいたんですが、
皆で真名を交わすことになって、
その後は大宴会になって大変だったんですから・・・」


月ちゃんが話す様子が私にはありありと想像できる。
いきなり協ちゃん、皇帝陛下に共に戦場に立った戦友なのだから、
真名を預けろと言われたら、断る事はできないだろう。
協ちゃんも嫌がらせでなく、ただ仲良くなりたいという一心で言っているので、
余計に質が悪い。
戦友が好意で真名を交換しよう、協ちゃんの場合は交換はできないのだが、
そう言われては、武人である馬超さんなどはかなりテンパった事だろう。


「華雄さんは自分だけ一族の掟で真名を預けられないって落ち込んでしまって。
それを皆で慰めるのに大変だったり、
詠ちゃんが 『こんな事、前代未聞よ!?』 と言い出した後、
飲まなきゃやってられないって言って、お酒を一気に飲んでしまったり。
音々さんは 『恋殿が預けるなら音々も預けるです!』 と、
いつもの感じで普通に真名を預けてしまうし、
蒲公英ちゃんは、じゃあ私も、と言った感じであっさり預けて、
翠さんはもう何がなんだか訳がわからないくらい緊張して混乱してしまって・・・
そこにお酒が入っているからもう、
収拾がつかなくなってしまって大変だったんですよ?
陛下なんか、今すぐ喜媚さんと劉花様も呼んで皆と真名を交換する、
とか言い出したり・・・」
「ごめん、もう十分わかったから。
月ちゃんが大変だったのは十分わかったから!」
「本当に、あの時は大変でした・・・だけど、楽しかったですね・・・
あんな生活がこれからもずっと続けばどれだけいい事か。」
「・・・そうだね、そのためにも皆で頑張らないとね。」
「・・・そうですね。」


そうしてしばしの沈黙の後、月ちゃんが急に私にお礼を言い出した。


「喜媚さん、今回の事は本当にありがとうございます。」
「・・・え? 急にどうしたの?」
「喜媚さんの献策・・・陛下を戦場に連れ出すなんて、
この国の誰も思いつきませんし、
ましてや実行しようなんて、不敬だと言って不敬罪にも問われかねないでしょう。
ですが、あの方法は・・・
確かにあの戦を平和的に収める唯一と言っていい方法でした。
そして喜媚さんにしかできない策でも有りました。
陛下の信頼が厚い喜媚さんでなかったら、陛下も聞き入れてくれなかったでしょう。
お陰で、私の軍も、連合軍も、
まともに戦うよりも遥かに兵の損失を防げたと思います。
兵だって平時は民です。 私の収める領内の民・・・
それに連合に所属していたこの国の民も含めて、一人でも多く助かったのは、
喜媚さんのあの献策のお陰です。
一度、喜媚さんにはお礼を言いたかったんです。
本当に、ありがとうございました。」


そう言って月ちゃんは私に頭を下げる。


「別に月ちゃんがそんなにかしこまることはないよ。
私はこの戦に参加した民、全員を救おうと思ってあの献策をしたわけじゃないんだ。
私はただ、この戦に参加する洛陽の人達、それに巻き込まれる私の故郷の人達、
その人達が少しでも多く生き残れる方法を考えて、
その結果、協ちゃん・・・この国の皇帝陛下を危険に晒すような献策をした。
私はただ、自分の手の届く人達を何とか救いたかっただけなんだ。
私の手の届く人達以外・・・連合の他の兵の事なんか、正直どうでも良かったんだよ。
決して月ちゃんが言うように、皆を救おうと思ったわけじゃない。」
「・・・・」
「結果的に今はこういう形で納まったけど・・・そんな、
すべてを救おうと思ったわけじゃないんだ。
そりゃ、連合の兵の人達も救われればいいとは思ってるよ、
できたら戦なんかなくなればいい。
でも、私にとっては優先順位は低くて、まず洛陽の人達や故郷の皆。
連合の兵や、この国の民は救われればいいとは思ってるけど、
私が救えるなんて到底考えてもいないんだよ。
・・・私は、その程度の人間なんだよ。
月ちゃんにお礼を言われるような、人間じゃないよ。」


私がそう言って月ちゃんから目を逸らして、横を向くと、
月ちゃんが立ち上がって、私のすぐ側まで来て、私の頭を自分の胸に抱き寄せた。


「・・・喜媚さん、私だってそうですよ。
さっきは偉そうな事言いましたけど、
私も自分の手の届く範囲の人達が幸せであればそれで良かったんです。
私は今は、こうして洛陽を治めて、相国なんて地位に着いていますが、
私だってこの国の民すべてを救えるなんて思ってないですよ。
現に袁紹さんの元領土の民が苦しむとわかっている詠ちゃんの献策を承認しました。
連合に所属した者同士で同士討ちを煽るような献策を承認しました。
それだって、せめて私の手の届く人達が救われればいい、
ただ偏にその願いのためだけなんです。」
「月ちゃん。」


そうして月ちゃんは一度私の顔を抱き寄せていた胸から離し、
私の頬を両手で包むように持って、
私と正面から見つめ合うような体制になる。


「でも、私と喜媚さんなら・・・
ううん違う、私や喜媚さん、詠ちゃん、
華雄さん、霞さん、恋さん、音々ちゃん、翠さん、蒲公英ちゃん、
それに馬騰さんや陛下、劉花様・・・いいえ劉弁様。
皆でそれぞれ手を伸ばせば、国の民全員は無理かもしれないけど、
私の領の領民にはせめて笑って生きて、
人並みの幸せを掴ませてあげる事ができるかもしれない。
曹操さん達や孫策さん達とも手を繋げられれば、
もっと多くの人達に幸せを掴んで貰えるかもしれない。
だから、喜媚さん。 これからもよろしくお願いします。
私と喜媚さん・・・私達の救いたい人達が救われるように。」
「月ちゃん・・・」
「それと、私の事もお願いしますね。」
「・・・え?」
「詠ちゃんとの事・・・私が知らないと思ってるんですか?
それに私も喜媚さんの事・・・私も好きなんですよ・・・もちろん男性として。」
「・・・月ちゃん。」
「へぅ・・・言っちゃいました♪
詠ちゃんと二人っきりの時、いつもいつもせっつかれるんですよ?
『早く喜媚に気持ちを伝えた方がいいわ、霞や最近は華雄も怪しいんだから!』
なんて言われるんですよ?
それに、翠さんや蒲公英ちゃん達の事も、もちろん知ってますし。」


それはそうだろう。
馬超さんや馬岱ちゃんが私のとこに嫁ぎに来たっていう話をしていた時は、
詠ちゃんだってその場にいたんだ、月ちゃんの耳に入っていない理由がない。


「今日は喜媚さんのいろんなとこが見れましたし、
私のいろんなところも見てもらったし、いい機会かなと思って・・・
告白して見ちゃいました・・・へぅ。」
「月ちゃん・・・」
「あ、もちろん、荀彧さんの事も含めて、
詠ちゃんが知ってることは全部知ってますよ。
だから荀彧さんを理由に、私の告白を断るのは止めてくださいね。
私と詠ちゃんで、荀彧さんから喜媚さんを奪っちゃうんですから。」
「いや・・・でも私は桂花や詠ちゃんとすでに・・・その・・っ。」


私が桂花と詠ちゃんの関係の事を言おうとすると、
月ちゃんが人差し指を、私の唇に当てて、黙らせようとする。


「知ってるって言いましたよ?
じゃあこうしちゃいます、相国として胡喜媚に命ずる。
司徒として我に仕える事を命ずる。」
「えぇっ!?」


司徒とは漢に置いて民生担当の政治最高責任者だ。
月ちゃんは、私に司徒になれと相国の名で命令したのだ。


「私が嫌いならそう言ってください。
その時は諦めます。
でも荀彧さんや詠ちゃんの事を口実に、私の告白を拒否するなら、
私は喜媚さんを司徒にしちゃいますよ?
それに農家の息子だからとか茶店の主だからっていう理由も駄目です。
喜媚さんは功績だけなら、すぐに上位の官職を与える事ができるくらいの功績を、
すでに上げているんですよ?
洛陽での大規模な内政改革の立案、先の連合との戦いでの策の献策と実戦での戦功、
そして、先代と今代の両皇帝陛下の命を救った英雄の一人。
これだけあったら誰も文句は言えません。」
「あ・・・あぅ。
さ、流石に冗談・・・じゃないみたいだね。」


月ちゃんの目は本気だ。
桂花や詠ちゃんを理由に断ったらやりかねない・・・
何が何でも私を手元に置こうとするだろう。
おそらくコレが最初で最後の月ちゃんの専横政治だろう。
まさかの史実での董卓の専横政治が今ココで、
月ちゃん本人の手によって実行されつつ有る。
それがまさか、私に向かって振るわれるとは今まで予想もしてなかったが・・・


「わ、分かった。 桂花や詠ちゃんを理由にして月ちゃんの告白は断らない。
だから流石に司徒は勘弁して貰えないかな?」
「じゃあ、どうするんですか?」


月ちゃんは真剣な表情で私を見つめてくる。
頬に添えられた手には力が入って、決して逃がさないと言った感じだ・・・が、
少し震えているのが、頬に伝わってくる。
よく見ると表情は真剣そのものだが、肩も震えているようだ。


(それもそうか・・・月ちゃんみたいな娘が、
こうやって私なんかのために必死になって、告白してくれたんだ。
私の返事を聞くのが怖くてたまらないけど、
今を逃したらもう聞く事が出来ないと思ってるんだろう。)


私は月ちゃんの私の頬に添えられた手に、
上から合わせるように自分の手を合わせ・・・


「・・・私でいいの?」
「喜媚さんじゃなきゃ嫌です!」
「・・・月ちゃん、私も月ちゃんは好きだよ。」
「ほ、本当ですか!?」
「私も月ちゃんとは協ちゃん誘拐事件の時からの付き合いだからね。
あの時の月ちゃんの決意もみたし、今までの政治で月ちゃんの為人もよく知ってるし、
何よりこうして月ちゃんと何度も話して、
月ちゃんの事は私なりによく見てきたつもりだよ。
・・・でも、まさか相国の地位を使ってまで、
私を捕まえようとするとは予想してなかったけどね。」
「へ、へぅ・・・あれはそうでもしないと、
喜媚さんがどこかに行っちゃいそうな気がして・・・」
「でも、ありがとう。 こんな私を好きになってくれて。
でも、本当にいいの? 私は桂花も詠ちゃんも見捨てられない優柔不断な男だよ?」
「荀彧さんがどういう人かは正直私もよく知りません。
でも詠ちゃんが見極めて、喜媚さんがそこまで大事にしてる人なら、
きっと仲良くやっていけると思います。
そ、それに私も詠ちゃんに負けませんから!
私が正妻になって詠ちゃんと荀彧さんを側室にするんですから!」


月ちゃんがそう言った時、執務室の扉がゆっくりと開けられ、
詠ちゃんが入ってきた。


「それはいただけないわね、喜媚の正妻の座は、たとえ月でも譲れないわよ?」
「「え、詠ちゃん!?」」
「悪いわね、ボクの方も政務が一段落ついたから、
月と一緒に喜媚と話をすればいいと思って来たんだけど、
中から聞こえてくる声が耳に入っちゃってね。
このまま月が告白して終わるなら待とうかと思ったんだけど、
聞き逃せない会話が聞こえてきたからつい、ね♪」


詠ちゃんのあの様子だと、だいぶ前から扉の向こう側から話を聞いていた感じだ。
もしかしたら、今回の月ちゃんの告白に一枚噛んでるかもしれない。


(・・・コレは後で詠ちゃんはお仕置きが必要だな。)
「むっ、詠ちゃんでもコレは譲れないよ。」
「それはボクも同じ。
・・・でも良かったわね月、月の気持ちが通じて。」
「詠ちゃん・・・?」
「今は素直に引いとくわ。
喜媚、ボクになにか話があったんだっけ?
月との話が終わったらボクの執務室まで来なさい、その時話しましょ。
じゃあ、月、今だけは喜媚を譲ってあげる・・・
だけど正妻の座ははたとえ月でも譲れないわよ。」
「私も詠ちゃんが相手でもこれだけは譲らないよ!」
「あ、あの私の意見は・・・ 「「喜媚(さん)は黙ってて!」」 ・・・はい。」
「じゃあね、月。 ごゆっくり。
・・・でも話があるなら急ぎなさいよ、私も暇じゃないんだから。」


そう言って詠ちゃんは月ちゃんの執務室から出ていった。

残された私達はお互い正面からしばらく見つめ合った後、
不意に笑いがこみ上げてきた。


「フフフッ。」 「ハハッ。」
「なんか気が削がれちゃったね。」
「そうですね、せっかく良い雰囲気だったのに、
詠ちゃんに水を差されちゃいましたね。」
「そうだね。」
「でも、い、今はこれだけはっ!」


そう言って月ちゃんは私の頬を両手で掴んで、私にキスをしてきた。
私はされるがままに月ちゃんのキスを受け入れ、
そっと月ちゃんの腰にてを回して、月ちゃんを支えた。


「・・・・んっ。」
「・・・・ぷはっ」
「月ちゃん、接吻の時は息を止めなくてもいいよ、鼻で息をするといいよ。」
「へ、へぅ・・・忘れてました。
フフッ・・・でもコレでようやく、
私も詠ちゃんと荀彧さんと同じ戦場に立てたんですね。」
「・・・そうだね。」
「ま、負けませんから!」
「いや、相手は詠ちゃんと桂花でしょ?」
「違いますよ、最後に選ぶのは喜媚さんですから。
喜媚さんにきっと私を選んでもらいますから!」
「・・・私は誰かを応援できないけど・・・でも頑張ってね。」
「はい!」


こうして、詠ちゃんにシャオちゃん達を塾に通えるように頼みに来ただけなのに、
月ちゃんの告白を受けて、なんだか大変な事になってしまった。

・・・私はこの先、桂花に殺されずに済むだろうか?

次の桂花に送る書簡に、この事を書かないわけにはいかないので、
とりあえず書いて送るが、
私はその返事が帰ってくるまで、落ち着かない日々を送る事になった。


  1. 2012/11/11(日) 20:11:44|
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雑記


こんにちは。


先日雑記で書いた通り、先ほど八十七話を投稿しました。
良かったら読んでやってください。


>>カミーユさん
言われてみれば、そんな気もするような……
とりあえず、修正してみました。

>>相沢祐一さん
誤字修正しておきました。
ご指摘ありがとうございました。
恋姫世界の武官や文官の能力は、一般兵卒とは隔絶してるんですよね。
岩砕いたり、百人単位一人で相手したり。
白蓮さんはそんな中の平均、普通ですから、一般の兵や文官から見たら
他の武官や文官と変わらない化物集団の一員ですよ。
それに全てにおいて普通の結果を出せる万能武将ですし。
恋姫武将>越えられない壁>喜媚>一般兵
ウチのSSだと強さ的にはこんな感じです。
知の分野だと、喜媚は知恵袋使っていいとこまで寄れるんですけどね。
ですので白蓮さんも、喜媚から見たら超えられない壁です。


たいち
  1. 2012/11/08(木) 22:59:55|
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八十七話


洛陽




揚州から孫尚香ちゃん達が来てウチで働くようになり、
幽州からは袁紹軍から命からがら洛陽に報告のためにたどり着いた公孫賛さんが着て、
ここ数日は慌ただしかったが、ようやく落ち着きを取り戻していた。


「それでは喜媚、行ってくるのじゃ!」
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい、気をつけてね。」
「・・・・・?」


そんな折である。
今日も朝食後に美羽ちゃんと七乃さんが塾に出かけて行ったのだが、
孫尚香ちゃんから質問を受けた。


「ねぇ、喜媚ちゃん。 袁術はいっつも朝、張勲と出かけていくけど、
何してるの? 仕事とかいいの?」
「あぁ、あれですか。
あれも美羽ちゃんにとっては仕事みたいなものなんだけど、
塾に通ってるんですよ、それも個人で開いている私塾ではなく、
董卓軍が開いている、洛陽の住民の識字率や民全体の教育を高める為の公の塾です。
そこに午前中は通ってるんだよ。」
「へぇ~、袁術って、お姉様達から聞いた話だと、
わがままな暴君って感じだったけど、ココで見てると普通のいいとこの娘だよね。
まぁ、多少はわがままだけどさ。」
「まぁ、美羽ちゃんにも揚州を治めていた時は色々有ったんだよ。
私としては、今の美羽ちゃんの方が、良く知ってる美羽ちゃんなんですけどね。」
「それにしては随分楽しそうに出かけていくけど、
なに? そんなにそこの塾って楽しいものなの?」
「美羽ちゃんには楽しいみたいだね。
一応ちゃんと勉強もしてるんだよ小喬ちゃん。
だけど、そこの塾は識字率・・・
文字の読み書きを皆ができるようにする事が第一の目的だから、
通ってる民も子供が結構多いんだよ、だからどうしても、真面目な勉強って言うより、
遊びながら文字を学ぶって感じになってね。
劉備さんも先生をやってるんだけど、劉備さんなんか、
歌を歌いながら、その歌詞に使ってる文字を子供達に覚えてもらおうとか、
色々工夫して、子供達が飽きないようにしてるんだ。
だから、美羽ちゃんも通ってて楽しいみたいだよ。
因みに、劉備さんの評価だと、美羽ちゃんが一番塾で歌が旨いらしいよ?
私も何回か聞いたことあるし、偶に、このお店でも歌ってるから、
その内皆も聞くこともあるんじゃないかな?」
「・・・ふむ、それはちょっと黙ってられないわね。
あたしと大喬も歌や踊りとあっては、黙ってられないわよ?
今度、袁術とどっちが上手いか勝負してやるわ。」
「しょ、小喬、そんな店のお客の前で歌うなんて・・・
それに勝ちが見える勝負したって、疲れるだけでしょうがないよ。」
(・・・大喬ちゃんも大分ココに慣れたのか、だんだん地が出てきたけど、
可愛い顔して言葉遣いも丁寧なのに、あの毒舌が全てをぶち壊していくな。)
「あ~、それ面白いかもね、お店でお茶を飲みながら、
大喬と小喬の歌を聞けるなんて贅沢だよ~。
お金取ってもいいくらいだよ喜媚ちゃん。」
「そんなに大喬ちゃんと小喬ちゃんの歌は上手いの?」
「江東の二喬の名は伊達じゃないわよ?
歌もそうだけど踊りも凄いんだから。 琴なんかもすごく上手いよ。
私も二人から時々習ってるんだ。」
「そうなんだ。 私は見たり聞いたりした事無いから、
わからないけど、そんなに上手いなら、
定期的に美羽ちゃんや、大喬ちゃん達に歌ってもらって、
特別料金を取るとか言うのもいいかもね。」


美羽ちゃんや江東の二喬の歌や演奏会か・・・これってかなり贅沢な話だよね。
本当にお金取ってもいいくらいだ。


「だけど塾か~・・・シャオはあんまり勉強好きじゃないな~硬っ苦しくて。」
「確かに子供に文字を教えるだけじゃなくて、もう少し本格的な勉強もしてるね。
専門的な農法や兵法、内政や経済の授業も、
諸葛亮ちゃんや鳳統ちゃん達がやってるけど・・・
よく考えたら孫尚香ちゃん達って洛陽に勉強しに来たっていうのもあるんだよね?
だったらいっそ、美羽ちゃんと一緒に塾に通ってみたらいいのに。」
「え~シャオが塾にぃ~? 絶対嫌だな~。」
「あたし達も行くの?」
「・・・喜媚さま、そこでは内政や農法も教えているんですよね?」
「そうだね大喬ちゃん。
洛陽で使ってる新しい農法や文官としての内政、経済の事も教えてるね。
諸葛亮ちゃん達も最初は自分が覚えるのに大変だってぼやいてたけど。
あの娘達と言うか、軍師や文官をやるような人達は、
やっぱり新しい事や未知の学問に飢えているらしくて、
徹夜してまで覚えたみたいだよ。
あっという間に基礎を覚えてびっくりしたよ。」
「喜媚様ちょっと失礼します。」


そう言って大喬ちゃんは孫尚香ちゃんと小喬ちゃんを引っ張って、
店の隅の方に行ってしまった。




--大喬--


「小蓮様、小喬、コレは私達も通えるなら通うべきかもしれません。」
「・・・本気で言ってるのお姉ちゃん?」
「え~せっかくうるさい蓮華お姉ちゃんや冥琳から逃げられたと思ったのに、
ココでも勉強するの? シャオやだな~、そんなんより、
喜媚ちゃんと仲良くなる方が楽しくていいな。」
「小蓮様! 遊び呆けて私達の真の任務を忘れてないですか?
洛陽での統治方法や農法、兵法を調べて、
雪蓮さま達に報告する事も大事な任務なんですよ!
毎日茶店で働いて、空き時間に遊び歩くのが任務じゃないんですよ?」
「それはそうだけど・・・もう少し遊んでから・・・」
「「・・・・・・」」
「うっ・・・分かった、分かりました!
もう、大喬も小喬も、お姉様や冥琳の為になる事になると頑固なんだから・・・」
「小喬もいいですね?」
「あたしもいいわよ、冥琳様の為になる事なら、
それに下手にコソコソと嗅ぎまわるより、
塾で学べるのならそっちの方が正確だし、手っ取り早いわ。
・・・だけど問題は、喜媚や董卓が通わせてくれるかどうかよね。」
「本気か冗談かはともかく、向こうから誘ってきたんですから、
今なら、話の流れで私達も行きたい、
と、私達が言えば喜媚さんも嫌とは言えないでしょう。
それに董卓軍や皇帝陛下に強い影響力を持つ喜媚さんなら私達を塾に通わせるのも、
それほど難しいことではないはずです。
「そうね、今ならそれでいいわね。」
「・・・面倒だなぁ、私はもう少し遊びたかったのになぁ。
私は喜媚ちゃんとは仲良くやってるから二人が塾に行って・・き・・・たら・・・」


私は小喬と一緒に小蓮様を睨みつける。


「行きますわよね? 小蓮様♪」 「行くわよシャオ様!」
「はいはい・・・ハァ、遊ぶ時間が減っちゃうのか・・・」




--喜媚--


大喬ちゃん達が部屋の隅の方で何やら話し合った後、
いきなりこっちの方を向いて早足で歩いてきたので、
何事かと思って身構えようとしたら、
大喬ちゃんと小喬ちゃんが私の上着の裾を掴んで上目遣いで。


「喜媚さん!」 「喜媚!」
「な、何? どうしたの?」
「「私達もその塾に通えない(でしょうか)っ!?」」
「え? ほんとうに皆塾に通いたいの?」
「えぇ、雪蓮様や冥琳様から洛陽で勉強してくるように言われてますし、
雪蓮様達から離れて、少し自由になってボケが回ったようですけど、
小蓮様も同じように洛陽での生活や、
宮中での立ち居振る舞いを学ぶように言われてます。
だけど、私達だけでは学ぶにも、町の中を見て廻るか、
人に話を聞くかしかありません。
しかし下手に動いて、董卓様に間諜だと疑われるのも本意じゃありません。
しかし、塾で学べるんだったら、
そこで学ぶ事で雪蓮様や冥琳様の命をこなすことができます。
ちゃんと仕事の方も、しっかり手を抜かずにやりますから、
通わせてくれないでしょうか?
小蓮様もきっと、そのほうがしっかり勉強することができると思いますし。」
「いや、私は・・・」


孫尚香ちゃんが何か言おうとしたら、
大喬ちゃんと小喬ちゃんが凄い目付きで彼女を睨む。


「・・・はい、シャオも塾で勉強したいです。
・・・まったく二人はシャオのお付きだっていうのに・・・ブツブツ。」
「シャオ様もああして、勉学を学びたいと言ってるから
なんとか喜媚からあたし達が塾に通えるように話をつけて貰えない?
学費だったら冥琳様に言えばすぐに工面も付くと思うし
大喬の言う通り仕事も塾に通う分を補うように 『夜の方』 もちゃんとするから。」


なんか今小喬ちゃん 『夜の方』 を強調していったけど、
早速ボロを出したのかな? 彼女原作だと結構うっかりボロを出すところがあるから。
まぁわかってた事だから今更驚かないけど、
やっぱり孫策さん辺りから、私を篭絡しろとか言われてきたんだろうなぁ・・・
孫策さんも皇帝の血筋を入れれる可能性が少しでもあるなら、
手を打っておこうと言うのも彼女の立場なら理解できるし。


「小喬!」
「え? 今あたし何かまずい事言った?」
「喜媚さん? 今この某人気投票最下位娘が、
何かふざけた事を抜かしやがりましたかもしれませんけど、
なんでもありませんので。」
「ちょっと大喬!」
「何っ! 小喬が変な事口走るからで私が補佐してるんでしょ!」


私の胸元で姉妹喧嘩は止めていただきたいのだが・・・
しょうがないので、話を逸らすことで、姉妹喧嘩を収める事にした。


「そんなに塾に通いたいなら、私の方から詠ちゃんに話を通してあげようか?
一般の民も通ってる塾だから、孫策さんのところのお客だからって、
詠ちゃんも断るとは思えないし。」
「「本当ですか?」」
「シャオは・・・はい、行きたいです。」
「それでは是非お願いします!」
「じゃあ、三人で美羽ちゃんと一緒に午前中だけ通うって形でいいかな?
ウチの店が忙しいのは午後からだし、
通うなら一緒の方が美羽ちゃん達とも仲良くなる機会が増えるだろうし。」


私がそう言うと、三人は少し微妙な表情に変わる。


「やっぱりね・・・ここ数日見てきたけど、孫尚香ちゃん達、
美羽ちゃんと少し間を開けてるような感じがするんだよね。
今までの孫策さんと美羽ちゃんの経緯は私も知ってるから、
しょうがないと思うし、すぐに仲良くなれるとは思えないけど、
一緒の職場で働いて寝食を共にするなら、
少しは仲良くなったほうがいいと思うんだよ。
親友のように仲良くなれ、とは言わないけど、
普通に話ができるくらいにはなって欲しいんだよね。
それに孫尚香ちゃん達三人は美羽ちゃんの事、話でしか聞いてないでしょう?
実際の彼女を見てもらえば、そんなに悪い子じゃないって言うことも分かると思うし、
彼女にも幼くして領地を継いで、それを運営していかなきゃいけないし、
美羽ちゃんを利用しようとする大人も後を絶たなかったから、
結構、美羽ちゃんなりに苦労してるんだよ。
七乃さんがその辺をうまく取り繕って、
その結果、孫策さんが割を食う事になったんだけどね・・・」
「「「・・・」」」
「それを理解しろ、とは言わないけど、普通に話せるようにはなって欲しいんだ。
ウチのお店はお客さんに、ゆっくりお茶と飲茶とお菓子を楽しんで貰う所だから、
従業員同士がギスギスしてるとやっぱりまずいんだよね。」
「・・・申し訳ありません。」
「いや、別に謝ってほしいとかじゃないんだよ。
昔の事は色々有ったと思うけど、今とこれからの事を考えて欲しいんだよ。」
「今とこれから・・・」
「美羽ちゃん達の過去の事を持ち出すんだったら・・・例えば、
月ちゃん達だって反董卓連合の事を持ち出すようになっちゃうでしょ?」

「「「っ!?」」」

「その時の事を持ち出せば、本来なら孫尚香ちゃん達は、ココにいられない訳で、
最悪、本当に憎んでいたんだったら・・・今だから言うけど、
連合軍を朝敵として認定して、
虎牢関と汜水関の間に挟み込んで兵糧攻めにして殲滅する。
という献策も一時上がっていたんだよね。」


その事を話すと彼女達三人の表情は真っ青になり、悲痛な表情をする。


「だけど、月ちゃんはこの国の将来の為に、憎しみでお互いを潰しあうんじゃなくて、
過ちもあるけど、許せるものは許して、討つべきものは討って、握れる手は握って、
そうして皆でこの国の未来を描こうとしている。
孫尚香ちゃんや大喬ちゃん、小喬ちゃんにも、
美羽ちゃんや七乃さんの過去の事ばかり見て、
憎みあうんじゃなくて、未来を見て欲しいんだよ、
皆まだ若いしこれからなんだから。」
「「・・・」」
「・・・フフッ、そんな事言うと喜媚ちゃんお祖母ちゃん、
じゃなかったお爺ちゃんみたいだよ。
いや、でもちょっとちがうかな?」
「ほっといてよ、私はじじ臭いってよく言われるんだから・・・
考えが老成してるってね。」
「本当、喜媚ちゃんは変わってるよね、それを言ったら董卓さんもか。
お姉様だったらきっと、殲滅する策を選んでたかもしれないね・・・
でも私は董卓さんや喜媚ちゃんの方がいいな・・・皆が喧嘩して争うより、
仲良くしたほうがやっぱりいいよ。」
「孫尚香ちゃん・・・・」


そう言うと孫尚香ちゃんはニッコリと笑って、
一回くるりと回ってもう一度私の顔を見て笑う。


「エヘヘ・・・喜媚ちゃん。 今からは小蓮かシャオでいいよ♪
私、喜媚ちゃんや董卓さんの事気に入っちゃった。」
「でもそれって真名じゃ・・・」
「うん♪ 喜媚ちゃんに私の真名を預けるよ。
それに・・・本気で喜媚ちゃんを狙っちゃおうかな♪」


そう言って彼女はくるりと回って、人差し指を唇に当てて、ウインクする、


「え? 狙っちゃうって・・・」
「フフ、こっちの話♪
大喬、小喬! さぁ、今日も頑張ってお仕事するよ!
喜媚ちゃん、塾の件よろしくね♪ 私達三人で通うから!」
「あ、うん。 それは詠ちゃんに頼んでおくよ。
近い内に三人とも通えるようにお願いしてみるよ。」


孫尚香ちゃん・・・いや、今からはシャオちゃんか。
シャオちゃんは大喬ちゃんと小喬ちゃんを連れて部屋に戻って制服に着替えに行った。




--孫尚香--


あの時のシャオを諭すような、言い方・・・
なんか喜媚ちゃんは見た目殆ど女の子だけど、
シャオを諭すあの時は確かに男の子・・・いやお父様みたいだった。

喜媚ちゃんは元々優しかったけどああいう所もあるのだと、新発見。
ちょっと『キュンッ』と来ちゃったな。
それにあの考え方・・・いや器の広さ。
喜媚ちゃんも董卓さんも器の広さなら、お姉様以上かもしれない・・・
お姉様じゃ敵だった者を懐に入れる器は無い。
敵は殲滅、お姉様の基本だし・・・お姉ちゃんなら敵でも懐に入れるだろうけど。


「小蓮様、私達が塾に通えるように口利きしてもらえるようになったのは良いですが、
アレは何だったんですか!?
まさか、こんな短期間で喜媚さんに真名を預けるだなんて。」
「そうだよ、まだ喜媚がどんな奴かわかってないし、
流石にいきなり真名を預けるのはどうかと思うよ。」
「ん~? なんて言うのかな・・・お姉様じゃないけど、私の勘?
喜媚ちゃんはきっと、将来凄い出世しそうな感じするし、
凄い優しい旦那様になりそうな気がしたんだよね。
その分女っ気は多いけど、今のウチに唾つけとこうと思って。
でないと、なんか間に合わなくなりそうな予感がしたんだよね。」
「勘って・・・」
「お姉様に喜媚ちゃんを篭絡して、子供を産めって言われて・・・
私も正直孫家の女だから、孫家の為に私が望まない相手でも、
その男の子を産むのに覚悟はしてたけど・・・
今回はお姉様に言われなくても、私が喜媚ちゃんを本気で狙っちゃおうかなって♪」
「本気なんですか・・・正直、私は女顔の情けない男だと思いますけど。
まぁ、少しはいいところもあると思いますけど。」
「あたしは・・・まぁ、この乱世に生きる奴の中じゃ多少まともな奴かとは思うけど、
真名を預けるのは正直まだ早いと思う。」


二人は私が喜媚ちゃんに真名を預けた事が疑問のようだが、
そんなにおかしいことだろうか?
お姉ちゃんはともかく、お姉様だったら絶対私と同じように、
今すぐ真名を預けようとすると思うんだけど。


「大喬や小喬にも多分その内分かるよ。
喜媚ちゃんは、優しいだけじゃないよ。
でなかったら反董卓連合の時、兵を率いて汜水関に出てこないし、
武官の人達からあんなに信頼されてないよ。
武官の人達は・・・思春なんか特にそうだけど、
実力が有るか、覚悟が無い限り、その人を絶対認めないし、
ましてや真名なんて預けないよ。
でも喜媚ちゃんは、董卓軍の主要な将官からは武官、文官問わず真名を預かっている。
きっと、それ相応の覚悟も持っているはずだよ。
(それに器の大きさはきっとお姉様以上、
敵軍だった私達を簡単に懐に治めちゃうくらいなんだから。
コレはお姉様にもにもきっと真似できない、お姉ちゃんでもすぐには無理だろう。
ある程度見極める時を経てからならば、受け入れるだろうけど。)
そ・れ・に・私の勘もそう言うってるしね♪」
「小蓮様!」 「シャオ様!」
「さぁ、二人共今日もお仕事頑張るよ!
売上上げて、私達のお給金も上げてもらって、塾に通って勉強もして、
癪だけど袁術達とも少しだけ仲良くして・・・
それで三人で喜媚ちゃんを落としちゃお♪」


こうして、お姉様から最初言われた時は、不満もあったけど、
洛陽での暮らしは、私にとって楽しい生活になっていきそうだ。


  1. 2012/11/08(木) 22:45:40|
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雑記


こんにちは。


少し体調を崩して、医者に行っていたので、
更新が遅れてしまいました。
先ほど八十六話を投稿しておきました。
良かったら読んでやってください。


>>Sさん
目次の件は解決したみたいですね。
グーグルとか検索エンジンから直接飛んできたのですかね?

>>おふぃさん
この恋姫SSはPC版恋姫、真恋姫をベースにしているので、
主な登場人物は「この物語の登場人物は(ry」です。

>>マサフミさん
霞の台詞はなかなか難しいです。
私自身関西出身じゃないので。


それと今回、3日おきの更新が出来なかったです。
5日と8日に更新するのが本来のペースだと思うので、
明日8日、できたら八十七話を更新しようと思います。
あまり期待せずにお待ちください。


たいち
  1. 2012/11/07(水) 20:07:25|
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八十六話


洛陽




明命ちゃんを見送り、皆で店の開店準備を済ませ、
店の表に出て、今日も店の営業をがんばろうと、店の前で気合を入れていた時に、
劉備さん達が、意外な人物・・・公孫賛さんを連れてやってきた。


「す、済まない胡喜媚殿、急いで董仲穎様に急ぎ、会わせて頂けないだろうか?
ゆ・・・幽州の事で報告したい事があるんだ。」
「公孫伯珪様・・・生きてらしたんですね、安心しました。
とりあえず店の個室へ皆さん入ってください。
私はその間に、宮殿へ使いを出して面会の許可を得ます。
劉備さん達もこんな状況では塾や警備に行くわけにも行かないでしょうから、
私から話を通しておきます。
その間に詳しい話を聞かせてもらうのと・・・
公孫伯珪様の着替えもしてしまいましょう。
その格好では宮殿へ行くのは少々まずいでしょう。」
「世話をかけて、申し訳ない。」
「それと、宮殿に出入りしても問題無さそうな服の方はありますか?
無かったら、劉備さんか趙雲さん、愛紗ちゃん辺りの服か、
ウチの従業員の服をお貸ししますが。」
「いや、大丈夫だ。 荷物の中に一応宮中でも問題無い服を持ってきているから。」
「そうですか、それではまずは店の中へ。
面会の許可を得るまでに軽く飲茶か、食事でもされたほうがいいでしょう。
用意させますから、良かったら食べていってください。」


そうして私達は店の中に入ろうとするが、劉備さんが何か話があるようで、
私の服の袖を掴んで話しかけてきた。


「あ、あの喜媚ちゃん! 食べ物だったら少し多めに用意できないかな?
実は家に白蓮ちゃんが連れてきた兵達が十数人程居て、
皆かなり疲れているようなんだよ。
しばらく何も食べてないみたいで・・・」
「分かりました。 持っていけるような食事を用意しますので、
劉備さん達は用意でき次第、すぐに持って行ってあげてください、
お代の方は結構なので気にしないで持って行ってください。」
「何から何まで済まない。
彼らは、私を逃がすために尽力してくれた者達なんだ。
私だけ食事を取るというのも気が引けるし、
私もできる限り部下達には恩を返したい。」
「分かってますよ。 さぁ、まずは店の中へ。
劉花ちゃん、七乃さん、大急ぎで十数人分の持ち運び出来る食事と、
公孫賛さんの食事を、それとお湯と拭く物を。
流石にお風呂は今からでは無理ですが、
月ちゃんに会う前に、身だしなみを整えるくらいした方がいいでしょうから。」
「はい、かしこまりました。」 「は~い任せてください。」


そして私達は店の個室へ入り、
公孫伯珪さんにまずすぐ作れる蜂果水でも飲んでもらい、
喉を潤してもらってから、話を聞く事にした。


「それで、公孫伯珪様、何があったんですか?
袁紹さんの部隊が幽州を襲ったという話は聞いてますが・・・」
「あぁ、もうそこまで噂が流れているのか・・・そこまで知ってるなら話は早い。
連合を解散して私達は幽州へ戻った後、いつもの様に烏桓達、異民族対策のために、
軍を再編成して、内政を行なっていたんだが、
いきなり、州境に麗羽達の部隊が現れて、
麗羽の、いつもの口上も無く、いきなり宣戦布告をして攻めてきたんだ。
私達も流石に麗羽の兵数にはなんともできず、籠城して時間を稼いで、
せめて民への被害を抑えようとしたりしたんだが、
戦術がおかしかったんだ・・・喜媚殿は汜水関で戦ったから知ってるかもしれないが、
私の知るいつもの麗羽だったら、 『美しく華麗に前進!』 とか言って、
ひたすら兵数と武装に物を言わせて突撃がいつもの戦術なんだが、
今回はそれとは違って、誘うような陣形見せたり、火計を使ってきたり、
兵もまるで兵法書の見本のような、見え見えの陣形を整えて、
またその通りの攻城戦を行なってきたんだ。」
「そうなんですか・・・こちらの掴んでいる情報だと、
袁紹さんは、どうやら皇帝陛下の指示通りに、
領地と私財を明け渡すつもりだったようですが、
下の者達がそれに反発し、袁紹さんを御輿に担ぎあげて、
武装蜂起したと聞いています。
袁紹さんの口上がなかったり、戦術が違うのはおそらくそのためでしょう。
指揮をしているものが違う・・・つまり袁紹さんはお飾りの神輿で、
実際の指揮をしている者は別の者なのでしょう。」
「そうなのか・・・麗羽の奴。
前から下の者を抑えるような事はしてないだろうからな・・・
アイツは袁家の名声だけでやって来たようなところがあったから。
私も、昔何度か諌めたんだが聞き入れられなかったし・・・」
「それで、幽州の方はやはり袁紹さん、と言うか蜂起した者達の手に?」
「あぁ、兵法書通りの攻城戦を仕掛けてきたから、私も相手の動きを読みやすくてな、
なんとか兵と民を逃がし、略奪で民が襲われるような事は避けられたんだが、
私も陛下から幽州を預かった身だ、
最後に麗羽に恨み言の一言くらい言ってやろうと思って、
最後まで戦おうとしたんだが、部下の者達が私に逃げるように言ってな・・・
反対したんだが、無理やり気を失わされて、
気がついたら、城からどれだけ離れたかわからないくらいの所まで運ばれて、
戻ろうとも思ったんだが、陛下と董卓殿にまずは事実を伝えてから、
御指示を受けようと思って・・・それと私を逃してくれた兵達の事も心配だったから、
せめて兵たちの暮らしが立ち行くように、桃香に頼もうかと思って。
丁度、陛下も桃香も洛陽に居るから、とにかく洛陽まではなんとか辿り着こうと思い、
こうして生き恥を晒してる次第だよ・・・」


そう言って、公孫伯珪様は疲れた表情で乾いた笑いを浮かべた。


「生き恥だなんて言わないでくださいよ。
公孫伯珪様を逃してくれた部下の方たちは皆公孫伯珪様を慕った上で、
生きてほしくて公孫伯珪様の命令に背いてまで、
こうして洛陽まで一緒に来てくれたんじゃないですか。
彼らのためにも、公孫伯珪様は頑張って生きてください。
それに月ちゃんや陛下も、
そんな公孫伯珪様を責めるような沙汰を下すとは思えません。
きっと兵達やうまく逃げる事のできた兵や民達の事も、
なんとかいい方向に持って行ってくれますよ。」
「・・・そうだな、私がみっともない姿を晒したら、
ここまでついてきてくれた部下達に示しが付かないよな・・・」
「白蓮ちゃん・・・」 「伯珪殿・・・」
「お話は大体わかりました。
詳しい報告は月ちゃん、董仲穎様と陛下にするとして、
まずは公孫伯珪様はご飯を食べて身だしなみを整えて、
しっかりと背筋を伸ばしてください。
少なくともココには誰も公孫伯珪様を責める人はいませんし、
きっと董仲穎様と陛下も貴女を責めるような事は言いませんよ。」
「そうだよ白蓮ちゃん、白蓮ちゃんは精一杯頑張ったよ。
誰も白蓮ちゃんを責めたりしないよ!」
「伯珪殿、よく・・・よくここまで生きてたどり着いてくださった。
私はまた会えて嬉しいですぞ? ただ・・・私はただそれが嬉しいだけです。」
「・・・・済まない、桃香、星、胡喜媚殿。」


そうして公孫賛さんは、用意された食事を無言で食べて、
用意されたお湯と手ぬぐいで体を拭く間、私達は部屋から出ていたが、
公孫賛さんが着替えて部屋から出てきた時には、
先ほどまでの落ち込んだ様子は無く、
しっかりとした表情と立ち姿で私達の前に現れた。


「さぁ、行こうか!」
「・・・あの、気合の入った所、申し訳ないのですが、
まだ宮殿からの謁見するかどうかの返答を持ってくる使者が来てませんので、
もう少し待ってもらえますか?」
「・・・す、済まない。」


それからしばらく、
劉備さん達と公孫伯珪さんが道中の話や、昔の話等をしている間に、
私は個室から出て、公孫伯珪さんの兵の食事作りを手伝い、
用意ができたので、愛紗ちゃんや張飛さんに持って行ってもらい、
私達は宮殿からの使者を待っていた。

公孫伯珪さん達が来た頃より、陽も少し登りはじめた頃、
宮殿からの使者が来て、すぐに会うと言う連絡をもらったので、
それを、個室にいる公孫賛さんに伝え、屯所の警備兵さん数人に、
公孫賛さんを宮殿まで送ってもらうよう頼み、
残っていた劉備さん達も一旦家に帰っていった。




--賈詡--


喜媚から急ぎの伝令が来たので、すぐに話しを聞いてみたが、
公孫伯珪が生きて洛陽の劉備を訪ねてきて、
月への報告のため、謁見を願っているとの事なので、
急ぎ音々達文官を集め、月の今日の日程調整をして、
すぐに公孫伯珪に宮殿に来るように使者を出した。

それからしばらくして、屯所の兵に付き添われ、公孫伯珪が謁見の間に現れ、
連合解散後の経緯、袁紹軍の情報、分かる限りの幽州の状況、
道中で見聞きした袁紹軍の動き、
などの報告を受け、その上で願いがあると言うので、話を聞いてみた。


「私はどのような処遇になっても構わないので、
ここまで私についてきてくれた部下や、
避難して今や流民の様になっている、幽州の民の事をお願いします。
彼らには何卒、穏便な処遇を重ねてお願いいたします。」


そう言って公孫伯珪は膝を付き、頭を下げる。


「公孫賛さん、私は・・・おそらく陛下も、公孫賛さんを罰するとか、
その部下を罰するようなことは考えていません。
確かに陛下から預かった幽州を守れなかったのは、
不徳と言えばそうなのかもしれませんが、
それが異民族に敗れたとか、公孫賛さんの悪政によるものならばともかく、
そう言うわけではなく、本来ならば陛下の御沙汰に沿って、
解散すべきである袁紹軍が、陛下の意に背いて暴徒と化したのは、
私の不徳の致すところでもあります。
その事について、公孫賛さんやその部下を責めることなどありえません。
それに幽州の民や兵が、洛陽や私の領地に避難してくるというのならば、
コレを受け入れる準備もしておきますので、
もし、公孫賛さんの方で、連絡が取れるようならば、
是非、我が領内に避難するよう進めていただければと思います。」
「董仲穎様・・・ありがとうございます!」


月との話が終わったところで、今度は私の方から、
公孫伯珪の今後の身の振り方について尋ねることにした。


「・・・さて、そこで話は代わるのだけど、
公孫伯珪、貴女これからどうするつもりなの?」
「私は、まずはとにかく董仲穎様や陛下にご報告を、としか考えていなかったので、
これからは・・・できたら袁紹軍に一矢報いたいところではありますが、
今まで無理をさせてきた部下に、これ以上無理を言うわけにも行かず、
かと言って私一人で何かできるわけでもなく・・・どうしていいのやら、
まだ何も考えが思いつかない状態です。」
「そう、ならばしばらくはこちらで住む所、部屋を用意するから、
しばらくそこに泊まって、もう少し細かい情報の交換や、
これからの身の振り方を考えるといいわ。
貴女は一応先の連合に所属していた身だから、
いきなりウチで登用という事もできないけど、
しばらく素行などの様子を見て、問題ないようだったら、
ウチで登用という事もできる。
そうすればもしかしたら、袁紹軍に一矢報いる事もできるかもしれないし、
まだ、陛下や漢の為に働きたいというのだったら、悪い話でも無いと思うわ。
今すぐ答えを出せとは言わないから、選択肢の一つとして考えておいて頂戴。」
「賈文和殿・・・わかりました、少し考えさせて頂きます。」
「では、コレにて謁見を終了する。
公孫伯珪は侍女に部屋に案内させるので、そこでしばらくは過ごすように。
宮殿の外に出たい時は、侍女にその旨伝えてから好きにしてもらって構わないけど、
洛陽の治安を乱すような事をしない事と、洛陽から出ないように。
まだ、貴女からは聞くべき情報があるから、勝手な真似はしないように。」
「はっ、かしこまりました。」


こうして侍女に案内されて公孫伯珪は謁見の間から出ていき、
謁見の間には月、ボク、音々、後数人の文官が残されるだけとなった。


「さて、今の公孫伯珪の情報を元にウチの細作が調べた情報とすりあわせて、
袁紹軍の動きと、幽州の情報をまとめるわよ。
喜媚が言うには、公孫伯珪はかなり優秀だそうだから、
しばらく様子を見た後、
ウチで登用することも視野に入れようかと思うけど、どう思う?」
「音々はいいんじゃないかと思うですよ。
幽州の統治は他に比べれば安定していますし、
烏桓相手の対策にも特に落ち度はないです。
連合軍に沙汰を下す時の態度や今の様子も、
陛下に対して弓引くような事も無いでしょうし、
しばらく様子を見て、おかしな動きをしないようなら問題無いと思うです。
何より彼女から、烏桓の情報が手に入るのが良いです。
彼女が今まで烏桓と対面してきた様々な出来事は、
今後の烏桓対策に非常に役に立つですよ。」
「そうね、私達には烏桓の情報が少なかったから丁度いいわね。」
「私もいいと思うよ詠ちゃん。
公孫賛さんは部下思いの良い人のようだし、
喜媚さんも公孫賛さんは評価していたし。」
「喜媚が言うには、高い水準で全ての能力が平均的で、万能の将だとか言ってたっけ?
確かに華雄達やボク達みたいに一点突破の能力も大切だけど、
全てにおいて万能の能力を発揮でき、
武官も文官もできる将なんて、絶対手放すべきじゃないわね。」
「ならば後はしばらく素行を見て問題無いようだったら、
士官の誘いをしてみるです。」
「そうね。」
「そうですね。」


こうして、この日の緊急の謁見は一旦終了し、
これ以降、公孫伯珪から様々な情報を聞きつつ、彼女の能力を見定める事にした。
その際、公孫賛と呼び捨てでいいと言われたので、お互い名で呼び合うようになった。




--喜媚--


公孫賛さんが宮殿に行ってから皆に何事か聞かれたので、簡単に経緯を説明し、
詠ちゃんに連絡を取り、皆に食事を用意した事で、
私達にできそうな事は終わったので、
通常営業に戻るように皆に指示を出し、私達は店の営業をしていた。

美羽ちゃんが七乃さんに付き添われて塾から帰ってきた時に、
今日は劉備さんは休みだった事を聞いたが、こんな状況では仕方が無い。
昼食を交代で食べてしばらく店の営業をしていた時、
公孫伯珪さんが一人で店にやってきた。


「胡喜媚殿、さっきはお世話になりました。
お陰で、董仲穎様に報告する事ができ、
部下や戦から逃れ民達もなんとかなりそうだ。」
「それは良かったですね、でも私がした事といっても、詠ちゃんに連絡を取って、
劉備さんに言われて皆さんの食事を用意したくらいですから、
大したことはしてませんよ。」
「いや、おかげで助かった。
さっき桃香達の家に行って部下達の様子を見てきたが、
ようやく満足な食事を取り、休む事ができて、皆安心して休息を取っていた。
・・・幽州からここ洛陽まではかなりの長旅だったから、皆疲労の限界だったんだ。
そんな中で、満足な食事を取れるというのは、それだけで救われた気持ちになる。
別に桃香達に意見があるわけではないが、桃香達は今は強制労働の身で、
なかなか資金の融通や食事の融通も効かない。
私が部下と桃香の家に駆け込んだ時は、
すでに彼女達は食事を終わらせた後だったし、
私達の食事をすぐ用意できる状況ではなかったんだ。
胡喜媚殿が気を利かせてくれたおかげで、部下達も満足な食事を摂る事ができて、
十分休息も取れた、本当に助かったよ、改めてお礼を言わせて欲しい。」
「そうですか・・・それではお礼だけ頂いておきますね。」
「あぁ、後何か私にできる事があったら、いつでも言ってくれ。
私にできることならなんでもしよう。
それと公孫伯珪と言うのも止めてくれ、普通に公孫賛でいいよ。」
「わかりました。 私も喜媚でいいですよ、皆そう呼びますし。
それでは何か困ったことがあった時は、相談させてもらいますね。
名前の方も公孫賛さんと呼ばせてもらいます。」
「しばらくは洛陽の宮殿に世話になる事になったから、
なにかあったらいつでも言ってくれ。」
(でも、公孫賛 『さん』と言うのもなにか変な感じだな・・・)


公孫賛さんも、月ちゃんに報告できた事と部下の皆が元気だという事で、
精神的に落ち着いたのか、少しは笑う余裕も出てきたようだ。

その後、公孫賛さんと少し話をした後、彼女は劉備さん達のところにもう一度行って、
部下の様子を見るのと、旧友の劉備さん達と少し話をしてから、
宮殿の用意された部屋に帰るそうだ。


こうして、孫尚香ちゃん達に引き続いて、
公孫賛さんが洛陽に来るというハプニングがあったが、
何はともあれ、公孫賛さんや、部下の人達が無事でよかった。
後は、幽州の人達がどうなったのか気になるが、
それは後で詠ちゃんにでも聞く事にしよう。


  1. 2012/11/07(水) 19:56:37|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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雑記


こんにちは。


先ほど恋姫SSの八十五話を投稿しました。
良かったら読んでやってください。


>>ライナスさん
ようやく翠の出番が回って来ました。
恋姫のSSだと、どうしてもキャラ数が多いし、
反董卓連合後だったので中々順番が回って来ませんでしたが、
ようやく出番が回って来ました。

>>まさやんさん
まぁ、そこは路地裏での会話とお約束でスルーと言う事にするか、
後で内情を知っている親衛隊か喜媚の部隊員にチクられて、
詠辺りにこってり絞られた、と言う感じで。

>>Gfessさん
今回は爆弾は一個と見せかけて実は2個ありました。
って感じにしてみました。
言う程爆弾って感じではありませんが、
シャオの方は確実に騒動を引き起こしそうなメンバーですね。
稟や風の出番はもう少しあとになるのかと思います。
ちゃんと出番はありますのでご安心を。

>>相沢祐一さん
上でも言いましたが、お約束スルーか、
詠あたりにこってり絞られるオチを入れたらよかったかもしれません。
そしてすっかり忘れ去られていた公孫賛さんがついに登場!
忘れられてませんよ。
彼女は後でも語られますが、喜媚はかなり評価してますので、
このSSでは高待遇される……かも?


たいち
  1. 2012/11/02(金) 20:45:10|
  2. 雑記
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八十五話


洛陽




その日はいつもの様に起床し、店を開いていたのだが、
昼食後、私が厨房で料理を作っていると、私に来客が来ているというので、
店の入口に向かうと、そこには意外な娘達が店にやってきた。



「喜媚さま、お久しぶりです!」
「明命ちゃん!?
久しぶり・・・だけど、何か月ちゃんに緊急の用事でもあったの?」
「いいえ緊急ではないのですが、
今日は以前喜媚さまにお願いした件でやって来ました。
シャオさま、大喬さま、小喬さま、どうぞこちいらへ。」


明命ちゃんの指示で店に三人の娘が入ってきたが、
一人は、桃色の長い髪の毛を両方に輪っかができるように束ね、
孫策さんを幼くしたような容姿で身長は桂花と同じくらいだろうか?
私や明命ちゃんよりも若干低い。

もう二人は顔から背丈、着ている服もほとんど同じで、
薄い白に近い桃色のミニのチャイナドレスで紫のニーソックス。
濃い赤に近い桃色の髪を頭の両方にお団子に束ねている。
唯一違いがあるとすれば、態度というか雰囲気だろうか。
一人は気の弱そうな感じを受ける。
もう一人の方は逆に気が強そうなつり目で、私の品定めでもしているのか、
若干、睨みがちな目線で私を見ている。


「はじめまして! 孫尚香と言います。
今日からよろしくお願いします!」
「はじめまして、私は大喬です。
明命さんから事前に連絡が言っていると思いますが、よろしくお願いします。」
「はじめまして、あたしは小喬、大喬の双子の妹です。
小蓮様のお世話係としての仕事があるけど、
洛陽で貴方のお店の手伝いもするように言われてますから、
遠慮無く申し付けてください。
それと冥琳様の事、本当に有難うございます!
お陰で、冥琳様はあれから体調を気にすること無く、毎日元気に政務に励んでます!」
「あ、はじめまして、胡喜媚です。
普段は喜媚と呼んでくれれば結構なので、
仕事中は店長とでも呼んでくれればいいのでよろしくお願いします。
それに周瑜さんの事はあんまり気にしないでね。
私も周瑜さんが元気になってくれて嬉しいんだから。」
「はい♪」


最初に挨拶したのが、孫尚香ちゃんで、次に挨拶してきたのが、
双子の気の弱そうな方の娘、
大喬ちゃんだが、一応彼女が姉のようだ。
そして最後に挨拶してくれたのが小喬ちゃんで、さっきまでの視線とは違い、
満面の笑みで挨拶をしてくれた。

流石に江東の二喬と言われるだけ有って、かなり可愛いのだが、
私は、大凡彼女達の目的がわかっているし、
原作知識で、彼女達の性格も、
今の外向けの愛嬌のある性格では無い事を知っているので、
特に見惚れたり、動揺すること無く、挨拶を済ませることができた。
それでも少しドキッとしてしまったのはご愛嬌だろう。


「立ち話も何だから店に入って。
個室のほうで、これからの話しをしようか。」
「はい、よろしくお願いします。」


私は明命ちゃん達四人を個室の方に案内し、
途中で、お茶とお菓子を出してもらうように、従業員に指示を出す。

私達は個室に入ってそれぞれ席に座り、私の指示を聞いてくれた娘が、
お茶とお菓子を持ってきてくれたので、それぞれに出し、
一旦落ち着いてから、これからの事を話す。


「それにしても随分急だったね、
書簡が一~二回くらい送られてくるものだと思ってたけど、
いきなりやって来るとは思ってなかったよ。」
「すいません、こちらにも少々事情がありまして・・・
お部屋の準備とかまだでしたら、しばらくどこかで宿を取りますが・・・」
「あ、部屋の方は大丈夫だよ、
良く泊まっていく人がいるから、いつでも何人か泊まれるようになってるんだ。
とりあえず数日はそこに泊まってもらって、
その間に一応お客さんじゃなくて、従業員として扱って欲しいと言う事だから、
そうだな・・・自分達で、部屋の掃除をしてもらおうかな。
そのほうが自分で使う部屋を、ある程度自分好みの家具の配置にしたり出来るでしょ。
一人一部屋の方が良かった?」
「いいえ、できたら三人で一部屋の方がいいのですが・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、店の増築工事の方もほぼ終わって、少し大きめの部屋もあるから、
そこに寝台だけ三つ移動させれば、そんなに狭くはないと思うよ。
流石に部屋の準備ができるまでは、
明命ちゃん合わせて四人一緒の部屋に放り込むわけにも行かないから、
とりあえず・・・二部屋客室を用意するから、
明日から三人の使う部屋に案内するから、
自分達の部屋の掃除の方は自分達でよろしくね。
私達は店の営業があるから手伝えないけど、
力仕事がいる時は、言ってくれれば男手を出すから。」
「はい、よろしくお願いします。」
「孫尚香ちゃんも大喬ちゃんも小喬ちゃんもそれでいいかな?」
「うん、それでいいよ♪」
「はい、私達もそれで構いません、ね、小喬ちゃん?」
「はい、それで構いませんよ。」


こうして、それぞれの部屋の事を話した後、
三人がそれぞれ、何ができて何ができないか聞いて、
仕事の割り振りをして、
住み込みと言う事なので、その辺りを考慮したお給金の話をした。
やはり定期的に月ちゃんや詠ちゃんと会ったり、
勉強の事もあるので、営業日は毎日働いてもらうという訳にはいかないようだ。

孫尚香ちゃん達は、部屋を借りて働きはするが、
董卓軍との交流もあるので、毎日働くことができるわけではない。
そんな状態なので、給金が出るとは思ってなかったようで、
給金が出るという話をしたら喜んでいて、
孫策さんからの支度金や定期的に送られる仕送りと合わせれば、
かなり資金に余裕ができ、
洛陽での最新の流行の甘味や服などを買ったりできる喜んでいた。


「しかし喜媚さま、本当によろしいんですか?
あまり働けるわけでもないのに、部屋を借りて食事を出してもらっているのに、
お給金まで出していただいて。」
「あ、コラ明命! 余計なこと言わなくても・・・」
「そっちの方は問題ないよ。
私も一応店を預かってるから、経理の方もやってるけど、
三人が働いてくれる分で、十分元が取れると思うから。
新装開店時に、新しく持ち帰りのお菓子も何種類か出すんだけど、
その分の売上で十分お給金を出せる分働いてもらえると思うから。
(なにせ孫尚香ちゃんに、江東の二喬の大喬ちゃんと小喬ちゃんが,
メイド服で売り子をするんだから、
かなりの客寄せ効果になるし、彼女達が売って売れないわけがないしね。)
だけど、三人とも店で働く時はしっかり働いてもらうよ。」
「「はい、お任せください。」」 「任せて♪」


まだ、大喬、小喬ちゃんの二人は猫かぶりモードのようだが、
丁寧な対応をしてくれる分には問題無いだろう。
お客に暴言でも吐くのなら問題だが、あの美羽ちゃんでさえ、劉花ちゃんと一緒に、
店の二大看板娘として頑張ってくれているのだ。
この三人なら特に心配するようなことはないだろう。


こうして、私の店に新たに、孫尚香ちゃんと大喬ちゃん、
小喬ちゃんが、従業員として加わり、
店の改築工事もあと数日程で完了し、
新しい制服である一刀君デザインのメイド服。
劉花ちゃんなどはロングスカートにしたり、それぞれ、個性を出すために、
少しいじって入るが、基本はメイド服だ。
そして、この新体制の黒猫茶館で、洛陽一の茶店を目指していこう!


この後は、夕食まで明命ちゃん達は荷物を部屋に置いてから洛陽の観光をし、
私の方で、孫尚香ちゃん達が来たことを月ちゃん達に知らせ、
翌日会ってもらえるように手配をしておいた。

夕食を皆で一緒に食べつつ、従業員の皆に彼女達の紹介をしたが、
その際、劉花ちゃんがニコニコと笑顔だったので、なにか後で言われそうだったが、
その場では特になにかいうことは無く、この日は就寝。

翌日周泰ちゃん達四人は、
月ちゃん達に親書を渡すのを兼ねて、月ちゃんに挨拶に行き、
特に問題を起こすこともなく、午後には帰ってきた。


ふと思ったのだが、孫家の末妹の孫尚香ちゃんと、
江東の二喬と名高い大喬、小喬ちゃん二人の護衛に、
いくらなんでも明命ちゃんだけという事はないだろう。
多分何人か明命ちゃんの部下が今頃、洛陽の町の様子を調べている事だろうが、
統治方法を学んで、揚州の民の暮らしがよくなるのはいいことだし、
孫策さん達の勢力があまり弱いと、三竦みの状況を作り出せないので、
放置してもいいだろう・・・とは思ったが一応、
詠ちゃんにその可能性を話しに行ったら・・・


『そんな事とっくに折込み済みよ! あんたはそんな事気にしてないで、
あの三人に誑かされないように、
それと劉花様に変な気を起こさないようにだけ気をつけてなさい!』


と、釘を刺されてしまった。
まぁ、確かに私が考えつくような事なので、
詠ちゃんや音々ちゃんが気が付かないわけないのだが、
もう少し何か言い方があってもいいのではないだろうか?


(今度、詠ちゃんが泊まりに来た時、少しいじめてやろうかな・・・)


などと不埒な事を考えていたが、こんなんだから釘を刺されるのだろう。


さて、孫尚香ちゃん達の働きぶりなのだが、
コレが意外な事に、予想に反して家事はしっかりしていた。
孫尚香ちゃんは末妹なので、いずれどこかに嫁入りする事になるだろうから、
家事は徹底的に仕込まれているだろうから分かる。
大喬ちゃんはおとなしそうな性格なので、
なんとなくイメージで家事はできそうな感じはしていた。
小喬ちゃんが意外な事に一番しっかりしていたのには驚かされた。
表情にも勝気な性格が現れていて、私の勝手なイメージで、
家事関係は姉の大喬ちゃんに押し付けて好き勝手してそうな感じがあったのだが、
彼女達に宛てがった部屋の掃除もしっかりしていたし、
三人とも試しに厨房に立ってもらったが、ひと通りの料理はできていて、
その日の昼食は彼女達が作った品も何点か混じっていたが、
特に従業員の皆から避けられることもなく、完食された。
コレなら、忙しい時に厨房に立ってもらう事もできるだろう。
少なくとも、店の営業の邪魔になるどころか、
接客さえ覚えて貰えば、すぐにでも即戦力として期待できる。
むしろ、先輩風を吹かせようとした美羽ちゃんが、
逆に凹まされていて、慰めるのに大変だった。


その日の夕食後に、明命ちゃん達四人に晩酌を誘われたので、
揚州の現在の状況等を聞くために付き合い、
いろんな話をしたが、孫策さんの統治に変わってから、
徐々にいい方向に向かって行っているそうだ。

孫策さん側の明命ちゃん達の話なので、少し贔屓目が入っているかもしれないが、
私が、詠ちゃんから聞いている話でも、
揚州の統治方法は、今までの統治方法に曹操さんの所、
桂花の統治方法や洛陽の統治方法を混ぜたような感じで、
いい方向には向かっているようなので、彼女達の話もその通りなのだろう。

晩酌に付き合っていた時に、大喬ちゃんと小喬ちゃんにお酌をしてもらったり、
身体を密着させるように寄り添ってきたりしたが、
なんとか平静を崩すこと無く、耐えることができた。
流石に江東の二喬と噂されるだけ有って、彼女達はかなり可愛い上に、
妙な色気もあるので、私が思春期の頃だったら速攻で落とされていただろう。
この辺は中身の精神年齢の高さと、
桂花が居るという事に救われたというところだろう。
明命ちゃんは、私のその様子を見て、何故か機嫌が良かったが、
彼女の立場なら、私が多少デレデレしていたほうがいいだろうに、
なんで機嫌がいいのだろうか?

孫尚香ちゃんにいたっては、おそらく指示されていただろう、
私に対しての色仕掛けなどまったくお構いなしで、
今までの窮屈な暮らしの愚痴をこぼしたり、
色々と口やかましい孫権さんや甘寧さんの事を愚痴ったり、
おつまみとお酒に舌鼓を打っている。


こうして数日程すごし、部屋の準備が予想より早く整ったので、
試しに孫尚香ちゃん達に接客を教えてやってもらってみたが、
コレが好評で、持ち帰り用のマドレーヌや蜂蜜パン等の商品は早々に完売してしまい。
彼女達の噂を聞きつけたお客さんがいつもよりも多めに来たために、
この日はかなりの売上をあげる事ができた。
そして、とうとう明命ちゃんが孫策さんのところに帰る日になる。


「喜媚さま、今までお世話になりました。
小蓮さま達をよろしくお願いします。」
「うん、任せておいて。
明命ちゃんも帰りの道中気をつけてね。
袁紹さんのところで色々と騒がしくなってるから、
賊や流民が出ているっていう話も聞くし。
明命ちゃんは強いのは知ってるけど、気をつけてね。」
「はい! ありがとうございます。
小蓮さまや大喬さま、小喬さまも喜媚さまにご迷惑をかけずに、
勉学や董卓さまとの交流の方も失礼のないようにがんばってくださいね。」
「わかってるわよ、任せておきなさいって。
お姉様達にはうまく言っておいてね。
喜媚ちゃんからお給金もらってるからって、
仕送り減らされたらたまったもんじゃないんだから。」
「フフ、それはどうでしょうか?
私も報告はきちんとしなくてはいけないので、黙っているわけにもまいりませんし。」
「黙ってろとは言わないけど、その辺はうまく言っといてね、信頼してるわよ?」
「分かりました。
なんとか小蓮さま達のお小遣いが減らされないように頑張ってみます。」
「さっすが明命、そういう所がお姉ちゃんや思春と違って柔軟でいいのよね♪」
「明命はわかってるわよね♪」 「ありがとうございます♪」


一時的に喜んでいる孫尚香ちゃん達だが、
孫策さんの所で、細作などの暗部をまとめる部署の幹部である明命ちゃんが、
そんなに甘いわけなく、きっちり仕送りの、お小遣いの部分が減らされて、
後で大騒ぎする事になるのだった。


「明命ちゃんコレ持って行って。
ウチで作ってるお菓子と飴とか入ってるから道中で 『皆と』 食べてね。」
「・・・流石に喜媚さまの目はごまかせませんか・・・では、
ありがたく頂いていきます。
それでは、また会える日を楽しみにしています。
喜媚さまも怪我や病気などせぬようお気をつけて。」
「明命ちゃんもね、それじゃあ、またね。」
「はい! またお会いしましょう!」


こうして、明命ちゃんは一人で南の城門の方に向かって歩いて行き、
私達も、明命ちゃんが見えなくなるまで、彼女を見送っていた。

明命ちゃんを見送った後、孫尚香ちゃんが私の腕を抱くようにし、
反対側の腕は小喬ちゃんが同じようにして、
背後から大喬ちゃんが私の背中にくっついてくる。


「さ、喜媚ちゃん! 今日も営業がんばろう♪
この間、売上が上がれば、私達の給金にも色をつけてくれるって約束、
忘れたとは言わせないよ?」
「そうよ、私達がお店に立てば毎日完売も夢じゃないんだから、
お給金には期待してるわよ?
それで、洛陽の最新の服とかお菓子を楽しむんだ~。」
「小喬も小蓮さまも少しは貯金しなくてはダメですよ。
それに孫策様達へのお土産とかも忘れたらだめですよ?」
「え~お姉様やお姉ちゃんにはいいよ~。
今まで屋敷に閉じ込められてた分、
しばらくはおもいっきり遊んで洛陽を楽しむんだ♪」
「孫尚香ちゃん達も遊ぶなとは言わないけど、ほどほどにね。
一応、ココには董卓軍との友好の使者と勉強のために着てるんだから、
何の成果もなかったら、帰った時に周瑜さん辺りに怒られるよ?
私、一応孫尚香ちゃん達の様子を定期的に書簡で報告する事になってるんだから。」
「ウゲッ・・・そういえば喜媚ちゃんは冥琳の事知ってるんだったね。
・・・喜媚ちゃん書簡ではお姉様や冥琳によろしくね♪」
「はいはい、私が変なこと書かなくてもいいように、皆も頑張ってね。」
「えぇ、そこは 『頑張らせて貰うわよ♪』 」
「わ、私も 『頑張ります。』 」
「あたしも 『頑張んなきゃね♪』 喜媚は覚悟してなさいよ♪」
(うわ・・・まずったかな・・・そういえばこの娘達、明命ちゃんと一緒に、
私を篭絡して私の子を宿すって任務も負ってる可能性があるんだっけ。
いきなり夜這いはないと思うけど、私も気をつけないと。
それに、劉花ちゃん周りの警護も少し部屋の配置変えて置いたから、
劉花ちゃんが人目を忍んで私の部屋に来る事は難しいと思うけど、
彼女にも気を付けないと・・・最近なんか妙に積極的だし。)


こうして、店の改装工事も無事終わり、店舗内はあまり変わっていないが、
制服がメイド服に変わった事で、従業員達の気分も一心されている。
それに持ち帰り用の商品を新しく増やした事で、
従業員も増えるが収益も増えるだろう。
ここ数日の様子だと、詠ちゃんから生活費を貰わなくても、
やっていけるだけの利益は十分上げられそうだし、
酒蔵を本格的なものに作り替えた事で、まだ熟成はされてないが、
主に霞さん達が消費するお酒にも洛陽だけで対応できるようになったので、
母さんに文句を言われる事も無くなった。

お風呂も大きなものに変わり、数人なら一緒に入る事も十分可能になったし
何より部屋数が増えた。
美羽ちゃんや、七乃さん、
そして新たに孫尚香ちゃん、大喬ちゃん、小喬ちゃんを迎えても、
十分余る部屋数を確保できている。
人手が必要なら、詠ちゃんが汜水関での戦闘で、
私の部下だった黒猫部隊から、何人か派遣してもいいと言ってくれている。

そして向かいの屯所は常駐する人員が増えた・・・と言うか、
増えた人員は全て元黒猫部隊の隊員で、、
劉花ちゃんや私、それと一応お客になる孫尚香ちゃん達の警護も含めて、
前より厳重になっている。


店舗改装も終わり、新たな従業員を迎え、私の洛陽での新しい生活が始まる。


孫尚香ちゃん達と店に入り開店準備を済ませて、
私が店の前で一人で、新たな決意を心に秘めていた所で、
劉備さんがあまり緊迫感の無い声で、愛紗ちゃん達何人かと一緒に走ってやってきた。


「き、喜媚ちゃ~ん、大変なの!
できたら今過ぐ賈詡さんか董卓さんに連絡とって欲しいの!
ぱ、白蓮ちゃんがすっごいボロボロになって家にやって来て、
急いで董卓さんに報告があるって!」
「と、桃香様、白蓮殿はそこまで言う程ボロボロでは無いのですが・・・」


劉備さんや愛紗ちゃん、張飛ちゃん、趙雲さんと一緒に遅れて、
諸葛亮ちゃんと鳳統ちゃん、・・・そして私とは、
宮殿の謁見の間で一度だけ会った事のある、
公孫賛さんが、変装のためだろうか? 私の知っている服や鎧とは違い、
よく旅人が着るような外套を羽織り、
赤毛のポニーテールも下ろした状態で、疲れた様子でやってきた。


「す、済まない胡喜媚殿、急いで董仲穎様に会わせて貰えないだろうか?
幽州の事で報告したい事があるんだ。」


こうして、また新たな問題が増えそうな予感がしてきたのだった。


  1. 2012/11/02(金) 19:07:34|
  2. 真・恋姫†無双 変革する外史。
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